蒼い海、温暖な気候、トマトやポテト等地元産の素材を使った美味しい料理、温和で優しい性格の人々、たくさんのリゾートホテル。そこは訪れる人々を魅了するに充分な観光地としての要素を持つ国、マルタであった。
4月初旬、まだ日本は肌寒い時期にあるが、マルタの空港に降り立つとすぐに温暖な気候であることがわかった。しかし湿気を感じるいやな暑さではなく、そこは地中海のど真ん中、いわゆるカラッとした暑さでそれほど苦にならない。
マルタの街の第一印象はとにかく坂が多いこと。そのためマルタは日本以上に車社会なのだ。地中海の断崖絶壁の島なので山はないのだがどこの道路を走ってもすぐ坂になってしまうので自転車やバイクはあまり見かけない。今回は現地ガイドの車でまわった為に乗る機会がなかったが、マルタはバスが発達しており便利になっている。
今回訪れた内容は、一般的な観光ももちろんそうだが、マルタでホームステイをしながら現地の学校で英会話を学ぶ体験をするというプログラムも含まれていた。弊社のツアーでは、マルタ人英語教師の家にホームステイをしながら、そこで先生とマンツーマンで英語を学ぶコースもあるが、今回の私の授業はそれとは異なり英語学校で他国の生徒と混じってグループレッスンを繰り返すタイプの授業を体験した。マルタ語と英語が公用語なので英語がよく通じる国だ。
ホームステイ先の家から学校までは徒歩で15分程度、朝9時から授業が始まる。チェンバーカレッジという名前の青色と白色を基調にしたマルタらしいカラーで4階建ての非常に綺麗な校舎だ。まずはどのクラスに振り分けるかの簡単な筆記テストを受けた。形式はTOEICの様な4択問題で、学生の頃の記憶をたどって少し懐かしい気持ちになりながら、それなりの得点をとることができた事にほっとした。
私のクラスは9人の生徒に対して先生が1人付いた。日本人は私一人で、他にはイタリア人、ロシア人、トルコ人、韓国人などの学生がいた。性別・年齢も様々である。1番多かったのはうち3人がトルコから来ていると言い、教室は10人も入れば一杯になるのでディベートの火花を散らすには最適な広さだとも言えよう。自己紹介もほどほどに、授業が始まるがとにかく会話をする機会が多い。テキストなんかもあって読み合いもするのだが、ある1つのテーマについてディベートをする時間になると皆熱心に表現しようとする。内容は日常生活での身近な話題例えばスローフードについてなどだ。思った事は皆、多少文法がおかしくともどんどん発言するので室内は必然とヒートアップする。もちろん私もたくさん意見を求められたし、普段日本ではあまり多くはない機会なので短い時間だったが精一杯頑張ってみたのが新鮮で楽しめた。
さて、滞在先のホームステイであるが、受け入れ先のホストファミリーは1つだけではないのでその時の混み具合にもよってどこになるか異なりますが、共通して言えるのは中流階級以上のご家庭になるので生活に十分な設備が整っている事である。ご家庭によってはプールだってある。朝食はもちろん出るし、シャワーもいつでも利用が可能。ホストファミリーも親切だし日本人にも聞き取りやすいゆっくりとした発音の英語で話されていた。居心地はとてもよいのだが何でも身の回りのお世話をしてくれるというわけではないので、しっかりと自分で管理する事が必要になる。
ホームステイ以外の一般のホテルについては、バレッタ、スリーマ、サンジュリアンといった地区にたくさんあり、リゾート地なのでホテルにプールがあったり、海が近かったりするのが多い。バレッタは観光の中心、スリーマはお買い物に便利、サンジュリアンは飲食店が多いのが特徴だ。
<スリーマのニュータワーパレスホテル>
こちらは弊社でもよく使用するスタンダードクラスのホテル。海岸が目の前にあり、テレビ、エアコン、セーフティボックス、プール、バスタブ等が備わっている。
<スリーマのビクトリアホテル>
ニュータワーパレスホテルに近く、隣には大きい病院。バスタブ、セーフティボックス、プール(2つ)、バー、スパ等設備十分。
<バレッタのフェニシアホテル>
5つ星の高級ホテル。広大な敷地、バス乗り場へのアクセスの良さなど、マルタ屈指のおすすめホテルである。バスタブ、バスローブ、セーフティボックス、テレビ、バー、プール等が備わっている。
マルタ島の観光は、例えばハーバークルーズも楽しめるし、聖ヨハネ騎士団に関連した教会や遺跡がたくさんある。中世の十字軍の遠征を支えていた聖ヨハネ騎士団はヨーロッパ各国の富裕階級の男子から構成されていた。観光の中心、バレッタには騎士団長の宮殿があり、かつての様子を伺う事ができる。
マルタのみの滞在もよいですが、お時間があればゴゾ島にも是非行かれると良いと思います。ゴゾ島はマルタ島からフェリーで北西に20分ほどの小さい島で,いわばマルタ島に住む方にとって夏にゴゾでリゾートを楽しむのがステータスになっているらしい。マルタ島よりも更にゆっくりとした時間が流れているかのようなそんな穏やかなゴゾは、風光明媚な場所だらけだ。代表的なアズールウィンドは、ボートに乗って白い岩と蒼い海を、満喫できる。
海底に手が届きそうなほど近くに見えるのに、実は10メートル以上の水深があり、紫色に見えるクラゲやオレンジ色に輝く珊瑚がなんとも幻想的であった。
最後に、奇跡の起こる教会として知られるタピーヌの教会をご紹介します。なぜそのようによばれるかというと、ここを訪れるとケガや病気が治るという言い伝えがあることに由来する。一見普通の教会だが、側壁にたくさん飾られているものがある。それはギブスや松葉杖、写真等である。ここを訪れて治った方から寄贈された物で埋め尽くされている。
そのあまりの展示品の多さはここを訪れる者に本当にそういう力があると思わせてしまうかのようである。
マルタという国はまだ日本ではそれほど有名とは言えないと思うし、訪れるまでは正直どんなところかあまりイメージが湧かなかったところはあった。マルタ滞在は4日間だけで駆け足ながらもたくさん見聞できたのも小さい島であったおかげである。
ヨーロッパ諸国の影に隠れていまひとつ目立たない感はあるが、この先ますます注目されるようになると思うし是非1度行かれてみてはいかがでしょうか。
2009年4月 南口