ミン、グォ~ン! ミャンマーへの旅

ミン、グォ~ン! ミャンマーへの旅

ビザ取得も他国と比べかなり時間がかかる、ちょっと、外国人を寄せ付けない雰囲気を持ち、孤立し続ける国、ミャンマー。旅立つ前からどんな国だろうとわくわくしていた。今回はマンダレーから日帰りで訪れたミングォンについて書こうと思う。


朝、8時過ぎにホテルを出発。ミングォンはエーヤワディ川をマンダレーから10キロほどさかのぼった対岸にある。ホテルから車で約10分、船着場に着き、船を一台チャーターしてミングォンへ出発!日中はうだるような暑さのマンダレーだが、朝はさわやかで船の上では全身で風を受けるので、やや肌寒い。川岸に住む人や、船に乗って魚釣りをする人がこちらに向かって大きく手を振ってくれる。 悠々と流れるエーヤワディ川の上でゆっくりと流れる時間は普段自分のいる都会の喧騒を忘れさせてくれる。船に乗ること1時間、ミングォンに到着。川岸におりると「牛車にのんねぇか?」とおじいちゃんが声をかけてきた。おぉ、これは面白そうだ。しかも楽ができる。話のたねにもなりそうだ。早速、牛車に乗り込むことにした。牛の歩みは遅いけれどこんな小さいな村をのんびり見学するにはこれぐらいの遅さがちょうどよい。おじいちゃんは車を引く2匹の牛の右のほうばかり、木の枝でたたく。なんで?と聞いたところ「こちらの牛のほうが若いから怠けもンなんだ」とのこと。かわいそうに、叩かれたところは血がでていた。もっと働いておけばこんなことにはならなかったろうに。道沿いにはお土産屋さんや食堂が並ぶ。船着場から100メートルほど離れたところにミングォンパヤーが建つ。ミングォンパヤーはコウバウン王朝のボードパヤーが世界最大の仏塔を造ろうとした跡だが、建設途中で王は亡くなってしまい、工事も中断してしまった。登ると上からはミングォンの村や川が見渡せて気持ちがよい。



ミャンマーはそれほどもの売りがしつこくないのだが、ミングォンは意外としつこい。マンダレーから来る人、観光できているミャンマー人も、線香をかえ、ろうそくを買え、と迫ってくる物売りに閉口している様子だった。
 さて!この村一番のみどころ、ミングォンの鐘にやってきました!この鐘もボードパヤー王が造ったもので、口の外径が約5メートル、重量が90トンある。残念ながらこの鐘は世界で2番目に大きいそうで、世界一ではないそうだ。ミングォンパヤーが完成しなかったので、近くのお堂に釣られている。世界最大の仏塔が完成し、この鐘が中に納められていたら、もしかするとミングォンの村はこんなに小さくなかったかもしれない。

この鐘の近くに建つ、養老院に立ち寄らせてもらった。身寄りのいないお年寄りがミャンマー人の寄付により生活をしているそうだ。皆さんが住んでいるところを撮るのは失礼かな、と写真をとらずに出ようとすると、一番近くにいたおばあちゃんが「なんで撮らないの?せっかくそんな大きなカメラを持ってきたんだから撮ってよ!」と大きな声で言った。お言葉に甘えて一枚、パシャリ。ここでの生活はどうですか?と聞くと「みんながいるから寂しくないよ。訪れてくれる人もいるしね」と元気に答えてくれた。平均年齢も日本と比べるとずっと低く、家族が多くて身寄りがいない人も少ないミャンマーだからこそ、完全な寄付による養老院 の運営が可能なのかもしれないが、物質的に豊かだけれど高齢化の進む社会の中で誰にも見取られず孤独死する人々がいる日本と、豊かではないけれど貧しい人は寄付によって生活できるミャンマーの社会では、どちらが本当に豊かで、幸せなんだろうな、とふと思った。そんなこと誰にもわからないのだろうけど。


このミャンマーの旅行で印象に残ったことはどこに行ってもたくさんのパゴダがあり、そこにはたくさんの熱心に祈りをささげる人がいることだ。三大仏教遺跡の一つのパガンは広大な平原に無数に仏塔が残っているが、そこは単なる観光地ではなく、今でも人々は信仰の場として使っている。また、パゴダは人々のコミニティの場であり、祈るだけではなく、座って井戸端会議をしてるおばちゃんたち、木陰で昼寝をするおにいちゃん、走り回って遊ぶ子供たち、愛を語らう恋人たち、夕涼みをしにくる家族たちなど近くに住む人々の生活の一部なのである。ミャンマーのパゴダ見学の楽しいところは様々な人々の人間観察にあると思う。また、ミャンマーの人は目があうとニコっと微笑んでくれる。そんなリアクションに慣れてない私にしてみたら癒されるというか、ビビっと衝撃が体に走った。写真もウェルカムで、撮れ撮れ、と催促さえしてくる。

あと、人々が見につける、腰巻のスカート、ロンジーをみんな身にまとっているのも印象的だった。暑いミャンマーではロンジーがとても風通しがいいので快適で、汚れてもすぐ洗濯すれば乾くという利便性もある。どこの国でも都市部では似たようなファッションが往来しているが、ミャンマーでは人々はロンジーの機能性を理解し、アイデンティティを忘れてないような気がした。また木の幹をすりおろし黄色い日焼け止めタナカを女性と子供はみんなほっぺたに塗っている。
信仰深くて、人懐っこくて、ロンジーとタナカをつけていて、やさしいミャンマー人。また再訪するまで、いつまでも変わらないでいてほしい。


2009年3月 辻

ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマーカテゴリの最新記事