夢に見た修道院をめざして ~フランス~

夢に見た修道院をめざして ~フランス~

モンサンミッシェル私の2008年は、モンサンミッシェルへ行くという初夢から始まり、これが今回実現する事になった。行ってみたい世界遺産ランキングで常に上位に挙げられるその姿は実に神秘的であった。
パリ市内から2時間少しTGVに乗りレンヌ駅に着き、更にバスで1時間程田舎道を走ると、その雄大な姿は突如現れた。周りに遮るような建物もなくかなり遠くからでも見ることができる。満潮時は対岸で下ろされるらしいがこの日は島の入口すぐそばの停留所にバスが着いた。下から見上げるだけでも修道院までの道のりが結構ある事はわかる。


テラスプラールホテルへの坂入り口ゲートを越えてすぐの、グランドリュと呼ばれるメインストリートの坂道沿いにたくさんの店やホテルがありそのにぎやかさも楽しいのだが、かつて森の中に聳え立っていたその姿を遠くから眺めるのがまた格別に素晴らしい。
修道院までの道のりはきわめて単純である。グランドリュをひたすら頂上をめがけて登るだけだ。モンサンミッシェルは、階段が多く道幅がかなり狭いので大きな荷物を持っていくのはできればさけたほうが良い。
モンサンミッシェル修道院へと続く途中での広場からは見渡す湾の潮の満ち引きがわかり、時間とともに変化する生き物のようにこの島を取り囲んでいる。モンサンミッシェルは訪れる時間や見る距離、角度によって様々な違った印象を受けると感じたし、見渡す限りの湾は広大で圧巻だ。修道院内部は、ゴシック様式の聖堂や13世紀の回廊など、建築だけでも見所が多い。
また、モンサンミッシェルにはホテルがあり島内で過ごす事もできる。夏以外は夜間に修道院に入る事はできないが、朝の散歩がてら気軽に写真をとりに行ったりできるので良い。私が滞在した間はあいにくの雨模様だったが、天気がよければ朝焼けに映された素晴らしい姿が見られるだろう。
ラメールプラールホテルモンサンミッシェルでの代表的なホテルとして、ラメール・プラールがある。島の入り口に最も近いところに位置し、隣接するレストランのオムレツはモンサンミッシェルの名物料理になっている。ホテルのレセプションはかなり狭いのだが客室はかなり広く、これもまた名物のビスケットが机の上にさりげなく置かれていたりする。世界中から訪れた著名人の写真が廊下や階段にたくさん貼られており知っている有名人がいるか探すのも楽しい。
モンサンミッシェルは非常に有名な世界遺産で訪れる日本人も多いが、南仏のプロヴァンス地方にも素晴らしい風景を見られる場所があり日本人観光客はそれほど多くはいない。アルルやアヴィニョンは都会のパリとは違った雰囲気を持っており、人も街も実にのんびりしている。
法王庁宮殿アヴィニョンはパリからTGVで2時間半ほど走ったところに位置する、南国ムード漂う演劇祭で有名な南フランスの都市だ。城壁に囲まれた旧市街は駅に近い方からホテル、飲食店、書店等が道沿いに集中してにぎやかな様子、更に進んで中央あたりの時計広場を越えたあたりで、アヴィニョンで最も目立つ法王庁宮殿が目の前に広がる。一見しただけではその全容がわかりにくい程大きく、周りの建物を圧倒しているようだ。宮殿内には特にみどころが残されている訳ではないが夜になればライトアップされ、より迫力のある全景へと変貌する。
円形闘技場アルルはアヴィニョンからは列車の場合20分程くらいで行く事ができる。イタリアまで距離が近い事もあってかローマにあるような雰囲気の遺跡がある。中でも円形闘技場は保存状態もよく、アルルを代表する建造物である。闘牛の催しが行われる復活祭の時期以外は中に入って見学ができる。頂上に上り心地よい陽気の中、ローヌ川を向こうにアルルの町をしばらく眺めているのも悪くない。
サントロフィームはロマネスク様式の教会だが、中に入れば美大の学生と思われる人々があちこちで、繊細な彫刻が施された回廊付近を中心に自由に絵を書いていて、皆非常に上手いのが印象的だった。かつてゴッホが住んでいたアルルにおいてはごく日常の光景なのだろう。
アルルそしてアルルでの宿泊は、オテル・デュフォーロム。ゴッホ作の「夜のカフェテラス」の絵画は誰もが一度は見たことがあるほど有名であると思うが、このフォーロム広場に面した位置で、まさにアルルの中心にある。ホテルの隣もそうだし、そこら中にカフェがあり多くの人でにぎわっている。夜になれば幻想的に彩られた街中を散歩すればまるで中世にタイムスリップしたかのような感じさえする。
また、オテル・デュフォーロムについては、全体の部屋数は多くないが、客室内は広々としている。館内にはアンティークの家具が置かれていたりしてとても可愛らしい雰囲気になっている。窓を開ければ爽やかな風と光を受けることができ、観光へ出かける気分を助長してくれる。
アルルの特徴としては1年を通じてたくさんの祭りが行われる事にある。円形闘技場で開催される闘牛祭、民族衣装を着ての美しさを競い合う衣装祭、初穂祭…などでプロヴァンス地方でも屈指の多さである。私は今回の旅ではこのアルルが最も気に入り、いつかまた訪れる機会があれば是非闘牛祭の時期に来てみたいし、ラベンダーが一面に咲く季節なんかも良いだろうと思う。
サクレクール聖堂TGVで再びパリ市内に戻った私は初めて訪れたヨーロッパの町並みを少しでも多く見るべく動き回ってみた。パリの場合は何気ない通りや地下鉄、カフェなんかでも絵になるほどお洒落で、散歩するだけでもなかなか飽きがこないのだが、特にサクレクール聖堂とエッフェル塔が印象に残った。
サクレクールは市内北部のモンマルトル地区にある。情緒ある階段が続きその頂上にあるためパリ市内が一望でき、見晴らしは抜群だ。テラスでは歌やダンスのパフォーマンスをしている人たちがいたり、座って自由に雑談していたりでパリっ子の憩いの場といったところだろうか。
エッフェル塔そして何と言ってもエッフェル塔!パリの象徴でもあり普段でもライトアップはするが、ブルーのイルミネーションが何とも言えないほど幻想的にパリの街を彩っている。期間限定との事なので興味のある方はお急ぎ下さい。
フランスを駆け足で回ったが、何度来ても楽しめる国であるのは間違いないと確信できた旅でもあった。皆様にも是非一度は行ってみて欲しいです。

2008年10月  南口

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