フィリピンに抱かれて

フィリピンに抱かれて

ボラカイ島3月13日。カップヌードルのシーフードばかりがいやでも目につく朝7時。飛行機出発2時間半前。フィリピン航空のカウンターにはすでに長蛇の列。フィリピン人たちがカートに日本のお土産をたくさん積んで搭乗手続をいまかいまかと待っている。フィリピンと観光というイメージとすぐに繋がらない。カンボジアのアンコールワットのような有名な遺跡があるわけでもないし、ベトナムのように料理が広く認知されているわけでもない。私にとってはなかなかその姿を捉えることができない国である。だがそういう場所だからこそ新たな驚きと発見があり、行く価値があるというものだ。

のんびり&遊びまくりリゾート・・・ボラカイ島

日本を離陸し5時間あまりでマニラに到着。フィリピンの入国審査をすませ、国際線ターミナルから国内線ターミナルに移動。国内線ターミナルでチェックインをし、空港使用税200ペソを払う。1時間でカリボヘ。ここで現地手配会社スタッフのお出迎えを受けるはずなのだが、それらしい人がいない。うろうろしていると大声で私を呼ぶ声が・・・。振り向くと浜崎あゆみみたいなデカイサングラスをかけた女性が手を振っている。最初何かの間違いかと思った。実はこの方が現地旅行会社スタッフのユキさんであった。ユキさんとともに一路ボラカイ島へ。カリボからボラカイ島には車とボートを使って2時間くらいかかる。

ユキさんは大変明るい方だ。韓国人の方で英語、日本語ぺらぺら。日本語は日本に来て勉強したことはなく韓国で勉強したらしい。英語に関しても同様で、学校で勉強したのみだそうだ。日本の教育はどこかおかしいんじゃないか、と英語が全く上達しない自分の要領の悪さ棚に上げて思い込んでしまった。う~ん…。 ホテルはファイブスタークラブでも人気のボラカイリージェンシー。後日、ビーチロード沿いのホテルをほぼ回ったが確かにリージェンシーは絶対オススメ。部屋の広さ、設備、ビーチまでの近さ、雰囲気、立地を考えると1番。ただしスタンダードルームだと景色が悪いし部屋も狭いのでスーペリア以上がよい。
夕食はフライデーズのビュッフェ。フライデーズもリージェンシーと並んで非常に人気のあるホテルだ。とくにフライデーズのビュッフェは有名らしい。フライデーズはビーチロード沿いではあるが繁華街ではなくひっそりした場所にある。といっても静かで雰囲気がとてもよく、大人のためのホテルといった趣で好感が持てる。
気になるビュッフェの内容はシーフードと肉料理が充実。炒め物や焼き料理でなく、なんと寿司や刺身もある。まさか寿司なんてあるとは思ってなかったので、ここぞ、とばかり食らった。ご丁寧に醤油やワサビもある。「こんなに旨いんじゃ、そりゃ現地の人もたべるよな~」と日本でやっていた鮪不足のニュ-スを思い返した。

3月14日。朝九時からホテルインスペクション。ボラカイ島を東奔西走。ボラカイ島では韓国人を頻繁に見掛ける。韓国でボラカイ島はメジャーなリゾート地だ。この3月・4月はハネムーンシーズンで、特に韓国からの旅行客が多い。ユキさんのご主人は韓国人で、ボラカイ島でダイビングインストラクターをしているそうだ。ボラカイ島にユキさんが旅行に来たときに出会ったらしい。

ボラカイのお兄さんとパチリまたボラカイ島にはビーチロードとメインロードの二つの大きい通りがある。ビーチロードはその名の通り砂浜で、その通り沿いにお店が軒を連ねており賑わいを見せている。メインロードはアスファルトで舗装されている唯一の道だ。大多数の観光客はメインロードを港からホテルの間だけ利用するのみ。よってビーチロードとメインロードは50メートル位しか離れていないにもかかわらず全く異なる。メインロードだけを見るとビーチリゾートの島にいることを忘れてしまいそうなほどのどかで、現地の子供たちが遊んでいたり、売店のおじさんやおばさんがご飯を食べながらテレビをみていたりしている。ボラカイ島のリゾートとは違った一面を覗いた。
食事はユキさんにおいしいお店を教えてもらった。昼はメキシカン、夜は地元のシーフード屋さん。本当にボラカイは食の宝庫だ。世界中の料理が集まっている。毎日食事に困ることはない。ハンバーガーやピザなどの軽食はもちろん日本料理、中華に韓国料理、モンゴル料理、イタリアンも。ギリシャ料理まであるそうだ(どんな料理なのだろう・・・)。

3月15日。この日プールや海で泳ぐ。エメラルドグリーンに輝く海は「飲んでもそれほどしょっぱくないんじゃないか」と思ってしまうほど透明で美しい。泳ぎつかれたらホテルに戻って昼寝。ビーチからリージェンシーホテルまでの距離が近いので移動もらく。
夕方には、ユキさんにマッサージ屋さんに連れて行ってもらった。韓国資本のお店なのでインテリアも凝っており、サービスも満点。フィリピンの女性が2人がかりでマッサージしてくれるのだが、女性とは思えないほど力で念入りに体をもみほぐしてくれる。
夜はユキさんと軽く食事。ユキさんとはこの夜でお別れ。明日の朝早くここを発つのだ。しかしボラカイの夜は長い!夜12時を越えてもまだまだ人の流れは途絶えず、バーでは大音量でハウスミュージックが流れ、「ここは渋谷か!」といいたくなるほど賑やか。ユキさんの話によると深夜4時までやっているお店もあるようだ。友達やカップルできたら本当に楽しいだろうなぁ!!食事代もそれほど高くないので、体力が尽きるまで飲み明かすことができる。

リージェンシーのような中心地と密接しているホテルであれば、朝まで飲み明かすこともできる。眠りたくなったら近くのホテルに戻ればいいだけ。終電も気にする必要もない。一方、フライデーズのような静かで趣のあるホテルであれば、誰にも邪魔されず日常の喧騒を忘れ、のんびり自分だけの時間をすごすことができる。もちろん、トライシクルなどの交通手段を使えばビーチロードの中心地まですぐアクセスできる。あまりに懐が深いリゾートだ、ボラカイ。

手付かずの自然と六本木ヒルズが共存する都市、マニラ

3月16日。早朝の飛行機に乗るため朝5時にホテルロビーに集合。ホテルのバンにのりカティクラン空港へ。カティクラン空港は船着き場のすぐ近くにあり、カリボ空港よりはるかにアクセスが楽だ。
カティクランからマニラに。マニラではガイドをしてくれるタケダさんと合流。タケダさんは20歳のころにフィリピンにやってきて、セブでダイビングインストラクターとして6年間働いていたそうだ。そして去年から現地手配会社に就職し、マニラで生活しているそうである。7年間もこちらで生活しているので、英語に加え、なんとタガログ語まで操ることができる。

まずはマニラでよく見かけるジプニーの工場を見学。ジプニーとは特にマニラで庶民の足として使われている乗合バスのことである。過去は米軍が使用していたジープを大人数乗れるように改造したものだったようで、ジプニーという名前の由来もそもそもジープから来たそうだ。だが今ではジープから改造するのではなく、エンジンは日本製の中古車から取り出して車体はもっぱら手づくりだ。しかも何故かエンブレムはベンツ・・・。

川下りツアーその後、映画「地獄の黙示録」の舞台にも使われたというパグサンハンに向かう。そこでは川下りが体験できるという。パグサンハンはマニラから約1時間半で到着。 タケダさんから「滝壺にはいりますんでずぶ濡れになりますよ」といわれたが、水着に着替えるのが面倒だったのでそのままの恰好でチャレンジ。「川下り」といっても滝は上流にあるので滝壺までは川上り、その復路が正式には川下りになる。だから船頭さんは大変。川の流れに逆らって漕ぐことになる。水嵩がある場所ならいいがない場所では舟を持ち上げる恰好で力づくで移動。1時間半ほど川を上ると滝壺に到着。ここから竹でできた筏に乗り換え滝壺へ。滝壺に近づくにつれて自分の考えが甘かったと思い知る。回り込んで、後ろから滝壺を眺めるのだと思い込んでいたのだがそのまま滝壺につこっんだ。滝を真上から頭に受け滝の後ろ側へ。ずぶ濡れというより川に落ちたといったほうが的確だと思った。でもまぁこれで水着に着替えないと大変だということを身をもって知ることができたというものだ。それからの往路がまさに川下り。総時間3時間で終了。フィリピンの暑い気候の中での川下りは気持ちがよく、景色もすばらしかった。キレイな蝶も見ることが出来た。タケダさんの話によると薄暗くなると蛍が見えるそうだ。それくらい雄大で美しい手つかずの自然を堪能できる。
夕食はタケダさんのお勧めスポット、グリーンベルトに連れていてもらった。グリーンベルトとは最近マカティ地区にできた複合商業施設で、高級ブランドや世界的有名チェーンもテナントを構えている。この施設の中のレストランで食事を取ったのだが、日本にもなかなか見当たらないほど洗練された内装で、ここがフィリピンとは思えないほどお洒落だ。日本で言うなら六本木ヒルズのだろうか。目の肥えた日本人女性でも受け入れられるのではなかろうか。

フィリピンの龍宮城・・・クラブノア
クラブノア3月17日。朝5時にホテルロビーへ。今日はアプリット島にあるクラブノアというリゾートに行く。アプリット島自体がクラブノアというホテルの敷地になっている。
飛行機でマニラからロドリゲスへ。ロドリゲスの空港の滑走路はアスファルトで舗装されておらず、ちょっとびっくり。もちろん問題なく着陸完了。 クラブノアのスタッフが迎えにきており、ホテルまで移動。ジプニーと船を使い約1時間でクラブノアにつく。ウエルカムドリンクとホテルの女性スタッフによる歌の歓迎を受け各自部屋へ。全室水上コテージなので眺めは見渡す限りの海。最高。
クラブノアでは海や山に関するアクティビティが充実しており、イントロダクションやレッスンは無料で受けることができる。、もちろん必要なギアは無料で借りることができる。私は生まれて初めてシュノーケリングを体験。最初に先生が説明をし、その後実際海に潜って練習。 先ず驚くのは海の透明度。上から眺めるだけで5メートル先の底が見える。そして魚の数。遠洋まで行かなくとも地上からおりた地点でも魚がうようよ。ちゃんと餌付けされているようで人間が潜っても逃げていかない。むしろ私との出会いを喜んでいるようだ。なので間近でお魚さんを眺めることができる。クマノミや泳ぐ亀もみることができて感動。海の奥深さを知ることができた。
食事は全てビュッフェスタイルで肉や魚料理の他にベジタリアン向けの料理も充実している。 特に夕食はギターの生演奏や、四方を海に囲まれた水上デッキで食事が出来るなど優雅な雰囲気を楽しめた。

3月18日。朝食を取り、スキューバダイビングをする。スキューバダイビングは生まれて初めて挑戦する。始めに先生から説明を受ける。説明は英語だったので自分がちゃんと理解できているか不安だったが、先生が付いているおかげで何の不安もなく終えることができた。スキューバダイビングは不思議な体験だった。自分が長時間海に潜ったままで、息ができているのでまるで魚になったような気分だ。
昼食のあとはまたシュノーケリングをする。今度はこのアプリット島から船で30分ほど移動し、船を拠点としてみんなでシュノーケリング。大分慣れてきたこともあって、先生のサポートなしで時間いっぱいシュノーケリングを楽しんだ。
夕食は夜景を見ながら食事。レストランはビーチサイドにあって通常であればそこで食事を取るのだが、丘の上にもテーブルが用意されており、ホテルスタッフに頼めばそこで夜景を見ながら食事をすることができる。黄金色に輝く海を眺めていると、この場所だけがほかの世界と切り離されており自分だけがこの優雅な時間を過ごしているように思えてくる。

3月19日。朝6時半すぎに楽しかったクラブノアともお別れ。それからロドリゲスの空港でマニラ行きの飛行機に搭乗。
再びマニラ、古き良きスペインの町並み

マニラで再びタケダさんと合流。この日はマニラの市内観光。
印象的だったのはアメリカ記念墓地。第二次世界大戦で亡くなったアメリカ人軍人のおびただしい数の墓が建っている。その光景は圧巻。中央には記念塔が建ち、その周りには大きな地図が掲げられ太平洋戦争の経過が描かれている。

カレッサに乗ってイントラムロス観光そしてマニラ大聖堂とその周辺のスペイン風の町並み。マニラ大聖堂はフィリピンのもっとも有名な教会で、規模もフィリピン最大級だ。フィリピンはご存知のとおりキリスト教信者が多く、日曜でなくとも教会で祈りをささげる人々がいた。ステンドグラスや祭壇は細部にいたるまで丁寧に作りこまれている。マニラ大聖堂の近くにはビガン歴史地区と呼ばれるスペイン統治期の町並みが残っている場所がある。城壁に作られたオープンテラスのカフェテリア、石畳の道、町を彩るランプ・・・・。そこにいると、まるでスペインにいるような錯覚に襲われる。カレッサと呼ばれる馬車に乗り、町を一周。

フィリピン最後の夜。タケダさんとマニラの居酒屋さんに行く。マニラにもバーはたくさんあり、値段も日本に比べるとはるかに安い。大抵のお店は肉料理やシーフード料理が充実しているので、酒のお供に最適。思う存分フィリピンを満喫した。
最初フィリピン(特にマニラ)は治安が悪いのかな、と勝手に思っていた。実際一人でぶらぶらとショッピング等、街歩きをしたのだが危険な目には遭わなかった。狂犬病など騒がれていたが特に野良犬が目立つわけではなかった。「マニラは特に危険なわけではありません」タケダさんは言う。私もそう思う。日本を含めて世界各国共通だが、人通りの少ないところは行かないほうがいいし、人の往来が激しいところではスリに気をつける。見知らぬ人に声をかけられてもついて行かない。当たり前のことだ。

3月20日。ついにフィリピンを発つ日だ。ショッピングモールで日本の友人にお土産を買い、飛行機に乗り込む。
帰国後、フィリピンを思う存分、海にダイビング、観光など満喫したせいか風を引いてしまった。仕事なのに遊びすぎたバチだろうか・・・。しかし、1人でも楽しかったんだから2人や3人ならば、もっと楽しいこと間違いなし。ハネームーンに友人同士の慰安旅行にぜひいかがでしょうか???

2007年3月13日~20日 橋本康弘

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