また再び中国へ

また再び中国へ

約半年前に訪れている中国。今回は杭州・黄山をメインにまた旅先に選んだのは何と言っても成田から3時間以内というフライト時間の短さと、会社の中でまだ誰も行ったことがないという理由からだった。再び2歳の娘を連れて、しかも私自信が妊娠6ヶ月という体、母の手を借りての旅行となった。杭州までは成田から全日空・日本航空が直行で飛び始めたので、少しづつ観光客も増えているが、まだまだ未開の都市。黄山は世界遺産に登録されている有名な景勝地。またこの黄山の基点となる屯渓から行ける安徽古民家群も世界遺産である。実は見所満載の地域なのだ。


初めて降りる杭州<1日目>
杭州 西湖にて杭州の空港に着いて驚いた。たかが地方空港だろうと思っていたが、いやいや、国際空港だけあり、立派だった。市内まで車で 30 分余り走るともう市内に入る。田舎とばかり思っていたが道路はきれいに整備され、季節もいい時期だったからか両脇には花壇の花が生き生きとしていた。杭州には西湖と銭塘江があり水に溢れた都市である。
まず、杭州といえば西湖というぐらい有名な湖遊覧に出る。昨日まで降り続いていた雨が今朝から上がったということもあり、約 40 分間の西湖の遊覧船はとても趣のあるものであった。夏、この湖は蓮の花が素晴らしく、有名である。今回はまだ一面に蓮が、、、という姿は目に出来なかったが、さぞかし美しい様は想像出来た。
季節のいいこの時期、湖畔を散歩するのは何とも気持ちのいいものだ。娘も走り回って喜んでいる。ただ、湖には柵がないのが不安なのだが、、。 次に訪れたのが銭塘江の北岸にある月輪山に建つ「六和塔」。高さ 60M の七層八角の荘厳な塔である。ここからはゆったりとした銭塘江の流れを眺めることが出来る。階段の登り降りの大好きな娘は楽しそうにしていた。子供って面白い。
この日の夕食は杭州名物の「乞食鶏」と「トンボウロウ」が予定されていたのだが、手違いか「乞食鶏」が出せないとの事。残念。一方「トウボウロウ」の方はというと、、、脂身の多さに驚きつつ、じっくり煮込まれた味の深さに感嘆。全体的に前回の上海で食べた料理と比べると、こちらの料理はどちらかというと味は薄め( !? )。
今回の杭州のホテルは『杭州シャングリラ』。想像していた通り豪華でサービスも申し分ない。しっかりとしたエントランスの豪華さはやはり外国資本だけある。翌朝からのビュッフェの朝食も大満足な内容であった。

紹興酒の製造元、紹興を訪れる<2日目>

紹興酒工場 絵付け見学本日のプランは杭州を訪れるのなら是非にと思っていた紹興。ここは有名な紹興酒の製造元である。街には紹興酒工場が点々とあり、興味をそそる。私も母も大のお酒好きなので、とても楽しみにしていた。ただ、妊婦の身である私は現在飲めないので、出産後までお預けという事になるのだが。
お勧めの『蔓中皇』というメーカーの工場を訪れた。こちらで見せて頂いたのは何百と積まれている紹興酒の瓶。年代別に熟成させている。いい物は25年以上寝かせているという。見るからに古い、年季の入った瓶に入っているお酒はなんとも芳醇な香りがする。
瓶の絵付けも見せてもらった。中国らしく福神様や天女様が描かれている。色も原色を使用してカラフルで綺麗。せっかくなので、母と私はこの絵付けをされた瓶の紹興酒をそれぞれ、還暦祝い用、出産祝い用として購入した。
その日の昼食はこの地方の郷土料理である「淡水魚の蒸し煮」。淡白な白身がふっくらと美味であった。また、野菜も美味しく、ナスの甘辛煮もご飯に良くあってつい食べ過ぎてしまう。
紹興の町にも古きを残す地区があり、ゆったりとした当時の生活を見ることが出来る。訪れたのは『安昌』。生活に密着した水郷があり、いまだにそこで洗濯をしている。こんな色の川で果たして綺麗になっているのか、、、。人々の生活の流れはゆったりしており、ここだけ時間が止まったようだ。
夕方、杭州に戻り、昔の杭州の町並みが再現されている『清河坊』を案内してもらった。ここは昔の趣を感じるというより、テーマパークの様にショップが建ち並び、若者と観光客で賑わっていた。帰りに地元の大型スーパーに寄り、調味料、麺類を買い込んで夕食のレストランへ。白身魚のフリッターが美味しかった。ビールが飲めなかったのが残念。

大雨の中の移動 杭州より屯渓へ<3日目>

3日目、とうとう大雨になってしまった。本日の予定は簡単な市内観光(霊隠寺、飛来峰)のみで午後は屯渓まで約5時間の車移動となっていた。霊隠寺は杭州でもっとも有名な禅宗寺院で、大雨にも関わらず、中国の人達で混んでいた。
いくつもの御堂があり、中には大仏様や観音様、あらゆる神様像がまつられている。
しかし、階段が多い上、大雨なのと大変な混雑だった為、早々に引き上げることに、、、。
杭州近郊は龍井茶の有名な産地でもある。大雨の為、龍井村には行けないとのことで市内にある龍井茶販売店に連れて行かれた。ここで美味しい龍井茶と胡麻菓子を頂き、一休み。この大雨、飛来峰は止めた方がいいとの事。(何か今回はガイドにうまく言い込められている気がするが、、、)昼食に向かう。
レストランに来てみてびっくり!何と披露宴真っ最中ではないか!ここでは(本人達にか、他人達にか)おかまいなしに一緒のフロアーでレストラン営業している。(もちろん私達は隅に追いやられる、、、)
パンパカパーン〜パンパカパーン〜♪のお決まりの新郎新婦の入場と共に拍手が沸きあがり、披露宴開始される。周りにいる私達もつい拍手。続いて乾杯、余興と、とても賑やかな昼食となった。
さて、午後はこの大雨の中、日本語も英語もわからない運転手さんだけの車で、屯渓まで約5時間の道のり。妊婦で2歳の子を連れての身、少々不安ではあったが、途中山を分け入り、砂利道を通って大雨に打たれながら何とか移動を続けた。
娘はすっかり寝入り、母も私も話し疲れてやっと少し寝入ったところ、ようやく屯渓の町に入り始めた。夕方で雨のせいもあり、辺りは薄暗く、町は殺風景だったが、通りは広く、割と整備されている町であった。
ここ屯渓での宿は『ゴルフ飯店』。誰もどんなホテルかは知らず、まあいいホテルだろうという事で決めた宿だ。少々不安を抱きながら向かったが、着いてみると何と五つ星で、ホテルは立派な芝生のゴルフ場に隣接していた。私達には全く不要であったが。
夕食の後、屯渓より合流したガイドさんに黄山では運動靴をはかないとすべるかもしれないから危ないと言われ、持ち合わせのない母と私は靴屋で購入する事に。
まあ使い捨てと考え、デザインは気にせず、機能重視で 50 元(=¥ 750 )のシューズを買った。ついでに今日の大雨によってずぶ濡れになった娘の靴の変わりになりそうなサンダルも買う。
夜になって雨は小降りになったものの、明日の天気を祈らずにいられない。
世界遺産をめぐる<4日目>
朝起きてカーテンを開ける。晴れ。今日は世界文化遺産に指定されている安徽古民家郡と文化及び自然遺産に登録されている黄山を訪れる日。太陽に感謝感謝である。中国らしい花巻やら肉饅頭の朝食を摂った後、車で約 1 時間の安徽古民家郡の『宏村』にむかった。ここは明清時代に建てられた古民居郡で、目の前に現れた瞬間、その趣の素晴らしさに感激した。
石造りの塀に囲まれた家々が建ち並び、その間を入り組んだ水路をもつ路地が走る。所々の家で自分達の家を公開している。そこには美しく細かく彫られた窓枠や当時の調度品を見る事が出来た。
宏村 月沼村の中央には月沼と呼ばれる池があり、村人の生活用水として役立っていた。今はその周りで美術大学生達が写生に励んでいる。彼ら中国人の中でも継承すべき文化遺産なのであろう。
午後、もう一つの古民居郡である『西弟』へ。この村もいくらか観光地化しており、村の人も気軽に声をかけてくれる。
何とも見ごたえのある世界文化遺産であった。
さて、午後はいよいよ旅のメインとも言うべく黄山である。昼食にこれまたご飯の進んでしまう角煮と高菜煮、たけのこ炒め等をお腹一杯食べ、黄山温泉区を抜けて雲谷ロープウェイ乗り場へと向かった。このロープウェイは標高約1700mの始信峰と結ばれており、全長2804 m ある。私達は長蛇の列を避け、 VIP 通路(貴賓票を購入)から乗り場へ楽々向かった。ロープウェイは安全だとガイドさんは言っていたが、ここは中国、やはり怖い。かなり高い位置を通るので高所恐怖症の私は足がすくんでいたが、わが娘は窓から下を見て、「高いねぇ〜、お山だねぇ〜」と喜んでいた。感心する。
約10分後、始信峰に到着。一気に山頂の空気に変わり、ひんやりしている。かなりの靄に覆われており、山々は水墨画を思わせる風情だ。「とうとう黄山に来たんだ〜。」と実感させられずにはいられない。
水墨画のような黄山黄山の山頂はというと山登りの険しさは微塵もなく、かなりしっかり整備され、きれいな階段が廻らされている。ゴミ収集おじさんも沢山いて、ちょっとゴミが落ちているとすぐさま「ひょいっ」と拾って背中の籠に入れて行く。これにはかなり驚かされた。ホテルまでの道のりはどんなに大変なのだろうかと心配していたが、何てことはない。妊婦&子供がいても景色を堪能しながらゆっくり歩いて45分でホテルに到着してしまった。
本日の宿、『西海飯店』は4つ星で高級ホテルとなっている。入り口付近からの山々の眺めは素晴らしく、しばらく見入ってしまった。部屋は殺風景だが、山頂のホテルだから仕方ない。設備が揃っているだけありがたいものだ。
夕食は山頂とは思えぬ充実ぶりで、マーボー豆腐や酢豚等おかずの種類も多く、味付けも申し分なし。食後にラウンジでコーヒーを頂き、黄山の夜をゆったり過ごした。
黄山満喫<5日目>
広がる雲海翌朝、さすがにご来光を見には行けなかったが、日が昇り始めた5:00頃、ホテル外に出てみると、なんと見事な雲海が!山と山との間一面に広がる雲海。見る事が出来る確立は低いという。その様は間違いなく世界遺産だ。
朝食後、割とホテルから楽に行ける展望台へと案内してもらった。その排雲亭までは徒歩約20分の道のり。昨日の靄のかかった山々とはうって変わって、太陽の光を存分に浴びている山々の姿がそこにあった。黄山は中国でも有名な中国十大風景名勝の一つであるが、こんなにも簡単に地上から頂上へ来れ、雄大な景色が堪能出来るので、中国人の観光客も多い。実際日帰りで登るツアー客も多いという。
今回は子連れ&妊婦だった為に沢山の名勝には行けなかったが、それでも存分に世界遺産である黄山を満喫する事が出来た。2歳の娘も元気よく歩く事が出来、美味しい空気を吸い、楽しんだようだ。
名残惜しい気持ちを残しながら、再びロープウェイに乗り、下山した。
さて、午後再び屯渓の町へ戻り、老街と呼ばれる昔の商業街を訪れた。全長約1 km 強の通りの両側には文物商店が並んでいる。石畳の宋や明代の街並みは情緒たっぷり。この辺りはお茶も有名なのでお茶屋さんも多い。その中の一軒でお茶とお菓子を頂き、のんびり流れる時間の中で優雅な時を過ごし、巡ってきた世界遺産に思いを馳せたのであった。
上海 ドナルドおじさんと夕方、国内線を使って半年振りの上海に向かった。
上海は帰りに疲れを癒す為に宿泊したので、次の日はあまりハードな事はせず、新天地でゆったりお茶をして、美味しい夕食を食べて、早く寝て、日常に戻る事に備えた。
さすがに帰国日7日目は2歳の娘も疲れたらしく、ぐずり気味。でも大好きな飛行機に乗ると元気復活、、、。
杭州までの直行便がここまで便利である事は、お勧めせずにはいられない。
子連れの中国、2回目であったが、苦労することは一度もなく、かなり満足の行く旅であった。まだまだ広い中国、訪れたい土地は限りない。
能祖 文子
2004年5月

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