かりんもカンボジア行く 〜カンボジア・アンコール遺跡三世代家族旅行〜

かりんもカンボジア行く 〜カンボジア・アンコール遺跡三世代家族旅行〜

アンコール遺跡に家族(妻と子供二人-4才と2才の女の子)で行くことに決め、長野に住む妻の両親を誘ったところ、日程の都合も合って、ぜひ一緒に行きたいとの返事。3月26日からの5日間の三世代家族旅行を計画しました。
観光をどうするか、ホテルはどこに泊まるか、ああでもないこうでもないと話し合って日程を決め、カンボジアのビザも取って、出発までの日数を指折り数えるだけとなった5日前、下の子の2才の「かりん」がカゼをひいて熱を出してしまいました。もう大変です。子供は少しぐらい熱があっても薬が効いて楽になるとおとなしくしていません。
「カゼを治さんと、かりんだけカンボジアに行かれへんようになるでェ。」脅したりすかしたりして、ふとんに寝かせていたのですが、なかなか良くなりません。
3日前になって、冗談ではなく妻とかりんだけキャンセルして、ボクと妻の両親が上の子の4才の「くるみ」を連れ4人だけで行くことにするか、と検討することになってしまいました。ところがかりんはその気配を察知してか「かりんもカンボジア行く」とうわ言のようにとなえて寝ています。
出発前日になって、長野から両親がやってきてもまだ様子は思わしくありません。いよいよ真剣に、二人のキャンセルを検討しなくてはいけなくなってしまいました。医者に相談しても、「ウ〜ン、絶対ダメ、というわけではないが、、、、」という具合で、親は迷ってしまいます。でもかりんは「かりんもカンボジア行く」と強硬に主張しています。


結局、関西空港まで6人で行って、そこで全員で出発するか、ふたりはキャンセルして4人だけで行くか決めることにしました。荷物も妻とかりんの分だけ別に作って、止めた場合は持ち帰れるようにしました。
機中のかりん
さて、その当日の朝、となえ続けた「かりんもカンボジア行く」という呪文は見事に効いてかりんの熱は引き、関西空港で、じゃあみんなで行こう、ということになりました。「やったーァ!」かりんの喜ぶまいことか。 カンボジアのシェムリアップ空港に着くと、初春の大阪から一転して熱帯のムッと来る暑さに包まれ、かりんの熱はどこかへ行ってしまったようでした。
アンコール・トム遺跡の観世音菩薩像の前で2日目、いよいよ観光へ出発。最初はアンコール・トム遺跡の観光です。子供たちは南 大門に続く道の両側に並ぶ神々の像や、バイヨン寺院の大きくてたくさんな観音様の顔に驚くやら喜ぶやら。 上の子のくるみは、どうも汗が出にくく暑さがからだにこもる体質のようで、広い遺跡の中を歩いているうちに顔を真っ赤っかにして、だんだんへたって来ました。 でも、ひと休みして「象のテラス」に行くと、居並ぶ象のレリーフを見て「象さん!象さん!」と大喜びでした。
2日目の午後は「水中寺院」とも呼ばれる「クパルスピアン」遺跡の観光です。ここは山道を歩いて登って行かなければいけないので、子供たちは妻と一緒にホテルに残ってプールで遊んでいることにしました。宿泊している「ソフィテル・アンコール」には大きなプールがあり、その一部は子供用で浅くなっているのです。それでボクと両親だけで出発です。
遺跡の入り口にある駐車場で車を降りると、そばに建っているお店からおネエさんが何やら大きな声で呼びかけてきます。コーラなどの冷えた飲み物を売っているのです。見ると椰子の実のジュースもあります。ボクはタイやベトナムなどで何度も飲んだことがありますが、両親は経験がありません。椰子の実の外皮をナタで荒くそいだ中に突っ込んだストローを、初めはちょっと恐る恐る吸っていましたが、そのうち「これはおいしい」と好評でした。
さて、遺跡への山道を登りだしてみると思ったより険しく、おまけに暑いので、ちょっと大変です。両親は長野でふだんから山菜採りなどしていて山道には慣れているのですが、それでも見るからにしんどそう。若くて慣れているガイドさんは平気なようで、先へ先へと行こうとするのを引き止めて、休み休み登っていきました。
その甲斐あってたどり着いた遺跡は興味満点。細くて小さな川ではあるのですが、川底の岩盤に無数のリンガが彫ってあり、川岸の岩にもヒンドゥーの神様たちのレリーフが彫り込んであるのです。乾季で水が少ない(枯れている、と言う方が近い)のが残念でしたが、水がたくさん流れている時期だったら、さぞ神秘的であったろうと思います。
ホテルに帰ると、くるみとかりんは満足げに迎えてくれました。プールでさんざん楽しんだようです。
その夜、バスタブにバス・フォームを入れて泡をいっぱいたてたお風呂に子供たちを入れました。くるみとかりんにとってこの「アワアワのお風呂」は、どこに行ってもホテルに泊まったときの最大の喜びです。ワーワーキャーキャーすごい興奮状態。いつまでも上がろうとはしませんでした。
3 日目は朝、暗いうちから出発してアンコール・ワットでご来光を拝む予定です。くるみとかりんは、まだ半分まぶたが閉じているような状態で連れ出しました。遺跡に着いてもあたりはまだ真っ暗。だんだん明るくなってくると観光客はどんどん増えて来て、子供たちはというと、すっかり目が覚め、日の出なんてそっちのけで庭に降りて走り回っています。
アンコール・ワットの日の出 日の出を迎えると、少し曇りがちでちょっとお日様がかすんでいましたが、しっかり塔の間から昇る朝日を見ることができました。
朝食後はシェムリアップ市内から40kmほど離れたバンテアイ・スレイ遺跡の観光へくるみとかりんも一緒に全員で出発です。でも早朝の日の出観光に付き合った子供たちは、走り出すとじきに寝入ってしまいました。駐車場に停めた車の中でお休みです。
このバンテアイ・スレイ遺跡は「東洋のモナリザ」と呼ばれる微かな笑みをたたえた女神像で有名ですが、アンコールの遺跡群の他のどの遺跡にも見られないような、とっても細密なたくさんのレリーフがみごとで、前日はクパルスピアンに行けなかった妻もじっくり見学して大満足。ボクも期待以上にすばらしい技を見ることができて、ああよかった、です。
帰りの道で、豚を生きたまま1頭ずつ竹で編んだ細長いかごにいれ、それを2頭バイクの荷台にくくりつけたバイクが2台、私たちの車を追い抜いていきました。大阪では到底お目にかかれない光景です。「ぶたさんや、ぶたさんや。」子供たちは大喜び。でも、窮屈そうに顔をゆがめる豚を見て、その行く末を思い、心の中で合掌。
午後はボクと両親の3人だけでタプローム、プリア・カン、東メボンの遺跡群を回ったあと、プノンバケン遺跡で夕陽を見る観光に出ました。子供たちは午後は妻とホテルに残り、またプール遊びです。あとで聞くと、ホテル内にある「アンコール・スパ」に行って女性エステシャンたちにお菓子をもらったり、猫かわいがりしてもらったとのこと。ボクがマッサージを受けに行くと、スパの従業員の女の子に子供たちはいっしょに来ないのか、また連れて来い、と何度も言われました。シェムリアップに来て以来、子供たちはホテルやレストランの従業員などのカンボジア人に大受けで、すごくかわいがってもらっています。どうもカンボジア人たちは子供が大好きなようです。
4日目はいよいよハイライトのアンコール・ワットの観光です。ここはもちろんくるみとかりんも含めて全員で行く予定にしていました。ところが、病み上がりでやってきたかりんが、さすがに疲れが出たのか微熱を出し、妻とホテルに残ることになりました。妻は残念なことこの上ありません。
アンコール・ワットの第一回廊 ボクと両親とくるみの4人で遺跡に入っていき、第一回廊の長大なレリーフの見学を始めると、くるみはもう飽きて、回廊に並ぶ柱を使ってかくれんぼを始めました。このすばらしい、世界でも最高レベルの遺跡を前にしても、4才の子供には大きな遊び場にすぎないわけです。大人3人は交代でくるみの遊び相手をしていました。
というわけで、アンコール・ワットの見学はボクにとっては時間不足で、まだまだゆっくり見たい部分をいっぱい残してしまいました。肝心のアンコール・ワットを見られなかった妻ともども、もう一度シェムリアップに行こうと決意しています。
小沢 誠
2004年3月

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