今回冬のスイスをテーマとしたスイス政府観光局主催の研修ツアーに参加させていただいた。スイスの観光シーズンといえば、やはり夏の時期がメインであるため、正直冬のスイスが想像できなかった。私にとって初めてのスイス、やはりスイスはすばらしく美しかった。その風景が人々を魅了するのが非常によくわかる。また、ほかのヨーロッパと比べて街が綺麗でどこか穏やかな印象を受けた。
成田からドイツ、ミュンヘンに到着。日本から直行で12時間。ミュンヘンにて1泊後、チューリッヒ経由にてルツェルンへ向かう。ミュンヘン中央駅は綺麗であり、ホームもわかりやすく、初めてでも難しいことはない。ただ、乗車時に駅員によるチェックはないので、間違った電車に乗ったら大変である。駅、車中には列車の案内書が無料配布されている。駅・車内サービス、途中駅の到着時間および乗り継ぎ列車の案内が書かれている。これは、スイスでも同じで、大変便利あるので、乗車前に駅で手にいれることを薦める。
今回まずEC196にてミュンヘン8:12発の列車に乗車。1等は6人コンパートメント、2等は2席の並びである。雪景色の中、わずか4時間半後、 12:27にはチューリッヒに到着。今回はドイツに1泊のみであったが、是非ドイツを巡りスイスに入るといった周遊旅行も行きたいものである。国、風景、文化、歴史などの違いを感じられ面白いであろう。
チューリヒからスイスでの1日目の滞在先ルツェルンまではわずか1時間である。
ルツェルン
文化的中心地であり、スイスで4番目に大きな都市であるルツェルンは、丘陵と湖に囲まれた美しい風景で、高級なリゾート地として知られている。
しかし、今回の訪問時期は、カーニバルの真最中であった。このときばかりは、普段はおとなしい真面目なルツェルンの人達もお酒を飲み、騒ぎ、踊り、陽気になる。生きる事への喜びを表す賑やかなお祭りである。それぞれのテーマで動物、妖怪や宇宙人、騎士など様々な衣装や仮面をまとい通りを踊り歩く。映画ラストサムライから、侍もどきに扮する人たちも見かけた。村やグループで、チームをつくり同じテーマの衣装に着飾り、管楽器とドラムで至る所で演奏会を行っている。最後にはパレードで街を練り歩く。灰の水曜日からレント(四旬祭)がはじまる前日の火曜日の朝4時半までつづく。今回はその最終日にルツェルンを訪れることが出来た。正直全くどんなお祭りであるか、知らなかったが、思いもよらず楽しめた。素人であるので決して上手とは言えない演奏ではあるが、その雰囲気に心が躍らされ、一緒に踊りたくなる。すごく寒いはずが、楽しさで寒さも忘れさせられた。
交通博物館
ヨーロッパ最大規模の交通博物館である。乗り物ファンにはたまらないであろう。年代のもの鉄道から、飛行機、熱気球、船さまざまな展示物、ゆっくりまわったら半日以上かかるだろう。
カペル橋
山をバックに橋が架かり、夕日に照らされた景色はなんとも美しく絵になる。14世紀前半に建設された屋根つき木造橋。非常に残念なことに観光客のタバコの不始末によって1993年に火災で半焼失した。(翌年に修復。)通常は宗教的な絵が橋にかかっているが、今はカーニバルの真っ最中のため若いアーティストがかいた色鮮やかな絵が橋を飾っていた。
ティトリス
ルツェルンより列車で1時間、谷あいの里エンゲルベルクENGELBERGに到着。そこから車にて5分(歩いて15分)ティトリス山の麓へ。スキーヤーやボーダーで賑わっている中、着られるだけの服を着込み、体中にホッカイロを貼って、雪山に挑む。6人乗りのゴンドラで1800メートルの地点まで上り、次のケーブルに乗り換える。最後は、回転式空中ケーブルでパノラマが広がる景色を眺めながら標高3028メートルの地点へ。そこは当然氷点下の世界だ。空気が澄み切り、幸い天候にも恵まれ、見渡す限り山々が広がっていた。美しかった。私は凍えながらも雪山を眺めながらマイナス15度の気温の中アイスを食べた。山頂は万年雪や氷河で覆われているため、一年中スノーアクティビティーが楽しめる。ハイキングやサイクリング、アクティビティーの道具も貸し出しているため、夏にこそ様々な点で楽しめる山である。ルツェルンからの交通の便もよいので、是非足を延ばして訪れ、スイスの山を体験していただきたい。
ルツェルンにほかにも湖を周遊する観光航路と登山列車を利用して、世界でももっとも急な歯車式登山列車が走るピラトゥス、山の女王と呼ばれる中央スイスの景観地点として有名なリギ山、自然に囲まれたリゾート地ビュルゲンシュトック、スタンサーホルンなどを訪れることが出来、スイスを満喫できるだろう。
ルツェルン〜(インターラケン)〜モントルー
ゴールデンパスラインは、すばらしいパノラマの中を走り行く豪華列車である。古都ルツェルンから湖畔の街モントルーまでを結んでいる。雄大なアルプス、輝く湖畔、牧草地、」ブドウ畑を走りぬけるルート。景色が楽しめるようトンネルは少なく、歯車を使い、山を登って行き、スイッチバックをし、山間を走る。1等の座席は一部列車ではソファーになっており、窓が広くゆったりくつろぎながら風景を楽しめる。今回は時間がなくモントルーまで一気に抜けたが、時間の許す限り、途中下車をしながら楽しみたいものである。来年の5月にはクラッシクスタイルの豪華列車が走る予定である。
また、夏期間のみ運行する観光列車チョコレートとレインもモントルーから出ている。クラシックな列車に乗ってチーズ工場、古城、チョコレート工場をめぐる列車は人気列車である。スイスには様々な観光列車が走っているので、是非色々組み合わせて、その風景や地域を存分に楽しんでみたいものである。
ローザンヌ
レマン湖北側中央に位置するローザンヌは、4時間でパリにも接続おり、ジュネーブからも列車で約1時間ほどである。旧市街には大聖堂がそびえ建ち、今でも夜10時から深夜2時まで1時間ごとに夜警が声で時を告げる。すごく楽しみにしていたが、今回は時間が合わず残念ながら聞くことができなかった。是非聞いてみたいものであった。
オリンピックミュージアム
世界で唯一オリンピックに関する博物館である。かつての英雄選手の道具やユニフォーム、オリンピックの歴史など、オリンピックに関するものの膨大な展示および資料が保管されている。IOC(オリンピック委員会)の本拠地もここローザンヌであり、今年はさぞかし忙しいのでないだろうか。
GALICIER3000
ローザンヌから車にて1時間ほど、列車ではレディアブルレ駅まで行き、そこからバスが出ている。標高3000メートル、確かな気温はわからなったがやはり寒い。凍えた。地元の人がスノーボードで滑る中、スノーシューは正直きつかった。天気は悪くはなかったが、あいにく雲があり、山を眺めることはできなかった。天気がよければ、モンブランをはじめ素晴らしい景色であろう。ここも、夏には様々なアクティビティーが可能である。
シヨン城
スイスを代表するこの名城は、レマン湖畔に建ち、そのたたずまいは非常に美しい。多くの詩人や画家を魅了させるのも頷ける。かつて貯蔵室が14世紀には牢獄として使われていたことがあったというのは外見からは想像しがたい。
ジュネーヴ
ジュネーヴにはなんと世界の182カ国の人が暮らしているという。国連機関の本部も集結し、まさに国際都市である。郊外にはワイン畑が広がり、今回1件のワイン農家にてワインテースティングをさせて頂いた。スイスワインはフルーティーで非常に飲みやすく美味しい。高品質を保つため国・地方で生産量を制限しているので、スイスワインはあまり海外に輸出されていない。スイスを訪れた際には是非スイスワインを味わっていただきたい。湖沿いの街に滞在し、ジュネーヴへ散策に訪れるのも良いでしょう。
今回のスイス旅行では、スイスパスを利用し鉄道で移動した。スイスパスは船やバスなどの交通機関でも利用できるため旅行者には非常に便利なアイテムである。
はじめての旅行者にも駅の案内は非常にわかりやすく、駅・および列車設備の良さ、快適さ、そして、なんと言ってもその景色のすばらしさを考えると、これほどまでに列車の旅が楽しめる国はそうないだろうと思われる。通常ツアーでは2等にてご用意するが、1等にすれば座席もゆったりしているので、ランクアップをお薦めしたい。
今回訪れた地域は、スイス旅行の定番エリアではないかもしれない。しかし、大変美しく興味深い地域であるので是非訪れていただき、そのすばらしさを実感していただきたい。スイスの魅力は一言では言い表せられないが、童話の中の風景が広がっている、誰しもがいつの日か、のんびりと暮らしてみたいと思ってしまうような国である。是非、多くのお客様に訪れていただきたい。
浅野 美樹
2004年2・3月