ヨーロッパ鉄ちゃん旅行~フランス・ベルギー・オランダ・ドイツ~

ヨーロッパ鉄ちゃん旅行~フランス・ベルギー・オランダ・ドイツ~

おことわり
まず、タイトルにある通り、この文章は鉄ちゃん(鉄道マニア)石井の書いた、鉄道に乗っている部分の描写が大半の文章である。せっかくヨーロッパに行ったのだから、パリのなになにはどうこう、アムステルダムのなになにはこれこれ、という旅の印象を書けばよいのだろうが、そこは鉄ちゃん石井の鉄ちゃんたるところ、そんな描写はさしみのつま程度、いや、それ以下しか出てこない文章である。
専門用語は出来るだけ少なく書いたつもりではあるが、ほとんどがどこからどこまでなになにに乗って、車内がどんな感じで、などという話ばかりになってしまっている。もしもよろしければ最後までおつきあいいただき、感想などを送っていただければ幸いである。


1.パリ→ブリュセル タリス1等車
12月16日、パリのホテルを出て、メトロの2号線でパリ北駅に向かう。途中で3人組のすりに襲われた。誰が教えたのだろうか?日本人は靴下の中にお金を入れていると思っているらしくつかみ棒にズボンを巻きつけ、私を動けないようにして靴下と靴の中をまさぐり、何も無いと分かると次の駅で下車していった。パリのメトロは駅間距離が短く1分もしないうちに次の駅に着くので難を逃れたが、もしも駅間距離の長いRER(高速地下鉄)で襲われていたら、とぞっとした。パリの治安の悪さ、特にメトロの中での治安の悪さは良く聞いていたので、財布もパスポートも胸のポケットに入れボタンをかけ、その上からセーターを着て、さらに前の空かないフリースを着て、ちょっとやそっとでは物が取れないようにしておいたので無事だったがパリ3日目にしてこんな強引なすりに会うとは思いもしなかった。
メトロ2号線は北駅に着いた。パリに着いた日、RERでシャルルドゴール空港からここで乗り換えてホテルに行ったので大体の感じは分かっていたのだが、その時よりももっと大きく感じられる。メトロが2本、RERが2本乗り入れており、フランス国鉄の北駅もまた大きい。上野駅の地平ホームのような頭端式のホームが22,3番線までずらーと並んでいる。1番線から6番線までがロンドンウォータールー駅行きのユーロスターのホーム。ここは金網で囲まれており、乗り場は別だ。飛行機に乗るときのような手続きがいるらしいので、ユーロスターに乗る場合は出発の30分前までには駅に着いているようにしたいものだ。
タリス7番線から10番線くらいまでがタリスのホーム。タリスはユーロスターのようにホームが金網で囲われているわけではなく、列車がついたら車掌さんに切符を見せてそのまま乗車するので、出発の5分前、最悪30秒前でも乗車する事が出来そうだ。だからといって出発時間ギリギリに行く事はお勧めできないが。
それ以外のホームにはちょうど通勤時間帯と言うこともあり、2階建ての近郊型電車、近郊型客車がひっきりなしに発着する。日本と違って客車列車が多い。ユーロスター客車に運転台が付いていて、機関車を付け替えないで推進運転で走行している。これがヨーロッパに客車列車が多い理由なのだろうか?日本だと推進運転はスピードの制限があってこうは行かないはずなのだが、国が違えば流儀も異なるのだな、と思った。子供の頃に絵本で見たゲンコツ電機も来る。もうかれこれ40 年選手だが、まだまだ現役で使用している。ちょっと感激
出発まで時間があったので窓口に行き、ユーレイルパスのバリテーション(日付を入れる事)をしてもらい、18日に乗る予定のアムステルダムからミュンヘンまでの夜行列車の寝台券をお願いしてみた。窓口のおねえさん曰く、ここでは予約が出来ないのでアムステルダムで買ってくれとの事。それではしかたがない。アムステルダムについてから寝台券を買いましょう。
タリス9321号パリ北駅09:55発に乗る予定なのだが、折り返しのタリスが10分ほど遅れて到着するので出発も遅れますとアナウンスが流れる。子供の頃からヨーロッパの鉄道は案内が少ないので気をつけろ、列車が突然発車して置いてきぼりをくったり、到着の放送もないから降りる駅をまちがえないように注意しろ、と言われてきたが、思ったよりまめにアナウンスがある。ここ何年かで変わったのかしら?
約10分遅れてタリス号が到着、車内整備をしてすぐに発車だ。今回はユーレールパスの一等を持っているのでタリスも一等の指定席を用意した。13号車。車内は片側一列と二列のシートで日本の新幹線のグリーン車よりもゆったりしている。標準軌なのに車体断面はJRと変わらないような気がした。乗車する時にチケットのチェックを受け、荷物置き場にスーツケースを置き、指定された席に座る。残念な事に席は後ろ向きである。新幹線のように進行方向に席が向くわけではない。
北駅から約10分間は在来線を走る。RERと並走し、2階建て通勤列車と頻繁にすれ違う。進行方向左手に車両基地が広がり、2階建て通勤客車や2階建て通勤電車が沢山並んでいるところをすぎるあたりからだんだんスピードがあがってきた。
気がつくと広い農地の中を走っている。いつのまにかパリの通勤圏を抜けてしまい、タリス及びユーロスターの専用線に入ったらしい。日本の新幹線と異なり、都市と田園との違いがはっきりしている。農地の広さを見てフランスがヨーロッパ一の農業国であるという事を知ることが出来た。回りが開けているからか、あまりスピード感がない。しかし横を走る高速道路の車と比べるとかなり早いことがわかる。
何時国境を越えたのだろうか?全然わからなかったがいつのまにかベルギーに入る。列車は遅れを取り戻し、ほぼ定刻にブリュッセルMIDI駅に到着した。なんとなくMIDI駅は中央駅と思っていたが、実は南駅という意味だった。そこからガイドブックを頼りに地下鉄1号線に乗り、ロジェ広場のそばのホテルに向かう。地下鉄1号線とはいうが、実は地上を走るいろいろなトラムが乗り入れているので、いわゆる地下鉄1号線という電車があるわけではない。たまたま乗ったトラムがロジェ広場まで行ったから良かったが、初めての方が南駅からロジェ広場あたりに行く場合は遠回りでも地下鉄2号線を利用した方が良いと思われる。
2.ブリュッセル→ブルージュ→ブリュッセル ベルギー国鉄 インターシティ
ベルギー国鉄の車掌さんロジェ広場駅で地下を走るトラムを降り、ホテルに向かう。ホテルはすぐに見つかりチェックインの手続きをする。その間にブルージュまでの列車の時間を尋ねると、すぐに出発時間の書いてある紙をプリントアウトしてくれた。なんと20分後にブリュッセル北駅を発車する列車があるではないか!慌てて部屋に荷物を置いて、小走りにブリュッセル北駅に向かう。
ホテルから小走りに約10分。ブリュッセル北駅に着いた。日本と同じように列車時刻表示板があり、12:28発のインターシティは9番線から発車との表示が出ている。ホームの案内に1等車はだいたいこのあたりに停車するというのが書いてあるので、1等車が止まるところで列車の到着を待つ。ベルギー国鉄の 1等車は片側一列もう片側は2列のゆったりしたシートで、私の乗った車両は、ヨーロッパに良くあると聞いていたコンパートメント式ではなく開放式の車両だった。
インターシティ(以下ICと略す)は日本で言えばJRの特急のようなものだが、ブリュッセルには北から順に北駅・中央駅・南駅と大きな駅が並んでいるので、3つの駅に停車しながらお客さんを乗せていく。中央駅は地下駅だ。北駅から南駅までは3複線のようで、私の乗っている列車のむこう側にもローカル列車が併走している。
南駅を発車し、パリ方向に向かって走る。10分くらい走った後パリ方面の路線から分かれていく。ベルギーもフランスと同じように農業国らしく畑が多い。パリ方面に行く路線とわかれた後は畑だらけ。日本の様に鉄道線路に沿って家が立ち並ぶと言う事はあまりないようだ。西武池袋線に乗って池袋を出て10分もしないうちに飯能の回りの景色になってしまう、とでもいったらわかりやすいだろうか?(ぜんぜんわかりやすくない説明)
ブルージュまでの間に大きい町はゲントと言う町しかない。インターシティはゲントまで止まらないが、ブリュッセルからゲントまでは畑ばかり。時々農家があり、用水路があって用水路沿いにケヤキのような落葉樹の並木、というような景色が続く。
左側に大きな工場が現れ、家が増えてきたなと思ったらゲント着。ゲントはブルージュのライバルとして歴史に登場していた由緒ある町とガイドブックに書いてあり、交易ギルドが活躍した頃のギルドハウスがあったりする、中世の面影を色濃く残している町らしい。ほとんどの乗客はここで降りてしまい、1等車は私ともう一人になってしまった。
ゲントを出ても景色はそう変わらない。ちょっと家が増えてくるとローカル列車用の小さな駅を通過し、また畑の中を走り、ちょっと家が増えてきたらまた小さな駅を通過するという景色を繰り返しながらブルージュ着。さすがにこのあたりの中心の町なので構内は広い。4面8線の大きな駅だ。ベネルクス3国の鉄道貨物輸送はあまり盛んではないのだろうか?もしくはブルージュにめだった産業がなかったからなのだろうか?貨物用のホームは無かったようだ。もしかしたら全く別なところに貨物専用駅があるのかもしれないが。
ブルージュは運河と中世の町並で有名な街。寒い中街を観光して駅に戻るとタイミング良くICが来る。がらがらの1等車に乗りこむと車内販売がやってきた。ビールを買って飲みながら景色を眺めること約一時間。ブリュッセル南駅に着くと沢山の人が乗車して満席になってしまった。
北駅で降りたところインターナショナルチケット売り場があったので、12月18日のアムステルダム→ミュンヘンの寝台券を買ってみようと思い、寄ってみる。順番が来て調べてもらったら座席も2等クシェット(簡易寝台)も2等寝台も一杯で、予約出来るのは156ユーロの2人部屋のみとの事。そんなの買える訳無いのでそのまますごすごと引き返した。どうしましょう。ここの夜行列車の予約が取れないと、その後の予定ががたがたになってしまう。まあしょうがないのでアムステルダムに到着してから考えることにしようとホテルに向かう。ホテルでちょっと休んでからブリュッセルの中心グランプラスまでぶらぶら散歩し、途中でハンバーガーを買ってきてホテルで食べて就寝。
3.ブリュッセル→アムステルダム タリス1等車
アムステルダム中央駅のタリス12月17日、アムステルダム行きのタリスはブリュッセル南駅を11:25に出発する。ホテルをチェックアウトするときに北駅は停まるかと確認したところ、停まらないことが分かった。スーツケースを引きずり、メトロのロジェ駅に向かう。時間がないので1号線には乗らずに乗り間違いのない2号線で南駅へ向かう。まさに急がば回れといったところ。
南駅にもインターナショナルチケット売り場があったので、あきらめずに12月18日のアムステルダム→ミュンヘンの寝台券に再度トライする。順番が来て調べてもらったら難なく2等クシェット(簡易寝台)のチケットが買えてしまった。しかも23ユーロ。びっくりした。キャンセルでも出たのだろうか?とりあえず心配の種が無くなった。
これから乗るタリスは、実はパリから乗ってきたものと同じ列車だ。1等車に乗りこむとビジネスマンで結構混んでいる。指定席だから座れないことは無いがこんなに混雑しているとは。飛行機よりも列車の方が便利なのかもしれない。
先ほどクシェットの券が取れてしまったので気分が良くなり、ビュッフェに行ってビールで祝杯。オランダに近くなったから、というわけではないがハイネケンを飲みながら景色を眺める。雰囲気が東北本線の宇都宮から先みたいなイメージ。すれ違う貨物列車の本数も多い。このあたりはタリス用に専用の線路を建設したのではなく、在来線を走るのでスピードも遅い。120kmくらいのスピードで走行する。
席にもどって少したつと機内食のような食事が配られる。飲み物もサービスで、赤ワインがあったので飲んでしまった。昼間の酒は良く効くなあ。眠くなっちゃったので1等車の広いシートでちょっくらお昼寝タイム。
気付いたらすれちがう電車があずき色のベルギーの電車から黄色に青線の入ったオランダ国鉄の電車に変わっている。有名なドックノーズも走っている。
スキポール空港駅を過ぎ、20分位でアムステルダム中央駅に到着した。大きなドームの中に駅がある。ヨーロッパの駅には珍しく頭端式のホームではなく、東京駅のような通過型の駅だ。ドックノーズの4両編成が隣のホームに止まっていたので発車するまで見ていると、古い車両だからもしかしたらとは思っていたのだが、やっぱり釣り掛けだった。うおー懐かしいうなりだねえ。ちょっとうれしくなってしまった。あんまり駅で鉄ちゃんしていてもしょうがないのでホテルへ向かう。駅から徒歩5分のホテルにチェックインし、アムステルダムの町をぶらついた。
夜、翌日乗る予定のCNLをチェックしに中央駅に行く。5番線ホームに青い車体を連ねてCNLが入線。食堂者のみDB(ドイツ国鉄)カラー。カマ(機関車)はよく確認しなかったが赤い色のDBのカマだったようだ。
EL+ハフ+ハ+ハネ+ハネ+シ+ロネ+ロネ+ハフ+ハ+ハネ+ハネ+ロネ+EL
←アムステルダム ミュンヘン→
アムステルダム方から7両がミュンヘン行き、ミュンヘン方から5両はチューリッヒ行き。
アムステルダム方に着いていたEL(電気機関車)は入線時のみ。
4.オランダ国鉄 近郊電車+インターシティ アムステルダム近郊
12月18日、午前中はアンネフランクの家などを見た後、ガイドブックに乗っていたザーンセ・スカンスに行く事にする。電車で15分位との事なのだが乗り場がよくわからない。アムステルダム中央駅の時刻表と格闘すること約10分、ようやく読み方を理解したときにはすでに電車は出発してしまっていた。でも心配ご無用、時刻表を見ると15分に一本は走っている。次の電車が来るのを待ってザーンセ・スカンスの最寄駅コーフ・ザーンディクへ。ヨーロッパの電車はこんな近郊区間を走るものでもかならず1等車が着いているのがびっくり。近郊型電車はだいたい3両ユニットで、中間車両に1/3車の1等車がついている。 3ユニットだと3箇所に1等車がついている!なんて贅沢なんでしょう。
ヨーロッパの鉄道は、通勤時間帯でも席に座れない人がたくさんいる日本のような状況にはあまりならないようで、常にけっこう余裕がある印象をうけた。
いつも座って通勤出来るなんて。毎朝小手指発07:通勤快速急行にすしづめになっている自分とは大違いである。
コーフ・ザーンティクから約15分歩いてザーンセ・スカンスへ。風車が残る村を約一時間ぶらぶらした。突然海が見たくなった。北海のそば、デン・ハーグまでICに乗ってみる。オランダのICは2階建て、1等の2階は大変景色が良い。現代の風車、風力発電所がたくさんあるのが見える。
途中から単線になった。約一時間でデン・ハーグに到着。一面2線の頭端式ホームと貨物用の側線があるが、貨物営業はすでにしていないようだ。駅舎は小さく、中にはセルフサービスのレストランと花屋があるのみ。道路をはさんでショッピングセンターがあり、そこを通り抜けて約10分歩くとはるか遠くに大きな堤防が見えてくる。見えてから10分歩いて堤防に着いた。堤防を昇ると目の前には北海。波は穏やかだ。夏になったらたくさんの人手にぎわうのだろう。沖合いには島が見える。
駅に戻ってアムステルダムまでICの1等車2階席で過ごす。運河をトンネルでくぐったり、住宅地の中に突然風車があったり、日本とは異なる車窓を楽しんだ。
5.シティナイトライン アムステルダム→ミュンヘン
シティナイトトレイン(アムステルダム)駅そばのカバブ屋でカバブバーガーとビールの夕食を取り、ホテルに行って預けた荷物を受け取って中央駅に向かう。昨日確認したCNLが入線すると同時に乗り込む。6人乗りクシェットは寝台幅約70cm3段式。ちょうど日本の14系寝台車と良く似た感じ(といっても私が乗ったことあるのは旧型客車スハネ 16と20系のみなのでよく分からないのだが)下段の下にはスーツケースなどの荷物を入れる場所がある。同室の乗客はスリランカ人の夫婦、明日の朝早くにデュッセルドルフで降りるそうだ。初めてドイツに来たドイツ系アメリカ人、この人は私と同じくミュンヘンまで行く。車掌がパスポートとチケットのチェックに来た。背の小さい可愛い感じのドイツ人女性だ。各人の行き先を確認し、到着30分前に起こしに来ますとの事。
6人のコンパートメントなのに4名とはラッキーと思いながら駅で買ったビールを飲むうちに発車。しばらくたつと国籍不詳の英語が母語の若い女性が大荷物を持って入ってきた。始発の時いなかったのは寝台番号の案内が違っていたらしく、2両くらい先から大荷物を抱えて移動してきたとの事。案内が悪い事、文句たらたらである。そのお姉さんはひとしきり文句を言った後、お腹がすいたので食堂車に行くと言って出て行ってしまった。皆で顔を見合わせて苦笑い。
少したつとスリランカ人夫婦も食堂車に行ってしまった。その間にアメリカ人がベッドを作ろうというので、中段を引き出し、シーツを引いて寝床を整える。ビールの心地よい酔いで横になるとすぐに眠りに落ちた。
12月19日の早朝、デュッセルドルフ到着30分前にちゃんと車掌が起こしに来る。この車掌一人で1車両を受け持っているようだ。するとこの列車は12 両編成だから少なくとも12人の車掌が常務しているのだろう。日本だと乗務員を減らす方向になっているのだが、逆の発想だなあ、と感心した。
デュッセルドルフは朝早かったので又寝する。06:30にまた車掌が起こしにきて今度は正式に起きる。ついでに寝台もたたんでしまう。英語のお姉さんはミュンヘンからどこかに乗り換えるらしく、その乗り継ぎ時間が10分しかないとイライラしている。
外はうっすらと雪景色である。列車は若干遅れているようだ。お姉さんがまたぶつぶつ文句を言い始めたので皆で協力して彼女の荷物を取り出し、到着と同時に走れる体制にしてあげた。
列車がミュンヘン中央駅に着いた。お姉さんはダッシュで走っていく。乗れたのだろうか?私はドイツ系アメリカ人と一緒にホームをゆっくり歩いてとりあえずインフォメーションに行った。ミュンヘンで下車する彼とわかれてとりあえずライゼゲベックが出来ないかと窓口を探す事にした。荷物預かり所も見てみたが、どうしてもライゼゲベックの窓口が見つからない。それならばとりあえず今日宿泊予定のニュルンベルグまでいってしまおうと思い、駅の時刻表を確認した。
6.ミュンヘン→ニュルンベルク ICE
今度のニュルンベルグ行きのICEは07:47発。乗り込むとすぐに発車。時間があまりなかったので一番後ろの2等車に乗ってしまった。1等車までかなりの距離を荷物を引きずりながら歩く。話には聞いていたがICEの乗客はビジネスマンだらけ。そういえばタリスの1等車もビジネスマンが目立ったっけ。
ICEの良いところはビュッフェがあること。朝食を取っていなかったのでビュッフェに行き、サンドウィッチを食べる。外は雪景色。木々にも雪がついて真っ白である。昨日乗ったCNLにもスキー板を持った人がたくさんいた事を思い出した。クリスマス休暇をスキー場で過ごすのだろう。
そんなことを考えながらサンドウィッチを食べていると中国人のビジネスマンに話し掛けられる。私はどこに行っても中国人と間違えられるが、それにもまして中国人の世界進出の激しい事、皿洗いなどの単純労働から世界の工場、世界一の購買市場を背負ってたつ貿易業務に従事している人まで、中国人のいない場所はないと行っても過言ではあるまい。
うっすらと雪が積もった大地を走ってニュルンベルク着。ここのホテルは駅前なので大変便利、なおかつ午前中なのに部屋が空いていたのだろう、そのままチェックインさせてもらった。顔洗って歯を磨いて髭剃って、さっぱりしてローテンブルクに向かう事にする。
7.ニュルンベルク→ローテンブルク→ニュルンベルク ローカル列車
ドイツ国鉄の電気機関車ニュルンベルクの駅のインフォメーションで、ローテンブルクまでの行き方を尋ねると、どこの駅でどの列車に乗り換えたらよいという時刻表をプリントアウトした紙をくれる。これを見るとどこでどの列車に乗り換える、ホームは何番線から何番線に乗り換えという事が全て書いてある。これは大変便利だ。
それを参照すると、まずアンスバッハまで準急で行き、乗り換えてシュタインナッハまで行き、更に乗り換えてローテンブルクまで行く。アンスバッハ行きは電気機関車に引かれた7両編成。半室の1等車があるのでそこに乗車する。約40分かかってアンスバッハ着、ここで普通列車に乗り換える。車両は同じように電気機関車に引かれた4両編成、やはり半室の1等車があるのでそこに乗車する。シュタインナッハに着くと今度は隣のホームに2両編成のディーゼルカーが停車している。これがローテンブルク行きの列車だ。学生の団体でほぼ満席。ヨーロッパの列車で満席だったのはこの列車だけだった。
ローテンブルク駅から街中までは約10分。街をぶらついて駅に戻るとちょうど列車が出たばかりで次の列車まで1時間空いている。近くの大きなスーパーに行ってビールとチーズを買ったり、ローテンブルク駅の貨物列車の入れ替えをみていたりするうちに一時間は過ぎてしまった。先ほど乗ったものと全く同じディーゼルカーに乗車し、来た時と同じようにシュタインナッハ、アンスバッハで乗り換えてニュルンベルクへ向かった。ニュルンベルクはクリスマス市で有名な場所なので、夜はクリスマス市にいってみる。ちょうどクリスマス前最後の金曜日なので、クリスマスプレゼントを買う親子連れやカップルなどで大賑わいだった。
8.ニュルンベルグ→フランクフルト→ハイデルベルク→コブレンツ→フランクフルト
ドイツ国鉄ICEとIC乗りまくり

12月20日、ニュルンベルク08:33発のICEでフランクフルトに向かう。夜、フランクフルトからミュンヘンまでの夜行列車に乗るので、まず荷物をフランクフルトのコインロッカーに預ける為に一度フランクフルトに寄り、それからハイデルベルクに行く事にする。列車の発車時間まで間が無く、また荷物も多かったのでとりあえず手近なドアから飛び乗ってしまい、2等車なのだがとても快適だ。大体140km/h位のスピードで走っていく。この列車はフランクフルトまで行くと思って飛び乗ってしまったが、時刻表をよく見るとフランクフルト南駅を停車した後、フランクフルト空港駅に行ってしまうので、フランクフルト中央駅には行かない事が分かった。フランクフルト南駅で一度下車し、10分後に来た普通列車でフランクフルト中央駅まで行く。このような普通列車でもちゃんと1等車が連結されているのは感激。
フランクフルト中央駅のコインロッカーに荷物を預け、11:38発のICでハイデルベルクへ。ICは電気機関車が牽引する客車列車で、1等車が初のコンパートメント式だった。6人一室のコンパートメントを一人で占領してハイデルベルクへ。ハイデルベルクの町の中心までは少し距離があるのでトラムに乗車し街を散策。約一時間町を散策し、駅に戻って駅の中にある食堂で食事をする。その後ハイデルベルクからマインツ乗換えでコブレンツに向かう。マインツ~コブレンツ間はライン川に沿って走る風光明媚な路線だ。冬のヨーロッパは日が暮れるのが早いので景色が見れる時間間に合うかどうか微妙なところだが取り合えず向かってみる。
マンハイム到着直前に側線に5両の古い客車を引いた蒸気機関車が煙を吐いていたがあれは何だったのだろう?もしも事前に分かっていたらマンハイムも訪問したのに。
蒸気機関車よりもライン川の風景だと考え直し、マインツで違うICEに乗り換えライン川沿いを走る。薄暗がりのなかコブレンツ17:10着までライン川の景色を楽しむ、とは行ってもいかんせん冬のヨーロッパは日が暮れるのが早い。夏だったら最高なのになあ。クリスマス休暇が近いせいかライン川下りの船がたくさん停泊している。それ以外にも貨物船の多いこと。川を下る船はかなりのスピードで下っていく。こちらの乗っているICEはだいたい130km/hから140km/hのスピードなのでどんどん船をぬいていく。
薄暗がりでもいくつかの城を見、また有名なローレライも暗がりの中見ることが出来た。
コブレンツ到着後すぐにフランクフルトに戻ろうとするが列車がなくちょっと時間が空いてしまう。今度はICでフランクフルトに戻るがちょうどこの列車はウランクフルト空港駅にも停車するのでちょうど良い機会なのでフランクフルト空港駅で途中下車する。
フランクフルト空港駅は長距離列車用と近郊列車用と2つの駅があり、ICは長距離列車用の駅に到着した。空港までは長い端を渡り、近距離列車用の駅を越えて行く。逆に空港からは先に近距離列車用の駅を通り、次に長距離列車用の駅、となるので、フランクフルト市内まで行くには近距離列車用の駅の方が便利だ。空港を見学し、ハイデルベルグまでのルフトハンザバスの時間をメモしたりして、今度は近距離列車用の駅にいってみるが、突然ディーゼル機関車牽引の普通列車が入ってきたりして面白かった。私はその後のSバーンでフランクフルト中央駅に戻った。
9.フランクフルト→ミュンヘン CNL クシェットの予約をしたはずなのに座席車
フランクフルト中央駅には1等旅客用の待合室がある。1等ユーレールパスを持っているので物はためしと行って見る。ソフトドリンクが無料でゆっくり出来た。CNL313列車が入線した。チケットに書かれた車両番号に行くと私の寝台の番号が無い。車掌に確認するといろいろチェックをした後、私の予約はクシェットではなく、リクライニング座席車で予約が入っているそうだ。今さら抗議してもクリスマス休暇前の混雑した夜行列車で寝台を用意してみるのは難しいようなので諦めてリクライニング座席車に行く。
リクライニング座席車はちょうど日本の夜行バスと同じような作り。リクライニングの角度も深く、ちょうど今は無き大垣夜行のグリーン車のようだ。となりの席は若い女性で夜中にふと目覚めると、全く無防備に私の肩に頭を持たせてぐっすり眠っている。個人の好き嫌いもあるが、クシェットでは横になる事は出来るが、リクライニング座席車のリクライニングする角度も充分でクシェットよりも自由に動ける分快適だと感じられた。
ザルツブルグ、リンツと停車する。冬のヨーロッパの夜明けは遅いので、8時を過ぎても外はまだ真っ暗。すれ違う客車がDBからOBBに変わった。OBB の客車はちょっと古めの軽量客車のツートンカラーで、昔のヨーロッパの汽車のイメージそのものである。DBの客車はほとんどが赤い両開き扉の新型客車だからオーストリアの列車はちょっと古めかしい印象を受けた。ほぼ定刻にウイーン西駅に到着。メトロを使いホテルに行き、チェックインすると朝なのに部屋を使えることになった。シャワーを浴びて街にくりだした。
10.ウィーンミッテ駅からウィーン空港までの専用列車
ウィーンから日本に帰国する際、ウィーンミッテ駅に隣接するシティエアターミナルで帰国便のチェックイン手続きを行い、そのまま空港行きの列車に乗車した。列車に乗る前にチケットを買うと9ユーロだが車内で飼うと10ユーロ。約20分で空港駅に到着する。
空港は大変混雑していてチェックインカウンターも長い行列が出来ていたので、もしもウィーン空港から出発する事があったら、シティエアターミナルでのチェックインがお薦めである。
これにててっちゃん石井のヨーロッパ鉄道旅行記は終わりである。みなさんがヨーロッパに行った際、列車に乗る機会があると思うが、その時少しでもこの文章が参考になれば幸いである。
石井 清史
2003年12月

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