ベルギー・オランダ・ルクセンブルク 食とビールを楽しむ旅

ベルギー・オランダ・ルクセンブルク 食とビールを楽しむ旅

ベルギー・オランダ・ルクセンブルクこの3か国の頭文字をとってベネルクスという。ベネルクスという単語は知っていたが、この3国がEUの前身とは知らなかった。EU本部は現在もブリュッセルに置かれている。しかもベルギーは美食の国で、ルクセンブルクはロンドンに次ぐヨーロッパの金融都市?!知らないことが多いこの3か国にライン川近くのリューデスハイム(ドイツ)を含む4か国周遊が今回の出張先だ。

国立ミュージアムとアイアムステルダム

ベルギーの玄関口ブリュッセルに到着した後は、電車に乗り換え1時間半ベルギー生まれのフリッツ
。私はようやく最初の目的地、ブルージュに到着した。ここは12,13世紀頃まで西ヨーロッパ随一の貿易港だった。そのため町中にはいくつもの運河が流れ、水の都とも呼ばれている。またこのブルージュという名前は“橋”という言葉に由来しているのだ。その名の通り50を超える美しい橋が今も残っている。もちろんこの街の定番観光は運河クルーズである。絶対試したいアトラクションの一つだ。
まずは街歩きから始めよう。ブルージュの見どころやホテルは中央駅から離れているのが難点で徒歩だと15分くらい歩く。駅からは旧市街の中心、マルクト広場までバスも出ているので、こちらを活用したい。(タクシーは7€程度だが、タイミングが悪いと結構並ぶ)
ブルージュは小さいながらに見どころが実にたくさんある。観光客がまず目指すのはこのマルクト広場であろう。街のシンボルの鐘楼と綺麗な州庁舎が目を惹く。

マルクト広場

州庁舎

鐘楼


移動ばっかりでおなかすいた!ベルギーっぽいもの食べたい!ということで屋台を見つけ、ベルギーワッフルを注文。種類がいっぱいあり、注文に困ったので一番クラシカルなものをくれといって出てきたのがこちら。

ベルギーワッフル

見るからに甘そう・・・。ワッフルにこれでもかと乗せられたピーナッツクリームとツブツブした何か。とても美味しかったのだが、少しでお腹も心も満たされてしまい、食べきることはできなかった。でもとってもフォトジェニックだったので大満足。
そして街を歩いていると、いるいる!運河クルーズを楽しむ人たち。

定番観光運河クルーズ

クルーズ乗り場は全部で5か所あるが、コースはどこから乗っても同じ。あまり並んでいないところを見つけたらチャンス。かわいい街並みをボートに乗って周るのは最高!の一言。

石橋をくぐるボート

そして夕食はベルギー名物ムール貝!この量でも全然一人で食べれてしまう。ムール貝は秋から冬にかけてが特に美味しいらしい。

ムール貝

ベルギーはおいしいものがありすぎて、一人で来ていることを本当に悔やむ。あれもこれも食べたいけどシェアする人がいない口惜しさ…。
ベルギー名物といえばこれだけではない。ゴディバ、ピエールマルコリーニなどのチョコレートにビール、フリッツ(フレンチフライ)などなど。
今、日本でもベルギーのクラフトビールは大人気、ということでブルージュの旧市街に唯一ある醸造所、デ・ハルヴ・マーン醸造所を訪問してみた。(45分のツアーで9ユーロ、英語ツアー)九州程の大きさしかないベルギーには200に近いビールの醸造所があり、1500を超える多彩な種類のビールがある。ここブルージュもかつては33軒の醸造所があったのだが、戦争や街の景観保護のため、一時期すべての醸造所が姿を消した。しかし、ここの6代目が資金を集め、当時ビール製造に反対していた市に掛け合い、晴れて2005年に醸造所を再オープンすることに成功したのだ。当時6代目は20代だったそうだ。そして彼は考えた。この世界遺産の美しい町中を、ビールを積んだトラックが走るのは景観を壊すのではないか?と。そして醸造所から瓶詰工場までの地下に3㎞に及ぶパイプラインを作ってしまったのだ。デ・ハルヴ・マーンの人気銘柄であるブルッグス・ゾットとは、「とんでもないことをやってのけるヤツ」という意味があるのだ。まさに6代目の心意気が詰まっているよう。これを知ったら、是非とも見学をさせて頂きたくなるではないか。

デ・ハルヴ・マーン醸造所

見学ツアー

最後にはもちろん出来たてビールの試飲付き!

なんと、このゾットは日本橋のコレド室町で飲めるという!その名もビアカフェ ブルッグス・ゾット。6代目の心意気が日本でも体験できる!ぜひ今度行ってみたいと思う。
そして次の目的地でありベルギーの首都、ブリュッセルへ。
ブリュッセルでは世界で一番美しい広場と称される、グラン・プラスを抜きに語ることはできない。今までヨーロッパでいろいろな○○広場というものを見てきた。確かにどれもメルヘンチックでかわいいのだが、このグラン・プラスは今まで見てきたヨーロッパの○○広場の中で群を抜いた美しさだ。世界で一番の異名はは伊達ではなかった!繊細で美しい建物に四方を囲まれ、ただただため息が漏れるばかり…。

グラン・プラス

王の家

北のグループ

西のグループ

東のグループ(プラバン公爵の館)

南のグループ

何といっても夜景が素晴らしい!!私の語彙力でその美しさを表現するには、まるでベルギーの宝石箱や~、が関の山なのでこの写真をお見せしたい。


グラン・プラスの夜景

おわかりいただけただろうか。
今回は私はグラン・プラスの中に唯一あるホテル、レジデンス・ル・キャンズに宿泊した。
レジデンス・ル・キャンズはグラン・プラス東のグループ、公爵の館である。
公爵の館とは、こちら。

建物上部に丸い窓が4つあるが、右から2番目が私の部屋だった!

ホテル自体はとてもシンプルだが、近年リノベーションされたばかりで室内はデザイナーズマンションのようにスタイリッシュでおしゃれ。

このロフトを上がれば、グラン・プラスが一望できる

お部屋からの眺め

部屋から夜景を独占!

そしてブリュッセルの観光と言えば、やっぱりこれ。

小便小僧

がっかり世界遺産にもよくノミネートされている、小便小僧だ。まぁ、確かに世界遺産と言われるとナゼ?という気持ちにならなくはない。小便小僧、別名ジュリアン君はそのおしっこで敵の火薬の導火線から街を守ったという逸話を持つ。かわいい彼には世界中から民族衣装が送られ、コレクションの中には桃太郎もある、世界一の衣装持ちだ。
ブリュッセルでもビールを楽しみたい。ということで昼間からビアカフェへ。ベルギーではビールは昼間でもカフェ感覚で楽しんでいるのだ。ピンクの象さんが目印のデリリウムは超人気店で昼間っからワイワイガヤガヤと楽しい雰囲気。ビールの種類の多さでギネスにも認定されている、超有名店だ。


種類の多さでギネスにも認定された、デリリウム



自然発酵のビール、ランビックを伝統的なピッチャーで提供する老舗ア・ラ・ベカス

ア・ラ・ベカスのランビックは少し酸味が強く、好き嫌いが分かれそうな感じ。ホワイト系のランビックだったらクセが弱いので割と飲みやすいかも。
フレンチフライって実はベルギーで生まれたということをご存じだろうか。ベルギーではフリッツと呼ぶのだが、屋台で食べるのが定番だ。人気店には行列もできる。好きなソースが選べるので、私はサムライソースというのにチャレンジ。

ベルギー生まれのフリッツ

ブリュッセルを後にし、ここから専用車でワロン地方の小さな町と古城めぐりスタート。
ベルギーは大まかに分けると北半分がオランダ語圏、南半分がフランス語圏である。(ブリュッセルはオランダ語、フランス語併用地域)ワロン地方はフランス語圏にあたり、今までいたオランダ語圏のベルギーとはまた違う顔を持っているのだ。

ディナンのノートルダム教会

アンヌヴォワ城

ヴェーヴ城

デュルビュイの町

アッとゆう間に隣国ルクセンブルクに到着した。ルクセンブルクは神奈川県程の大きさしかないのだが、ヨーロッパの名だたる銀行が軒を連ねる、ロンドンに次ぐ金融国家なんだとか。残念ながらルクセンブルクに到着したのは夕方、そして翌日は朝早くに出発のため、観光する時間がほとんどなく、まだ町が動き始める前に街を散策した程度。それでも美しい旧市街の街並みを見ることができた。

ルクセンブルクの旧市街

ルクセンブルクからドイツはとても近く、車で数十分走った程度ですぐにドイツのトリーアに到着する。日本での知名度は低いが、トリーアは2000年の歴史を持つ、ドイツ最古の町だ。ここには西ヨーロッパでもっとも保存状態が良いとされるローマ遺跡がある。それがポルタ・ニグラ(黒い門の意)だ。

修復中のポルタ・ニグラ

私がトリーアで最も感動したのが、トリーア大聖堂と大聖堂に寄り添う聖母教会である。
まさに威風堂々といった存在感!大聖堂はドイツ3大大聖堂のうちの一つでもある。

トリーア大聖堂(左)と聖母教会(右)

そしてライン川の支流である、モーゼル川が流れる町、ベルンカステル・クースへ。ここはいかにも中世ドイツらしいかわいくてこじんまりした町だ。トリーアもこの町も観光客はたくさんいるのだが、まったくと言っていいほどアジア人を見かけない。まだあまり知られていないのだろうか…。

ベルンカステル・クースの広場

町の名前ベルンとは熊のこと

ベルンカステル・クースから次の目的地リューデスハイムまで、ライン川沿いをドライブしたのだが、ここからはワイン畑の絶景が広がる。この地域はドイツでも有数の白ワインの生産地だ。ワイン畑は非常に傾斜がきつく、石がゴロゴロとしていることに驚きを感じる。だがこの条件こそがハイクオリティのリースリングを育むのだそうだ。垂直に照り付ける久と、日中に熱を蓄える石の多い土壌、比較的安定した気候が、華やかな香りと繊細な酸味を持つブドウを生むのである。

ワイン畑とライン川

ワインの試飲

リューデスハイムのつぐみ横丁

リューデスハイムから電車を乗り継ぎ5時間かけ、アムステルダムへと向かう。
到着日は疲れて何もできなかったが、翌日からは気合を入れてアムステルダムの定番観光へ。
アムステルダムにきたら、美術にさほど興味のない人でも国立ミュージアムにいは是非行ってみてもらいたい。なんせ、美術に全く興味のない私でさえ楽しめたのだから。

国立ミュージアムとアイアムステルダム

ゴッホの自画像

レンブラント 夜警

フェルメール 牛乳を注ぐ女

オランダは日本の鎖国時代に唯一国交のあった国なので、出島の展示もあった。

出島の模型

仁王像

美しい図書館も必見

そして、国立ミュージアムのすぐ近くにはゴッホ美術館がある。
ゴッホは日本の浮世絵に影響を受けていたようで、歌川広重の絵を模写した絵画などもあり大変興味深い。あの有名なひまわりを自分の目で見ることができたのは自慢になるだろう。ゴッホ美術館はコレクションの撮影禁止だったので、作品が描かれたロビーの壁の写真しかないのが残念

ゴッホ美術館

どちらの美術館も昼以降はチケット売り場が並ぶし、混雑するので午前中しかも会館直後が狙い目だ。
Eチケットで先にチケットを買っておくとよりスムーズだし、日本語の音声ガイドを追加料金で借りることをお勧めしたい。
アムステルダムの町は中央駅を中心に、扇形に運河が重なっている。いたるところに運河が流れていて、アムステルダムならではのハウスボートも見ることができる。
慢性的な土地不足のアムステルダムでは運河に船を停泊させて、そこを住処としているしている人たちがいるのだ。とはいっても、家主はボートを“家”として市に住所登録をし、係留費を支払う。ガス、上下水道も通り陸地と変わらない生活ができるのだ。
運河クルーズではたくさんのハウスボートを見ることができる。彼らの生活は驚くほど、おしゃれだ。ただ、夏場は蚊が多いらしい。

ハウスボート

色鮮やかで活気のある新ゲルの花市も必見。近くには観光客向けにオランダ名物のチーズ屋さんもあるので、ショッピングも楽しめる。

シンゲルの花市

チーズ屋さん

こうして、たくさん食べてたくさん飲んで、あっという間に7泊の旅行が幕を閉じた。
来るまで知らなかったが、オランダは自転車大国だった。それもそのはず、オランダは人口以上に自転車の数が多いのだそうだ。どでかい駐輪場に停められている自転車は壮観だった。また到着したばかりの時は、歩道だと思って歩いていた場所が自動車&バイク専用道路でバイクにクラクションを鳴らされ驚いたりもした。オランダでは自転車が最優先らしいので、
ハイネケンの工場見学に行けなかったのが心残りだが、次の機会にとっておくことにしよう!

オランダ産まれのハイネケン

おすすめ度
ブルージュ ★★★★★ ちいさくてかわいらしい街並み。ブリュッセルからも簡単にアクセス可能
ブリュッセル ★★★★★ 世界で一番美しいマルクト広場に心を奪われた。美食とビールと楽しみがたくさん
ルクセンブルク ★★★ 小さいけれど、城壁に囲まれた旧市街が美しい
リューデスハイム ★★★★ 夜のつぐみ横丁はバンドの生演奏がきこえてくる、とっても陽気な横丁
アムステルダム ★★★★★ 世界に誇る美術館や綺麗な街並み、ショッピングも楽しい
(2017年10月 久保井奈々子)

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