モロッコ~「星の王子様」を探してサハラ砂漠へ

モロッコ~「星の王子様」を探してサハラ砂漠へ

砂・・砂・・砂・・どこまでも続くサハラ砂漠を求めて私は2度目のモロッコへと向かった。今まで30数カ国旅した国の中でベスト3に絶対入れたい国。モロッコ 日本から直行便はないけれど、その日のうちに到着することだってできる。アフリカ大陸というと遠く感じるが思ったほど遠くない。治安もよく、女1人でふらふら歩いても問題なかったし、欧米人が多く訪れるので観光客を受け入れる事に慣れていて安心できた。
今の時期は暑くなく、寒くないというほわぁ~んと 春まっさかりのベストシーズン。2月の終わりから3月にかけてはアーモンドの花が咲き(白い桜のよう) 都市の移動の間には赤や黄色いポピーや薔薇 薔薇 薔薇・・こんなにいろんな色の薔薇があることを知らなかった。花咲き乱れるモロッコへ今回は出張で訪れた。
モロッコには大きく分けて2つの大きな観光ポイントがある。これをみなくちゃモロッコに行く意味が絶対無いと思う。(断言します)
* 1つ目は砂・・砂・・砂・・どこまでも続くサハラ砂漠を歩く事。(ラクダに乗る事!)
* 2つ目は世界一複雑な迷路が続く旧市街 フェズ・エル・バリを持つ コト(古都)であるフェズを訪れるコト(事)。


まずは1つ目サハラ砂漠
サハラ砂漠といえば、サンテグジュペリの書いた「星の王子様」という話を知っているだろうか?私は文学少女ではなかったし、ロマンチストでもないが、子供の頃から何度も読んだ事があり大好きな本だ。
「バラの花の言葉に傷つけられた王子さまは、自分の星を後にし、7つの星を旅します。命令ばかりする王さま、褒められることが大好きなうぬぼれ男、お酒ばかり飲む呑み助に、星の数をひたすら数える実業屋、灯りを付けては消す仕事を繰り返す点燈夫、変わらない物を調べる地理学者、そして、最後に地球へ向かい、サハラ砂漠の真ん中に不時着した飛行士と出会います・・・」これは内容の1部分だが、この「星の王子様」は飛行士だったサンテグジュペリが、サハラ砂漠に不時着した経験に基づいて書いたらしく、私もサンテグジュペリになったつもりで砂漠を歩いてみたかったので 是非とも砂・・砂・・のサハラ砂漠を見に行きたくて行きたくて期待して旅はスタートした。
砂・・砂・・の砂漠に出会うためには時間がかかる。
サハラ砂漠は広い。でも、モロッコに行けばすぐに砂・・砂・・の砂漠に出会えるというわけではない、長距離ドライブを重ねてたどり着く。私はKLMオランダ航空を当初予定していたのに、世界情勢の影響からかなぜかいきなり予定便のフライトキャンセルのため出発本当に3日前ぐらいになって急にパリ経由のエールフランス航空で行く事に決まった。
日本を4/10の夜に出て、翌朝モロッコ空の玄関口カサブランカへ到着。日本人いないなぁ~というのが最初の感想。パリまではショッピングに来たとみられる女の子達も沢山いたのに・・。ちなみにカサブランカは大きな都市であるが首都ではない(首都はラバト)
アイト・ベン・ハッドゥAFの機内にモロッコの地球の歩き方を忘れてしまい、予習も不完全なまま、ま~なんとかなるでしょう。という感じでガイド兼ドライバーアハメッドさんと合流しすぐに車でモロッコ第2の都市マラケシュへ向かった。まずマラケシュで1泊 翌日マラケシュからアトラス山脈を越えるとそこはもうカスバとオアシスの別世界。今日はサハラの入り口ワルザザードへ向かった途中ワルザザード近郊にある世界遺産アイト・ベン・ハッドゥはモロッコのはずせない見どころだ。
この窓枠から覗くように見える写真のアングルがとても気に入っていて、私の1番大好きな世界遺産の場所である。
特別な歴史のいわれがあるわけではないが、日干しレンガ造りの古いクサル(要塞化された村 今でも人が住んでいる)であるこの村は 村自体が遠くから見ると城のようにも見え 見る人を圧倒させる力がある。アラビアのロレンス ハムナプトラ2などの撮影もここでされ、多くのハリウッドスター達が撮影に訪れているそうだ。そういえば以前に訪れた際も何かの映画の撮影でものすごい数のエキストラの人がいて驚いた思い出がある。
2度と訪れる事はできないだろうと思っていたこのアイト・ベン・ハッドゥにほんの数年でまた来る事ができて、本当にうれしく幸せに思う。また是非ともいつの日か訪れたい。
ワルザザードホテルカラムこの日はワルザザードに1泊する。ワルザザードの良さはホテルにある、決してゴージャスなホテルではないがフランス人がバカンスで訪れるかわいいホテルが沢山ある。フランス人にとってモロッコは言葉が通じるし、(モロッコ人はほとんどフランス語も話す!!)日本人が中国に行くような気軽な感覚でバカンスに訪れるようだ、私が出会ったおじいさん、おばあさんのフランス人グループツアーの方がみんな品良くキレイな年のとりかたをしていて私もいつの日かそうありたいと願う。
そんなご年配の欧米人にも満足されるであろうホテルがワルザザードにある。私が泊まったホテルはカラムというホテルで弊社ツアーでも利用しているホテル庭はまるで南フランスのように(イメージ)花の手入れがされていてプールサイドには青と白のパラソルがあってリゾート気分 砂漠で暑いのでいつでも日中はプールに入る事ができる。私もプールサイドでジュースを飲みながら小説を読んだりなんかしちゃって、砂漠に行くためにしょうがなく泊まるというのではなく、もう1泊したくなるホテルだった。
翌日はまた車を飛ばしてカスバ街道を突き進む。途中お昼頃ランチ&トドラ渓谷に到着。切り立った岩壁が立ちはだかる峡谷で世界中からロッククライマーが来るらしい。ファイト~1発♪って感じのロッククライマーのみなさんが 果敢にチャレンジ中。ワイルドだぁ~なぁ~ ここでお昼ご飯をヤスミナというレストランで食べた。モロッコの料理は日本人にはほとんどなじみがないが、個人的には食べやすいと思う。
チキンタジン羊の肉が苦手な人はガイドさんに言えばOKだし、私のお勧めは「レモンチキンタジン」イスラムのお料理というより南スペインの方の料理に似ている。モロッコ人は毎日食べるらしく、タジン用器が町中で沢山売られていた。陶器でできた厚手のお皿に同じく陶器でできた三角ぼうしのような蓋をしてそのまま火にかける煮込み料理。肉だけではなくいっしょに じゃがいも、にんじん、オリーブ、ハーブなどの野菜が煮込んであって味が染み込んでいてとても美味しい。その他の料理クスクスは(粗粒状の小麦を蒸した物)はちょっと食べづらいが、食事を頼むと必ずアラビアパンが出てくるので大丈夫 たまたまここのレストランは外にテントのようなオープンカフェみたいになっていてここで食事を取る事ができる。
トドラ渓谷目の前にトドラ渓谷を眺めながらのモロッコ料理に舌鼓をうつのはなかなかできない経験だ。
そしてこの日は大砂丘への玄関口エルフードに泊まった。他のモロッコのホテルもそうだが、エルフードのホテルもお風呂の蛇口をひねれば溢れんばかりにお湯が出た。こんな砂っぽくて雨も降らなそうなのに驚き。(日本じゃあたりまえのこんな事でも、東南アジアとかだと水シャワーになることが多いので)翌朝砂漠で朝日を見るため朝4時に起きてやっと砂・・砂・・砂・・の大砂丘メルズーカへと向かう 日本を出発して5日目の朝だ遠かった やっと会えると思うと 4WDに乗り込む足取りも軽い。
エルフードからさらに車で40分ほど走る。日の出前でまだ外も暗いのに砂漠専門のドライバーさんは花いっぱいのホテル HKENZI BELERE エルフード道無き砂漠をひたすら飛ばしまくる、この人本当に道わかってるのかなぁ~不安を覚えた。砂漠のある都市はどこもそうだが日中は真夏のように暑くなるくせに夜は寒い、トレーナーやウインドブレーカーは必須だ。やや薄暗い中メルズーカへ到着あの写真で見るような砂・・砂・・砂のサハラ砂漠へやっとやっとやっと 辿りついた。やったぁ~!!写真では伝えきれないが、風が作り出す砂の模様はなんともいえない、目の前に広がる世界にひしひしと感動を覚えた。
メルズーカ(サハラ砂漠)砂丘に登ると寒いし目や鼻ウインドブレーカーの中にまで砂が入ってきて痛いがそんなことでひるんではいられない 必死にカメラをかまえ撮影。ラクダ引きのおじさんがアラブ人の格好をしていて砂漠に映えた。砂丘では子供のように砂丘をすべり降りたりしてキャアキャア騒いでみたりして砂漠満喫。いっしょに移動したラクダ君もおとなしく、座るところもちゃんとラクダの瘤にあわせて綿でできた鞍(イス)が乗っていて疲れないようになっているのでレンタルも安心。(1匹1時間 約30ドル)大自然だけど観光地なのだなと感じた。残念ながら曇っていたので、朝日ののぼるところは見れなかったが、今度来るときは砂漠でキャンプを楽しんで朝日もばっちり見てみたい。今も目をつぶるとあの砂漠が目にやきついている。

見どころ2つ目は古都フェズ
ブー・ジュルード門迷宮都市 「フェズ」モロッコには多くの古都があるが、これほどまでに大きな旧市外を持つ都市はフェズだけだ、丘の上から旧市街を眺めると視界の端から端まで旧市街が広がりカメラのパノラマサイズでもおさまらない広い広すぎる。メディナの入り口にある青や緑の美しい色づかいのブー・ジュルード門をくぐるとそこは迷路だモロッコ人でも迷うと思うメディナの中は場所によって細かく分かれていていろんな顔をみせる。入り口あたりは食のマーケット色とりどりのフルーツや生肉から魚までなんでもそろう。細い通路にロバが大きな荷物を背負って通りロバが通ると人が道をあけ、子供達はメディナの中の学校に通い、メディナの中で遊ぶ 白い壁に細い石畳の道それだけで絵になるここにいるとフィルムが何枚あっても足りない。 鍛冶屋のおじいちゃんに ハンサムな職人家具屋の兄ちゃん 安い食堂のおっちゃんに 金物屋のおやじ 商売っけの無い石鹸屋に 店中にサッカーチームの写真を飾って自分のひいきチームのサッカー話を楽しそうに話してくるおじちゃん 店員がだれもいない不動産屋 巨大絨毯ショップに 小さな小さなろうそく屋 買い食いにはまったお菓子屋さん お洒落な店もあれば誰が買うのだろう?と思わせるほどさびれたお店もある 道の片隅では器用な職人のおじさんが布の端に刺繍をしていた。花嫁衣裳のような白い布に丁寧に手作業で同じ形の刺繍を布の端に1つ1つ付けていく作業はかなりの技術を必要とする。おじさんは自慢そうに布の端と端を合わせて刺繍の正確さを教えてくれた。
一寸のくるいもなく同じ形の刺繍の縁取り。素晴らしいこんな細かい刺繍のウエディングドレス着てみたいなぁ~誰が買うのだろうか・・うらやましいかぎりだ。巨大商店街スークそこには、生活の全てがある。動いている この町は旧市街だけれども 巨大ななにかが動いている気がした。今回は1度目のフェズだが、絶対にまた訪れてみたいと強烈な印象を感じさせる町だった。
スークにて(なめし革染職人街)スークにて(ラクダ人形を販売中)
念願の砂丘へ行くことができ、星の王子様もいたかもしれない砂漠は私の想像をはるかに越えていた。自然の作り出す模様や風景は行く度に形を変えるので2度と同じ風景を撮影することはできないあたりまえの事だけど、今その時の砂漠を目に焼きつけることできて本当によかった。これからもモロッコに今のままでありつづけてほしいそう願う。
岡野 由里
2003年4月

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