カンボジアへ入国

ベトナムからカンボジアへの入国手段として、今回はボートで国境を越えることになった。朝8時半、前日宿泊したカントーのビクトリアチャウドックホテルのボート乗り場からボートは出発。ボートは二人がけの席が左右あわせて10コ、あと一番後ろに長い席があった。満席になったら26人くらい乗れるだろうか。ボートに乗り込むと、もう先にアメリカ人女性が乗っていた。私がいろいろ出歩いていたためか、このホテルに泊まって見た他の宿泊客はたった一人だったのだが、その彼女が乗っていた。


ボートが出発して5分くらいしてすぐにボートは停泊した。聞くと他のお客さんを待っているらしい。朝から空はどんよりとしていて雲行きが怪しかったのだが、とうとう雨が振り出した。こんな小さいボートで何時間も、大丈夫だろうかとちょっと不安になりつつも冒険のようでワクワクする。待つこと約30分、運転手さんにいつまで待つのか聞いてみるが英語が通じない。で、紙に書いてくれたのは1h。ん?!1時間?「長いよー!」ってみんなで言いながら、運転手さんを困らせていたら他の乗客が小船に乗ってやってきた。雨の中カッパでやってきた小船の集団7人は皆アメリカ人、そしてガイドさんのような人も乗ってきた。やっぱり欧米人が多いなぁと思いつつ、 9時10分頃出発。ボートの中で出国カードをそのガイドさんに手渡され、記入してパスポートと一緒にまた戻す。9時50分ごろボートはまた止まった。どうも出国の手続きはそのガイドさんが代わりに行うらしい。待つこと30分。ガイドさんが出国手続きを済ませて帰ってくる間ボートの中で待つのだが、その間にもパンケーキや果物をかごにのせた女の子がやってきて、買わないかと勧めてくる。約30分後、出国審査を終えてガイドさんがパスポートと共に帰ってきた。ここでそのガイドさんとはお別れし、またそこから1キロ程のところでボートは泊まった。ここで降りてカンボジアへの入国審査だ。ボートの降り口には征服を着たしかめっ面の人がいて、じっとこちらを見ていたが、審査する部屋の中の人はなかなかにこやかに対応してくれる。
10時45分、目指すはプノンペン!ボートは時速45キロくらいで快調にとばす。運転手はいつの間にか一人増えていて3人になっていた。乗客も入国審査をした地点から4人のカンボジア人が乗ってきて、結構満員の状態に。気が付くと私は真ん前の席に座っていたのだが、風がきついきつい。フロントの窓を全開にしているので顔面に風というより暴風が吹き付ける。我慢すること2時間ちょっと、プノンペンが遠くに見えてきた。運転手さんが前に行っていいよと言うので、ボートの外に出てみることにした。フロントガラスにへばりつくようにして外に出るが、スピードは全く落としてくれないので暴風により涙が出てきた。でもシャッターをきっているとまるで写真家のようでとても楽しかった。
13時過ぎ、ボートはプノンペンに着いた。ボートを降りると何人もの人が、ボードを目の前に突きつけながら「マッダーム!ナイスホッテール!チープ!チープ!」と押し寄せてきた。本当に押し寄せてきた。あれには本当にびっくりさせられた。
■セントラルマーケット
セントラルマーケット値切る。とにかく値切ってみよう!セントラルマーケットのみに限らず、いたるところで地元の人の買う料金と観光客の買う料金は違う設定がしてある。といっても売る人たちはそんなことは言わないが。例えばこんなことがあった。私は買い物に熱中するあまり、旅の必需品「帽子」を無くしてしまった。セントラルマーケットには帽子を売っている店もたくさんあるので私はすぐに買うことにした。で、たくさん帽子の置いてある、おばさんが店主のお店に行ってみた。一つ帽子を手に取ると「ワン、ファイブドル」とおばさんは言った。しかし、よく聞き取れず、私はてっきり1ドルだと思い買おうとしたら「1つ5ドル」だった。日本では明らかに安い値段だが、最初に1ドルと思ってしまっていたから高く感じてしまい、「高い高い、ならいらん」と言って他へ行こうと後ろを向いた。歩き出したら「ハウマーッチ!マッダーム、ハウマーッチ!」とおばさんの大きな声が後ろからする。そして「2ドルオーケーッ!!」という声が。それなら見ようかと後戻り、2ドルで帽子を購入。こんな風にいともあっさりと値は下げられた。物売りのおばさんたちは、一生懸命商品を売ろうとするし、たくさん買えばそれだけ値引きもしてくれる。買った後はとびっきりの笑顔で見送ってくれる。彼女たちとの駆け引きはとても楽しかった。
■遺跡
アンコール・ワットカンボジア(シェムリアップ)といえば、アンコール・ワット、アンコール・トムなど数々の遺跡が点在する。いろいろ見た中、私が一番気に入ったのはクバール・スピアン。
その日は午前にバンテアイ・スレイ、そして午後にクバール・スピアンへ行くことになっていた。9時45分ころ「東洋のモナリザ」と呼ばれる有名なデバター像があるバンテアイ・スレイから出発。赤土のでこぼこ道を、自動車はひたすらがたがた進む。あまりの乾燥にのどが渇いて水を飲もうとするけど車がゆれてなかクバール・スピアンなか飲めない。その赤土の道沿いにはいかにも農民といった田舎の人たち。男の人たちはクロマーを腰に巻いており家は高床式、井戸で水を汲んで水浴びをしている女の人を良く見た。すれ違う乗合タクシーには20人くらいの人がぎゅうぎゅうに乗っていて、土ぼこりの中を走っていく。すっぽんぽんの男の子が走っていたり、牛を連れて道端にいたり、本当にカンボジアの「田舎」を感じられた。
10時25分くらいクバール・スピアンへの駐車場に到着、いざ山道へ。大きな岩の上や滑りやすい木の上等けっこう険しくあまり整備されていない道をフーフー言いながら登っていく。道の両脇の木には赤いペイントがしてある。これは、これ以上行くと地雷があるかもしれなくて危険だという目印だそうだ。運動不足の私はとにかく疲れたが、がんばってぐんぐん登り、30分くらいでやっと到着!必死に登ってきたので周りの木々の美しさになかなか気が付かなかったが、立ち止まると鳥の声が聞こえ外の暑さをちょっと忘れるくらいのすがすがしさがあった。
川岸に行ってみるとヴィシュヌ神やシヴァ神、ブラフマ神などの彫刻が清らかな川の脇から見えた。本当にすばらしい!今回の旅で一番感動したといっても過言ではない。
今回、私はプノンペンとシェムリアップを旅した。この2つの都市は全く様相が異なる、逆といってもいいくらいだ。プノンペンは観光客がとても少なく、日本人とすれ違うことはめったにないだろう。しかし、復興目指す町プノンペンは多くの人が行き交い、活気いっぱいである。また、シェムリアップはどこに行っても観光客とすれ違う、遺跡めぐりの観光地だ。そこに住む人々は何かしら観光業に携わる。活気があるのは両都市とも同じ、人々も生き生きとしており暑さに負けない熱気がある。遺跡観光のみならず熱気や活気を感じてみたければ、是非カンボジアへ行って欲しい。
トンレサップ湖の水上集落
トンレサップ湖は、雨季は乾季の約3倍にもなる変化に富む大きな湖だ。真中まで船で行くとここは海かと見紛うほどだ。そこへ住む人々は湖上でその生活の全てを行う。学校や警察署、病院まで湖の上に浮いている。人々は漁や養殖等で生計を立てており、まさに湖と共に生きている。そして、地上に住む人々と同じくどの家にも必ずハンモックがある。
里村 麻由子
2002年10月

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