ここが私のアナザースカイ。聖地で一か月ヨガの旅

ここが私のアナザースカイ。聖地で一か月ヨガの旅

アナザースカイとは、「第二の故郷」「憧れの場所」という意味だそうです。
テレビ番組でおなじみのフレーズですが、もし選ぶとしたら、みなさんどこを選びますか?

私はインドが大好き。
できれば来世はインド人になりたいと本気で思っているほど、好きで好きでたまらない。
なので、億が一、手違いでオファーがくるとしたら私のアナザースカイは確実にインドでお願いしたい。
ただ、このインドが好きな気持ちを人に伝えるのは難しい。

「インドなんて汚くて臭くて、カレーしかない貧しい国でしょ」
そう言われると思わず握りしめた拳を頭上に振り上げてしまうが
「インドは素晴らしい国!みんな良い人だし、ここにきたら人生が変わりますよ!」
そう言われると、インドはそんな良いところばっかりちゃうし!あかんところも山ほどあるんや!と言い返してしまいたくなる。
大好きだけど大嫌い、疲れるしムカつくのにまた行っちゃう。
インド好きの心は、まるでインドという国のように、複雑で混沌としている。

そんなインド好きの私が、この度一か月のお休みをいただき、ヨガの聖地リシケシュへと行ってきた。
毎日濃くて濃くて濃くて、何にも代えがたい濃厚な日々を過ごしてきた。
書けと言われれば毎日のことを感情込めて事細かに書くこともできるが、それはまた時間がある時に聞いていただくことにして、今回は少しだけインドの滞在についてお伝えします。
一か月もインドにいたのに、朝から晩までヨガ漬けだったため、果たして皆様のご旅行の参考になるか不安ですが、そんな旅行も良いなと思っていただけたら幸いです。


「ここが私のアナザースカイ、インドです!」(出演予定なし)

「リシケシュ、どこそれ、何があるの?」
多くの方の頭に??がきっと浮かんでいることでしょう。リシケシュはデリーから電車で約4時間半、そこから車に乗り換え約1時間の場所にある、世界的に有名なヨガの聖地なのです。

貧乏学生バックパッカーだった10年前、ヨガなんてしたこともなかったのに「聖地でヨガとかかっこいい!」とミーハー心だけで訪れたのが、ここリシケシュ。全くのヨガ初心者だった私は、偶然にも弊社で良く利用しているヨガニケタンにふらりと入ったのですが、あまりの楽しさにその後の予定を全て変更して、約2週間滞在することになったのです。
誰かと競争するのではなく、自分自身を深く理解していくための動き、そして瞑想。
すっかりヨガの考えにハマり、インドという国に骨の髄まで魅了されてしまった私は、帰国後「インド、旅行会社」というキーワードで就職活動を始め、今こうしてファイブスタークラブで働いている。全てはインドさまさまなのです。

そんな私のプチ情報はどうでもいいのですが、その時に出会った「ヨガ」というものが、ずっと心の片隅に引っ掛かったまま時間は過ぎていきました。
いつか真剣にヨガについて学びたい、そんな思いを抱いていたら、なんと会社から徒歩5分のヨガ教室がリシケシュでティーチャートレーニングコースを開催しているという情報が!これは行くしかないでしょう!ということでインドに呼ばれたかどうかは分かりませんが、3度目のインドへと意気揚々と飛び立ったのです。

意気揚々と飛び立ったはいいものの、21:30にデリー到着予定だった飛行機が、デリー周辺の大雨の為着陸できず。デリーから1時間半もかかるアーメダバードへ着陸し、そこで約2時間待機、やっとこさデリーに到着したのは深夜2時。
なかなかスパイシーな始まりとなりましたが、ずっと待っていてくれたガイドさんと合流して無事にインド旅行の始まりです。

駅前のホテルで数時間だけ仮眠を取り、まずはハリドワールという町まで電車で向かいます。
二等車はキレイで椅子も座り心地ばっちりなのですが、窓から外を見ると、列車の窓から扉から溢れ出る乗車率200%の列車が見え、あぁインドに来たんだなぁと実感します。
乗っている間、朝食からスナックからチャイから、なんやかんやずっと食べ物が出てきて、なんだか忙しい気持ちにもなりましたが、とても快適でした。


食べまくりの列車旅

ハリドワールに着いたらドライバーさんと合流してリシケシュの町へ。
ハリドワールは「神の門」という意味で、ここに沐浴をするためにインド中から人が集まりかなり賑わいのある町です。沐浴場もたくさんあり、大勢の人々が一斉に沐浴している姿は圧巻です。
そんな神の門を通って、リシケシュまでは約1時間のドライブ。遂に遂に懐かしいリシケシュに到着です、既に涙がでます!


雄大なガンジス河沿いにあるリシケシュ

今回お世話になったのは、大阪梅田にもスタジオがあるYOGA VINI。
VINI先生はインド人でありながら日本語と英語を話し、レッスンは先生が二か国語で教えてくれます。
先生は本当にヨガについて深く深く勉強をしている方なので、どんな質問にも答えてもらえるし、ヨガも瞑想も形だけでなく体と気の流れの土台をしっかり作るところから教えてくれるので、初心者でも熟練者でもみんなどんどん体が軽くなっていくのを感じることができます。
まさか深夜まで勉強して、休み時間にまで練習することになるとは思っても見なかったですが、正直一か月しかないので、全力でやらないと到底間に合いません。
大人になってこんなに一生懸命に何かに取り組む機会ってなかなか無いと思うので、そういう意味でも最高でした。
そしてここYOGA VINIで、ついに念願のティーチャートレーニングコース、RYT200が始まります!

さてさてRYT200とは何ぞや?
RYT200とは全米ヨガアライアンスが発行している資格で、世界基準のヨガインストラクター資格です。この資格を持っていると、ヨガインストラクターとして一定の基準を満たしているとみなされ、就職などにも有利になります。(特にこの資格がなくてもヨガを教えることはできます)
私はヨガの先生になる予定は今のところありませんが、ヨガをしっかり学ぶためにコースを受講することにしました。
来ていた人たちも、既に先生としてヨガを教えている人から、なんと初めてヨガをする人まで様々。一か月集中してヨガにだけ打ち込める環境として、ここは最高だと思います。

主なスケジュールは下記のとおり。
06:00~08:00 練習(太陽礼拝、呼吸法、瞑想など)
08:00     朝のティータイム
08:30~10:00 練習(アーサナなど)
10:00~10:30 お祈り
10:30~11:00 昼食
11:00~13:00 お昼休み
13:00~15:00 座学(哲学、解剖学など)
15:00~15:30 午後のティータイム
15:30~17:30 練習(アーサナなど)
18:00~19:00 晩御飯
19:00~20:00 サットサング(集まり。歌を歌ったり勉強したり色々)

基本的にはひたすら毎日この繰り返しです。週に一回のお休みがあり、早朝にみんな揃ってガンジス河へ行って瞑想、太陽礼拝が終わったら、午後はそれぞれ外に遊びにでたり勉強、練習したりと様々。
私はお休みの日にビートルズアシュラムへ行ってきました。

1968年にビートルズ4人が精神修行のために訪れたのが、当時瞑想の三大グルの一人として有名だったマハリシ・マヘーシ・ヨーギのリシケシュにあるアシュラムでした。
今や観光客も沢山、お店も沢山あるリシケシュですが、彼らの訪れた時は一日5時間の瞑想以外はやることもきっとなかったのでしょう、ここでの滞在中に名曲がたくさん作られました。
そのアシュラムも1997年に閉鎖され、すっかり廃墟となっていたのですが、近年観光地として管理が始められました。驚くべきは外国人の入場料が600ルピー(約900円)もすること。
インド人は150ルピーなのに!管理してるといっても元廃墟だし!
そんなことも思いましたが、せっかくなので600ルピー払って行ってきました。私的には入場料分は楽しめる、素敵な廃墟でした。(でもやっぱり廃墟は廃墟)


敷地内には可愛い瞑想小屋が並んでいます


ビートルズが使ったといわれる9番の瞑想小屋


廃墟には素敵なペイントがたくさん

そしてお休みが終われば毎日練習と勉強なのですが、朝から晩まで本当に充実としか言い表せないような時間でした。
私はヨガが好きとか言いながら、前屈も逆立ちもできないようなへなちょこだったので、最初の頃はポーズの名前も分からず、腹筋すらできず、絶望を味わっていたのですが、ある日急に前屈で地面に掌がつけられるようになり、いつの間にかおでこが膝につくようになり、ぐんぐん自分の体が元気になっていくのを感じたのです。
アシュラムでの食事も、アーユルヴェーダに基づいたとても美味しいご飯で、味に飽きることもなく。
食事の時は、食べることに集中するためお喋りは禁止で、みんな黙々と食べるのですが、誰かが私たちの体を思って作ってくれた食事がこんなに美味しいことに感動する毎日でした。
ちなみにリシケシュは聖地とされている為、完全にベジタリアンの町で、肉・魚やアルコールは一切ありません。
たまに大豆で作られた大豆ミートなるものがでますが、肉とは違うものとして非常に美味しいです。


アシュラムの食事


みんなで練習

そんな一か月の締めくくりは試験!
実技(45分のクラスを先生役として教える)、筆記(解剖学や哲学など)、マントラの暗記、日々のカルマ(お掃除など)、ヘッドスタンド、などなどの総合点数で合否が決まります。

そして最終試験を終え、遂に卒業セレモニー。
この時点ではまだ受かったのか受かってないのかも分からず、ドキドキドキドキしながら、先生が自分の名前を呼ぶのを待ちます。
名前が呼ばれて号泣する人もいて、その人の頑張りをずっと見てきた周りの人間ももらい泣き。この一か月でみんな相当涙腺がゆるくなりました。
そして最後の最後まで名前が呼ばれないため、落ちたんじゃないかと半泣きになりましたが、最後の最後に無事に名前を呼ばれ、めそめそしながら私も無事、証書をいただきました!


みんなでセレモニーの飾りつけ


無事に修了証いただきました!

ここでの一か月をどういう言葉で説明すればいいのか、未だに分からないままでいます。
楽しかったか?と問われれば、即答で「楽しかった!」と言えるのですが、自分の不甲斐なさに心の底から嫌気がさしたこともあれば、悔しくてぼろぼろ泣いたこともあり、人の優しさに救い上げられたことも、深夜まで頭を抱えながら悩みながら勉強した夜もありました。
とても一言では伝えられない程、色んな感情に出会った一か月でした。

インドが好きだと言うと、よく「インドに行って人生変わりましたか?」という質問を受けるのですが、人生が変わる訳ではないですが、行く前と後では日々の感じ方が大きく変わるような気がします。
また、これはインドに限ったことではないと思いますが、観光旅行ではなく学びを目的にした旅というのも素敵だなぁと体感しました。
是非皆さまにもインドの魅力を味わっていただけるよう、今後もインドの布教活動に努めて参ろうと思います。

今回のインド行きでは、沢山の人に迷惑と心配をおかけしました。
それでも最後には背中を押してくれた全ての人に、ありがとうございます。
人生で一度あるかないかの貴重な時間、全力で楽しませていただきました。

とか言いながら、帰国から二週間・・もうインドに帰りたい・・。


一か月ありがとうございました!こんなこともできるようになりました!

2019年11月
大野史子

【スタッフおすすめ】
リシケシュでヨガ★★★★★
聖地で味わう、じっくり自分と向き合う時間、なかなかの贅沢だと思います。

ビートルズアシュラム★★★★
ビートルズ好きでなくてもなかなか雰囲気のある廃墟!

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