スリランカといったら、象が有名なんだけど・・・!?
皆さんは、これまでどんな動物に乗ったことがあるだろうか?
わたしは、今まで象に二回乗ったことがある。一回はインド、もう一回はタイで。
馬にも乗ったことがある。それはモンゴルの大平原だった。
「中村サン、牛、乗リマセンカ?」
主要な観光地を巡り、スリランカの出張も終盤。
毎食のカレーにも少し飽きを感じ始めていた、そんな頃。
現地ガイドが私に提案してきた。
牛…。そういや、乗ったことが無かったな。
盲点であった。
牛だけにモ〜点であった。
「でも今日はスケジュール通りにいくと、象に乗るはずですよ。ガイドさん」
わたしがそう言うと、ガイドはこう返す。
「牛ニ乗ッテ田舎ノ街、探検スル『ヴィレッジサファリ』、オススメデス。
象ニ乗ルノハ、カワイソウ。
デキレバ、象ニ乗ッテホシクナインデスヨ。動物愛護ノ観点デスヨ、中村サン」
ん?象はかわいそうで、牛に乗るのはかわいそうではないと・・・?
若干、腑に落ちない気もしたけれど、
ヴィレッジサファリとやらは気になるし、ここは現地ガイドの意向に沿おう。そう決めた。
わたしが首を縦に振ると、
ガイドは意気揚々とヴィレッジサファリの開始地点にわたしを連れて行ってくれた。
シギリヤロックから車でおよそ15分ほどのところである。
スリランカの超人気観光スポット「シギリヤロック」から車でおよそ15分・・・
まずは、牛では無く、このスリーウィーラー(タイで言うところのトゥクトゥク)に乗るよう指示された。
スリーウィーラーは、私とガイドをのせて、森の中を突き進む。
途中で、牛さん達が待ちかまえるスポットで下車。
スリーウィーラー → 牛に、ここで乗り継ぎだ。
牛に乗る、と聞いていたので、
牛にまたがれることを期待していたわたしだが、実際は牛車であった。
ちょっと残念なような、ほっとしたような。しかしまあ乗り心地はよい。
牛使いのおじさんが、謎のかけ声を上げる。牛は懸命に歩みを進める。
おじさんは、独特のかけ声で牛を巧みに操縦し、川渡りを試みる。
牛は、川渡りの途中に歩みを止めて、水を飲んだ。喉が渇いていたのだろう。
おじさんは、その時ばかりは、かけ声をあげずに、そっと優しく見守っていた。
おじさんの牛への愛を感じた瞬間であった。
しばらくすると、牛からボートに乗り継ぐよう指示される。
ボートに乗ること15分ほど、村らしきものが見えてきて、上陸するよう促された。
そこには、街の喧騒から離れて静かに、そして素朴に生きる人々の暮らしがあった。
畑もあるし、きっと必要最低限の食料は自給自足でまかなえるのであろう。
不便さは不思議と感じられない。
住んでいる人々の表情はとても穏やかであった。
今日のランチは、この近辺にお住まいのおかあさんたちが作ってくれるようだ。
お願いをして、調理場を見せてもらった。
「おお、いいね!よっ!炎の料理人!!」と興奮気味にシャッターを切るわたしに、彼女たちは笑っていた。
美味しくって思わずご機嫌!
出てきた料理は、絶品であった。
スリランカのおかあさんは、お料理上手だ。いや、もはやスパイス使いの魔術師だ。
もちろん辛いのだけれど、辛さだけでない。旨みがある。
複数のスパイスが喧嘩することなく混ざり合って、う~ん、もう永遠と食べ続けたくなる。
小宇宙さえ感じるようなカレーであった。
今回9日間の出張だった訳だが、9日間のうちダントツこのカレーが美味しかった。
このティーカップ、正真正銘、天然素材!
ヤシの実で出来た、なんともワイルドな茶器でハーブティーをいただき、
そろそろヴィレッジサファリも終わりに近づく。
村のおかあさんたちに手を振って、
再びボート、スリーウィラーに乗って帰路につく。
帰り道、なんだか、体がぽかぽか温かかった。
スパイスのおかげだろうか?
それとも、スリランカの人々との触れ合いで、心があたたまったのだろうか。
ありがとう、ボート漕ぎのおにいさん!
ありがとう、牛使いのおじさん!
出張も無事終わり、日本に帰って、今回のヴィレッジサファリのことを会社に報告した。
これまで弊社のスリランカ行きのコースには、ヴィレッジサファリを含むコースは無かったのだが、
会社の上司や先輩方のおかげもあって、この度、このヴィレッジサファリを盛り込んだ新コース「8S304」が誕生した。
「スリランカを代表する4つの世界遺産☆♪牛車・スリーウィラー・ボートに乗って民家を訪問♪☆ヴィレッジ・ランチや象の孤児院訪問付き!」
ファイブスタークラブに入社を決めた時、私には、「現地の人々と触れ合うような、心あたたまる旅をつくりたい、それが仕事として実現できるのはきっとファイブスターだ」という想いがあった。
だから、自分が出張で体験したヴィレッジサファリが実際に新コースになったときには、小さな夢が叶ったような気がした。
新コースが生まれた日、会社から家に帰って、ほっと一息。
自分の小さな夢が叶ったことを、新潟に住む、実家の母に電話で報告した。
スリランカのおかあさんのカレーは最高に美味しかったけれど、
自分の母がつくったカレーもちょっと恋しくなった夜であった。
~完~
おすすめ度:
<牛車 ★★★★☆>:意外と乗ったことの無い人も多いのでは?!牛さんに乗って、田舎道をのんびりお散歩。素朴な贅沢、ここにあり。
<スリランカのおかあさんのお手製カレー おすすめMAX!★★★★★>:
スリランカのおかあさんたちはスパイスの魔術師。美味しいカレーと、おかあさんたちのチャーミングな笑顔に、あなたもスリランカの虜になること間違いなし。
<シギリヤロック ★★★★☆>:最高に美味しいカレーを最高に美味しくいただくためには、空腹という名のスパイスも必要。まずはシギリヤロックに登頂することで、しっかり運動し、お腹をすかせておいてください。
2019年2月 中村未来