初めての出張先はインド!初めてと言いつつ実は5度目のインドだったりする。
しかし今までは家族と一緒。今回は出張なので1人参戦だ。
今回巡るのはインドの王道コースであるデリー、アグラ、ジャイプール、ベナレスの4都市。特にデリー、アグラ、ジャイプールの3つの有名な観光都市は車で移動が可能なほど近くに位置している。日本で言うと北海道と東京と京都が車で3時間くらいで行けるイメージだろうか…インドが日本の約9倍の面積を持つことを考えると凄いことだ。
しかし私には一つの懸念があった。そう、何を隠そう私は大の辛い物嫌いなのだ・・・
特にカレーとはいい思い出がない。「カレー」=「子供の好物」という固定概念によって学生時代何度も苦しめられてきた。合宿でもカレー、修学旅行でもカレー、給食でもカレー・・・「給食のカレーなんて甘口じゃん!」と何度も言われてきたが辛い物が食べられない私にはそれでも十分辛く、給食でカレーが出ようものなら友人に譲り、代わりに副菜のサラダだけを食べるような子供だった。今思い出しても悲しい。
そして皆さんご存知の通りインドと言えばカレーの国!朝からカレーは当たり前だ。
果たして私は生きて帰って来れるのだろうか・・・
そんな不安を抱えつつ私のインド旅行はスタートした。
夜、デリーに到着!日本語ガイドさんと空港で落ち合って今夜泊まるホテルへ!デリーは近年急速に都市開発が進められており、今ではメトロなんかも走っているのだとか。前回この国を訪れたのは随分と前だったこともあり、デリー空港周辺の環境の変化にびっくりさせられた。
今日の夕食はバイキング。近代的なホテルということもあり、バイキングではカレー以外にも中華やパスタも食べられる。とりあえず今日の食事はどうにかなった・・・
2日目。昨夜デリーに着いたばかりだが早速国内線でベナレスへ向かう。デリーからベナレスまではおよそ820km。大体東京から広島と同じくらいの距離だが、寝台列車で12時間もかかるのだとか。学生時代から圧倒的文化系、普段の運動は家から駅までの10分ほどのウォーキング(?)のみ、休日は家に引きこもる私にそんな体力があるはずもなく、今回は(できれば今後もそうだと嬉しいが・・・)飛行機での移動となった。寝台列車で12時間以上もする距離でも、飛行機だとなんとたったの1時間半!これは便利!ウトウトしている間にあっという間に到着~!飛行機って素晴らしい文明だなあ。ガイドさんとベナレスの空港で合流して早速観光へ出発だ!
ベナレスの町は首都のデリーとは真逆。信号も無ければ、歩道と車道の境目も無く、牛が道路を悠々と闊歩しているというカオスっぷり。しかもインド人にとって牛は神聖な動物。間違ってもぶつかってはいけないので、この国では車より牛が優先される。おかげで毎日のように交通渋滞が発生し、クラクションが鳴り止まない。とても騒々しい町だ・・・
しかし結論から言ってしまうと、今回のインド旅行で私が1番気に入ったのは意外にもこのカオスの権化と言ってもいいベナレスになった。友人にベナレスのこの交通事情を話すと100%「え、なんでそんなところがいいの?」と聞かれるが、実際に体験してみないとこの面白さの半分も伝わらない気がする。
渋滞に巻き込まれ車やリキシャの間を縫うようにして歩いたり、反対車線との間にある低めの堤防に登って綱渡りの要領で歩くのは、東京育ちの私にはとても新鮮で非日常的!!何度も轢かれそうになったがそれはそれで楽しかった。
また、チャイ屋さんはベナレスを訪れるなら一度は立ち寄ってみたいところ。インドの人はチャイが大好きなので一日に何度も飲むらしい。町にも至る所にチャイ屋さんがあって熱々のチャイを低価格で飲むことが出来る。最初に訪れた店の前に牛が居たので(これ、この牛のミルクで作ってんのかな・・・)とちょっと衛生面で不安になったが、ガイドさんが私の反応を見てくるので、ええいままよ!と飲み干した。結構甘い味付けで、普通の紅茶とはちょっと違う。生姜とか入ってて独特の風味。好きな人は好きそうだ。(私は結構いけると思った)そしてチャイ屋さんで驚いたのがその器!素焼きのしっかりとした小さなカップなのだが、なんとこれ使い捨てらしい!飲み終わるとみんなゴミ箱に捨てていたのでびっくりした・・・貧しい町だと思っていたのに変なところで無駄遣いしていて面白い。土はいっぱいあるから問題ないのだとか。ちなみにお腹は壊さなかった。
道端にあるチャイ屋さん。いつも人で賑わっている
でもベナレスの魅力はこれだけじゃない。ベナレスのもう一つの顔が見られるのは早朝、太陽が顔を出し始める時間帯。ヒンドゥー教徒にとって「聖なる川」とされるガンジス川には、毎朝自身の罪を洗い流し清めようとする人達が集まってくるのだが、その沐浴風景はとても神秘的。そして私が最もカルチャーショックを受けたのが、ガンジス川に隣接するようにして建てられた火葬場の存在。ベナレスには貧しい人が多くいるということもあり、毎日のように火葬場は火を噴いているのだが、その灰はこの聖なる川に流される。実際私も沐浴風景の横で悲しみに暮れる人たちの姿を見たが、何とも言えない気持ちになった。でもこの地にいるとヒンドゥー教徒でもない私でさえ、そうやって灰を流すことで死者が本当に救われるんじゃないかという気持ちにさせられるから不思議だ。昼間は滅茶苦茶うるさいベナレスも、この時間帯だけは静けさに包まれていてなんだか同じ町とは思えない。とても奥が深いぞベナレス・・・
早朝のガンジス川で沐浴をする人たち。この日は結構冷え込んでいたので寒そうだ。風邪とか引かないのだろうか・・・
ガンジス川から見る日の出。頑張って朝早起きした甲斐があった。ハッとするほど美しい。
ボート漕ぎのお兄さんとバトンタッチ!お兄さんは軽々漕いでいたので楽勝だと思っていたが見た目以上に重労働。全然進まなかった・・・
ちなみにホテルの食事は相変わらずバイキング。さすがにパスタはなかったが焼きそばチックなものや、野菜炒めがあったので食事に関しては無問題!でもやっぱりメニューのほとんどがカレーだった。
さて、ベナレスのあとは一旦デリーに戻ってジャイプールへ!近いので車での移動だ。ジャイプールはかつて多くのマハラジャ(インドの言葉で“王”の意味)たちが宮殿を建てた土地。その宮殿の中には一般に公開しているものや、宮殿ホテルとして改装し泊まれるものもある。今回はそのうちの一つ、ジャイマハルパレスに宿泊!敷地内に入ってすぐ、無駄に大きい庭園と豪華すぎる家具に圧倒される。庭で孔雀を飼っていたりなんかいろいろと凄い。昔の王様は贅沢してたんだなぁ・・・本当の王様の暮らしと比べたらほんの一端かもしれないが、私もなんだかマハラジャ気分が味わえた気がする!
宮殿ホテルのレセプションにて。調子に乗ってマハラジャ気分の私(笑)
私が今回の旅行で密かに楽しみにしていたのが、ジャイプールにあるアンバー城。といっても、実は私の興味は城よりもそこに行くまでの交通手段だったりする。ここでは象が丘の上の城までタクシーのように運んでくれるというサービスがあり、ジャイプールの景色を眺めながら城を目指すことが出来る。象は一目で見分けられるようにそれぞれカラフルなペイントが施されており可愛らしい。象の背に乗って揺さぶられ、時には象の鼻水を被り(!?)・・・かつて王族たちがそうしたように象に乗り城の門をくぐり、大きな広場で音楽とともに迎えられる・・・とても貴重な体験が出来た。
象のタクシー。ちゃんと手すりも付いているので安心だ。王族が乗るみたいに派手に装飾された姿が可愛らしい!
アンバー城。近くで見るとびっしりと描かれた繊細な壁画に圧倒される。ここは撮影ポイントらしく、写真待ちの列ができていた。
使用人や多くの妻を抱えていたマハラジャ。お城にはたくさんの部屋があり、迷路のよう。
アンバー城内にある鏡の間。壁の穴から顔を出しているように見えるかもしれないが、これは鏡に映った私。ガイドさんが鏡の反射を利用して撮ってくれた!鏡に向かってポーズをとるのはなんだか変な気分だ
ジャイプールでの観光を楽しんだ後はアグラへ!アグラと言えばやっぱりタージマハール!多くの人はインドと言われてカレーの次に思い浮かぶのがこのタージマハールじゃないだろうか。タージマハールはムガール帝国第5皇帝シャー・ジャハーンが最愛の妻の死を嘆き悲しみ、彼女のために作らせた壮大なお墓。全面大理石で作られ、宝石が至る所に埋め込まれているその様は圧巻の一言。しかもこのお墓、完成までに20年近い歳月をかけている。死者にそれだけのお金と時間をかけるとは・・・美しく刻まれた繊細な彫刻や、青空の下眩しいくらいに存在感を放つタージマハールを見ていると、皇帝の奥さんへの想いがひしひしと伝わってくるようだ。
真っ白な大理石が青空に映える
またアグラではヘナタトゥーにも挑戦!ヘナタトゥーは「ヘナ」という植物の葉を使ったボディーペイント。2週間くらいで消えるので気楽にチャレンジ出来るのが魅力だ。アグラにはそのヘナタトゥーを描いてくれる職人さんが多くいるようで、路上で商売をしている人がよく見られる。私もその路上ヘナタトゥー屋さん(?)で描いてもらうことに!カタログで好きな柄を選んだらあとはもうあっという間。迷うことなくスイスイと描いていく。2,3時間乾かせばパリパリと剥がすことが出来るようになるので、油などをつけて剥がせば完成!思った以上に可愛らしい模様で大満足!しかもなんとこのヘナタトゥーたったの100インドルピー・・・大体日本円で160円くらいだろうか。安い・・・安すぎる・・・その値段で2週間も楽しめるのだから皆さんインドに行った際は是非とも試してみてほしい。
本当にただ道端に簡易的な椅子を置いただけのヘナタトゥー屋さん。
最初は濃い茶色だが剥がした直後はオレンジ色。それが翌日には薄茶色のような色に変化する。日本に帰ってから行く先々のお店で「ヘナタトゥーですか?」と聞かれ話が盛り上がったので、やっぱりやってもらって正解だった!
いよいよ旅も最終日!飛行機の都合もありデリーに再び戻ってきた。デリーでの今回のメインイベント・・・そう!インド人のお宅に家庭訪問があるのだ!ぶっちゃけ私はこれが一番憂鬱だった・・・。実は事前にいろいろ振舞ってくれるらしいという情報を得ていたので「え、絶対カレーじゃん詰んだ」と頭を抱えていたのだ。パスタや焼きそば、ナンばかりに逃げてどうにか過ごしてきたこのインド旅行だが、家庭訪問となると別だ。私は典型的な日本人なので「NO」と言えない性格だし、せっかく作ってくれただけに断りづらい。
しかしどれだけ悩んでも時間は経つもので、いざ当日。インド人の家族に温かく迎えられた私は、言われるがままに恐る恐るカレーに口をつける。
・・・
・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・辛くない。
というか普通に美味しい。自分で言うのもなんだが、小さいころから色々なものを食べてきたので私はすごく味にうるさい。それなのにまさか嫌いなカレーを美味しいと感じる日が来るとは・・・あらかじめ「辛い物は苦手です」とリクエストをしていたためか、ちゃんと配慮してマイルドなものを作ってくれたようだ。ありがたや・・・そしてなんとまさかのカレー完食!!家族に話すとめっちゃびっくりされるが、自分でもびっくりだ。やっぱりホテルやレストランと違い家庭的な味だったのも良かったのかもしれない・・・インド人からしたら邪道な味付けなのかもしれないが、ちゃんとインド旅行でカレーを食べられたのは私的に結構ビッグニュースだった。
インド人のお家にて。紫色の素敵なサリーを貸してもらった。
そんなこんなで私の初めてのインド1人旅は終わった。今までインドはカレーというイメージばかり先行してしまい、あまり良い印象を持っていなかったのだが、とにかくどの都市も魅力に溢れていて本当に飽きさせない国だなと思った。
次にインドに行くことがあれば、それまでに辛い物を食べられるように特訓して本場のカレーを味わい尽くしたいものだ。
<ベナレス ★★★★★>
非日常的な体験をしたいなら是非ともオススメ!良い意味でカルチャーショックを受けること間違いなしです。
<ジャイプール ★★★★★>
宮殿ホテルなどでのんびりくつろぎたい方や、お城巡りが好きな方に向いています。せっかくアンバー城へ行くなら象のタクシーは外せません!
<アグラ ★★★★>
やっぱりインドと言えばタージマハール!サリーを着てタージマハールの前に立てばインスタ映えする写真も撮れますよ!
<デリー ★★★★>
現地の人と交流してみたいなら是非インド人の家庭訪問を!また可愛い土産物屋が軒を連ねているハーンマーケットで友人へのお土産を購入してみてはいかがでしょう。
2019年4月 川崎