インドは気から!仏教の3大聖地と世界遺産5つで興奮の旅

インドは気から!仏教の3大聖地と世界遺産5つで興奮の旅


2017年も残りわずか、今年の締めにふさわしいかどうかは行ってみるまでわからないインドを訪れる機会を頂いた。
12月上旬は日本と比べて少し暖かいくらい。比較的に気候が似ているので準備はしやすい。
インドといえば以前在籍していた旅行会社ではるばる遠方からツアーの説明を聞きに来たお客様に対し
「お客さん、インドは気合ですよ!」とたった一言で接客を終わらせてしまった伝説の上司を思い出す。
インドでは気を抜くと痛い目に遭う。絡み合う人、関わるもの、降りかかることすべてに対して真剣に向き合うこと、
そして言いたことは言う、イエス・ノーをはっきり言うことが大切だと個人的に肝に銘じている。
ここ最近の旅でアクシデントが続いていたので近所の神社でしっかりとお祓いをしてもらい気合を入れ4年ぶり3度目の印度へ出発。
<アライバルビザにトライ>
インドは入国に際しビザが必要である。事前に取るのが一般的だが今回はアライバルビザで入ることにした。
アライバルビザはデリーなどの主要空港に限って可能なのだがまだその実情がわからないので今後の参考に
トライしてみた。結論から言うと手際の悪さから時間がかかりイライラするのであまりお勧めできない。
まず事前に航空会社のホームページにリンクされているシートに記入。
これは到着後でも可能だが項目多いので前もって書いておいた方が楽かと思う。
イミグレーションは3種あり、手前からビザありの人、その隣がEVISA、さらに奥にアライバルビザと別れる。
たまたまなのだろうか、自分の前に日本人が10人近く並んでいるのに係員1名しかいない。
写真と両手の指紋を取ったり、支払い(インドルピーの現金またはクレジットカード)したり書面のチェックまで
一人当たり10分以上かかるため、到着してから90分以上、ここで予想以上の時間を費やすハメになる。
さらに入国が遅れたため、ターンテーブルにあるはずのバゲージが勝手に遠いところに持っていかれて、
それを探すのに30分近くかかる。旅慣れた人、気が長い人、誰も待たせていない人であればいいかもしれないが
手数料は少し安いだけなので初めてのツアーで行くのであれば事前に取得した方が良いと思う。
<仏教の聖地・ブッダの歩いた道を辿る>
人口の8割以上がヒンズー教のインドだが仏教発祥の国である。
4大仏跡を含むインドの8大聖地は
①ルンビニー・・・ブッダ生誕の地。
②ブッダガヤ・・・悟りを開いた地
③サルナート・・・初めて説教をした地
④ラージギル・・・布教の地。
⑤サヘート・マヘート・・・教団本部の地。
⑥ヴァイシャリ・・・最後の旅の地。
⑦クシナガル・・・入滅の地。
⑧サンカーシャ・・・昇天の地。
ブッダの歩いた道を順番通り巡るのが良いのだろが今回は順不同。
最初にサルナート、次にブッダガヤ、最後にラージギル、この3つを訪問した。
ちなみにファイブスタークラブには8つすべて周るツアーがある。


<まずはサルナートへ>
デリー経由でべナレスに入り、早朝のガンジス河の沐浴風景を見学してから車でサルナートへ。
ここは4大仏跡の一つに数えられているブッダが最初の説法をしたと言われる聖地。

訪問順は前後するがブッダガヤで悟りを得たブッダはサルナートを目指し長い道のりを歩いた。
ここで昔の修行仲間5人と再会し彼らに説法をしたことで初めて言葉となり、教えとして世界に広まって行った。
巨大なダメークストゥーパ

アショカ王の石柱

戦前に日本人画家・野生司香雪が仏伝図を仕上げたムルガンダ・クティ寺院

<次にメインのブッダガヤへ>
ベナレスのムガールサライ駅から列車に揺られること約4時間でブッダガヤへ
仏教はこのブッダガヤから生まれ、日本を含む世界に広がっていった。
到着後、遅いランチを取ってスジャータ村へ。

周りに何もないのどかな村で偶然目が合った印象的な老人

スジャータといえば褐色の恋人と白い広がり、あのコーヒーに入れるミルクを思い浮かべるほど日本人には馴染みのある名前だ。その商品名の語源ともなっているスジャータ村。


シッダールタ(のちのブッダ)は人間の
4つの苦しみである生・老・病・死の答えを求めて出家をした。前正覚山にこもって苦行を続けたある日、
身体がひどく弱った。山を下りて尼連禅(ニランジャナ)川を渡った村でスジャータという名前の娘から乳粥をもらい
疲労が回復した。その後、ブッダガヤに辿り着いたという。

大きな菩提樹の木の下で深い瞑想の後、
悪魔の誘惑を退けて悟りを開き、目覚めた人という意味であるブッダと呼ばれるようになった。
<世界遺産ディー寺院>
8つある聖地の中でも最も重要なところと言われているのがブッダガヤのマハーボディー寺院で世界遺産にも登録されている。

この寺院の菩提樹の木陰でブッダ49日間の瞑想をして悟りを開いた。チベット、タイ、ミャンマー、スリランカなどの近隣国をはじめとする世界各国の仏教徒が数多く祈りを捧げに訪れる。

列車が大幅に遅れたため到着は夜。ライトアップされていて綺麗。靴を脱いで入る。

寺院のすぐ裏側にある菩提樹とその下に置かれた金剛座。

この菩提樹の下でブッダが瞑想に入り最終的に大いなる悟りを得たとされている。金剛座が祀られているところはブッダが座していたとされる場所。日本の某宗教団体の教祖の不行儀のせいで現在は周りが柵で囲まれている。

たくさんの仏教徒が静かに祈りを捧げていたり瞑想したりしている。寺院は広く、他にも、ブッダが沐浴したという蓮池や、
奉納されたストゥーパ(塔)など見る所が多い。



<ブッダが出家後に修行した地・ラージギル>
翌朝は早起きしてブッダガヤの北のラージギルへ。車でおよそ1時間半、ラージギルへ。ここインド最初の統一王朝である
マガダ王国の首都ラージャグリハがあった場所

晩年のブッダが滞在し多くの説法をしたと言われるグリッド
ラクータ山(霊鷲山)の山頂は仏教徒にとっての聖地。入口から山頂まで階段を登り歩いておよそ20分。


その路上には麓の村から上がってきた物乞いの人数が半端ない。複雑な思いを抱きながら山頂を目指す。その眺めは絶景だ。

ラトナギリ(多宝山)が見える

白い仏塔は日本山妙法寺。
ブッダが弟子たちに法華経を説いたと言われている山頂に着き靴を脱いで入らせていただく。

天気は快晴。風も心地よいが不思議な緊張感がみなぎる。ここでこの瞬間に何を思ったら良いのだろうか?
特に心の準備をしてなくいろいろなことが頭をよぎり落ち着かない。失礼の無いよう、前の人の祈り方を観察してみる。
深く伏せる人、目を閉じてただ手を合わせる人、特に決まりはないらしい。そして自分の順番だ。
失礼にならないよう、どうしても形にこだわってしまう。ガイドさんにも言われたが祈りかたに決まりはない。
気持ちの問題だと。気持ち、気持ちと何度も念をおされる。金額も決まりはない、みんないくら入れてるのだろうか?
よくわからない、神社の初詣と同じ感覚なんだなと。あくまで気持ち、気持ちというので日本の千円札を1枚入れたら
もう1枚入れるように言われた。なんだ、決まりあるじゃん、と心の中でつぶやきながらおよそ1分間祈ってみた。
やはりここはインドだ・・・

山の近くにはマガダ王国のビンビサーラ王の牢獄があった場所

今は何もないさら地。
王がブッダの教団に寄進した竹林精舎跡

周りを塀で囲まれ、中央には沐浴のカランダカ池があるとても静かな公園。

地元の男の子たちと記念撮影

<世界遺産・ナーランダへ>
午後からは仏教大学の遺跡があるナーランダへ
ラージギルから北に車でおよそ30分、ブッタが説法を行ったとされる場所を目指した。

ナーランダ大学は仏教教学の拠点として5世紀に建てられた世界最古の大学の1つ。仏教を学ぶ上で重要な地で
7世紀には西遊記で有名な玄奘三蔵法師も学んだことのある由緒ある大学。

ここでは仏教だけでなくバラモン教や哲学、天文学なども研究する教育施設として多くの学生が学んでいた。
1万人以上の生徒が在籍していた7世紀頃が最盛期で当時としては世界最大級の大学だったと言われている。

12世紀にイスラム教徒から攻撃を受けて大学内の施設や経典、多くの書籍、研究原稿が消失してしまった。
同時に多くの仏教徒が命を落としたため、インド仏教は徐々に衰退していった。
現在の遺跡は当時の六分の一の規模で寺院の跡が14カ所、僧院の跡が11カ所発掘されている。
かつての繁栄をうかがい知ることができることから2016年に世界遺産に登録された。


<世界遺産ビーマベトカ岩壁画とサンチー遺跡>
翌日は列車で約7時間かけてボパールへ。


ちなみにこの前の日はパトナからカジュラホへの移動が12時間強。初めてインドに来た時はは列車に乗ることが楽しみであったがほぼ毎日で6回目ともなるともはや楽しみから苦痛の時間に変わってしまった。
それくらいよく遅れる、予想はしていたがまず時間通りには動かない。あらためて日本の鉄道は素晴らしいと思う。
広いインドのほぼ真ん中に位置する湖の美しい街ボパール。他のインド都市と比べて道が綺麗でインドらしくない印象を受ける。国立あたりの甲州街道を走ってるような街並みが心に残る。道中にはインドのセンターであることを示す北回帰線がある

ボパール自体は観光地ではなく、近郊にある2つの世界遺産へのゲート都市として滞在する。
朝早くドライバーが迎えに来る。途中で英語ガイドと合流し最初の目的地である世界遺産のビーマベトカの岩陰遺跡へ。

ボパールのホテルから南に約50キロ、車で1時間ちょっとかかる。チークの木に覆われた敷地内には5つの岩塊、400以上ものロックシェルターがある。ガイドブックを見ても世界遺産の割には扱いが小さいのであまり期待していなかったがこれがとんでもない期待外れ。今回の旅の中で1番良く、じっくり時間をかけて過ごしたい、デートや散歩に最適、
そんな思いがする場所だった。





壁画といえばフランスのラスコー洞窟、スペインのアルタミラ洞窟、オーストラリアのカカドゥ国立公園が有名だが、
ここインドにもこんなに素晴らしい壁画があることに驚く。大きな岩壁に1万年以上前の石器時代から紀元後に至るまでに
描かれた数百の絵を見ることができる。人物や動物、狩猟の様子などから当時の生活を伺うことができるという。









壁画に使用されている顔料は草木や動物の血などを混ぜた天然塗料とのこと。長い年月絵を経ても褪せることなく鮮やかな色彩を放っていて感動的だ。ただ古いだけでなく人間社会が作られて発達していく過程が描かれているのが
見どころ。ほぼ一緒に歩いたフランス人のご夫婦と

出口で遭遇した地元の小学生に囲まれ記念撮影。

ランチの後はサンチーにあるインド最古の仏教遺跡へ。

一時期繁栄した仏教は13世紀初頭にイスラム教勢力の侵入によって壊滅状態となり、この遺跡も14世紀以降は廃墟となり忘れ去られてしまったが19世紀の初めに発見されその後20世紀になってイギリスの考古学者の発掘や調査によってやっとその全貌が明らかになり現在へと至っている。1989年に世界遺産に登録された。
インド最初の統一国家を築きマウリヤ王朝に最高の栄光をもたらした第3代目のアショカ王が紀元前3世紀に
中央にある第一ストゥーパ(仏塔)を造った。

このストゥーパは高さ16メートル、直径37メートルの規模を誇りほぼ完全な形で残されているのが大きな特徴。

ストゥーパの周りはトラナと呼ばれる日本の神社の鳥居に似た塔門が四方に置かれている。
トラナとトリイ、確かに発音も似ている。

塔門をじっくり見ると、一つ一つに表情がありブッダの生涯や前世の物語が様々な方法で繊細に彫られて残っている。

俗人でもすぐに到達できることを示している欄楯(らんじゅん)

時計回りに巡礼ができるよう通路が施されている。

すぐ脇にあるストゥーパ第3塔

ここには専門の英語ガイドが数人常駐している。同行のガイドがあまり詳しくないので彫刻の詳しい説明は常駐ガイドが
代わってしてくれた。
以上が今回の旅の主なポイント。この他にも世界遺産のカジュラホ遺跡で噂のエロチシズムを肉眼で堪能することができた。機会があればもう一度じっくり時間をかけて考えてみたい遺跡であることは間違いない。
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最後にデリーを観光。ちょうど日曜日に当たったのでチャンドニーチョウクの問屋街がひっそりとしていて珍しい写真が撮れた。


れっきとした公衆トイレは臭いが強烈で息を止めずにいられない

表通りはとにかく人が多い。ホコリとクラクションと叫び声、やはりここはインドなんだなと実感し興奮せずにはいられない。


以上、歴史と宗教と文化の素材に溢れたインテリジェンスな旅でした。
思い起こせば7年前、初めてのインドに興奮し刺激の強いものを食べすぎたためひどい腹痛と下痢の洗礼を浴びました。
今回は過去の苦い経験を生かすべく食事の制限と薬の服用、そしてお祓いの効果で体を壊すことはなく無事に旅が終わりました。ブッダガヤのあるビハール州はアルコールが法律で禁止されているのでホテルですら飲むことができません。幸か不幸かそのおかげで出来ず、やらずじまいの休肝日をようやく今年初めて3日間設けることができました。
最後になりますが、やはり良い旅を演出してくれるのはガイドさんとドライバーさん。
今回は多くの方にお世話になりました。旅をしながらいろいろなことを見つめ直すことができ
1年を締めくくる良い旅になったことに感謝いたします。







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★★★★ ビーマベトカの岩陰遺跡・・・自然と歴史。インドの素晴らしさを感じてください。
★★★ ラージギルのグリッドラクータ山(霊鷲山)・・・山頂の独特の空気を
是非体験して頂きたい。
★★★ スジャータ村とマハーボディー寺院・・・仏教を理解するのに最強の聖地。菩提寺は必見
(2017年12月 櫻本竜一)
このエリアへのツアーはこちら

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