私にとって5回目のアフリカの旅。これまでモロッコ2回、エジプト、ケニアを各1回訪れましたが、旅の目的はそれぞれ全く異なりました。広いアフリカ大陸なので当然のことでしょう。
そして、今回の旅は、2回目のケニアと初めてのジンバブエ、ザンビア、ボツワナの計4か国の旅です。そして、その目的はサファリと滝の2点でしたが変化に富んだ旅を楽しむことができました。
滝とは、ビクトリア滝のこと。写真では何度か見たことはありましたが、写真の通り台地がぱっくりと割れたような状態がはっきりとわかる迫力に満ちた光景でした。まさにバキッと裂けた状態。すごかったです。これにて世界の三大瀑布を制覇。ナイアガラ、イグアス、そしてビクトリアの滝。それぞれに特徴があり、どれが一番なんて優劣をつけることはナンセンス。あらためてそう思いました。
そしてもうひとつの目的が動物観察です。それでは順にお話していきましょう。
ナイロビ空港に到着して、そのまま向かったのはナイバシャ湖。大地溝帯の谷に沿って約90キロ、車で約1時間半の距離にあります。大地溝帯とは、グレートリフトバレーとも呼ばれ、幅約50~60km,全長約6400kmにわたり,北はイスラエルから南はモザンビークまで延々と続きます。現在もこれに沿って活火山が分布していて地震が多いのだそうです。
大地溝帯の展望台
湖の周辺に巨大な温室がいくつもあるのが見えました。日本では見たこともないような巨大な温室です。ガイドさんに聞くと、たくさんの花農園があり、中でも輸出用のバラの栽培が盛んなのだそうです。
ナイバシャ湖では、ボートサファリが有名です。専門のガイドさんが小船で湖を案内してくれます。バードウォッチングの聖地と呼ばれるほど野鳥の種類も生息数も多く、欧米の野鳥の会が開催するバードウォッチング世界大会の開催地にもなっています。
湖畔でお昼寝するカバ
ウォーターバック
ペリカン
振り返りそうなマラブスト
散髪したてのようなハマコップ
鮮やかな黄色が美しいイエロウィク
ボートサファリは果てしなく広がる湖をボートでゆったりと移動するのでとっても気持ちが良いです。天気もよかったのでなおさらでした。ここは鳥類の天国でもあり人類の天国でもありました。
そしてそして、このガイドさんは凄かったです。目が良いのと鳥の名前をよく知っているので驚きでした。ガイドさんなんだからあたりまえかもしれませんが、好きじゃないとできない仕事だと思いましたし、好きなことを仕事にしているのは羨ましい限りです。そんなことを言っている私も観光することを仕事にしているのでありがたいことです。はい。
そんなことを思っているとガイドさんが突然口笛を吹き何か合図を送っています。すると遥か遠くの木にとまっていた、黒と白のツートンカラーのアフリカンフィッシュイーグルがこちらに向かって飛んできます。そこでガイドさんが用意していた小魚をすかさず湖に放り投げました。遅れてくると数十秒。そのアフリカンフィッシュイーグルは水中に沈みかけたその小魚を鋭い足の爪で正に鷲掴み。見事にキャッチして飛び去っていきました。こんな野生動物とのコラボレーションも魅せてくれるボートサファリでした。また、遠くで小さなキングフィッシャーが湖の上でホバーリングしているのをガイドさんが見つけました。「あいつは魚を狙ってるよ」とガイドさん。するとほどなくそのキングフィッシャーは急降下して小魚をゲット。キングフィッシャーは言うに及ばず、タイミングよくそれを見つけたガイドさんもお見事!
いいもの見せてくれてありがとう!ガイドさん!!
お見事です!アフリカンフィッシュイーグル
キングフィッシャー
残念ながらワニは見つけられませんでしたが昼間は水中で寝ているはずのカバが湖畔に巨体を晒してお昼寝していたのと、いつものように水中に数頭固まって昼寝するカバを見られました。私がここを訪れる数週間前に観光客がカバに襲われ死亡するという悲しい出来事がありました。一見おとなしそうに見えるカバですが必要以上に近づくと危険なのだそうです。そういえば、カバを見つけた時のガイドさんの表情はこころなしか緊張していたように見えました。
近づくと恐いカバ
ボートサファリを終えたら次は別のお仕事です。ナイバシャ湖畔のホテル、ナイバシャ・ソパ・ロッジの見学です。マネージャーさんに連れられいくつかのお部屋を見せてもらいました。旅行会社のスタッフとしてホテル見学も重要なお仕事です。その時に撮影した写真をご紹介しますので、是非、今後のご旅行計画の参考に役立てていただければと思います。
ワンランク上のスーペリアクラス「ナイバシャ・ソパ・ロッジ」
このロッジの前庭は広い芝生が広がっています。夜になるとナイバシャ湖から上がってきたカバたちがその芝生の草を食べに来るそうです。そんなカバを近くで撮影しようとした観光客が襲われてしまったのです。夜は武装した警備員さんと同伴じゃないと本館とロッジの間を往来することができないそうです。さすがアフリカです。
突然話は変るのですが、私の出身地、宝塚にはかつて宝塚ファミリーランドという動物園、植物園、遊園地が一体となった一大テーマパークがありました。そしてお隣の西宮にも阪神パークと言う同じような施設があり、子供のころは何度も訪れたものでした。いわゆる動物園です。しかし、大人になるにつれ訪れる機会は減っていきました。私の動物園の中での一番のお気に入りは猿山です。何十頭ものサルが思い思いに過ごす様が面白く、蚤の取りっこをするサル、喧嘩するサル、立ったまま寝るサル、猿山の遊具で逆さ吊り状態のサル、泳ぐサル、ひたすら走るのをやめないサル。いろんなサルがいて飽きるまでに長い時間がかかったのを覚えています。もちろんゾウやライオン、トラ、ヒョウなど大物もいましたがじっとしている動物たちを見てもあまり心はときめきませんでした。
そして、今回の旅の次の目的地はマサイマラ動物保護区です。ナイバシャ湖からは約6時間の車の旅です。2018年10月現在、道路は建設中ではありますが大半は舗装されておらず、腕やお腹の筋肉を鍛えることができるエクササイズを兼ねた移動となりました。
我らがサファリカー
世界でも有名なマサイマラ動物保護区は面積の広さが特徴で、最大の魅力は何といっても動物の種類の多さにあります。「できるだけ多くの動物を観たい!」それを叶えてくれるのがこの動物保護区です。ベストシーズンとしては雨季と乾季の端境期前後がおすすめですが、その他の時期でも緑あふれる美しい絶景の中で動物たちを観察することができます。また、マサイマラ動物保護区はアフリカゾウ、ヒョウ、サイ、バッファロー、ライオンの5つの動物を指すビッグファイブが生息しています。どの動物に出会えるか、期待に胸が膨らみますね。ケニアのサファリならまずは野生動物の宝庫、マサイマラ動物保護区がおすすめです。
仕留められたバッファローに群がるハゲタカ
ヌーに群がるハゲタカ
ライオンに仕留められたヌー
案内してくれたガイドさんは流暢な日本語を話すジョンさんです。とっても愉快なガイドさんでした。ナイロビ空港で初めて会ったときは英語からスタート。駐車場に移動するときから日本語を話してくれるようになりました。きっと、私の英語はダメだなこりゃと判断したのでしょうね。駐車場から車を出してさあ出発というときに、「あっ、いっけね。忘れちゃった」と小さな声の独り言。とっさに日本語が出てくるのだから日本語能力は高いのだなと思っていたらその通りでした。とても頼りになるドライバー兼ガイドさんでした。ジョンさんにガイドしてもらえてよかったです。
ガイドのジョンさん
サファリの成果を先にお話させていただくと、ガイドのジョンさんが言ってくれたのですが、私はラッキーだったようです。マサイマラ動物保護区でいろんな動物に出会えました。また、衝撃的な弱肉強食の世界も垣間見ることができました。
その辺りは言葉で説明するより写真をご覧ください。また、動物だけじゃなく、母なるアフリカ台地の美しい大自然も堪能することができました。天気の良い日にどこまでも広がる草原を眺めるのは本当に気持ちがいいです。それだけでも来る価値があるというものです。
バッファローを仕留めたばかりのライオン
横取りされないよう?獲物を動かそうとしている
ビッグファイブのひとつバッファロー
我々に気付いたチーター
木陰で暑さをしのぐチーター
マントヒヒ
マングース
マサイキリン
シマウマ
実は狩りに失敗した直後のライオン
シマウマとヌーの大群
カバの群れ
本当に気持ちいいです
サファリを終えてナイロビに戻りました。マサイマラ動物保護区から約7時間。ランチの予約に間に合うように強行軍での移動です。しかも悪路を。
ジョンさんありがとうございます。お疲れ様でした。
さて、そのランチですが、海外からの旅行客専用のレストランで「カーニバル」に連れて行ってくれました。
「いろんな種類の動物のお肉が食べられるレストラン」が売りで、その内容は動物大国ケニアならでは。今回、私がいただいたのは、ダチョウ、ヘビ、ワニが珍しいどころだったでしょうか。形態は、南米のシュラスコレストランと同じで店員さんが串に刺さった肉をテーブルまで持ってきてくれてスライスしてお皿に乗っけてくれます。
この日は仕入れできなかったのでしょう、シマウマやガゼルも出てくることがあるそうです。
日本人にとって変わり種の肉ばかりでなく、ビーフ、チキン、ポーク、七面鳥も出てきますのでご安心を。
肉専門レストラン カーニバル
いきなり入り口に肉焼き場
食べ放題のサラダとソースとトッピングのチーズやにんにく
ダチョウの肉
ワニの肉
ケニアの旅を終えた私は、早朝に空路ジンバブエへ。ビクトリア滝を見るのが目的です。
世界の絶景スポットとして有名なビクトリア滝は、ジンバブエ共和国とザンビア共和国の国境にある滝でユネスコの世界遺産に登録されています。イグアスの滝、ナイアガラの滝と共に世界三大瀑布のひとつに数えられ最大落差は105メートル、幅は1708メートルと世界最大規模の滝です。ジンバブエ側からは滝の全長を見渡すことができ、例年、水量が最大となる4~5月前後はすさまじい迫力の景観です。水量が最も少なくなる11~12月でも幅85メートルのメインフォールでは轟音と共にスクリーンのように流れ落ちる滝に感動することでしょう。ヘリコプターで滝の全景を眺める空中お散歩もお奨め。勇気のある方は国境に架かる橋からバンジージャンプもできます。
ガイドさんと一緒にビクトリア滝の観光を終えた私は、ガイドさんに奨められるままビクトリア滝空中散歩の旅へ。そう、ヘリコプターで空からビクトリア滝を眺めます。ほんの20分ほどですが、空からの景色はまた格別でした。代金はUS$160。そんなに高くはないと思ったのは気のせいでしょうか。その場にいると金銭感覚が狂ってくるのかもしれませんが、
乗ってよかったのは言うまでもありません。
後日、ザンビア側からもビクトリア滝を眺めましたが、天気もよく、滝に映る虹が本当にきれいに見えました。感動です。これもまた、写真でご覧ください。言葉は要りません。
ザンビア側の人気アクティビティで、デビルズプールツアーがあります。滝をボートで移動して一部泳いで滝が落ちるぎりぎりのラインにあるデビルズプールに移動するツアーです。これは当社の他のスタッフが体験していますので、是非、そちらをご覧ください。
そして、今回の旅の最後の訪問地であるボツワナのチョベ国立公園です。
南部アフリカに位置するボツワナ共和国のチョベ国立公園は、ビクトリア滝から近いため一度の旅行で簡単にビクトリア滝とチョベ国立公園をセットで観光することができます。公園内には豊富な水量を誇るチョベ川が流れていて野生動物の宝庫と呼ばれています。見どころはゾウの数の多さで推定12万頭と言われる世界有数のゾウの密集地帯として有名です。水上と陸上両方からのサファリが楽しめるのが特徴で、ボートサファリではカバやワニ、多くの野鳥など水辺に生息する野生動物たちを眺めるゆったりピースフルなひとときを味わえます。ベストシーズンは植物が枯れる乾季の5~11月です。雨季の12~4月も鮮やかな緑と美しい花が咲くなかでサファリを楽しむことができます。
ワニはすぐそこ
クドゥ
バブーン
カバ
マサイキリンの群れ
ゾウを観察していて私なりにゾウの生態に気付いた点がいくつかありました。
子ゾウもいるゾウのファミリーが川を渡ろうとしていました。ふと先を見ると一頭のゾウが川をどんどん渡っていきます。ファミリーの何頭かのゾウがその様子を窺っているように見えます。そして、先に行っていた一頭のゾウが川を渡り切った瞬間、ファミリーのゾウは順番にしかも一列になって川を渡るではないですか。驚きです。きっとお父さんゾウが先に渡って安全を確認して他のファミリーが川を渡りやすいようにしたのではないでしょうか。
まず一頭が川を渡る
その後一列で川を渡る
ゾウは水浴びが好きです。泥まみれの水を長い鼻を使って上手に身体に塗りたくります。時には泥だらけの水に入って身体全体で泥を塗りたくります。それを終えた一頭のゾウが泥水の窪みから出ようとすると別のゾウがそれを阻止するのです。まるで嫌がらせをするように。足を滑らせて再び窪みに落ちたゾウはしかたないのでまた身体に泥を塗りたくります。まだ足りないよと教えてくれているのかもしれませんね。
ちょっと調べてみたのですが、ゾウの泥遊びには理由があって、身体に泥を塗ることによって肌が過度に乾くのを防いているそうです。人間の泥パックのようなものですね。
だから、仲間を窪みに落としたのではなく、まだ泥が足りないよと教えてあげたのでしょうね。
泥パックするゾウ
子ぞうは好奇心旺盛でサファリカーに近づいてきます。きょとんとしたような表情で我々人間を観て群れに戻っていきます。その様はとてもかわいかったのですが、望遠レンズにしていた私は、距離が近すぎてその表情を写真に収めることができませんでした。残念。
大人のゾウもすぐ近くまでやって来る
そして、最後に。
骨と皮になってしまった動物の周りにゾウのファミリーが群がっています。その中の一頭のゾウが長い鼻で骨を動かそうとしています。そこでガイドさんに聞いてみました。骨と皮になってしまった動物の死骸は、そのファミリーの一員だった若いゾウなのだそうです。若くして病気で死にました。その死骸のある場所をそのファミリーは定期的に訪れているそうで、私は、もしかしたら生き返るのではないかと期待をしているのではないかとふと思いました。ガイドさんに聞いてみたかったのですが、英語力不足で聞くことができません。残念です。
死んだ家族の死に場所を定期的に訪れるゾウの家族
というわけで、子供のころ私は、猿山のサルを飽きもせずずっと眺めていました。そして、大人になってアフリカを訪れた私は、ゾウの群れを飽きもせず、ずっと眺めていました。
ゾウは面白いです。お友達になりたいなと思いました。
では、最後に、ビール党の私が今回の旅で飲み干したビール特集です。
ここまでケニア
ジンバブエ
行ってませんがナミビア
【旅人】
2018年10月3日~11日
森 裕
マサイマラ動物保護区 ★★★★★
厳しい野生動物の世界を身近にみることができました。大自然を強烈に感じることができるサファリが大好きになりました。
ナイバシャ湖 ★★★★★
好天の中でのボートサファリは本当に気持ち良いです。何度でも体験したいですね。
たくさんの野鳥がいますのでバードウォッチングファンにはたまらない場所でしょう。アフリカンフィッシュイーグルやキングフィッシャーがカッコイイです。
ビクトリア滝 ★★★★★
水量が少なめの10月ではありましたが、迫力満点の景観でした。時折強風が吹くと大自然のシャワーです。行く時期によってレインコートがないとどうしようもないでしょう。
有料で貸してくれますので安心してください。xc
チョベ国立公園 ★★★★★
水陸両方からサファリが楽しめる贅沢な場所です。巨大なワニが至近距離に。野鳥もいっぱい。また、世界一のゾウ密度の高いエリアで、ゾウのいろんな仕草や表情を身近で楽しめます。視界いっぱいに広がる緑の大地が目と心に優しいですね。