映画ロケ地で人気のチュニジアは波乱万丈の国なんです。

映画ロケ地で人気のチュニジアは波乱万丈の国なんです。


オング・エル・ジュメルの夕日

北アフリカというより地中海沿岸の国と呼ぶのがぴったりするチュニジア。海を超えすぐ前にはシチリア島があり、イタリアも目の前だ。その絶好の地理的条件や肥沃な土地ゆえにいくつもの支配者にとって代えられ歴史のただ波をさまよってきたチュニジア。それゆえ他の国では味わえない魅力に溢れているのだ。フェニキア人が到来し紀元前8~3世紀には貿易大国カルタゴを作り上げ、その後ローマ帝国によって滅亡され紀元前1世紀から6世紀までローマ帝国第3の都市に成長。ローマの穀倉庫としてローマを支えた。少しのビザンチン帝国支配後、アラブ人による支配が始まり、オスマン帝国による支配、19世紀に入ってフランス保護下に入り1956年に独立を勝ち取りジャスミン革命を経て現在に至るのである。波乱万丈の歴史の中で様々な文化が融合してきたチュニジア、面白くない訳はないのだ。


スースのメディナ

前ぶりが長くなったが、そんなチュニジアを北から南までほぼ1000㎞を駆け足で回ってきた。まずはチュニジアの玄関口、チュニスに到着。首都・チュニスは「グリーンシテイ」と呼ばれるほど緑豊かな街だ。実際ローマの穀倉庫だっただけあってチュニスを含め中部以北は緑豊かな肥沃な土地が拡がっていてオリーブ畑が延々と続く1時間半のドライブで1日目の目的地スースに到着。世界遺産に登録されているスースのメディナはのんびりしたひと昔前に戻った感じがした。目の前に広がる海が開放的な雰囲気を醸し出しているのだろう。


マトマタの展望台


チュニジアの若者たち


シディ・イドリス


シディ・イドリス


シディ・イドリス スターウォーズのロケ地


シディ・イドリス レストラン


穴居住宅でのパンとはちみつ


穴居住宅のおばさん

2日目はクサール・ギレンまでの400㎞のロングドライブ。途中、アラブ人に追われた先住民族ベルベル人の避難地で、穴を掘って側面の横穴に住宅を作り隠れて暮らしてきたマトマタへ。町の入り口にある展望台では地元の若者の歓迎を受けた。日本人が珍しいのか白髪が珍しいのか私と一緒に写真を撮ってくれと急に人気者になってしまった。マトマタは何といってもスターウォーズの最も有名なロケ地。スターウォーズ第1作目に登場するルーク・スカイウォーカーの家として撮影されたのが「シディ・イドリス」。ルークが育った家であり、ラーズおじさんの家のダイニングとしても撮影され、人気の観光スポットとなっている。今はスターウォーズバーやレストランとしても営業中だ。今でも穴居住宅では少数のベルベル人が自給自足の生活をしているのを見学することができる。地元のおばさんが焼いてくれたパンにはちみつをつけて美味しく味わったことと、おばさんのなんとも言えない可愛い笑顔が忘れられない。


ラクダサファリ


サンドバギー


ラクダとガイドさん


パンシーキャンプ


パンシーキャンプの部屋

夕方サハラ砂漠のど真ん中にあるオアシスの小さな村・クサール・ギレンに到着。早速1時間のラクダサファリに挑戦。あいにく若干の砂嵐で見通しは良くなかったが、果てしなく続く砂漠となだらかな砂の波が心地よく感じた。若者たちはサンドバギーで砂漠サファリに興じていた。泊りはホットシャワー・冷房・トイレ完備のデラックステントホテル「パンシーキャンプ」。外観はテントだが部屋の中はホテルそのもの。砂漠の真ん中でなんと贅沢なことよ。


クサール・ギレンの日の出


クサール・ギレンの砂漠が赤く変わっていく


パンシーキャンプのスタッフ

翌朝は早起きして朝日の昇るのをホテル内の展望台で待った。前日とは違って晴れやかな空が広がっている。やはり晴れ男の本領発揮である。周囲360°の砂漠の景色が朝日を浴びて徐々に赤くなっていくのを見ていると幸せな気分になるのはなぜだろう。極上の景色をありがとう。ホテルのオーナーやスタッフと握手をしてクサール・ギレンを後にした。


塩の湖


塩の湖の道


ミデス


タメルザ渓谷


タメルザ渓谷のグランド・カスカド


シェピカ村


シェピカ村の渓谷


シェピカ村の泉

3日目は今旅行中で最も過酷なスケジュールだ。クサール・ギレンを出発し砂漠のベースタウン「ドゥーズ」を経由して「塩の湖」に、そして峡谷めぐりへと出発。塩の湖(ジェリド湖)は5,000㎞²の広さを誇る北アフリカ最大の塩湖だ。この塩湖を境にして、北側が岩の砂漠、南側が砂の砂漠と自然環境が変わる。南のケビリの町から北のトズールまでを結ぶ全長96㎞の直線道路が湖の上をわたり、延々と続く道の両側には製塩所もあちこちに目にする。トズールを通過して山岳オアシスの村々の中の1つ「ミデス」を訪れる。ここは映画「イングリッシュ・ペイシェント」のロケ地で人気のバルコニー・オアシスだ。空に突き出た岩壁が印象的だ。次に向かったのは「タメルザ渓谷」。さほど大きくない滝だが名前は「グランド・カスカド(大滝)」がある。砂漠では大変な水量なのだ。山岳オアシス最後は「シェピカ村」。ちょっとしたハイキングコースになっており、ナツメヤシの林を小川に沿って歩いていくと谷底の泉まで下りていく。山岳とナツメヤシがマッチングして絵になる村だ。


オング・エル・ジュメルのサンセット


オング・エル・ジュメルで車に上って夕日鑑賞


オング・エル・ジュメルでラクダに乗って夕日鑑賞

本日最後は、「オング・エル・ジュメル」。スターウォーズとイングリッシュ・ペイシェントのロケ地として人気だが、夕日の名所でもあるのだ。なんとか日没前に到着すると、ビックリするくらい沢山の見物客が砂丘の上に集まっている。ある人は車の屋根の上に立って、ある人はラクダに乗ってサンセットの瞬間を待っている。そして大きな歓声とともに日が沈んでいった。


スベイトラ


スベイトラ


スベイトラ

4日目は予定には含まれていなかったが、急遽ガイドのサブさんに頼んでビザンチン帝国の遺跡「スベイトラ」を見学した。広大な敷地にまばらな人影しか見えず、神聖な空気が静寂の中で漂っていた。ほぼ中央にはミネルバ、ジュピター、ジュノーの3つの神殿が悠然とそびえていた。無理して来てよかったと本心思った。


ケロアンのメディナ


ケロアン・メディナのグランドモスク

スベイトラを後にして、100㎞離れた世界遺産の町「ケロアン」へ向かう。7世紀に北アフリカのおけるイスラム発祥の地として建設された。今も聖地として多くの巡礼者が訪れる。見どころは何といっても高さ8m、厚さ2m、周囲約4㎞の城壁に囲まれたメディナ(旧市街)。産地としても有名なカーペットをはじめとして様々なお店がところ狭しと並んでいるが、どこか田舎ぽいというか素朴な雰囲気の旧市街だ。


カルタゴ遺跡


カルタゴ遺跡でのロケ

5日目最終日はチュニス。チュニスと言ったら先ずはカルタゴ遺跡は外せません。現存する遺跡は約2000年前のものとは思えないほど立派な状態で残っている。特に保存状態の良い「アントニヌスの共同浴場」はカルタゴ遺跡のハイライトだ。丁度見学中に映画のロケが行われていたがやはりカメラ映えするところだからだろう。


シティ・ブ・サイト


シティ・ブ・サイト


シティ・ブ・サイトから見える海

次は世界で最も美しい町の一つ「シティ・ブ・サイト」へ。「白と青の小さな楽園」の別称を持つとおり、白い壁と青い扉の家々が並ぶ小路を抜けると、地中海の海と空が広がっている。まさに楽園だ。


ハビブ・ブルギバ通り


マルセイユ通り


チュニスのメディナ


チュニスのメディナ

チュニスの中心部に戻り、驚いたというか想像以上というか、通りの華やかさには感動した。本家のパリのシャンゼリゼ通りに引けを取らない。メイン・ストリートの「ハビブ・ブルギバ通り」の中央には街路樹の木立が続く遊歩道が設けられまるで公園のようだ。独立広場の西側から名前を「フランス通り」と変えまさにフランスだ。ハビブ・ブルギバ通りと交差する「マルセイユ通り」などはどこのヨーロッパの街の通りにも負けない美しさだ。チュニスのメディナがまたいいのだ。地元の人にとっても重要な市場であり、沢山の観光客とごったがえして狭い道を肩触れ合いながらすれ違う。熱気がむんむん伝わってくる。見事にアラブと西洋が溶け合っている街だ。


バルドー美術館のモザイク


I LOVE TUNIS

最後はチュニジアのルーブルと言われる「バルドー美術館」で歴史を振り返り、歴史・遺産・自然・買い物・食事等何でも満足させてくれた波乱万丈のチュニジアを後にした。
I LOVE TUNIS!

2019年11月14日~22日
本山泰久

クサール・ギレン☆☆☆☆☆ 見渡す限りの砂漠の中で人生を見つめなおしてみませんか
マトマタ ☆☆☆☆☆ スターウォーズファンでなくてもワクワクしてきます
オング・エル・ジュメル ☆☆☆☆☆ 雄大な砂漠に沈む太陽に感激
ケロアン旧市街 ☆☆☆☆ 落ち着いた素朴なメディナです
カルタゴ遺跡 ☆☆☆☆☆ 2000年前にタイムスリップ 見ごたえ十分の遺跡です
シティ・ブ・サイト☆☆☆☆☆ まさに白と青の小さな楽園です。
チュニスの街 ☆☆☆☆☆ アラブと西洋が融合してこんなに素敵な街ができました

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