ギャップがハンパじゃない!! ディープでワイルドなマダガスカル&セレブのリゾート モーリシャス

ギャップがハンパじゃない!! ディープでワイルドなマダガスカル&セレブのリゾート モーリシャス

今回、マダガスカルとモーリシャスに行く機会を得ました。マダガスカルはアフリカ大陸の南東海岸部から沖へ約400キロメートル離れた島国です。「バオバブ」や「キツネザル」など他の国では見られない豊かな生態系を持っているため、いつかは行って見たいと長年夢見ていました。一方、モーリシャスはフランスなどのヨーロピアンの憧れのリゾートです。実際旅行に行くまでは、ヨーロピアンにとっての「ハワイ」のような場所なのかもと想像していました。マダガスカルとモーリシャス、この2国はお互いに島国で隣り合っています。アフリカに近いことから民族や文化・風習的にも共通点が多いと思っていました。

しかし結果から言うと私の予想は良い意味で裏切られました。
マダガスカルとモーリシャスは全く似ていませんし、2国ともアフリカともまた違った文化圏を持っています。マダガスカルの民族の起源はインドネシアなど東南アジアをルーツに持ち、宗教も大半が土着の伝統宗教を信仰しています。郊外に広がる風景もマダガスカルは田園が多い風景に対し(お米の栽培が盛んです)、モーリシャスはほとんどがサトウキビ畑に占められています。

モーリシャスは海底火山の噴火によって生まれた島のため、生態系が根本的にマダガスカルとは異なり固有の哺乳類は生息していません。海を越えて渡ってくる鳥類においては一部独自の種が生息していますが、動物や植物の多様性は、マダガスカルと同等には語れません。

モーリシャス独自の文化を築き上げているのはモーリシャス国民のルーツにあると言えます。他のインド洋のセイシェルなどの国々と比べてクレオール(黒人と白人の混血)の割合が少なく、インド系の住人が多数を占めます。そのほかもアラブ系、フランス系、2000年からは華僑も増えてきたようです。モーリシャスはインド洋きっての多民族・多宗教国家でもあるのです。

他に似ている国がないと言う意味で、この2国はかなりユニークな存在です。

アフリカと一括りにできないユニークな文化を持つ、モーリシャスとマダガスカル。このコンビネーションは比較的アクセスも容易なのでぜひ一緒にいかれることをお勧めします。

私は最初にモーリシャスで5つ星ホテル、次にマダガスカルでは保護区のロッジとスタンダードホテル、最後にまたモーリシャスで5つ星リゾートに宿泊しました。
そのためマダガスカルで最初のホテルに到着したとき、その前のモーリシャスのホテルと比べてあまりの差に歴然としてしまいガッカリしました。特にキリンディーは正直野外のテントで泊まっているのとさほど変わらないんじゃないかというかなりワイルドなロッジでした。個人的にキャンプは大好き人間で大自然の中はさほど抵抗はないのですが建物自体が古く、網戸もなく天蓋もイマイチだったのでこれは建物を管理している側の問題という印象です。もちろん観光地として素晴らしいところですけどね。後半に再度モーリシャスに戻ってきたときのホテルのゴージャスぶりに思わず心の中でバンサイ三唱したのは言うまでもありません。

マダガスカルのホテルもそれを単体で見れば決して悪い物ではないのですが設備やサービスの面で最初にモーリシャスに泊まってしまうとどうしても比べてしまいます。なので前半はマダガスカルで観光・サファリ三昧、後半はモーリシャスの高級リゾートでのんびり滞在という流れが良いと思います。

それでは今回私の訪れた場所を紹介していきます。
もしこの2国に今後旅行される方や興味を持っていただける方がいたら幸いです。

=================今回の行程================
4月15日 深夜:羽田発

4月16日 ドバイ乗継ぎ、モーリシャスへ/モーリシャス泊(ベルマー・プラージュ)

4月17日 アンタナナリボへ/アンタナナリボ泊(CHALET DES ROSES)
4月18日 ペリネ特別保護区へ/ペリネ泊(FEON’NY ALA)
4月19日 モロンダバへ バオバブ鑑賞/モロンダバ泊(SUN BEACH)
4月20日 キリンディー 森林保護区へ/キリンディー 泊(キリンディーロッジ)
4月21日 アンタナナリボへ/アンタナナリボ泊(CHALET DES ROSES)
4月22日 サモーリシャスへ/モーリシャス泊(アウトリガー)

4月23日 モーリシャス観光後、空港へ

4月24日 深夜:羽田着

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◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎モーリシャス◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

■モーリシャス
「インド洋の貴婦人」と称され、かの文豪マーク・トゥエインも『神はモーリシャスを最初に創り、そしてモーリシャスを真似て天国を創った』と絶賛したインド洋・マスカレン諸島に浮かぶ島国・モーリシャス。東京23区ほどの大きさのこの島は約900万年前に海底火山の噴火よってでき、人間が入植するまで固有の鳥類と爬虫類たちの楽園であった。入植が本格的に始まったのがイギリスの統治時代、サトウキビ栽培のため当時同じく植民地であったインドからの労働者を多数入植させて発展させた歴史がある。そのため地理的にはアフリカに近いものの、モーリシャスの民族構成はインド系が約7割を占めており他のインド洋諸国とは違った独自の文化・風習を持っている。フランスとイギリス統治時代が長いため住人のほとんどは仏語・英語およびクレオール語の3ヶ国語を話すことができる。雄大でダイナミックな風景とその美しい海。ヨーロッパの人々にとってもモーリシャスは特別なリゾートなのである。

■モーリシャス入国
モーリシャスに到着。まず入国審査へ向かう。列に並ぶこと約20分。予め機内にて記入しておいた入国カードを提示する。そうすると入国管理官がチケットというので搭乗券を見せたが「バック」というのでバゲージタグを見せたが、これまた違うようだ。どうやら帰りのチケットを見せろということだったようなのでEチケットを見せた。その他は特に質問もなくすんなり入国できた。入国の後は健康診断書のようなものを提出するのにもさらに20分くらい並んだ。さらに荷物が出てくるのも約30分待った。兎に角待つことが多くてストレスが溜まる。ようやく出国ゲートの外へ。到着フロアには色々な旅行会社のカウンターが軒を連ねている。その中で今回の手配を頼んでいたモトコ社のカウンターへ移動した。カウンターでは日本人スタッフの伊藤さんが待っていてくださった。ドライバーのところまでアテンドしていただき、今回の行程についての書類も合わせていただいた。

ちなみにマダガスカルから戻ってきてからの2回目の入国は非常にスムーズだった。入国・健康診断書の提出・荷物のピックアップ、全ての手続が約30分程度で終えられた。1回目のドバイからモーリシャスに到着した時間帯が他の航空会社の到着時間と重複していたためだろうか、もしエミレーツ航空を利用して往路か復路でモーリシャスに立ち寄るならできる限り復路でのストップオーバーをオススメしたい。

■モーリシャスのホテル
<コンスタンス・ベルマー・プラージュ>★★★★★

インド洋に中心に展開するコンスタンス・リゾーツ。中でもモーリシャスはコンスタンスの始まりの土地となった場所であり尚且つベルマー・プラージュはコンスタンス・ブランドで最も歴史ある、コンスタンスの元祖となったホテルだ。飛行場から車で約1時間、モーリシャスの東海岸に位置する。

15ヘクタールの広大な敷地内には5つのカテゴリーに分類される計278部屋。私が宿泊したのは「ジュニアスイート」。最も部屋数の多いカテゴリーである(なおエントリークラスとしてジュニアスイートの一つ下にプレステージルームがある)。家具付きのバルコニー(又はテラス)に、エアコン、ミニバー、電話、アップルTVを備えたテレビ、ドライヤー。バスルームはバスタブにシャワルームが別途備わっている。もちろんWIFIは無料。また日中はグラスボートやシュノーケリングツアーなどのアクティビティやヨガやズンバダンスなど無料のプログラムも用意されているのが嬉しい。キッズクラブやスパ・マッサージ、2つのゴルフ場も隣接しており、家族連れやカップル・夫婦などあらゆる世代も満足できるような造り。
またレストラン7つとバー6つを擁し、宿泊代金には夕食も含まれている。夕食は基本ブッフェタイプのメインダイニング(ラ・シトロネル)での食事だが、希望に応じてアラカルトのレストランに変更できる(その場合は1名につき1090ルピーが食事代金からマイナスされる)。ずっとホテルに滞在していても飽きがこないような心配りが嬉しい。深夜まで営業しているバーでは夜8時半頃から生演奏も行なわれ優雅な雰囲気。

<コンスタンス・ル・プリンス・モーリス>★★★★★L
ベルマー・プラージュから車で10分程度の立地にあるのがもう一つのコンスタンス「ル・プリンス・モーリス」。60エーカーもの広大な土地にたった89部屋、お部屋は全室スイート仕様。穏やかなラグーンとマングローブに囲まれた、まるで国立公園の中に造られたホテルのよう。水上に造られたレストランやヴィラからの景色は息をのむほど美しい。「ベルマー・プラージュ」も十分素晴らしいのだが、この「ル・プリンス・モーリス」と比べてしまうとやはりこの静けさと、豊かな自然は圧倒的だ。流石に料金設定も「ベルマー・プラージュ」と比べて強気なのもの納得できる。私もいろいろなホテルを見てきているが、ちょっとこの規模は想像していなかった。間違いなくモーリシャスの中でもトップクラスの憧れのホテルである。

館内の施設はほぼ「ベルマー・プラージュ」と同じくスパやジム、キッズクラブも完備。レストランは3軒、バーは4軒。コンスタンスのゴルフコースはもちろんは共用して利用できる。
なおプリンス・モーリスには日本語スタッフが基本は常駐しているので安心。同系列のベルマー・プラージュに日本人のお客様がチェックインされる際にもサポートしていただけるとのこと。

<アウトリガー>★★★★★
モーリシャスの島の南に位置する総敷地10ヘクタール全てオーシャンビューの全181室を擁する5つ星・アウトリガーはハワイを本拠地とするビーチリゾートチェーンだ。ポリネシア風のリラックスした音楽と雰囲気、ファミリー向けのサービスに強みを持つ。例えば両親と子供3人がいるファミリーであれば通常のホテルであれば2部屋もしくはハイカテゴリーのヴィラタイプの部屋を予約せねばならない。しかしこのアウトリガーであればオーシャンビューファミリールームという最も部屋数の多いスタンダードの部屋カテゴリーに5人収容できる。もちろんキッズクラブも完備。レストランも子供用のエリアがあるので子供連れでも夫婦2人きりで食事も楽しめるという配慮した造り。3つのレストランに4つのバー、サウナ付きのスパ、テニスコートもある。食事は基本的にハーフボード(朝・夕込みのプラン)。メインレストランである「メルカド」のほか事前にテーブルを予約すれば他のアラカルトのレストランも利用できる。その場合はドリンク以外の注文した金額から15000ルピー/1名分がマイナスされる。なお滞在中はグラスボートなどのアクティビティが無料。

■モーリシャスの楽しみ方
東京23区ほどの大きさを持つモーリシャス。小さい島国だと思いがちだが、道路が1車線しかなく、渋滞も多いため移動に時間がかかる。例えばアウトリガーなど南端のホテルから首都であるポートルイスまでは片道2時間ほど見込んで置く必要がある。つまり移動だけで往復4時間、1日観光で7時間の余裕があったとしてもポートルイスには3時間ほどしか滞在できないのである。

今回私が観光で訪れたルートを例にとると・・・
08:30 アウトリガー → 09:30 カゼラ・ワールド・オブ・アドベンチャーズ / 約1時間のドライブ
(10:30開始のライオンウォーク1時間と園内散策2時間)

11:30 カゼラ・ワールド・オブ・アドベンチャーズ → シャマレル / 約30分のドライブ
(途中、スーパーマーケットとのロンドンにてお土産購入とサンドイッチの昼食で30分、シャマレルにて1時間の観光)

13:30 シャマル → アウトリガー / 約30分のドライブ

14時にホテルに到着した。これでもガイド付きのツアーなのでかなり効率良く観光できた場合のスケジュールである。あまり詰め込みすぎると観光できないところや消化不良なところが出てくるので、予めガイド付きのツアーを申し込んでおくか、英語に多少慣れている人であればホテルからタクシーをチャーターしてスケジュールを相談してみよう。ちなみにアウトリガーでタクシーをチャーターすると半日で約1万円程とのこと。
次に私が訪れたモーリシャス定番の観光地をいくつか紹介したい。

■ウォーク・ウィズ・ライオン
モーリシャスの西側に位置するモーリシャス唯一のアミューズメントパーク「カゼラ・ワールド・オブ・アドベンチャーズ」。東京ドーム11個分の敷地を持つこの広大な施設は、簡単に言えば動物園+ミニ遊園地のような場所。日本人旅行客の約7割がここにきて楽しむものと言えば、そう「ウォーク・ウィズ・ライオン」。その名のとおりライオンとお散歩できるというアトラクションである。

私の回の参加メンバーはイタリア、フランス、インド、韓国、オーストリア、中国など人種・出身もバラバラな計16名。我々と共に行動するのはハンドラー(調教師)の他に、写真や動画を撮影するカメラクルー。もちろん撮影されたものは後ほど、売店で購入できる。

散歩の前に、ハンドラーから諸注意がある。ライオンより前に出ない、目線を合わせない、頭と足には触らない、触るときは強く触るなど。触る力が弱いと蝿などと間違えて引っかかれることもあるのだそうだ。

カメラやスマホ以外を荷物置き場に預けた後は、さぁ出発。

今回我々の散歩に同行したのは2頭ライオン。この2頭を先頭に一緒に茂みの道を歩いてゆく。

ゆっくり歩いて行くライオン。ハンドラーは参加者それぞれがライオンと一緒に歩けるように名前を呼びかけて配慮してくれる。私もハンドラーに呼ばれて指示通り、ライオンの隣で一緒に歩いた。私が徐々に慣れてくると尻尾を掴みながら散歩もさせてくれた。ライオンの威厳のある顔と鋭い牙に圧倒されるが、まじまじと見ると行動はほとんど猫のようで、ハンドラーのお兄さんにじゃれるような仕草を見せたり、好物の肉片を見ると大きな体をものともしないジャンプや木登りまで見せてくれた。途中、おさわりタイムを含み約45分で終了

最後にドリンクサービスとウォーク・ウィズ・ライオンの参加証明書を発行してくれる。

ウォーク・ウィズ・ライオンは非常に人気が高いので日本出発前に事前予約をオススメする。また園内は大変広く、入口からであれば歩いて20分かかる。または15分おきの巡回バスを利用すると入口から約5分でウォーク・ウィズ・ライオンの行われる「BIG CATS KINGDOM」に到着する。チケットの引き換え時間などを含めて予約時間の45分前には園内に到着しているようにしたい。
なおカゼラ・ワールド・オブ・アドベンチャーズにはウォーク・ウィズ・ライオンの他にもセグウェイでサファリエリアを楽しむ「セグウェイ・サファリ」や四輪バイクでサファリをする「クワッド・バイク・サファリ」、山からワイヤーで高速で滑降する「ジップライン」などもある。またジェットコースターなど遊園地テイストのアトラクションもあり、子供から大人まで楽しめる内容が盛り沢山。1日かけてもまわりきれないほどなのでリゾートライフに飽きたら1日中いても良いだろう。

■シャマレル
その不思議な光景がインスタ映えすることから近年人気急上昇中なのが「シャマレル」。シャマレル火山の噴火によって吹き出した鉱物が大気に触れ、赤・黄・茶・オレンジなど大地に鮮かなグラデーションをつくりだしており、「7色の大地」とも呼ばれている。火山地帯には見られる現象ではあるがこれほどまで色がはっきりした例は類を見ない。このエリアのみ鉄分の含有量が多いため、草木が育たない一面地面がむき出しの状態となっている。なおシャマレルはモーリシャスの南西に位置する広大な私有地であるが観光客向けに遊歩道が整備されており入場料を払って見学できる。敷地内には落差100mもの大迫力の「シャマレルの滝」もあるので併せて訪れよう。

■モーリシャス出国
モーリシャス空港の出国は入国と比べてかなりスムーズだった。チェックインもさほど並ばず、パスポートチェック、荷物チェックもそこまで厳しくはない。入国エリアに来ると免税店といくつかのカフェやファストフードのカウンターがある。「サブウェイ」や「ポール」などのインターナショナルなチェーン店の飲食コーナーもあるがここでの飲食費は高い。

■モーリシャス旅行についてのアドバイス
モーリシャスはヨーロピアンにとって「ハワイ」という位置づけよりもさらにハイランクのイメージが強いようだ。例えばコンスタンス・ル・プリンス・モーリスやワンアンドオンリー・ル・サン・ジュランを始めたとしたモーリシャスの中でも最高級レベルに位置するホテルはドレスコードが必須。男性は襟付きのシャツ、もしくはジャケットや革靴が必要。しかし「ビーチリゾートだから」とサンダルだけで来てしまう人もいるのだとか。ホテルチェックイン後に慌ててモーリシャスのショッピングモールに駆け込むはめにならないようにご注意を。なおウォーク・ウィズ・ライオンなど一部アクティビティはサンダルでの参加を禁じているので、可能であればサンダル、スニーカーと革靴の計3足を持ってくるのが望ましい。

「ウォーク・ウィズ・ライオン」や「海中の滝」のヘリツアーなどは人気のアクティビティのため、現地到着後では満席で予約が入れられないことも。できれば出発の1週間前には事前に予約しておこう。

モーリシャスのベストシーズンは強いて言うなら雨が少ない乾季の10月・11月。5月後半から9月は北東からの季節風が吹き東側と南側の海の波が高くなる。1〜3月はサイクロンの発生する可能性が比較的高い。ただしもちろんその時期はホテルの料金も安くなるし、サイクロンは毎年発生するわけではないので一概には駄目とは言えないのが悩ましいところ。

両替は空港のみ日本円からも可能。ホテルや一般的なスーパーマーケットであればクレジットカードの利用は可能なので、あえて両替しなくとも滞在はできた。

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎マダガスカル ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

■マダガスカルの特異性
マダガスカルは多様性に富んだ奇跡の島だ。バオバブなどの植物、カメレロンなどの爬虫類、キツネザルの霊長類などそのほとんどがマダガスカル独自の固有種だという。これはマダガスカルはかつてアフリカ大陸や南米大陸、インド亜大陸とともにゴンドワナ大陸を形成し、1億2000万年ほど前にマダガスカルが他の大陸から離れたことが原因と考えられている。他の地域とは孤立した環境下で動植物は独自の進化を遂げて行ったのだ。アフリカ大陸とマダガスカルはモザンビーク海峡を隔てて400kmしか離れていないのに言語や生態はアフリカよりも距離的に遠いアジアやオーストラリアと共通する点が多く見られているなど今だに謎につつまれている部分も多い。アフリカのようであってアフリカでない、かと言ってもインド洋の島々やアジアとも言えない、「マダガスカルはマダガスカルである」としか言えない世界でも際立ってユニークな存在なのである。

■アンタナナリボにてマダガスカル入国
アンタナナリボの空港に到着。飛行機から降りて歩いて空港内へ向かう。空港から降りるとまず健康診断書の提出するカウンターがあって「マダガスカル籍もしくは移住者」のレーンと「外国人」のレーンに別れている。私は「外国人」レーンに並び約15分並ぶ。健康診断書を提出した後にビザカウンターと入国審査場がある。ここでは「マダガスカル籍もしくは移住者、ビサ保持者」と「外国人」の2レーンに別れていた。私は「外国人」レーンに並ぶかどうか迷ったがビザを予め持っていたのでビザ保持者のレーンに並んだ。何事もなく入国し、その後荷物を待つ。モーリシャス空港で待っていたよりもかなり早いタイミングで私の荷物が流れてきた。ラッキーと思ったのも束の間。すぐ税関審査の長蛇の列が。約15分並び、特に中身チェックもされず空港外へ。ガイドはセキュリティーの問題で空港に入れないので、空港の出口にて合流。

■アンタナナリボ
マダガスカルのほぼ中央に位置する国内最大の都市。マダガスカル高原に位置し標高は1200mほど。旅行者にとってアンタナナリボはマダガスカルのゲートシティである。それは国際線のほとんどがアンタナナリボに到着することと、マダガスカル国内線を使うにはそのハブとなるアンタナナリボへ立ち寄らなくてはならないといけないからである。東京都の1.6倍の面積を持つマダガスカルを短期間で観光するには国内線の飛行機移動は必須なのだ。さらに欠航や遅延の確率が(おそらく)世界ワーストなのでどうしてもアンタナナリボで少なくとも前後に2泊/1泊の余裕をみて手配をしなければならないならない。かと言って、空いた時間でお手軽に観光が出来るかというとそうではない。2、3時間で気軽にタクシーを利用して観光するのも結構難しいのだ。なにせ空港から市内へは13キロほどしか離れてはいないが、渋滞が慢性化しており移動に約1時間かかる。そのためマダガスカルにきたものの中途半端に時間余っちゃったなぁということは多いはず。そこで私がアンタナナリボの街の主な見所を簡単にレクチャーしよう。

■アンタナナリボの見所
アンタナナリボの中心部は政府機関の立ち並ぶ「独立大通り」。独立大通りの中央分離帯は噴水などがある公園になっており、ちょうど良い散歩コースになっている。アンタナナリボ駅から約600m続く独立大通りが終わると、活気のある屋台やテントが見えてくるはずだ。ここが市民の台所である「アナラケリーマーケット」である。野菜や果物、肉や米に豆、スパイスなど食材の他にキッチン用品など日用品から下着に洋服、海賊盤DVDなど多種多様なものが売られている。何も買わなくとも独特の匂いと雰囲気があり、市民の暮らしが垣間見られるのでぜひ訪れてみよう。アナラケリーマーケットを軽く散策したあとは「独立広場」につながる長い階段を歩こう。独立広場からの眺めはアンタナナリボが谷間に広がる特徴的な地形を持っていることがありありと分かるはず。独立広場のあるエリアに出ると丘の上と下では様子が違うことが理解できるだどう。アンタナナリボでは丘の上が高級住宅街、丘の下が下町になっている。そのため独立広場のあるイスラカにはお洒落なレストランやカフェ、バー、ホテルが多い。ツアーで使うホテルも通常、この辺りのホテルの立地となる。

続いてはアンタナナリボ市内で1番の見どころと言える「女王宮」と「旧首相官邸」。ここへは歩いていくのは難しいので、事前に送迎の車を依頼しておくか、自分でタクシーをつかまえて行ってみよう。女王宮はアンタナナリボの1番の高台に位置するメリナ王朝時代の宮殿。宮殿付近には専門のガイドがいるのでガイドの付きで観光することもできる。また近くには「旧首相官邸」があり以前は博物館も兼ねていたが現在は博物館は閉鎖している。こちらも入り口にガイドがいるので興味がある人は雇ってもいいだろう。

お土産を買うのであれば独立大通り近くにある「SHOPRITE」がいいだろう。ラム酒やチョコレートなどお洒落にパッケージされた商品がローカル価格で購入できる。クレジットカードも利用できるので手持ちが少ない場合にも重宝する。市内中心部から車で15分ほどにショッピングモール「JUMBO」もある。こちらのスーパーマーケットの方が大きいので、時間があってじっくり選びたい人はタクシーで行っても良いだろう。

■夜のアンタナナリボ
アンタナナリボは治安が悪いと言う。でもせっかくならアンタナナリボの夜もどんなものか見て見たいと思い、ガイドにはオススメはされなかったが夜中の独立大通りを散歩した。

ガイドがオススメしないと言う理由が歩いて数分で何と無くわかった。ホテルを出ると街中には当然のように街灯すらなく、車のヘッドライトや家の灯りがなければ歩けないほど。そのため道もわかりにくいし、道ゆく人の表情も読めない。街娼も目につく。私が男だったら良いものの、女性の立場だったら怖いだろうな、という印象。

ホテル脇の小道を抜けて、独立大通りまで移動。国1番の目抜き通りに関わらずこちらもやはり外灯すらない。それにも関わらず、人通りは多い。ガイドが言うには日中は暑いのであまり出歩きたくないらしく、皆さん夜になると町に繰り出すそうだ。目一杯明るいファストフードのピザ屋の明かりだけがまるで東京の見慣れた夜の景色のようで有り難く思った。一通り歩いてみて、夜はホテル近くのバーで一杯。

ホテルに戻るとホテルのセキュリティースタッフの兄ちゃんがディスコに行こう、と言うのでついて行くことに。ディスコというのは名ばかりで、実際はかなりディープでアングラな雰囲気。私はビールを一杯飲みホテルに戻る。

後からガイドに確認すると、やはり外国人観光客を狙ったスリ・ひったくりもないとも言えず、外国人観光客への暴行事件もあり、街中にいる警察官も賄賂目的にパスポートにいちゃもんをつけてくると言うので、基本的には出歩かない方が良さそうだ。

■アンタナナリボのホテル
<CHALET DES ROSES>★★☆
アンタナナリボの中心地。中央駅から15分くらい歩いた丘の中腹にあるこじんまりしたホテル。室内は清潔感がある。セーフティーボックス、テレビ、冷蔵庫、シーリングファン、ホットシャワー、無料のWIFIは室内でも使える。WIFIは他の都市と比べて早いほう。シャワーはトイレと一体型(しかし2泊目はバスタブ付きの部屋だった)。テレビのリモコンはフロントに言わないともらえない。ちなみにマダガスカルのホテル全般に言えることだが、シャンプー・コンディショナーのアメニティはなかった。

ホテルにはイタリアンレストランが併設されているので夕食のために出歩きたくない人には便利。中心部にも歩いて行けて、付近を散策するすればいくつかのバーやレストラン、ピザのファストフード店があるので町歩きを楽しみたい人にはうってつけ。

なお朝食・夕食が含まれている場合、朝はトータル15000アリアリ、夕はトータル50000アリアリまで注文ができるシステムになっている(ただし夕食時のドリンクは別)。私はナポリ風サラダ(25,000アリアリ)とフィットチーネのボロネーゼ(13,000アリアリ)、ティラミス(12,000アリアリ)を頼んだのでドリンク以外の追加費用は生じなかった。ちなみにここのイタリアンレストランでピザをつまみながら飲むTHB(THREE HORSES BEER)の生(PRESSION)がマダガスカルで一番うまかった!

■カメレオンファーム
アンタナナリボからペリネ特別保護区へ向かう途中、アンタナナリボから車で1時間半ほどの地点にあるのがカメレオンファーム。その名の通り、マダガスカルに生息する多種多様なカメレオンを保護しており、自然に近い形で見ることができる。私が特に気に入ったのは「パーソンカメレロン」。その大きな鮮やかな緑の身体は爬虫類が得意でない私でさえも「美しい」とさえ思えてしまう。また自然な色彩とは思えないほどカラフルな身体を持った「パンサーカメレロン」も興味深い。オレンジと緑のドットに白のストライプが入ったような奴もいれば黄色とエメラルドグリーンのシマシマの奴もいる。同じ種類なのにこんなに豊かな色彩を持つなんて驚きだ。カメレオンだけでなく、珍しいヤモリやカエル、ムカデ、蛾、蛇などもいる。爬虫類はどちらかというと気持ち悪い対象だったのだが、マダガスカルに生息するカラフルな生き物たちを見ているとあまりに不思議な存在で地球の神秘さというものをひしひしと感じたのだった。

■ペリネ特別保護区
アンタナナリボから車で3時間ほどにある、比較的気軽にいくことが出来る保護区。キツネザルの中では最大の大きさを誇る、絶滅危惧種のインドリが自然のままで生息していることで知られており、間近で見られる可能性が高い。夜には夜行性のオオコビトキツネザルなどの哺乳類、爬虫類等を見にいくナイトウォーキングツアーも行われる。日帰りでも行けなくはないが1泊するのがおすすめ。

私達はローカルガイドとともに山に踏み入る。鳥や動物たちの鳴き声が聞こえる道中、ガイドさんがペリネ特別保護区内に生息する珍しい植物についても説明をしてくれる。30分ほど歩いていくと別のローカルガイドさんがインドリを見つけてくれたらしく、我々を手招く。なんでもインドリの鳴き声は3km先まで聴こえる澄んだ鳴き声だから見つけやすいのだとか。我々は森の中を掻き分けて行きインドリまであと2、3メートルほどの距離まで近づくことができた。

木の上で足を折り曲げて周りを見渡すインドリ。時折、我々と目があうのだが物怖じせずまるで我々の心を見透かしているかの様にまっすぐ向けられる。逆にこちらの方が動けなくなってしまいそうなほどだ。その真っ白な体毛のイメージも相まって、どこか神々しい。現地の人々はインドリを先祖の化身として考え、狩りをすることもしなかったそうだ。「神の遣い」とでも呼びたくなる、そんな雰囲気を漂わせていた。

■レミュールアイランド
レミュールアイランドは人工の島の中でキツネザルを保護・飼育している施設である。ペリネ特別保護区では野生のインドリやハイイロジェントルキツネザルなどが鑑賞できるが、このレミュールアイランドではシロクロエリマキキツネザル、ワオキツネザル、チャイロキツネザル、ハイイロジェントルキツネザルを間近で見ることができる。例えて言うのであれば「富士サファリパーク」のように野生に見立てた、より自然に近い形で動物を鑑賞できる動物園のようなところだ。ペリネ特別保護区では見ることができない種類も目の前に見ることができるので訪れる価値はある。

我々はまずボートに乗り込み人工の島に向かう。そこには沢山のチャイロキツネザル、ハイイロジェントルキツネザルが。特にチャイロキツネザルは餌付けされているためか人間を恐れることがなく、人の肩に乗ったりするので記念撮影もできる。一方、ハイイロジェントルキツネザルは人には近づくものの、肩には乗ってこない。それでも餌のバナナを差し出すと喜んで食べ出す。なんだか小さくてかわいい。その後島内を探索して、シロクロエリマキキツネザルを写真に納めた後は別の島へ移動。

シマシマの尻尾が特徴的なワオキツネザルだけを保護している島があるのでそこへ行って見ることに。ワオキツネザルもチャイロキツネザルと同様に人を怖がらないので肩にどんどん乗って来る。どちらかと言うと好戦的なチャイロキツネザルよりもワオキツネザルの方が愛嬌があるのでこちらの方が肩に乗せるにはいいだろう。

■ペリネの村
レミュールアイランドからホテルに戻る途中、ガイドが気を利かせてくれてペリネの村を見させてくれた。人口はおそらく400人ほど、村のメインロード沿いに民家や商店が並ぶ小さな村だ。村の中央には青空マーケットがあり、野菜や果物が販売されている。その周辺には肉屋さんや酒屋さん、さらにはなんとディスコまでもある。さすがアフリカ。村を歩いているとガイドと知り合いのホテルのスタッフを発見したので、家の中に入らせてもらった。木造の壁にトタン屋根、もちろん家の中には電気も通っているし、テレビやベッドもある。見た目は立派だとは言い難いが、中はとっても居心地が良さそうだ。残念だったのは村人達と写真を撮りたいと思い声をかけてみたが女性は恥ずかしがって写真を撮る事ができなかった。代わりに男性は快く写真に応じてくれる事が多い(代わりにチップを払う事が慣例になっているようだ)。

■ペリネ特別保護区のナイトウォーキング
ペリネでは夜行性の動物達を鑑賞するナイトウォーキングが人気だ。夜6時半にホテルロビーに集合しナイトウォーキングに出発。車で数分走ったところでガイドと合流。ペリネのナイトウォーキングでは森に踏み入るわけではなく、懐中電灯を片手に幹線道路沿いを歩き出す。道路の両脇の木々を、生き物達の鳴き声を聞きながら懐中電灯で照らして探す。ガイドさんは手際よく爬虫類やキツネザルを探してくれる。今回私達が見ることができたのは「ボフィスフロッグ」「エレファントイヤーカメレロン」「マウスレミュール」「ネズミキツネザル」。印象的だったのは「ボフィスフロッグ」、昼間のカエル特有の“ゲコゲコ”という鳴き声でなく夜は“ピューウ”というような半円を描くようなシャープな鳴き声に変わる。それがカエルらしからぬ不思議な声なのだ。

「マウスレミュール」「ネズミキツネザル」は動きが早く遠くにしか見えなかったので写真におさめることができなかった。街灯もないペリネの車道。真っ暗の中、生き物を探しながら歩いて行くのは、夏休みのワンシーンのような楽しさを思い出させてくれる。なお雨が降った後や雨が降っている時には動物達は草木に隠れてしまうので見られる確率は低くなってしまう。6月・7月の乾季であれは動物達が間近で見られる可能性が高いとのことだった。

なおその後、キリンディーでもナイトサファリを行なったが森に足を踏み入れるキリンディーの方が実際動物も多く見られたのでキリンディーの方が好きだ。

■ペリネ特別保護区のホテル
<FEON’NY ALA>★★
ペリネ特別保護区の中にある3つ星程度のホテル。エントランスとロビー、レストランは独立した建物、客室は1棟1室の独立したヴィラタイプ。茅葺き屋根のマダガスカル風の伝統的な外観だ。室内には天蓋付きのベッドやトイレ・シャワーの他に机やセーフティーボックスがある程度。ドライヤーやバスタブ、冷蔵庫はない。アメニティも石鹸のみ。室内ではWIFIは繋がらないがレストランなどの共有スペースであれば使える。レストランでは伝統的なマダガスカル料理の他に中華やイタリアンなどもあるので旅行者には嬉しい。

なお私の滞在中は私が早朝シャワーを浴びようとした時にはお湯にはならなかった(タイミングが悪かった?)。ホットシャワーさえすんなりでればさほど文句のないホテルだ。

■モロンダバへ
ペリネ特別保護区を観光した翌日、早朝にペリネを後にして空港へ向かう。この日はモロンダバへ向かう12時20分発の飛行機に乗るためだ。約3時間かけてアンタナナリボの空港へ向かう。途中、アンタナナリボのファストフード店にて昼食をテイクアウト。国内線ターミナルは国際線ターミナルの隣にある。ガイドとはチェックインカウンターの手前にてお別れ。国内線は特に混雑ものなく荷物チェックはすんなりパスした。しかしファストフード店で購入したランチのうち、紙コップに入ったソフトドリンクはほとんど飲んでいないのに液体物なので当然捨てるはめに。こんな事なら空港に入る前に食べとけばよかった。

出発約30分前に搭乗時間。マダガスカル 航空のモロンダバ行きの飛行機はプロペラ機で、搭乗率は40%ほど。約1時間のフライトの途中、おつまみとドリンクのサービスがある(なぜか帰りはなかった)。
そうして無事モロンダバ空港に到着。

■モロンダバの街
モロンダバはトゥリアーラに次ぐマダガスカル西部の第2の都市。かなり小さな町ではあるが観光という側面からで言えば、クロアチアのドブロヴニクであり、モロッコで例えるならマラケシュである。つまりここに来ないとこの国の観光に来た意味がないよ、と言わしめる一大観光地である。

バオバブの並木道、キリンディー森林保護区、世界遺産のツインギーで知られるべマラハ国立公園などマダガスカルのシンボルとも言える観光名所が集中している。旅行者が多いにも関わらず、そこまでツーリスティックでなく素朴さも備えているのがモロンダバの素晴らしいところである。

モロンダバは大きく2つのエリアに分かれている。空港から海岸の手前まで続くダウンタウンとビーチ沿いのリゾートエリアだ。ダウンタウンにはマーケットや銀行、郵便局に安宿、食堂やバーなどが立ち並ぶ地元の人で賑わうエリア。リゾートエリアは観光客やビーチでくつろぐ人々が滞在するバンガローやホテルが集中するエリア。両エリアとも徒歩で30分もあれば歩けてしまうほどの大きさで、自転車タクシー(2000アリアリ程度)を使えば5分くらいで行き来ができる。

雨季でも晴天率が高いモロンダバ。この素朴でマダガスカルのハイライトがぎゅっと詰まった街に長期滞在しながら観光名所を巡るのも良いだろう。

■モロンダバのホテル
<SUN BEACH>★★
モロンダバのビーチエリアに位置する2〜3つ星の小規模なホテル。レセプションとレストランのあるメインビルディングと客室の建物に分かれている。客室は2階建で合計10部屋ほど。室内は比較的綺麗で広め、エアコンとホットシャワーがある。テレビやセーフティーボックス、冷蔵庫はなし。ホテルの中庭では亀を飼育している。スタッフの感じもいい。ちなみにオーナーはイタリア人。たまに停電が起こるので驚いたがこれはホテルの原因でなく、モロンダバのインフラの問題だそうだ。

■バオバブの並木道
モロンダバの街から車で約20分。未舗装の道路にでてしばらく車を走らせると背の高いバオバブの木が見えてくる。赤茶色の地面と青い空を繋ぐように天を目指して真っすぐに伸びるバオバブ。ずんぐりむっくりした特徴的なバオバブの形は、「グランディディエリ」という種類でマダガスカル西部特有のものだ。

本来バオバブは平原の中に単体で育つ植物ではない。ではなぜこのような摩訶不思議な光景が出来上がったのか?マダガスカルに人が移住するようになってから放牧のための土地や田畑を広げるため生活路の周りの森林をすべて焼き払った、すると沢山の水分を蓄えたバオバブだけが焼けることなく残ったのだという説が有力だ。つまりこのバオバブの並木道はマダガスカル特有の乾燥した気候とこの土地にすむ人々の生活の結果、生まれた景色なのである。

バオバブ観光に最も人気の時間帯は夕暮れ。橙色に空が染まりバオバブの樹木にオレンジの陰影ができ、赤茶けた地面の色も相まって美しい景色が生まれる。さらに日が落ちていくとバオバブのずんぐりむっくりとした巨体がシルエットとなって、まるで昔話の一場面のような懐かしい風景へと変化していく。日が落ちた後は灰色の空から薄赤色、オレンジへと刻々と移り変わる空のグラデーション。サンセットを見ようとする観光客で、この並木道は1日で一番の賑わいを見せる。
個人的には朝日を見にいくのがオススメだ。夕刻と違い人も少なく、日が昇る前までは星空の真下に佇むバオバブの木々を見ることもできる。昼間や夕刻の時とは違う、漆黒のシルエットのみのバオバブ。それらに囲まれているとまるで童話の物語の中の主人公になったような神聖で穏やかな気分になる。ツアーに含まれていない場合は事前に、又はガイドに依頼すれば追加料金で手配可能だ。

■モロンダバの漁村・ベタニア半島
モロンダバのリゾートエリアから歩くこと数分、ベタニア半島へ向かうためのカヌーに乗り込む。モロンダバには漁業で生計を立てているヴェズ族の移住地としても知られており、モロンダバの街の喧騒とは離れた素朴な風景が広がっているのだ。

カヌーをチャーターして、漁村を目指すこと5分。対岸の漁村に到着。大人達は漁が終わった後片付けに勤しみ、子供達はそんな大人達を横目に海辺で戯れている。カメラを向けると照れながらもモデルになってくれる様子が一層かわいい。村自体が海に面しているだから街のこども達と比べて開放的な雰囲気が漂っている。村を一通り歩いて見ると作りかけの帆船や、漁業に使う道具の手入れをしているお父さんの姿や、朝ごはんの後片付けをしているお母さんがいたり、インフラも十分整っていない田舎ではあるが我々と同じ普通の生活の光景があった。遠く離れた島国で人種も違う人々だが、そこにあるのは我々と同じ日常なのだなぁとなんだかしみじみ思ったのだった。

■キリンディー森林保護区
モロンダバの街から北に約60キロ、悪路を走ること約3時間、キリンディー森林保護区に到着。

約12500ヘルタールの敷地を持つキリンディーには世界最小の霊長類であるキツネザルや横っ飛びで知られるベローシファカなど約8種類、鳥類45種、爬虫類が24種、そのほか国内最大の肉食獣であるフォッサや夜行性のムササビなどが生息している。

キリンディー森林保護区では1日で朝・午後・夜の3回のウォーキングサファリを行なっている。私の場合、朝のサファリはフライトのスケジュールがタイトなので時間的にかなり厳しかったのだが、無理を言ってお願いして1時間のみのショートバージョンで行った。結果から言うとすべての時間帯のウォーキングサファリにはぜひ参加した方が良い。なぜならウォーキングサファリの時間帯によって見られる動物達の種類が異なり、又と違った生態を観察できるからだ。

午後のウォーキングサファリでは木の上で休んでいるベローシファカやチャイロキツネザルを探しにいく。
夜のウォーキングサファリでは世界最小のキツネザルMadame Berthe’s mouse lemur、世界で2番目に小さいキツネザルGray mouse lemurなど小柄なキツネザルを目的に散策する。
朝のウォーキングサファリでは横っ飛びするベローシファカを目的に見にいく。私の行った時は残念だがら木の上で寝ているベローシファカは観れたのだが、横っ飛びするベローシファカは見れなかった。

時間帯によって様々な表情を見せるキリンディーの動物達の生態を心ゆくまで楽しんでほしい。

ちなみに私にアテンドしてくれたローカルガイドがもし希望なら深夜(夜10時スタート)にGiant Jumping Ratを見せてやると言うので追加料金を払ってお願いした。Giant Jumping Ratはその名の通りただ単に大きなウサギにしか見えなかったので、正直そこまでの見応えはなかったかな。

■キリンディーの宿泊施設
<キリンディーロッジ>★

その名の通りキリンディー森林保護区の目の前に建てられたロッジ。客室やレストラン、レセプションはそれぞれ独立した造りになっている。客室はかなりワイルド。建てつけがいまいちな窓やドアの木造バンガロー。水洗トイレとシャワーは備わっているが発電機を動かす午後7〜10時以外はお湯と電気は使えない。日中は電気がないため窓を開けっ放しにしないと空気が循環せず暑いし、真っ暗になってしまうので開けておく必要がある。しかし網戸もないため開けっ放しにしていると当然ながら虫が入ってくるため蚊取り線香を持って行こう(私はガイドのものを借りました)。エアコン、テレビや冷蔵庫など文明の機器はない。無料のWIFIは7〜10時の間であればレセプション付近のみ使えると聞いた。だが実際、私が泊まった時は7時以降もWIFIやお湯も全く使えなかった、結果この日はシャワーは浴びなかった。

この大自然の中に宿泊できるので、キャンプ気分と考えれば悪くないが、ホテルと思い込んでくる「えっ?」って感じで困惑してしまいそうなくらいシンプル。虫が我慢ならない人や清潔なシーツじゃなきゃ嫌だと言う人はもとからマダガスカルにくることはないと思うのだが、それ相応のものとして覚悟していこう。

しかしながらせっかくマダガスカルにきたのなら1泊ぐらいはこの大自然の中にじっくり腰を据えて過ごすのも悪くはないだろう。

滞在中の食事は3食ともこのロッジのレストランにて。大自然の中のロッジではあるが水やコーラ、ビールなどは購入できる。食事は中華麺やパスタ、フライドチキンなど比較的旅行者にも食べやすいものを取り揃えてくれている。

■マダガスカル出国
モロンダバとキリンディー 森林保護区を楽しんだ後はそのまま飛行場へ向かいアンタナナリボへ。アンタナナリボでは往路と同じホテルに1泊し、翌日空港へ。出国の日は日曜日だったので到着時に見られたような大きな渋滞には幸いにも巻き込まれなかった。
空港に到着して、入り口でお世話になったガイドのマミさんとお別れ。時々日本語がたどたどしいこともあったけれど実直な性格が伝わってくる良いガイドさんでした。

■マダガスカル旅行についてのアドバイス
キリンディー森林保護区やペリネ特別保護区などに行く場合は、森の中を数時間歩くことになるので虫除けスプレーは必須。暑いかもしれないができれば長袖・長ズボンが望ましい。キリンディーなど保護区内では電気が夜のみしか使えないこともあるため蚊取り線香を持って行くのも良い(電気を使うベープではなく)。

サファリ中は遠くの離れた場所にいる野鳥やキツネザルなどを見る機会も多いためズーム機能つきのカメラや望遠レンズ、望遠鏡を持って行こう。ナイトサファリに参加するのであれば懐中電灯も忘れずに(スマホの光では数メート先までしか照らせないので50メートル以上先まで光が届くような強力なものの方がベター)。

また地方のホテルのみならずアンタナナリボのホテルすらもアメニティは石鹸のみ。シャンプーやコンディショナーはなかったので、使いたい人は事前に日本から持って来よう。

マダガスカルの現地通貨へは両替必須。何をするかにもよるが私は1日20ユーロ相応以上使った。空港以外ではあまり両替することはないので到着したら空港でなるべく多めに両替しておこう(余ったらチップへ)。もし現地通貨がなくなったらATMが街中には必ずあるのでキャッシングが可能だ。なお空港では現地通貨が使えるお店が限られているのでツアー中に使い切ってしまおう。なお市内のスーパーマーケットではクレジットが使えた。

地元の人々の写真を撮る場合は、事前に声をかけよう。人によってはお金を請求する人もいる(女性は恥ずかしがって撮らせてくれない人が多い)。子供達は喜んで写真に応じてくれる。お金でなくともお礼に飴を用意しておくと喜ばれる。

食事はイタリアとフランスの影響が大きく、比較的食べ慣れているものが多いためそこまでの心配は不要。大抵の観光地のレストランではピザやパスタなどの用意がある。

●2国を旅して・・・
やはり印象的だったのは2国の圧倒的なギャップ。マダガスカルのディープで垢抜けない雰囲気、一方で洗練されたホスピタリティの国・モーリシャス。

近いのに似ているようで全く似ていなかった国。でも共通していたのは自然の美しさとそこに住む人々のホスピタリティ。マダガスカルもモーリシャスの人も挨拶をすれば誰しもが挨拶を交わしてくれた。特にマダガスカルでは私が現地語で挨拶をするので、「マダガスカル語喋れるの?」と話しかけてくれる人もいた。フレンドリーな人々のお陰で温かい気持ちになった旅となった。

【スタッフオススメ度】
ウォーク・ウィズ・ライオン ★★★★

動物達の触れ合いが楽しいモーリシャス 一番人気のアトラクション。年齢や身長制限があるので事前に確認してから早めに予約しよう。

シャマレル ★★★
「7色の大地」は天候によってその色の鮮やかさが異なるよう。できれば色が映える、晴れた日に出かけたい。

バオバブの並木道 ★★★★★

まさにマダガスカル観光の代名詞。夕日のみならず夜明け前のバオバブの姿もまた幻想的。

ペリネ特別保護区&レミュールアイランド ★★★★
キツネザル最大の種・インドリの野生の姿を観察できる。アンタナナリボに滞在するならぜひ訪れよう。キツネザルを間近で観察できるレミュールアイライドも外せない。

キリンディー森林保護区 ★★★★★
ナイトウォーキングはペリネとは違い森の中に入って行くことができ、小さなキツネザル達の出会いも楽しい。運が良ければベローシファカの横っとびが見られるかも。

(2018年4月 橋本康弘)

モーリシャス

マダガスカル

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