動物王国ケニアへの旅

動物王国ケニアへの旅

ライオンケニアのイメージってなんだろう。私のイメージでは子供の頃から漠然と持っていた野生動物の王国。物心ついた時から生き物に興味があり、動物図鑑を見るのが好き、テレビも“脅威の世界”や“NHK特集”などで、自然からみのものを見るのが大好きだった。実物は日本の動物園で見ているが、動物園の動物は所詮飼われている動物。しかしケニアの大地には、保護されているとはいっても野生の動物達がいる。頭ではわかっていても実際のところどんなものなのか想像することすら出来なかった。百聞は一見にしかず、見に行けばわかるだろう。


11月16日 スリランカ航空UL455便はほぼ満席の乗客を乗せて成田空港を飛び立った。今回ケニアまでのルートは成田→コロンボ→ドバイ→ナイロビというルートをとっている。帰りにドバイとスリランカにもちょっと寄ってこようという欲張りなプランなのだ。時間はかかるがそれもまた楽しかろうとお気楽に構えている。スリランカ航空はエミレーツ航空の関連会社なので、機材も綺麗だし、映画などのメニューも充実している。席に着いているスクリーンでゲームも出来る。くだらない香港喜劇映画を見ながらビールを飲んでいるうちにコロンボ着。モルジブのマーレに乗り継ぐ乗客が多いようで、まっすぐイミグレーションに進む人は少ない。ターミナル右手の階段を昇り、トランジットルームへ向かう。
コロンボ空港のトランジットルームは、待合室といったほうがふさわしい、まるで病院の待合室のようなイスの並び。免税店もいくつかあるが、ドバイ行きまでの乗り継ぎ時間は4時間ばかりあり、どうしたら時間がつぶせるか考えると気が遠くなった。まず、トランジットカウンターでチェックイン手続き、スリランカ航空~エミレーツ航空でナイロビまで行く場合、搭乗券はコロンボまでしか出ないのでコロンボでチェックイン手続きが必要である。マーレに寄ってからドバイに行くので窓側をリクエストする。チェックインが終わっても10分しか過ぎていない。1階に下りると手荷物検査があり、その横にインターネットカフェがあったので自宅にMAILした。15分2ドル。まだ時間がある。2階に戻るとシャワー及びトランジットホテルのカウンターがあるが人がいない。シャワーを浴びたいと思い、近くにいた警備員に聞くとカウンターにある電話を使って自分で係員を呼び出せとの事。呼び出して待つこと10分、やっと女性係員が来た。3ドル払ってシャワーを浴びる。タオル、石鹸つきだがシャンプーはないので持参した方が良い。すっきりしてもまだ2時間半ある。しょうがないので待合室のソファーでごろ寝をする事にした。
日付が変わり11月17日。アナウンスがありようやく搭乗、1階に下りて手荷物検査を受け、バスで飛行機に向かい搭乗した。席番号をスチュワーデスに見せると、私の席にすでに先客がいるようで、ダブルブックだから少し後ろで待っていろとの指示。エミレーツ航空はサービスが良いはずなのにこの仕打ちはないだろうとちょっと不満を感じたが、すぐに席を用意してもらった。折角マーレに寄るのだからと窓側を指定したのに結局通路側の席になってしまった。不貞寝する事にする。マーレは夢の中で発着してしまった。
ドバイ到着後更に乗り継ぎ時間が3時間ほど。日本を出てから約24時間たっているから結構眠い。飛行機の中で眠れるとは言ってもベットで眠るのとは大違いで身体は疲れている。ドバイの乗り継ぎは簡単である。搭乗券はコロンボを出るとき貰っているので、Transitの看板にしたがって手荷物検査を受け、出発ロビーに行けばよいのだ。ドバイ空港は免税店が充実している。インターネットカフェもある。45分6ドル。ぼやーとしているうちにアナウンスが流れ、搭乗開始だ。今日のナイロビ行きには私を含めて20人くらいの日本人が乗っている。意外にケニアにいく人が多いのだなと感じられた。
ナイロビホリディインはこんな感じのホテルです。ナイロビ空港に着き、イミグレーションに向かっている途中で突然「石井さんですよね。」と声をかけられたのでびっくりした。以前取引先に勤務していた女性で、会社を辞めてナイロビの旅行会社で働いているそうだ。こんな偶然は初めてだ。彼女曰く、エミレーツ航空はロストバケージが多いよとの事。どうしよう。今回の旅行は久しぶりにスーツケースを持ってきているのだ。しかも成田からコロンボ、ドバイ経由ナイロビだったのでどこかで何かあったら荷物が来ない。ドキドキしながらターンテーブルを見つめていると、他の人の荷物はどんどん出てくるのに私の荷物はなかなか出てこない。ドバイで乗り継ぎ時間が短かった彼女の荷物の方が先に出てきた。私の荷物はまだ出てこない。ロストになっちゃったかな~と思っていたら見覚えのあるスーツケースが出てきた。良かった。ほっとした。
荷物をピックアップして空港を出ると現地旅行会社TEKKO TOURS & TRAVELのオキディさんが待っていた。彼のアドバイスにより空港両替所で100ドルだけケニアシリングにする。100$で7500弱シリング、計算すると1シリング約1.6円。両替を終わらせて、もう一組のグループと一緒にナイロビ市内に向かう。
車はTOYOTA HIACE 4WDである。屋根があがるサファリ用の車である。車が走り出すと空港の横に広い空き地がある。オキディさん曰くここは以前ナイロビ国立公園だったとの事。昔は飛行機を降りたらすぐ野生の動物達と出会うことが出来たようだ。ここからナイロビ市内までは30分ほどで到着した。
ナイロビ市内は世界でも有数の治安が悪い都市なので、観光は車窓からぐるっと見るだけにして本日の宿、郊外のホリディインへ向かった。建物は二階建て、敷地が大変広く、プールも2つあるようなリゾートホテルっぽいホテルである。これならば町に出る必要は無さそうだ。近くにスーパーがあり、スーパーの周りには小屋がけの土産物屋がたくさんある。昼間は問題ないが夜は外出しないほうが良いだろうとの事。
夕食はケニアらしい料理を食べに行こうということでヤギ肉を食べに行く。現地の言葉でニョマ・チョマという。調理の仕方は簡単で、ヤギのばら肉とか腿肉をただ炭で焼くだけ。これに岩塩をつけて食べる。これが大変美味しい。ビールに良く合う。アフリカ料理のウガリもイリオも出た。ウガリはトウモロコシの粉を練って団子状にしたもので、トウモロコシの味がするかと思ったら全く無味。ご飯のように食べるらしい。イリオは豆を煮てすりつぶした物でこれもあまり味がない。アフリカの伝統的な料理はあまり味付けが濃くないようである。これだけ飲んで食べて一人500ケニアシリング、日本円で530円。ビックリするほど食費が安いことに気付く。
11月18日、ドライバーのアモロさんと二人でマサイマラに向かう。車は昨日と同じTOYOTA HIACE 4WD、アモロさんは新婚ほやほやで、妻と離れてしまうのが少しさびしいとの事。年は私よりも2つ下、同世代である。
ナイバシャ方面へ行くハイウエィを80km.で走り出した。交通量はかなり多い。ワゴン車を使ったミニバスのような物が多い。マタツというもので、中~近距離の主要な公共交通機関である。遠距離は大型バスに乗るそうだ。ほとんどの大型バスがいすゞとかスカーニヤの大型エンジンを積み、スピードが出るようにしてある。私の載っている車も大型バスにどんどん抜かれる。ドライバーのアモロさんは出身がビクトリア湖に近く、帰省する時はバスを使うそうだ。バスの運転手は早く目的地に着いて折り返せればそれだけ沢山の乗客を運べる=もうかるので一生懸命スピードを出すそうだ。
一時間ほど走るとグレートリフトバレー(大地溝帯)にさしかかる。北は死海に始まり、紅海を経てエチオピア高原を二分し、ツルカナ湖から南はタンザニアまで続く全長7000kmほどの大きな谷だ。途中にビューポイントがあり、写真を撮る事が出来る。土産物屋も併設されている。ここで失敗をしてしまった。特にほしくもない木彫りのキリンを手にとって眺めていたら、店員に土産にどうだと薦められ、値段交渉をする暇もなくあっという間に買わされる羽目に、しかも皮で出来た動物の絵が描いてあるしおりも一緒にされて、結局全部で3000シリング払わざるを得なくなってしまった。さんざん高いんじゃないかと言ったが、普通だったら5000シリングだ、お前だから3000シリングにしてやったんだと取り付く島もない。土産物屋では手にとって物を見てはいけないことを学んだ。
物価の安い国で、相場よりも高そうなものを土産物屋で買ってしまったことに、なんであそこで断れなかったんだと自己嫌悪に陥った。私の気持ちを表すかのように天気も悪くなってきて小雨が振り出した。
グレートリフトバレーを降りきって20分ほど走ったところで左折し、マサイマラに向かう。今までの道はアスファルト舗装もかなりしっかりしていて、日本の道を走るのとあまり変わらなかったが、ここからは道が悪くなった。今までのように80kmでは飛ばせなくなってきた。その代わり景色がゆっくり見られる、と言いたいところだが、グレートリフトバレーの中はサバンナで、潅木とブッシュ、時々遊牧をしているマサイの赤いマントと牛を見かけるだけで、景色にはあまり変化がない。さらに1時間ほど走ると道はダートになりますますスピードが落ちた。
ドライバーのアモロさんが“だちょう”と日本語で叫ぶ。英語しか出来ないと聞いていたのに、突然日本語で叫ばれたものだから、日本語が出来るのですか?と尋ねたら、動物の名前はほとんど言えるとの事である。とにかくダチョウがいる。初めて見るアフリカに住む野生の動物だ。思ったより小さく見えるのは距離が離れているからなのだろうか。ほっぺたをつねって今アフリカにいることを実感させてみるが、どうしても夢を見ているようであまり実感がわかない。とはいいながらもアフリカの大地にいるのだ。そんなことを考えていても砂塵を上げながら車はダートの道をどんどん進む。
前方にグランドガゼルの群れが見えてきた。シマウマもいる。ついに動物王国に来たのだ。まだ正式にマサイマラ動物保護区の中に入ったわけではないのにこんな移動物がいるなんてびっくりだ。さらに車を進めると今度はトムソンガゼルの群れだ。移動している。アモロさんが車を止めた。あの群れはハイエナかジャッカルかわからないが、肉食獣に追われているようだ。カメラを構えて待っていると、シマウマたちも逃げていく。これはもしかしたらライオンが来るかも、とドキドキしてたら肉食獣が現れた。それはマサイ族が飼っている犬だった。オモロさんもまさか犬が来るとは思わなかったと大笑い。
マサイの歓迎をうける昼ちょっとすぎに本日の宿泊場所マラシンバロッジに着いた。チェックインして部屋に荷物を置き、ロッジのレストランで昼食を食べる。昼食はビュッフェスタイルで色々な物があり美味しかった。オモロさんと打ち合わせをして、夕方のサファリの前にマサイの村に行く事にしてロッジを15:00出発する事にした。それまでホテルの設備をいろいろ見て回る。プールもあるし、テントロッジもあるし、バーに面して川が流れているが、毎晩体長3mくらいのワニが姿を現すそうだ。
出発時間になった。アモロさんと一緒に出かける。マサイの村にいったら20ドルを渡す。マサイの勇者達がジャンプで出迎えてくれた。写真はいくら撮っても良いとの事。英語が話せるマサイの女性が村を案内してくれる。村に入ると今度は女性達の歌による歓迎をしてくれる。また子供達がいっぱいいて大変可愛い。案内の女性についていき、一軒の家に入る。泥で固められた家の中に入ると片側は子牛の部屋、その奥に台所と子供の寝室、夫婦の寝室がある。若い男性はまとまって別の小屋に住んでいるとの事。マサイ族は遊牧民なので、食事はヤギや牛から取れる乳製品、肉、血も飲むそうだ。最近は観光客相手の現金収入があるのでトウモロコシの粉なども食べるというが、基本的に生活は昔とあまり変わっていないそうだ。ビーズで作ったネックレスや腕輪なども売っている。
キリンマサイの村を離れてマサイマラ動物保護区へ向かう。保護区に入ったらいっぱい動物がいるのかと思っていたがそうではない。潅木とブッシュの間にトムソンガゼルやシマウマがぱらぱらいるばかり。よく考えたらマサイマラ動物保護区の面積は大阪府とほぼ同じなのだ。その広大なところに動物がいるのだから見つけるのは難しいかもしれないなと思っていたらゾウがいた。ゾウまでは少し距離があるのでゾウに向かって車を進める。小さな川を渡るときに車がスタックしてしまった。タイヤが空回りするばかりで泥から抜けられない。しょうがないので車を降りて後ろから押し、やっとの思いで泥から抜け出る事が出来た。またゾウに向かって進むとキリンの声。左を見るとマサイキリンが藪の中から顔を出していた。それからは動物のオンパレード。ゾウのそばに行って写真を撮った。1kmくらい先でサファリカーが集結している。アモロさんがサファリカーが何台も集まっているところにはきっといいものがいるんだよと言い、急いで向かう。
藪の中にチーターが2頭寝そべっている。ちょうど狩りをしたばかりなのだろう、寝そべっている前に殺したばかりのトムソンガゼルが一頭、まさに弱肉強食の見本を目のあたりにしてしまった。今までテレビでしか見た事がないこんな光景を自分の目で見ることが出来るなんて大感激。
小雨季なので小雨が降ってきたが、まだまだサファリドライブをやめる気はない。雨の中さらに走り回ってライオンの群れにも遭遇したし、別のチーターを見ることも出来た。ただ暗くなってしまい、よい写真は撮れなくなってしまったのでロッジに帰ることにした。
サバンナに虹が・・・。ロッジに戻り、一人でバーに行き、ケニアのビールを飲む。200ケニアシリング。安いものだ。宿泊客は色々な国がいる。アメリカ、フランス、ドイツ、スペイン、日本。色々な国の言葉が飛び交う中一人で飲むビールもおつなものである。バーテンダーが話し好きで今日は何を見たとかケニアはどうだとか色々尋ねてくる。何が見れたとか面白いとか貴方みたいなバーテンがいるバーは最高とか言ってみる。しばらくするとワニが来たから見に行けと声をかけられたので、ワニの見える川側に席を移す。いた。大きい。本当に4mくらい有りそうなワニがいる。あんなのに食べられたら痛いだろうななどとくだらない事を酔っ払った頭で考えてみる。
夕食時間になった。今日はビュッフェスタイルではなくコーススタイルとの事。羊のなにやらとなんとかのなにやらだがどっちがよいかと聞かれたが、苦手な英語の上、ちょっと頭がボーとしているので、よく聞き取れた“マトン”にする。大変美味しかった。
食事を終えて部屋に戻り、念のため蚊取り線香をつけて就寝する。
11月 19日、天気は快晴。朝食前にサファリドライブに向かう。動物があっちにもこっちにもいる。ガゼルやインパラは沢山いすぎて数え切れないほど。キリンも群れをなして木の葉を食べている。ゾウもいる。ヌーの大群もいた。昨日チーターがガゼルを食べていたところに行ってみた。チーターはすでにここにはいなかったが、死体のまわりにジャッカルとハゲワシがいた。少し離れたところで悠々と歩いてくるチーターを見かけた。昨日の二頭だったのかも知れない。サファリカーから2mはなれていないところを悠々と歩いていく。それからまた少し走ると今度はライオンの群れだ。小高い丘に何頭も群がっている。雄ライオンの鬣の立派な事。しかも朝日を浴びて光線の具合もばっちり、会心の一枚の写真が撮れた。
前方でサファリカーが何台も終結している。またなにかいい獲物でもいたのかと思い駆けつけてみるとそうではなくサファリカーが泥にはまっていたところだった。天気は良いのだが地面は湿っていて、サファリカーでも時々泥にはまってしまう。別の車に引っ張ってもらいようやく脱出できた。
早朝のサファリを満喫してロッジに帰る。朝食後他のロッジを視察に行く。昼間なのであまり動物が見られないかなと思ったが、キリンとかシマウマとかハイエナとかを見ることが出来た。所々にある水溜りにはエジプトガンを見ることが出来た。どうしても動物が主体になってしまうが、鳥類も固有の種が多く、次回行くときには鳥類の図鑑を持っていかなければならないと思った。
10月~12月の小雨季は午後雨が降る事が多い。雨がぱらぱらと降った後、太陽が出てきて虹を見ることもあった。虹なんて何年ぶりに見ただろう。あまりにも綺麗でまた感動してしまった。
ロッジに戻り、夕食までの時間今晩もまたバーで過ごす。バーテンと話をしていると向こう側に象が来たとの事。マラシンバロッジの脇を流れている川の対岸に象が来て木の葉を食べている。こんなそばまで動物が来るなんて。ケニアの動物保護区は驚く事ばかりだ。
11月20日、目覚めると宿泊しているロッジの前の川にカバがいる。昨日の象に続き日本では動物園でしか見れない動物を至近距離で見ることが出来るなんて。話には聞いていたがこんなに動物達がたくさんいるなんて思いもしなかった。まさに百聞は一見にしかずである。
朝からナクル湖に移動する。朝は本当に天気が良い。マサイマラに来る時の景色は小雨に煙っていたが、今日は天気が凄く良いのでまるでべつの景色のようだ。道は途中までダート、それからはアスファルト舗装のでこぼこ道。グレートリフトバレーの分岐まで戻り、ナイロビとは逆方向に向かった。途中ナイバシャ湖のそばの土産物屋で少々休憩。今度は手にとらないで眺めるだけ。ただここの土産物屋は商品が豊富だ。ただ値札がついていないため、買う前には必ず交渉が必要である。
約4時間かかってフラミンゴで有名なナクル湖に到着した。ナクル湖のそばのナクルと言う町はケニアで3番目か4番目に大きな町である。なぜか学校が多い。ナクルの町を通りすぎるとナクル湖へのゲートだ。ナクル湖はマサイマラと異なり湖の周りの林と北側のサバンナとに分けられる。遠く湖面を見ると表面がピンク色に染まっている。あれが全部フラミンゴなのだそうだ。
ナクル湖のフラミンゴナクル湖の北岸を通ってレイクナクルロッジに向かう。行く道でロスチャイルドキリンを見かけた。レイクナクルロッジに荷物を置いて、同じナクル湖国立公園にあるライオンヒルロッジを視察しに行く。ライオンヒルというだけあって、ロッジのそばの丘の上にライオンが2頭いて我々を見下ろしている。うそみたいに良く出来た話なので置物かと思ってしまったが本物だった。サロバライオンヒルから出てくるサファリカーに教えてあげた。
西欧人のおばさんやおじさんが大喜びしている。
ロッジ視察を終えてからは私もサファリドライブだ。ビックファイブの中でヒョウだけを見ていないので、オモロさんに是非ともヒョウが見たいとお願いする。ナクル湖はヒョウが結構いるので、見られる可能性はマサイマラよりも高いとの事。それよりもまずフラミンゴを見に行こうと湖岸に向かった。
湖岸に立つと近場はペリカン、ちょっと遠くにフラミンゴの大群。何千羽、何万羽いるのだろう。数え切れないくらいのフラミンゴが湖面を埋め尽くしている。車をおりておどろかせないように静かに近づいて写真を撮った。綺麗だ。なんでこんなにフラミンゴがいるのだろう?
ナクル湖のサイ湖岸をそのまま東に向かう。バッファローやシロサイがあちこちにいる。シロサイなどは車がすぐそばに近づいても逃げずに悠々と草を食んでいる。怒らせるとその巨体でサファリカーをひっくり返すこともあるそうだ。刺激しない様に写真を何枚か撮った。
バッファロー同士の戦い、シマウマ同士の戦い、ガゼル同士の戦いなども見ることが出来た。バッファローは互いの角を衝きつけて、シマウマは首を使って、ガゼルはバファローと同じように互いの角を衝きつけて戦っている。
バブーンクリフという丘(崖)に車で登る。ナクル湖が一望できるところだ。岩場にイワハイラックスがいる。小さくて目がくりくりしていてかわいい。バブーンクリフというわりにはバブーンがいない。オモロさんに聞いたら夜ここを住みかにしているからもうすぐくるんじゃないとの事。オモロさんがトイレに行っている間にバブーンの大群が現れた。そのうちの一匹は大胆にもサファリカーの屋根に飛び乗り中に入ろうとしている。慌てて三脚を振りまわすと逃げていった。オモロさんが戻ってきてこのことを話すと、バブーンもわかっていてドライバーが乗っているときは襲ってこないが、お客さんだけになると襲うことがあるとの事。くれぐれも興味本位でえさなどはあげないようにしてくれということだった。
夕闇が迫ってきた。ヒョウはまだ見れない。オモロさんが言うには、ヒョウは木の上にいて獲物が下を通りかかるのを待つ修正があるので、東側のアカシヤの森に言ってみようと車を急がせた。前方にサファリカーが集結している。みんな木の上を見ているのでこれはヒョウかもしれないと期待を胸に膨らませて近づいたがライオンだった。木の上で寝てるなよな~まぎらわしい、と贅沢な事を思ってみる。はじめてライオンを見た時の感動は忘れてしまったらしい。周りのサファリカーは盛んに写真を撮っているが、私は暗くなってきたしロッジに向かおうと移動し始めた。
10mも行かないうちにオモロさんがあの木の上に何かいるという。ヒョウかもしれない。
車を止め双眼鏡でじっくりみてみると果たしてヒョウだ。木の枝に身体を横たえ、下に獲物が通ることを待っているようだ。写真をとるが暗すぎてうまく写るかどうかわからない。
写真で撮れないのならば、せめてじっくり見ておこうとまぶたにヒョウの姿を焼きつけて、満足してロッジに帰る。
ビッグファイブが全て見られたとは大変ラッキーだとオモロさんが言う。レイクナクルロッジはドライバーも一緒にご飯が食べられるので夕食をいっしょにしましょうと誘った。
オモロさんはあまりお酒が強くなく、ワイン一杯で酔っ払ってしまうそうだが、話は好きだとのことで話題は尽きない。その中でも興味深い話しをいくつか。
その1。今年になってあるロッジに朝ヒョウが入り込んでしまい、レストランのハリに隠れていたらしい。そこに不運にも朝当番のシェフがやってきた。ヒョウは本能的にそのシェフを襲い、殺してしまったそうだ。人間の肉はどの動物よりも味が良いそうなので、人肉の味を覚えたヒョウは殺さなければいけない。すぐハンターを呼んで殺したそうである。いくら保護されているとはいえ猛獣は猛獣、危険はあるということがわかった。
その2。ケニアにある車は7割くらいが日本車。日本とハンドルが同じなのでそのまま中古車を持ってくることが多い。HIACEでも2駆と4駆があり、今回の車は4駆だが2駆の車だとサファリは大変だ。いろいろな車があるが、一番良いのは1HZエンジンを載せたいわゆる70(ナナマル)というタイプのランドクルーザーだとのこと。何と、私が日本で乗っている車はランドクルーザー70(HZJ73).まさにその車だというので更に大盛り上がり。(私の住んでいる入間は雪が多いし、泥道も多いので4輪駆動車が便利なのです。)話題は泥の抜け方などに進んでいく・・・。(この先の話はマニアック過ぎるので公開いたしません。こんなところで泥遊びの話しで盛り上がるなんて。)
大盛り上がりしているところにレイクナクルロッジのオーナーが登場した。紹介してもらっているうちになぜかもう一杯づつ追加の飲み物がきてしまった。オモロさん苦しそうだが面白い面白いと飲んでしまう。明日の朝起きられるかなとちょっと心配になりながら部屋に戻る。
11月 21日、昨日の飲酒にも関わらず、アモロさんと6時半に出発。今日はナイロビに戻る日なのだが、昨日ヒョウがいたところをもう一度見てからナイロビに行こうとまずアカシアの林を進む。昨日ヒョウがいた木の下に行ってみたがすでにいなかった。残念。相手は野生動物だから見れないこともあるさと気を取り直してナイロビに向けて出発した。
ナイロビまではハイウエィをいく。舗装も良く80kmくらいで順調に走る。ついにケニアを離れてしまうのかと思うと残念だ。折角ここまで来たのに実質5 日間じゃ短かったなと思いながら景色を眺める。このハイウエィ沿いは畑とかが多く、いわゆるアフリカの大地という光景ではない。1時間くらいでグレートリフトバレーの登りにかかった。またビュウポイントがあるので写真を撮ろうととめてもらった。写真を撮って車にもどろうとしたらあっという間に物売りに取り囲まれてしまった。今度は5個くらいネックレスを持って全部で100シリングだという。なんだよな~、最初の頃買っていた土産物屋と全然値段が違うじゃないか。結局なにも買わずに出発。
大自然の中にいたので、ナイロビ市内に入ると人も車も多い。昼食を食べて空港に向かう途中、ジラフセンターによってみた。ナイロビ市内から約15km。キリンとイボイノシシ、ゾウガメが飼育されている。間近で見るキリンの迫力と舌の長さと大きさには驚かされた。えさもあげることが出来る。
キリンとしばし戯れてナイロビ空港へ。長いようで短かったケニアの旅もおわりに近づいた。アモロさんと堅い握手を交わし、再会を約束してチェックインカウンターへ向かった。
子供の頃からの憧れの動物王国、実際に目の辺りにしてみて、こんなものなのだとはわかったような気がするがうまく言葉に出来ない、ということはまだまだ良くわかってないんじゃないのかなという気もする。何しろ動物達の営みを直接見ることの出来た感激は大きかった。次回行くときには鳥類メインで、かつ今回体験しなかったキャンプロッジに宿泊してみたいものだ。
石井 清史
2002年11月

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