アメリカ人が好きなアメリカ…日本人が知らない米国南部の旅 ~ルイジアナ州からテキサス、ニューメキシコ州を経由、オレゴンへ~

アメリカ人が好きなアメリカ…日本人が知らない米国南部の旅 ~ルイジアナ州からテキサス、ニューメキシコ州を経由、オレゴンへ~




日本人のアメリカの旅行先の6割はハワイとグアムという記事を以前に目にしました。残り3割がニューヨークやロサンゼルス、およびラスベガスなどの東・西海岸だそうです。しかしアメリカは広い。それらの都市以外の見所はないのでしょうか?様々な情報を収集するにつけ、東でも西でもないアメリカ南部が私の中で大きく輝きを増してきました。ジャズの発祥の地・ニューオリンズ、テキサス人の心のふるさとサンアントニオとオースティン、紀元前1000年から続く歴史地区サンタフェとタオス。そして(西海岸ではありますが)数年前、日本の雑誌がこぞって特集を組んだポートランドも訪れました。なお3日目(9/16)〜9日目(9/22)のサンアントニオ空港からサンタフェ空港への移動はレンタカーを利用しました。私はペーパードライバーなので、父親にも手伝ってもらうために今回は2人旅。少しでも「本当のアメリカの姿」とも言える南部アメリカに興味を持っていただけると幸いです。行程は下記の通りです。


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1日目(9/14):ニューオリンズ到着
2日目(9/15):ニューオリンズ観光
3日目(9/16):サンアントニオへ サンアントニオ観光
4日目(9/17):オースティンへ オースティン観光
5日目(9/18):ペコスへ
6日目(9/19):カールスバッド、ホワイトサンズ(夕刻)観光
7日目(9/20):ホワイトサンズ(朝)観光、サンタフェへ
8日目(9/21):タオス・チマヨ観光
9日目(9/22):サンタフェ観光、ポートランドへ
10日目(9/23):ポートランド観光
11日目(9/24):日本へ向けて出発
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*****9月14日 ニューオリンズ到着*****
AA154シカゴ行きに乗り込み、AA1183ニューオリンズ行きに乗り換え。
シカゴでの乗り継ぎは復路ですでに経験済みだが、往路ではいくつか迷ったことがあったので報告。
【シカゴ空港での国内線乗り継ぎ】
(1)預け荷物の再チェックインが税関を抜けて必ず通らないと行けない場所にない。正確にいうと税関後の到着ゲートの隣数メートルに行ったところ荷物を流すレーンがあるので税関を抜けてそのまま突っ切ってしまうとゲートを過ぎてしまい、後戻り不可のエリアまで来てしまう。私達は記載の通り荷物の再チェックをし忘れしまった。しかしアメリカン航空のチェックインカウンターにて再度預けることができたので事なきを得た。
(2)アメリカン航空のシカゴ到着ターミナルは5に到着するのだが、アメリカン航空の国内線はターミナル3にある。そのため、到着したらモノレールでターミナル3に移動する必要があった。
以上の2点から他のアメリカの乗り換えと比べて少し時間がかかったと思うので、シカゴ乗り継ぎの場合はある程度余裕を見た方がいいかもしれない。
シカゴからニューオリンズは約2時間のフライト。
飛行機は満員御礼。ほとんどが観光客と見える白人層ばかり。アジア系の観光客は我々だけだった。機内では飲み物のサービスが1回あっただけ。アルコールは有料だった。
【ニューオリンズ空港から市内へ】
国内線がメインだからか夜8時ごろのニューオリンズ空港はお店がほとんど店じまいしており、ひっそりとしていた。荷物を引き取った後、空港外へ。
ニューオリンズ空港から市内への移動方法は主に2通り、タクシーか乗合バス。乗合バスは1名なら割安だが、2名以上となるとタクシーの方がお得だ。タクシーで行こうとしたが、UBERだと幾らで行けるのだろうと思い値段をチェック。UBER利用時は33.85$、ちなみにタクシー乗り場の料金表では36$ほどだった。なのでUBERの方がちょっとお得だ。そのためUBERを利用した。UBER乗り場は空港の正面出口から少し離れている。
UBERの運転手は黒人のお姉さんだった。車はシボレー、車種はわからないがなかなか良い車だった。

ニューオリンズ空港のUBERとlyft乗り場 lyftは後発の配車アプリ

空港から約20分、ニューオリンズ・フレンチクォーターのそばあるホテル、Royal St.Charles Hotelへ。
【Royal St.Charles Hotel】★★★★
ニューオリンズの中心部にある3つ星ホテル。フレンチクォーターそば、バーボンストリートへも2ブロックほど。ホテルそばにはレストランはもちろん、スターバックスやスーパーなどもあり便利。1階はカフェ兼ホテルフロントになっている不思議な造り。チェックインの後、各自で部屋へ移動。室内は清潔感があり適度な広さ。テレビはもちろん、無料のWIFI、バスタブ、ドライヤー、コーヒーメーカーにセーフティーボックスあり。湯沸かし器はない。ホテルスタッフの愛想も良い。ビールにも使えるウェルカムドリンクのチケットがうれしい。

この日はすでに夜の9時をまわっていたのでバーボンストリートで軽く夕食を食べて終了。
*****9月15日 ニューオリンズ観光*****
ホテル1階のカフェでコーヒーとバナナを食べて、この日待ち合わせしているガイドさんの到着を待つ。この日はニューオリンズの半日観光を事前に予約しているのである。
【フレンチクォーター&ガーデンディストリクト観光】
朝9時にガイドの山本さんがいらっしゃる。まず簡単に地図を見ながらニューオリンズの街の概要のレクチャーを受けて、さあ出発。
●ガーデンディストリクト
まずはストリーカー(路面列車)に乗り込み、ガーデンディストリクトへ。
ニューオリンズの観光を代表する地域がフレンチクォーターとガーデンディストリクトだ。ガーデンディストリクトはニューオリンズにあって最も由緒ある高級住宅街。著名人や有名人にゆかりのある邸宅が多く軒を連ねている。特に家を囲む鉄製のフェンスや、バルコニーを飾る鉄レースの装飾はニューオリンズのお金持ち達がお金をかける場所らしく、それぞれのお家を見ているだけでも面白い。ツアーで訪れた主なお屋敷をいくつか紹介しよう。
・The Louise S. McGehee School…9,300 m2もの広大な敷地に10棟の建物を要する私立学校。元々はサトウキビ農園だったそうだ。フランスの影響を受けた美しい建物も興味深い。

・アメリカ大統領ジェファーソン・デイビスが生涯を終えた家

・ガーデンディストリクトで一番大きな家…この地域で初めて屋内にキッチンやシャワーを備えた邸宅で、当時では最先端のお家だったそうだ。

・ベンジャミン・バトンのロケ地になった家

・歴代大統領が通ったと言われるレストラン「コマンダーパレス」

・ラフィエット墓地…アメリカでは珍しい巨大な石の霊廟の墓。海抜がマイナスのニューオリンズでは地下に埋葬ができないため、地上に建てた霊廟に埋葬することが習慣になっている。石の霊廟は2階建になっており、2階部分に遺体を納めた棺を入れる。そうするとニューオリンズの蒸し暑い気候の中、遺体は蒸し焼きにされて灰が霊廟の1階に落ちていくそうだ。そのため棺を入れたら一年と1ヶ月ほどは墓を開けてはいけないそうだ。なおこのお墓は「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」など映画のロケ地でも使われたそうだ。

・コーンストークフェンスの家…トウモロコシをモチーフにした鉄フェンスで囲まれたユニークなお家。なんでもご主人がホームシックの奥さんを慰めるために奥さんの田舎の名産であるトウモロコシをフェンスに飾ったという。

・サンドラ・ブロックの家…ハリウッド女優サンドラ・ブロックの養子がニューオリンズ出身だそう。
・元ニコラス・ケイジの家…元々チャペルがあった場所に建てた邸宅なので庭にはマリア様の像がある。

●フレンチクォーター
ニューオリンズで最も歴史ある建造物が立ち並ぶ地区。アメリカでは珍しい馬車のために造られたような道幅の道やフランス語表記の通り名のプレート、鉄のレースで装飾されたバルコニーやガス灯の明かりなど、アメリカにあってアメリカでないような異国情緒溢れる雰囲気が海外はもちろん、アメリカ国内からも観光客が絶えない人気の観光地である理由の一つだろう。
中でもニューオリンズに来たなら訪れたいフレンチクォーターの3ヶ所をご案内しよう。
(1) バーボン通り…ニューオリンズで最も有名な通り。ここを歩けばとりあえずニューオリンズを観光したことになるだろう。道の両脇にはジャズクラブやバー、レストラン、土産物屋さんが軒を連ねているので、店を通り過ぎるたびに色々な音楽が聞こえてくるのがさすが音楽の街ならでは。ジャズクラブの中にはミニマムチャージがワンドリンクというお店も多いので、気軽に入れるのが嬉しい。昼間はシックな大人の街という趣なのだが、夜歩くと少しいかがわしい港町の繁華街の雰囲気へとがらっと変わるのも面白い。

(2) カフェ・デュ・モンド…ニューオリンズ名物のベニエとカフェオレの店。ベニエとは輪っかのない四角いドーナツに山盛りの粉砂糖をふりかけたもの。粉砂糖はシロップとは違い甘さがしつこくないので、たんまり粉砂糖がふりかかっていてもまた口に運びたくなる美味しさ。注文すると出来立てを運んで来てくれるので外はカリカリ、中はモチモチ。ぜひチコリ(キクやタンポポと同じ仲間)のハーブ入りカフェオレと合わせて食べてみよう。ベニエ(3個)とカフェオレはそれぞれ1つ3ドルほどのリーズナブルな価格設定なので小休憩にもってこいのお店だ。


(3) フレンチマーケット…アメリカ最古のマーケットと言われるフレンチマーケット。元々は先住民チョクトー族の交易所だったと言われる。今では旅行客向けのB級グルメやスパイス、雑貨、土産物を売るためのエリアになっている。高い天井にシーリングファンがついている半屋外の特徴的な構造なので買うものがなくとも、お店をひやかしながらそぞろ歩きするのも面白い。


フレンチクォーターでガイドの山本さんと解散した後、山本さんがオススメしてくださったお店「LOUISIANA PIZZA KITCHEN」で昼食。マルゲリータなどオーソドックスなメニューもあるがジャンバラヤピザやガンボピザなどニューオリンズスタイルのピザを出してくれるのが嬉しい。私達はオクラやザリガニ、ソーセージなどがトッピングされたガンボビザとほうれん草のサラダとビールを注文した。アメリカの食事はボリュームがあるので1種類づつ人数分頼んでシェアするのがいいと思う。味はもちろん、スタッフの感じもよく満足。

昼食の後は暑いので一旦ホテルに戻り休憩。
【ニューオリンズのナイトライフ】
やはりニューオリンズ醍醐味と言えば、夜のジャズクラブ巡り。ニューオリンズと言えばジャズだが、近年はジャズ人気の翳りのためか、メインのバーボン通りにはどちらかというとロックやR&B寄りのバンドが出演している若者向けのお店が多く、ニューオリンズで純粋なジャズを聴かせてくれるところは減りつつある。そのため良いお店を知っていることはニューオリンズをよりよく楽しむためには重要なことだ。ここではいくつか著名なジャズクラブをオススメしたい。

・プリザベーションホール…ニューオリンズに来たならここに来ない手はない。元々はニューオリンズの伝統的なデキシーランドジャズを保存する目的で1961年にオープンした由緒あるクラブ。クラブといってもお酒や食べ物は出ない、入場料20ドル(平日は15ドル)を払って本当のニューオリンズジャズを聴きたい人たちが集う場所となっている。1750年に造られたという会場はまるでタイムスリップしたかのようなオンボロ。メインのプレイヤーは他には他のジャズクラブにはいないような60代〜70代の方々。円熟した職人芸とも言える演奏を聞かせてくれる。会場はエアコンもなく風通しも悪いため蒸し暑い。この環境も含めて本場の雰囲気を味わいたい方にはもってこいのジャズクラブだ。なお会場は8時、9時、10時の1日3回制。事前にネット予約も可能で少し高いがもし並びたくないなら予約がオススメ。予約なしなら開演前に列に並ぶことになるが、順は先着順となるため混んでいるときは30分以上並ぶ覚悟で。(会場では飲み物の販売はないので水やお酒を事前に他の店で調達しておこう)

・フリッツェルズ…1969年オープンの老舗ジャズクラブ。ミニマムチャージはワンドリンク(ビールは9ドルだった)、国外の有名なミュージシャンも演奏するというジャズクラブ。プリザベーションホールより白人のプレイヤー中心で客層は40代〜50代という感じ。プリザベーションホールより気軽にジャズを聴きたい年配のお客さん向け。お酒を飲みながら手軽にレベルの高い演奏が聴けるのはやはりジャズの本場ニューオリンズならではだろう。


他にもガイドしてくださった山本さんのオススメのメゾンバーボンやパームコートなどにも足を延ばしたかったがビールの飲み過ぎたので、次回の楽しみということで、この日はホテルへ退散することにした。やっぱいいわニューオリンズ。
*****9月16日 ニューオリンズ→サンアントニオ*****
朝7時過ぎに起床し、フレンチクォーターに朝食を食べに行く。
向かったのは中庭のお洒落なCAFE BEIGNET。朝7時から営業しているので朝食がないのが大半のアメリカのホテルではこういったカフェが重宝される。
父はハム&チーズオムレツ、私はポーボーイをオーダー。ポーボーイとはバケットにカキフライやキャットフィッシュなどのメインの食材にレタスなどの野菜を挟んだサンドイッチ。このお店ではとろとろに煮込んだ牛肉を挟んだポーボーイだった。父が頼んだハム&チーズオムレツにはバケットの他に付け合わせとしておかゆのようなグリッツが付いてくる。グリッツはトウモロコシを柔らかく煮込んだもので見た目も味もお米のおかゆと似ている。トウモロコシのプチプチとした食感が特徴的だ。

この日はサンアントニオまで飛行機で移動する。
朝9時過ぎにホテル前からUBERで空港へ。空港には30分着で到着。料金は空港到着時と同じく34ドルほどだった。
今回利用するサウスウエスト航空にチェックイン。サウスウエスト航空は世界で最初のLCCと言われている航空会社。なのでサービスはいまいちなのかな、と思っていたがなんと荷物の預け入れは無料だったし(別発券のアメリカ国内線の場合は預け荷物は有料なのがほとんど)、ドリンクとスナックのサービスもあったので大満足だった。
約1.5時間のフライトでサンアントニオへ。サンアントニオからは予約済みのレンタカーで7日間かけてサンタフェまで移動する予定だ。
【空港からレンタカー乗車までの手続き】
ここでは空港からレンタカーを借りるまでの流れをざっと記しておきたい。
(1)空港に到着して荷物をピックアップした後、レンタカー会社専用の無料送迎バスが循環しているのでそれに乗り込む。アメリカのほとんどのすべての空港ではレンタカー会社が空港出口のタクシーやシャトルバスが出るエリアから無料の送迎バスを運行している。もちろんレンタカーを借りるお客向けのサービスなので無料だ。

(2)オフィスに到着したらスタッフに既に予約済みのバウチャーを提示したり予約番号を伝える。ここで日本の免許証やクレジットカードの提示を求められる。必要な所に署名し、オプションや保険の案内を受けた後、レンタルする車の場所を教えてくれるのでそちらに向かう。

(3)
指定された車に乗り込む。日本のように事前に傷のチェックなどはない。オフィスを出るところでスタッフがドライバーの免許証とガソリンの残量がフルかどうかの最終確認をしてさあ出発。(スマートフォンさえ持っていればグーグルのアプリがナビがわりになる。ただしモバイルWIFIは事前に準備しておこう。)


レンタカーを借りた我々はサンアントニオの市街地へ向かう。空港から市街地へは車で約30分。
米国デパートチェーンのメイシーズ近くの駐車場を目的地に設定していたが土曜日だからか、既に満車。他にも探したがなかなか見つからなかったのでデニーズの駐車場に駐車。週末の駐車代金は24時間で20ドル!!3、4時間しか滞在しない我々にとっては大きな出費となってしまったが致し方ない。早速サンアントニオの街を散策へ。
【テキサスでも最も歴史上重要な街・サンアントニオ】
メキシコまで車で3時間。メキシコの影響が色濃いテキサスの街サンアントニオ。テキサスに愛着がある人々ならこの名前を聞いて郷愁を感じない人はいないだろう。サンアントニオはテキサスの歴史上最も重要な戦いの場所となったからだ。
1821年メキシコがスペインから独立すると、当時メキシコの一部であったこのテキサスでも米国からの人口流入とメキシコの独裁政権に嫌気がさしていたこともあり独立の気運が高まっていた。それを抑え込もうと軍隊を送り込んだ、時のメキシコ大統領サンタアナ。しかしテキサスの義勇軍はメキシコ軍を破ることに成功し、アラモ砦を奪還した。それに怒ったサンタアナは1836年4000もの大軍を率いてアラモへ攻勢をかけた。テキサス独立を目指して戦った189人の義勇軍だったがあまりにも数が違いすぎる。屈服することなく兵士達は戦い続けたがついにアラモ砦は陥落した。勝利したもののメキシコ軍は予想以上のダメージを受け、さらに「Remenber Alamo」を合言葉にアラモ砦の戦いに奮起したテキサス軍により打ち砕かれる。
死をも恐れず自由を求めて戦ったテキサスの人々の勇敢さと忠誠心を物語るエピソードだ。
ここでサンアントニオの観光スポットを2つ紹介しよう。
・アラモ砦…アラモ砦の戦いの舞台になった場所。元々は伝道教会として建てられた教会であるが今は戦いの英雄であるデイビー・クロケット、ジム・ボウイ、ウィリアム・トラヴィスなどの遺品や資料が展示されている記念館となっている。入場は無料だがオーディオガイドは有料。事前に映画などで予習しておくと大いに楽しめるだろう。

・リバーウォーク…サンアントニオの中心を流れるサンアントニオ川沿いの歩道。この歩道沿いにはショッピングセンターやホテル、カフェにレストランなど様々な商業施設が立ち並んでおり、歩いているだけでも楽しい。サンアントニオ川にはリバーボートがひっきりなしに運航しているので、クルーズで涼みながらサンアントニオの街並みを観光するのも良いだろう。日が暮れるとリバーウォークはオレンジ色の灯りでライトアップされ、ロマンチックな雰囲気に。ぜひ昼間だけでなく夕方も訪れてほしい。

サンアントニオを一通り観光した後は、サンアントニオ郊外のモーテルへ。
【MOTEL 6 SAN ANTONIO DOWNTOWN】★★★
チェーン系のモーテル。チェックイン後部屋の前の駐車場に車を停めて、部屋の中へ。部屋は市街地の一般的なホテルと比べて広めで満足。部屋は改装しており清潔感があるが、換気扇の音がうるさく、冷蔵庫や湯沸かし器、セーフティーボックス、ドライヤーなどの基本設備はなかったのが残念。なおWIFIは有料だった。近くにはマクドナルドがあるが、あまり食指が動かずホテルのフロントにお湯をもらって日本から持ってきたカップ麺をすすった。近くに売店はない代わりにモーテル内に飲み物やスナック類を扱う販売機やコインランドリーがある。
このようにモーテルは車を持っていることが条件で不便なことはあるが、市街地のホテルと比べて宿泊費が半額以上安く車も無料で停められるので車を使う場合は大変重宝する。

*****9月17日 サンアントニオ→オースティン*****
朝、隣のマクドナルドで朝マックしてからオースティンに向けて出発。
インターステート35号線でサンアントニオからオースティンまで約1時間半。
【テキサスの州都でありライブミュージックの都のオースティン】
テキサス州の第4の経済都市でありテキサス州の州都であるオースティンは他のテキサスの街とは一風変わった個性的な街だ。オースティンで最も知られているのが6thストリートで夜な夜な繰り広げられるミュージシャン達の生演奏。ここオースティンにはライブ演奏ができるパブやクラブ、レストランがひしめいていて気軽にバンドの演奏を耳にすることができる。
オースティンでもう一つ有名なのが食材にこだわったスーパーマーケット・ホールフーズ発祥の地でもあるということ。さらに州立公園、コロラド川などの大自然にすぐアクセスできることからカルチャーのみならず環境や食に対して意識の高い人々が多く暮らしている。自転車で移動できるような街のサイズ感と既成のものに捕われずローカルなものを愛しつつITとオーガニックが盛んなのは、東海岸のブルックリンや西海岸のポートランドに通ずるところがある。
白人のみならず黒人、ヒスパニックなどの多様な人々が住み、名門テキサス大学を抱え若くリベラルで風通しのよい場所柄、誰もがここオースティンに居心地の良さを感じることだろう。
ここでオースティンの見どころを3つご紹介しよう。
(1) テキサス州会議事堂…オースティンのシンボルと言うべき、州政府の中枢である州会議事堂はワシントンDCの国会議事堂には及ばないもののアメリカ全州において最も巨大な建物である。内部には議場の他に州知事室や衆議院議員の個室などもあり、吹き抜けになっている円形の大広間には歴代テキサス州知事の肖像画が飾られている。


(2)6thストリート…陽が暮れ始める頃になると身体にビリビリ響くようなギターやドラムの音が聞こえて来るはず。ここは夜、オースティンで最も賑やかになる場所だ。レストランやカフェ、パブ、バーが軒を連ねており各お店は店内にステージを構えている。お店のカバーチャージのミニマムがドリンク1杯のところがほとんどなので思い思いに好きなお酒を飲みながらライブ演奏を楽しむことができる。


(2) SOCO…South Congressを短くしてSOCOと呼ばれる、オースティンのダウンタウンから南へ3キロほどにある新興商業エリア。アンティークショップやこだわりのレストラン、コーヒーショップ、さらにはオースティン名物のフードトラックが並ぶ。ダウンタウンよりも客層は少し若め。建物が多いダウンタウンエリアよりも緑が多く空が広いため開放感があって気持ちがいい。


一通りオースティンの街を観光した後はこの日の宿の「Extended Stay America 6th.St」へ。
【Extended Stay America 6th.St】★★★
その名の通り、オースティンの目抜き通り6thストリート沿いにあるホテル。中心部からほど近い立地であるが大きな駐車場を完備。ホテル宿泊者は1台10$で使用できる。比較的新しいホテルのようで清潔感のレベルはかなり高い。バスルームが新しいと気持ちがいい。室内も比較的広め。ミニキッチン付きなので調理したい人や長期滞在者にはうってつけだろう。キッチンにはレンジや大きな冷蔵庫はあるが食器やカトラリーはないので注意。他には室内無料WIFIやアイロン、ドライヤー完備。ただしセーフティーボックスやスリッパはない。1階のフロント近くには自販機やコインランドリーもあり便利。

この日はホテルチェックイン後、夜8時に街に繰り出しライブを見て6thストリートの人気レストラン「EUREKA!」で軽めの夕食をとり就寝。

*****9月18日 オースティン→ペコス*****
この日はカールスバッド洞穴群国立公園へ向かうための途中の街・ペコスへ。
オースティンからペコスは約400マイル。時間にして約6時間の距離だ。400マイルはキロに直すと640キロになるので、日本で考えた場合はかなりの距離となるがここアメリカではもう少し気楽に考えてもいいだろう。まずアメリカでは街から外れてしまうとほとんど信号がなく見通しが良い一本道が続く、また高速道路は無料なので料金所もないから渋滞もなくストレスフリー。とにかくアメリカの道は運転していて気持ちがいいのである。唯一気をつけることと言えば高速道路の場所によっては制限速度が時速80マイル(120キロ)というかなりのスピートなので、最初の頃はビュンビュン追い越される。しかし不思議なものでそのスピードにも時期に慣れてくる。
我々が出発した時オースティンからサンアントニオへの分岐点まで、インターステート(高速道路)は通勤ラッシュのためかなり混雑していたが、そこさえ抜けてしまえば後は車も少なくなり運転しやすくなった。国道290号からインターステート10号へ合流し、出発から4時間が経過した12時を回ったところでソノーラという街のステーキハウスでハンバーガーの昼食。
このステーキハウスがまたいかにも「テキサスのステーキハウス」という趣でまるでカウボーイの映画に出てきそうな雰囲気。こういうお店の出会いもアメリカを旅する醍醐味だなぁと感じる。

インターステート10号線に戻り、そのままフォートストックトンという街まで車を飛ばし、そこから国道285号へ分岐しペコスへ。ペコス到着は午後4時。ちょうどいい時間だ。
まだ明るい時間帯なのでペコスの街を軽く散策する。
しかし面白そうなところが何もない。失礼な言い方になるが、本当に通過されるためにあるような街だ。仮にオースティンからカールスバッド洞穴群国立公園の通り道でなければくることはなかっただろう。ただこういった寂しい街にもウォルマートはあったので入ってみた。夜食になるものを調達しようと思ったが特に心惹かれるものもなかったので、隣のガソリンスタンドで給油ついでにビーフジャーキーとビールを購入し、この日のホテルにチェックインした。
【Motel 6 Pecos】★★
この日の宿泊はサンアントニオでも宿泊したのと同じ系列のMotel 6。同じチェーンといってもやはり場所によってそのサービスのクオリティは大きく異なり、同じものを期待してはいけないようだ。値段もサンアントニオの方が倍近いのだが、満足度もサンアントニオの方が倍近かった。特段サンアントニオのMotel 6 が素晴らしいわけではなく「意外に良かった」程度の感想なので、ここペコスにおいてのそのクオリティの低さは推し量っていただけるだろう。
ベッドシーツにタバコの焦げ跡、傷だらけのドア、サイズが合ってないタオル、壊れた電灯。一つ一つ上げていくと不満だらけになるがまぁこれがアメリカのモーテルってものでしょう、と考えれば耐えられる。ただ単にサンアントニオの同じチェーン店が良かっただけさ。
なお室内にはドライヤー、無料のWIFI完備。バスタブやセーフティーボックス、冷蔵庫、スリッパはない。

この日は運転の疲れと明日朝に備えて早めに就寝。
*****9月19日 カールスバッド、ロズウェル、夕暮れのホワイトサンズ*****
朝5時に起床しカールスバッド洞穴群国立公園を目指す。ペコスからカールスバッドは約1時間半の距離。6時に出れば途中朝食を食べたとしても、オープンの8時に間に合うだろうという算段だ。
しかしカールスバッドへ向かう途中、間違いを2つ犯していたことに気づく。
1つ目はカールスバッド洞穴群国立公園のオープンが8時半だったこと。なぜ開館が8時だと思い込んでいたのだろう。古いガイドブックを見ていたのではないか。
2つ目は、ペコスはテキサス州、カールスバッドはニューメキシコ州にあるためこの州をまたぐ時に時差が発生するということ。我々は西に向かっているので、テキサス州の朝8時は、ニューメキシコ州の朝7時なのだ。要はかなり早めに出発してしまい、当初の予定よりも1時間半ほど余裕ができてしまったということだ。
こじんまりしたラビング(LOVING)というファンシーな名前の街のHACIENDA DE LA COMADREというレストランで朝食。朝6時からやっているお店なのでモーニングドライバーにはありがたいお店だ。名前の通りメキシカン料理をだすお店。朝食のプレート1つとパンケーキ1つをオーダーしたつもりだったが、私の英語能力の低さによりそれぞれ2人分きた。ただでさえボリュームが大きいアメリカにあってちょっと糖尿病的、成人病的ボリュームになったので、突き返そうかと思ったがそれも悪いので、パンケーキは昼食用に持ち帰らせてもらった(今思い返すとこれが昼食時間を短縮できたので結果良かったと思う)。
1時間ほど時間をかけて朝食を食べた後、カールスバッド洞穴群国立公園へ。
【カールスバッド洞穴群国立公園】
ニューメキシコ州グアラルーペ山脈に位置する国立公園。園内にはペルム紀の化石焦のあるカールスバッド洞窟とその他、合計83もの洞窟があると言われている。観光のメインとなるのはカールスバッド洞窟。カールスバッド洞窟の誕生は、2.5億年前に遡る。当時この付近は長さ600kmに及ぶ浜辺であった。この浜辺に藻、貝殻の遺骸が大量に堆積し石灰岩の地層が出来上がる。200年前になると大陸移動と共にこの地域は隆起し、侵食によって石灰岩体が地表に出てくるようになった。雨水が石灰岩の裂け目にしみ込み、ゆっくりと石灰岩を溶かし、今日の巨大な地下空間を形成するに至った。
なお馬蹄形に広がったこの鍾乳洞は主に3つのエリアに分かれている。
(1) メインコリドー・・・地上と地底を繋ぐメインコリドー。移動には約1時間かかる。
ナチュラルエントランスと呼ばれるぽっかり空いた穴の入り口から観光はスタート。ナチュラルエントランスはコウモリ達の住処になっている。かつてはネイティブ・アメリカンの避難所にも使われたようで壁画が残っているのだとか。
(2)シーニックルームス・・・カールスバッドで最も美しく繊細な鍾乳石が集中しているエリア。ビジターセンター主催のキングスパレスツアーでしか入れないため行かれたい場合は、事前に予約がオススメ。我々は今回ツアーには参加しなかった。
(3)ビッグルーム・・・カールスバッド洞窟の観光のメイン。天井の高さ80m、フットボール場6つ分という一つの地下空間としては全米で最大の大きさをもつ。
私達は国立公園の入り口から山道を車で7マイルほど登りビジターセンターに到着。入場料を払い(10$)、簡単な概要と注意事項を聞き、ビジターセンターから続く遊歩道から洞窟の中へ。
洞窟の入り口は自然ものらしい。探検者たちを待ち構えているように大きく口を開けているように見える。付近はコウモリ達が飛び交い我々を歓迎してくれた。
夕暮れ時に、コウモリ達がこの入り口から一斉に飛びだっていく様子が人気で、洞窟の入り口にはまるでローマ劇場のように観客席が設けられている。コウモリの飛翔を見るにはビジターセンターで鑑賞会の開始時間を確認しておくこと。今日のショータイムの時間は18時となっていたので日没の1時間前くらいが目安なのだろう。今回は開館と同時に来たのでそれまで待つのは時間がもったいないため、我々はコウモリの飛翔は諦めた。なお冬はコウモリがいなくなるので開催されないようだ。

洞窟の入り口からどんどん進んでいくとコウモリ達のフンの匂いが鼻につく。この辺りはコウモリ達の住処になっているのだろう。この匂いは奥に進むに従って徐々になくなっていく。下り坂がしばらく続くと入り口からの光は閉ざされ、後は暗闇と石筍と私だけの世界となる。
暗闇に佇む鍾乳石は神秘的。一口に鍾乳石といってもその姿形は多種多様。筍のようなものや巨大な胞子のようなもの、つららや霜柱のようなもの、針状のもの、サメの牙のようなもの、ドレープのようなもの、クラゲを重ね合わせたようなもの。不思議とどれも艶かしさのようなものを秘めている。言い方を変えれば人間臭さというか。しかしどんな優れた芸術家であってもこれほどのものを造ることはできないだろう。あまりにおびただく広大で巨大なのである。私は最初これを見つけた人々のことを考えた。おそらく人知を超えた第三者のことを思っただろう。それくらい神秘的で奥に進むに従って、「自分とは何か」「世界とは何か」という精神世界の最深部への探求をしていくような気分だった。不安はあるが歩みは止めない。「地震が起きたら生き埋めになるのではないか」という思いと、それでも「洞窟の奥に進んで何があるかを見なければならない」という半ば使命感のような思いが交錯する。ワクワク感の方が圧倒的に勝るのだ。
1時間ほど降りるとフットボール場が6つ入るくらいの大きさの巨大な空間、その名の通り「ビッグルーム」へ。ビッグルームを1周すると1時間半ほどかかる。このくらいの空間になるとかなり先の方まで見渡せるので入り口から降りてきた時の高低差のある景色とはまた違った楽しみがある。
私が一番印象的だったのが「Crystal Spring Dome」。その名の通りまるでクリスタルのようなキラキラ光っている巨大な円柱だ。キラキラ光るのは天井から滴り落ちてくる水分の影響。うっすら濡れた表面が光を反射してまるで生きているよう。
ビッグルームを一周した後はレストルームへ。ここではギフトショップの他に、お手洗いや軽食をとれるカフェがある。お手洗いやカフェといってももちろん、洞窟内にトイレやキッチンを造っているわけではないようでこのエリアだけエレベーターがついている。用を足したい方はそのエレベーターに乗って地上のお手洗いを利用する仕組みなのだ。
一般的には入り口からビックルームを一周して地上に出るには約4時間かかるそうだ。我々は比較的駆け足でいったので3時間程度で観光できた。しかし特に年配の方や足の悪い方は、急斜面や滑りやすい場所もあるため慌てないでレストルームや途中のベンチで休憩をとりながら観光していただきたい。

我々はカールスバッド洞穴群国立公園を後にして、次なる目的地のホワイトサンズヘ向かう。
カールスバッドからホワイトサンズまでは車で約3時間半。ホワイトサンズのサンセットを見るにはだいぶ余裕のあるスケジュールだ。ルートを確認していると地図上に聞き覚えのある街の名前が表示された。ロズウェルだ。これを読んでらっしゃる方々は「ロズウェル事件」を聞いたことがあるだろうか。
【ロズウェル事件の舞台へ】
ロズウェル事件とはニューメキシコ州の片田舎にUFOが墜落したとされる出来事だ。当初軍は「空飛ぶ円盤(flying saucer)」を回収したと発表したが数時間後それを訂正、「気象観測用気球」とした。事件当初はそこまでセンセーショナルな注目を浴びた記事でなかったが事態が変わったのが1980年代。テレビのドキュメンタリーで全世界的に知られることになり、ここ日本でも地球外生命の存在を裏付ける事件として話題になった。
カールスバッドからロズウェルまでは車で約1時間半。ホワイトサンズへ直行するよりも1時間ほど遠回りとなるが興味本位でいってみることにした。
到着したロズウェルは普通の田舎町。特段他の街と比べての違いはない、ただしエイリアンを除いて。街の中心部のお店には至る所にディスプレイされているエイリアンのモチーフ。エイリアングッズを売るお店はもちろん、雑貨屋さんやローカルのパン屋さんに喫茶店、家具屋さんや金融ローンのお店までエイリアンのイラストやオブジェを店頭に飾っている。今や一種の町おこしになっているのは違いない。
そんなロズウェルに来たからには必ず立ち寄りたいのは「UFOミュージアム」。市街地のど真ん中に陣取るこのミュージアムはロズウェルのシンボルといっても差し支えないだろう。入場料は5ドル。支払って中に入るとロズウェル事件の当時の新聞記事やその時の証言、実際にエイリアンに連れて行かれた人の話やインプラントについて、事件を再調査した際の資料など。果てにはエイリアンと一緒に写真がとれるスポットやUFO写真にミステリーサークルコーナーなどロズウェル事件とUFOに関しては随一の情報が収集できる。
展示の最後にはお約束のギフトショップがあり、ここでUFOグッズやエイリアングッズを購入できる。プリクラでは合成にはなるがエイリアンとも一緒に写真が撮れる。なお私はこのギフトショップの販売機でコーラを購入したところ何故かペットボトルの水が出て来た。これもエイリアンが仕掛けたミステリーか、と思ったが素直に店の人に聞いたらちゃんとコーラに変えてくれた。あのまま水を飲んでいたら今はこうしていないかもしれないと思うとゾッとする。

ロズウェルからホワイトサンズへは約3時間半。お昼から午後4時くらいが、時差の関係上一番眠くなる時だ。そのため1時間くらいで運転を交代しつつどうにかホワイトサンズへ。
ホワイトサンズに到着したのが午後5時過ぎ。
【ホワイトサンズ国定公園】
ニューメキシコ州トゥラロサ盆地に忽然と現れる白い砂漠。その大きさは約581km²、東京都の約4分の1にも及ぶ。白い砂漠の正体は石膏。石膏は水溶性のため通常川や海に流れてしまうのだが、周囲に川や海がないため石膏などの鉱物はこの盆地にとどまり結晶化した。結果長い年月をかけて風化・浸食され砂状へと粉々となり砂丘を形成することとなった。砂は軽く北東風の影響で年に10mほど移動しているのだとか。
園内にはギフトショップと軽食がとれるビジターセンターと5つのトレッキングコースが整備されている。砂は柔らかく熱を吸収しないため素足でも歩ける。そのためソリ遊びの場所としても子供連れの家族にも人気がある。
入場ゲートをくぐるとまず目に飛び込んでくる最初の建物がビジターセンターである。
ここにはギフトショップやお手洗いの他にホワイトサンズ内のツアーのスケジュールが掲示されている。ちょうど「SUNSET STROLL」(サンセットの中でお散歩)というツアーが午後6時に開始されるようなのでそれに参加させてもらうことにした(日没の1時間前に開催されるようだ)。
指定された待ち合わせ場所まで車で移動し、時間になるまで写真を撮ったりして時間を潰す。
ツアー開始。参加人数は20人くらい。ツアーを行うのはここホワイトサンズの専任のレンジャー。砂漠を歩きながらホワイトサンズに生息する植物をメインに説明してくれる。言葉の問題で正直よくわからなかったがここに生息する植物が長い年月をかけて成長していることと、この砂漠がかなり特殊なエコシステムを持っていることはなんとなくわかった。ツアーは45分くらい。最後はサンセットポイントにて解散となった。参加料金はかからないのでタイミングが合えば参加しても良いだろう。

ホワイトサンズを一通り巡ってこの日の観光は終了。ホワイトサンズは日没1時間後に閉園するため、トレイルを散策するのは明日のお楽しみとする。
ホワイトサンズを後にしてこの日の宿のあるアラモゴードへ。
アラゴモードはホワイトサンズ観光の起点となる街で、宿やレストラン、スーパーマーケットが充実している。我々はここアラゴモードのMotel 6の部屋を確保している。
【Motel 6 Alamogordo】★★★
この旅御用達のMotel 6。これまでサンアントニオ、ペコス、そしてアラモゴードの3軒のMotel 6に泊まったがここが一番バランスが取れていた。これまでの基本的な設備はそのまま、電子レンジと冷蔵庫付き。ペコスのMotel 6のように掃除が行き届いていないこともなかった。清潔感でいうとサンアントニオの方が上だったが、総合的な満足度は1位だ。

夕食はアラモゴードのウォルマートでサラダとマクドナルドを購入して食した。
*****9月20日 朝のホワイトサンズ、そしてサンタフェへ*****
【朝のホワイトサンズ観光】
朝5時から出発の準備。ホワイトサンズで日の出を見るためだ。グーグルによるとホワイトサンズのこの日の朝日は6:53に上る予定だ。ホワイトサンズは日の出から開場というのをガイドブックで読んでいたので、おそらく日の出を見る客のために6時ごろには開けてくれるんじゃないかと仮定。期待に胸を膨らませ、朝6時にはホワイトサンズ国定公園の門に到着したが、未だオープンしていない。仕方なく待つこと1時間、実際の開場は朝7時からだった。この時点ですでに空はしらけて太陽も昇っていた。どうやらホワイトサンズで日の出鑑賞をするにはホワイトサンズでキャンプしないと難しそうだった。
ホワイトサンズ国定公園にようやく入場。入場料は1度入場していれば1週間有効なので、昨日購入した際のレシートを提示する。
早速、公園の一番奥にあるハードオブザサンズへ車を走らせる。もちろん一番乗りなので、他の車はない。朝の一番美しい景色のホワイトサンズを独り占めできるなんてなんて贅沢なことだろう。車を停めて、ホワイトサンズ最長のトレイルである「Alkali Flat Trail」に出発。
●Alkali Flat Trail
Alkali Flat Trailは全長7.4マイルにも及び、一周するのに3時間程度かかる。赤いポールが目印、このポールをあてにトレイルを歩く。歩くこと30分までは昨日トレイルに来たであろうたくさんの人の足跡が残っている。そのため安心感があるのだが、出発してから1時間ほど経過すると他の旅行者の足跡も少なくなり不安が増す。父親も私から遅れて出発したのだが、諦めたようで振り返っても父親の姿はない。ましてや今日は一番乗りに来たので、私より前に歩いている人はいない。ポールだけを頼りに砂漠の中を孤独に歩き続ける。それも誰もまだ足を踏み入れていないような風紋の綺麗に残った砂漠。そのほかは何も見えない。
トレイル開始後30分以降は次々に現れるホワイトサンズの絶景に感動する気持ちと一方で孤独と不安の両方抱えながら歩き続けた。ポールを越えども越えども、次々と白い砂丘が現れてくる。1時間半ほど歩いた時点だろうか。目の前の白い砂丘はなくなり平野が見えてくる。ここがホワイトサンズの果てなのだろう。だとしたら折り返し地点に到達したことになる。折り返し地点の目印と思われるポールから方向を変えてさらに続くポールを目当てに歩き続けた。
後半のトレイル中の私の気持ちは前半よりもだいぶ楽だ。すでにゴールのおおよその距離と方角がわかっているのでいざとなれば帰れないこともないからだ。前半と同様後半も次々に現れる砂丘を越えゴール地点を目指す。しばらく歩いていると人らしき影が見えてくる。おそらくトレイルの入り口付近を散策している旅行者であろう。ここまで来たらもうゴール寸前だ。トータル3時間弱でようやくゴール。
前半はどうなることかと思ったが、なんとかゴールできてよかった。
反省点としては多少なりとも食料と水を持って来ていれば不安は軽減したのではと思う。逆に持っていてよかったのはスマートフォンのバッテリー。いざとなった時の連絡手段として電話は必須なので、バッテリーを持っていたことは安心感につながった。また誰もいないので音楽を大音量でかけ流していたのも気分を紛らわす分には役に立った。
(なお後から教えていただいたことだがAlkali Flat Trailを歩く場合はトレイルの入り口の記帳台に名前と時間を書く必要があったようだ。それに気づかず一周してしまったが、このトレイルでは風の強い日はポールが見えなくなり遭難される方もいるとのこと。歩かれる方は十分注意し、記帳した上でご出発いただきたい。)

ホワイトサンズを発ち、次なる目的地のサンタフェへ目指す。
サンタフェまでは約4時間の距離。途中、カリゾゾという国道沿いのレストランで昼食のハンバーガーを食べる。ソノーラのステーキハウスといいアメリカのドライブインはなぜこんなにも雰囲気がいいのか。今回昼食のために訪れた4WINDSというレストランも、「古き良きアメリカ」を体現しているようなドライブインだ。建物は古く、年季の入ったテーブルにイス、馴染みの客にフレンドリーなスタッフ。料理の味はまぁまぁだけどこの雰囲気込みなら全然アリ。
サンタフェのホテルに午後4時手前に到着。
【Garrett’s Desert Inn】★★★
この日のホテルはダウンタウンに位置する「Garrett’s Desert Inn」。ダウンタウンの中心のプラザまで徒歩5分ほど。ロケーションに関わらず広々とした駐車場を持っているので車の旅行者には大変オススメ。ホテルはモーテルのような平屋2階建ての造り。部屋の目の前が駐車場となっている(別料金で1日8$)。室内は清潔でやや広め、冷蔵庫、電子レンジ、バスタブ、ドライヤー、コーヒーメーカー、無料のWIFIあり。テレビは懐かしのブラウン管。ホテルには自販機や無料のコーヒーのサービス、プールもある。ホテルにはカフェが併設されている。徒歩10分ほどかかるがスーパーマーケットも徒歩圏内。

ホテルで休憩した後は、夕食のために街中のレストランへ。メキシカンにもハンバーガーにも飽きて来たのでこの日はスペイン料理店のLa Boca。このレストランはタパスがメインなので一皿一皿のポーションが小さい。タパス2皿とグラスワイン2杯、2人でチップ込み70$!高い。でもサンタフェで食事するならこのくらいが普通なのだろうか。料理は凝っていてもちろん美味しかったのだが。。。

*****9月21日 タオス&チマヨ観光*****
この日はツアーガイドをつけて1日かけてタオスとチマヨを観光。
朝9時30分に担当してくださる小林さんとホテルで合流し、さぁ出発。
【織物と癒しの村・チマヨ】
まず向かったのがチマヨ。チマヨはサンタフェから北東約50kmに位置する村。小さなこの村が最も賑わうのはイースター。サントワリオ・デ・チマヨ教会は50人ほど入ればいっぱいになってしまう小さな教会だがこの教会を目当てに数万人の人々が押し寄せる。中には巡礼のために数百km離れた場所から歩いてくる人もいるそうだ。それほど多くの人々を惹きつけるのはこの教会が持つ不思議なパワー。教会内には「奇跡の砂」が湧き出る穴があり、その砂を体の悪い部分に当てるとその部分が良くなるという言われがある。実際よくなった人々からの感謝の手紙や不要になった松葉杖をこの教会にお供えしてくれる信者達があとを立たない。まるで「アメリカ版ルルドの泉」だ。ガイドの小林さんがジップロックを持ってきてくださっていたので、我々も高校球児よろしく砂をかき集めて袋に詰めた。なお隣のギフトショップにはこの砂を詰めた小瓶が売られているのでお土産にもうってつけだ。
またサントワリオ・デ・チマヨ教会のそばには子供のための教会がある。祭壇が可愛らしいイラストや木彫りの人形でデコレーションされているのは、子供が怖がらないためだとか。教会の内部には子供の成長を願うための子供の写真や靴などが供えられている。様々な土地の教会に行ったが純粋に子供のための教会というのは珍しいので、ぜひサントワリオ・デ・チマヨ教会に訪れたら併せて見学しよう。

その後に訪れたのは「オルテガ」の直売所。オルテガはここチマヨでいくつかある内の織物メーカーの一つだ。17世紀後半、チマヨにはスペインから入植者達が暮らすようになったが、彼らは自給自足の生活を余儀なくされ、当然のことながら衣類や毛布までも手作りしなければならなかった。オルテガの創業者のガブリエル。オルテガは入植時に羊と織物技術を持ち込み、その後何代にも渡って当時と変わらぬ製法で質の高い織物を作り続けていた。19世紀になるとアメリカ東部からやってきた人々によってニューメキシコの風景・文化・生活様式が注目をされ、チマヨ製の耐久性がありつつ独自の色や柄の織物はニューメキシコを代表する特産品として人気を博すこととなり、今日までオルテガ製ブランケットは高い評価を受けている。今現在も織物は全て手作り。ラグにバッグやコースター、衣類まで様々な種類の商品が売られているのでお土産に是非。
なおこのオルテガは男性に大変人気とのこと。BEAMSで取り上げられたことで一躍有名になった。もちろん日本で購入するよりも格安で手に入るので、オルテガ社の直売所目当てにサンタフェに来られる方もいらっしゃり、ベストを何枚も購入していかれるのだとか。

【聖フランシス・デ・アシシ教会】
タオスにある聖フランシス・デ・アシシ教会はジョージア・オキーフが絵に描いたことで知られる。特に興味深いのは教会の後ろ側を描いたということ。アドビ造りの教会は、後ろから見ると教会かどうかがわからないのが面白い。丸みを帯びたシルエットと赤土色の壁と白い十字架と青い空、見ていると心を柔らかくなるような優しさを感じる教会だ。

【リオ・グランデ・ジョージ橋】
コロラドからニューメキシコ、テキサスを経由してメキシコ湾へ注ぐ、リオ・グランデ川。タオスから北西に30分ほど行った場所に、リオ・グランデ峡谷にかかるリオ・グランデ・ジョージ橋。地上から200mもの高さの上にかかる鉄橋から見下ろす景観は圧巻。まるでグランドキャニオンのようだ。なおこの橋は高さに比べて柵が低く作られているので自殺の名所になっている。橋から一歩突き出た見晴台には、福井の東尋坊よろしく「命のコールセンター」のようなものがあった。何事も自己責任のイメージが強いアメリカではあるがこのような取り組みもしているのだなぁと意外に感じた。

リオ・グランデ・ジョージ橋を見学した後はOrlando’sへ。Orlando’sはツアー御用達のメキシカン料理店。店内もかわいい。
私はチレ・レジェーノ。大きな唐辛子の肉詰めだ。ガイドさんオススメのニューメキシコ料理。辛い食べ物好きな私はもちろんスパイシーにと頼んだ。
父はチキンのエンチラーダ。紫トウモロコシを原料に使った黒いトルティーヤが特徴だ。
正直テキサスとニューメキシコでメキシカンばかり食べてきたので、メキシカンは飽きていた。しかしここの店の料理は美味しい。さすがガイドさんオススメなだけある。

昼食の後はこのツアーのハイライトであるタオス・プエブロへ。
【タオス・プエブロ】
サンタフェから北東に約70マイル。タオスの街のはずれにネイティブ・アメリカン、プエブロ部族の集落タオス・プエブロがある。この集落は紀元前1000年頃から存在し、今でも100人以上のネイティブ・アメリカンが暮らしていると言われている。アドビ住宅が軒を連ねて立ち並ぶ村の様子は美しい。まるでネイティブ・アメリカンにとっての「フィレンツェ」のような場所だ。中でも目を引くのは世界最大のアドビ住宅。この3階建ての世界最古のマンションは世界遺産に登録されている。この集落はもともと要塞の役割を担っていたため、現在は家に扉が造られているが元々は扉がない。本来の住宅の入り口は天井にあり、ハシゴを使って天井から出入りをする仕組みになっている。未だこの村には電気も水道も通っておらず、当時のままの暮らしが垣間見る事ができる。

タオス・プエブロを見学した後はタオスの街の中心、プラザ界隈でショッピングタイム。サンタフェよりもお土産が比較的安価に購入できるとあって人気のスポットだ。

その後、サンタフェのホテルに戻りガイドの小林さんと解散。
小林さんのおかげでネイティブ・アメリカンの歴史、ひいてはサンタフェについて理解が深まったと思う。
夕食は小林さんおすすめのステーキハウス「Bull ring」にてリブアイステーキをいただいた。

*****9月22日 サンタフェ→ポートランド*****
この日は午後3時台のフライトでポートランドへ向かう。
午前中はサンタフェ市内観光をするつもりだ。
【アメリカの宝石 サンタフェ】
アメリカ本来の歴史が残り、強烈な太陽と砂漠の色、そして青い空が美しいサンタフェはアメリカ人にとっても特別な意味を持つ街のようで全米で最も憧れの街としてランクインされている。サンタフェの歴史はアメリカの都市で最も古く、紀元前1000年頃にはサンタフェ一帯に遊牧民のインディアンが定住していたと言われる。その後、スペイン領・メキシコ領へと移り変わりアメリカ・メキシコ戦争後の1846年にアメリカ政府は他のメキシコ領と共にこのサンタフェ一帯の地を割譲され、1912年にアメリカの47番目の州の州都となった。アメリカでとしての歴史は約100年ほどであるが、それ以前の長い歴史があるだ。

私はサンタフェの街を散策しつつ、ロレット教会→ジョージア・オキーフ美術館→キャニオンロードを訪れた。
●ロレット教会・・・
ロレット教会の螺旋階段は「サンタフェの奇跡」として知られている。というのは建築構造学から言えば不可能なはずの支柱のない螺旋階段が存在するのだ。現代科学の解明の結果、階段自身が支柱の役割を果たしていると考えられている。非常に高度な技術が求められ、まだコンピューターがない建設当初の150年ほど前に誰がどのように作ったのは未だßに謎に包まれている。

●ジョージア・オキーフ美術館・・・
20世紀を代表する画家、ジョージア・オキーフの作品を集めたミュージアム。ジョージア・オキーフはサンタフェの文化や自然を愛した画家として知られている。彼女が晩年を過ごしたサンタフェ郊外のアキビューやゴーストランチには自身の作品のモチーフをなったものが数知れない。タオス・プエブロなどサンタフェ周辺の主要観光地の景観もオキーフのインスピレーションのもととなっているので、それらの観光地を訪れる前にここで予習をしておきたい。作品群の中には幼少期からスケッチや、学生時代のイラスト、さらに日本へ訪れた際の着想を元に描いたものも展示されており興味深い。

●キャニオンロード・・
サンタフェのダウンタウンは徒歩で30分もあれば一周できてしまうほどの大きさ。しかしなぜ多くの観光客がサンタフェに惹かれるのか。サンタフェの街の醍醐味はアート観賞にある。6万人ほどの小さな街にギャラリーが200軒以上、全米ではニューヨーク、サンフランシスコに次いで美術品の取引高が高いというから驚きだ。アメリカのアートの中心とも言えるサンタフェの中でも最もギャラリーが集中するエリアが1マイルほど続くキャニオンロード。展示物も陶器、ファブリック、絵画、写真、彫刻、空間アートなど様々。中には博物館にあってもおかしくないような作品も展示されているとあって、アート好きでなくとも1日中ここで過ごせるであろう。

サンタフェ観光を終えた私はホテルで父親と合流し、荷造り。11:30頃にホテルチェックアウトを済ませた。その後、ホテルに隣接する(これまたガイドの小林さんがオススメしてくださった)Santa Fe Biteへ。なんでもこのお店のグリーンチリチーズバーガーは全米で「最も美味しいハンバーガー50選」に選ばれたというハンバーガーなのだそうだ。そんなお店が近くになるなら寄らない手はない、ということでこの日のランチに訪れた。人気のグリーンチリチーズバーガーは分厚いパテとピリ辛のチリの相性が抜群で大変美味しかった。料金も1人15ドル程度なのでサンタフェ中心部としてはかなり良心的な部類のお店だろう。

お腹を満たした後はホテルからサンタフェ空港へ向かう。
サンタフェ空港へはダウンタウンから約20分。立地が良い空港であるが、規模が大変小さい。私が訪れたことのある空港の中でもトップレベルの小ささ。航空会社のカウンターは1つのみで後はカフェテリアとレンタカーのカウンターが数社あるだけ。このような小さな空港なので大型旅客機は乗り入れできず本数も数ない。そのためアルバカーキ空港がサンタフェ訪問のメインの空港となっているようだ。しかしアルバカーキ空港はサンタフェから少なく見積もっても1時間半の距離。やはりサンタフェ空港の方が便数は少ないが時間が合えば便利なのは間違いない。
ガソリンを満タンにして、サンタフェ空港のハーツレンタカーに返却。返却手続きは簡単。受付の時にもらった契約書と車のキーを返すだけ。その後、車内点検があり問題なければレシートを発行してくれる。

サンタフェ空港からまずはフェニックス空港へ。
フェニックス空港では荷物はスルーで流れるので、そのままポートランド行きの飛行機に乗り継いだ。
【ポートランド市内の移動手段】
ポートランド到着したのは午後7時半頃。荷物をピックアップしてホテルに向かう。ホテルに向かう手段は公共交通機関のMAXライトレールで。MAXライトレールは空港からダウンタウンまでを結ぶレッドラインを含む5路線84駅。2時間半の時間制限のチケットは2.5$、1日乗り放題のチケットであれば5$。乗車券はMAXライトレールだけでなく市バス、ダウンタウンとパールディストリクトを結ぶストリートカーとも共通なので、賑やかなエリアが点在するポートランドで終日遊ぶなら1日券が便利。乗り場にある券売機で購入できる。忘れ物が多い方にはスマートフォンアプリにも対応しているのでこちらがおすすめ。なおチケットを購入した後は券売機の隣に刻印機があるので日付の打刻を忘れずに。

我々は空港からConvention Center駅へ移動。駅から今回宿泊する。
【Inn at the Convention Center】★★★
Convention Center駅から徒歩で1分ほど。Inn at the Convention Centerはダウンタウンからウィラメット川を挟んだコンベンションセンター近くの2つ星ホテル。ホテル自体は古さを感じる一昔前の建物。室内には冷蔵庫や電子レンジ、室内無料WIFI、ドライヤー、バスタブあり。建物の見た目とは裏腹に、部屋は綺麗で広め。近くを列車が通るのでその度に列車の音や振動は気になる。終電から始発の時間までは静かだが、早めに就寝する人には合わないかも。

ホテルをチェックインするとすでに夜9時をまわっている。夕食は近くの「Altabia City Tavern」にて。ホテルのルーフトップのレストランで、店員さんオススメのマルガリータピザとイカサラダを地ビールとともに。ピザの生地はパリパリもちもち、チーズも絶妙にとろけていい感じ。それをビールで流し込む。空きっ腹に最高。景色もスタッフの感じもよかった。

*****9月23日 ポートランド観光*****
この日は気ままにポートランドをお散歩観光。消費税がかからない街なので散歩がてらショッピングを楽しんだ(ただ意外にホームレスが多いのが気になった)。
【ローカルに根ざした物作りの街・ポートランド】
ポートランドのみを扱ったガイドブックも何冊か出ているほど、ポートランドのレストラン、カフェ、アウトドアショップ、アパレル事情は大変充実している。それも大手チェーン店でなく、ローカルに根ざした個人経営の割合が高い。特にマイクロ・ブリュワリーと呼ばれる小規模ビール醸造所が盛んでポートランド市内には60もの醸造所がひしめいている。しかもそのビールの生産量の60%がポートランド市内で消費されるという。「DIY」「クラフトマンシップ」という言葉に代表される通り、自然に囲まれたポートランダー達はこの環境をリスペクトするからこそ地元の素材を使いたいという思いが強い。それが独自のポートランド文化を生み、世界の人々を魅了することに結びついているのだ。
クラフトビール醸造所、サードウェーブカフェ巡りに日本未上陸のドーナツ屋、アイスクリーム屋の食べ歩きもポートランド観光には欠かせないが、ポートランド最大のお楽しみは自分の感性にフィットするような一生ものの一品を見つけること。革ブーツのトップブランド、ダナーがポートランド生まれであるようにこの街のレザーハンドクラフトはポートランドを代表するカルチャーの一つ。100年近く続く職人による専門店オロックス、ウエスト・エンドに店を構えるタナーグッズ、スノーボードデザインに10年携わったセス兄弟のレッドクラウズコレクティブなどこだわりを持った直売所が数多い。消費税もかからないポートランドでのショッピングはついお財布の紐も緩くなってしまうので買いすぎに要注意。

ポートランド発祥のブードゥードーナツ ニューオリンズでは行列はなかった

ポートランドを代表するサードウェーブ スタンプトンコーヒー

こちらもサードウェーブのBRISTA

ポートランドを代表する洋品店 PORTLAND OUTDOOR STORE

ポートランド生まれのアウトドアブランド コロンビア

ポートランドを象徴するリノベーションホテル エースホテル

ポートランドの独立系書店 パウエルズブック

ポートランド生まれの人気革靴ブランド ダナ

ポートランド発のシューズブランド KEEN

ポートランドを代表する革製品店 オロックス

私がポートランドをウロウロしていたその日はちょうど土曜日、ウィラメット川沿いでサタデーマーケットが開催されていた。ポートランド発のローカルブランドから地元のデザイナー・アーティスト、さらには感性の高い一般の方々による様々な雑貨からTシャツ、手工芸品、調味料までが売られている。またフードトラックも多数並んでいるのでポートランドのB級グルメを食べ比べても面白いだろう。何よりウィラメット川沿いの開放的でゆるやかな空気の中で過ごすのは最もポートランドらしい過ごし方といえよう。


お土産をたっぷり買い込んだ後は、ホテルに戻り父親と合流。
少し休憩してバスに乗ってウエスト・エンドへ。ウエスト・エンドはダウンタウンよりもさらに感性が若いお洒落な一角。レコード店やレザークラフト店、カフェにレストランなど両脇に並ぶ。一歩路地に入れば住宅が立ち並ぶエリアではあるがレストランやカフェはお客でいっぱい。ビジネス街でもなく交通の便利とは言い難いこの場所にこれだけのお客がレストランやカフェに溢れているのは、観光客でなく地元の人にそれぞれのお店が愛されている証拠なのだろう。

最後の晩餐はポートランドのマイクロ・ブリュワリーの一つ、ECLIPTICで。
*****9月24日 帰国の途へ*****
フライトは朝6:15発。始発のMAXライトレールを使えばなんとか間に合う時間ではあるが、何かあると怖いので、配車アプリを使って空港へ。
ニューオリンズではUBERを使ったので、帰りはLyftを使った。空港まで22ドルちょっと、UBERでも調べたところLyftの方が少し安かった。
特に問題なくチェックインでき、東京へ向かった。
=======おすすめ度=======
ニューオリンズ・・・★★★★☆(音楽好きなら★★★★★L)
気軽にジャズが聴けるのがいい。ジャズといってもデキシーランドジャズが中心で、箱によってはポップス、ロックよりのバンドなどバリエーション豊か。ビール1杯で気取らず音楽に浸れる。ジャズに詳しくなくとも楽しめる敷居の低さもグッド。ちなみに父はニューオリンズが今回の旅で一番気に入ったようだった。
サンアントニオ・・・★★★
アメリカ人が好きなアメリカの旅行先の一つ。テキサス・メキシコ戦争の舞台、アラモの砦は一見の価値あり。もし立ち寄る機会があればおすすめ。
オースティン・・・★★★☆
テキサスの州都であり、バンドの街。生演奏が聴けるハコの数であればニューオリンズの方が上だが、そこまで騒がしくなく、しっぽりインディーズバンドの音楽に浸るならこちらの方がおすすめ。
サンタフェ・タオス・・・★★★★☆(アート好きなら★★★★★L)
全米一のアート街。アート好きならギャラリー巡りだけであっという間に1日が過ぎるだろう。もちろんアートにそれほど関心はなくともジョージア・オキーフの世界観やサンタフェ・タオスのアドビの美しい街並みには誰もが心動くはず。リピーターも数多いのも頷ける。
ポートランド・・・★★★★(新しいモノ・カルチャー好きなら★★★★★L)
観光という観点から言うと誰もが息を飲む大自然や絶景、または重要な遺跡があるわけではない。しかし世界のモノ・カルチャーのトレンドを見たいならポートランドは未だトップランナーだ。ここでしか体験できないお店、ここでしか買えないモノが圧倒的に多い。それら全てがポートランドならではのオリジナル、しかも丈夫でシンプルでかっこいい。本当に良いものを届けようとするポートランダーの気質とこだわりがこの街を特別なものしている。
(2017年9月 橋本康弘)
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