出発・入国・ビザ
2年ぶり2度目のアフリカ行の機会が巡ってきた。今回の旅は大雑把に分けると前半が動物、
後半が滝の2部構成。5月初旬にしては珍しい大型の台風の影響をまともに受けて羽田発が4時間近くディレイした。そのため最終目的地のルサカまでの同日接続がほぼ不可能だろうと早くもあきらめた状態で搭乗開始。その先をどうしようかなと考えを巡らせながらドバイまでの11時間を皮肉にも飽きることなく過ごした。そしてドバイ到着。案の定乗り継げず、手際よくエミレーツのスタッフが私を待っているが手には翌日の航空券とホテルバウチャーが・・・それは絶対NG。ここで躓くとすべてがダメになるほど予定が詰まっている。ここからが交渉の腕の見せどころ、なんとか頼み込んでナイロビ経由のルサカ行きの手配をしてもらってゲートまで全力ダッシュ。今回のエミレーツさんの対応にとても感謝している。予定より10時間遅れてようやく夜中0時過ぎにルサカ空港に辿りついた。ところがイミグレーションわかりづらく、かなりテキトーで1時間近くも並ばされた。ビザの取得そのものはいたって簡単でただお金を払うだけで入国カードの類は一切ない。今回はザンビア・ジンバブエ両方行くのでユニビザを取るのがベストということで$50を払った。これはとても便利なビザで30日の間に何度も行き来ができるので滝の観光には最適。ただし今回は行程中ボツワナに1泊したのでジンバブエに再入国する際にあらためてビザを取らなければならなくなり、さらに$30出費した。
カパニロッジとサファリ
ルサカで1泊した翌朝またまた飛行機。昨日1本多く乗ったのであらためて今回の搭乗回数を数えると9回もある。飛行機苦手の私にとって1度の旅で9回は多すぎる。
ルサカからは1時間のフライトでムフェへ、
そこから車でおよそ40分、カパニロッジに到着。
ここは野生動物保護のパイオニアと言われているノーマンカー氏が造った高級ロッジ。
氏は最初のウォーキングサファリ提唱者として有名。宿泊費にはと朝・夕2回のゲームドライブが含まれている。しかもオールインクルーシブなので冷蔵庫の飲み物も全て宿泊費に含まれている。但しなぜかWIFIだけは有料で電気がからむものは別格らしい。
部屋には電話がない。なのでモーニングコールの代わりにスタッフのモーニングノックで目が覚める。朝食後はゲームドライブ、戻って美味なランチ、軽く昼寝をして3時過ぎに太鼓の合図で目を覚ましてアフタヌーンティーへ、軽く1杯しばいた後は再びサファリドライブへ。そして暗がりの中でビールを思いっきり流し込み、美味しいごはん、夜は早く、そして思いっきり闇に包まれる。聞こえるのはヒポの鳴き声くらいか・・・こんなサイクルで1日が流れていく。
自然の中の自然、そして静寂。本当の夜ってこんな感じなんだろう、星がものすごく多く輝いている。街の灯りが当たり前で24時間お店が空いているのが常識国から来た者にとってここはリアルに別世界、都会で暮らす私にとって最高の“非日常空間”がここにあった。舌の肥えた、味にうるさいヨーロピアンのゲストが多いからだろうか、食べものは総じて美味しい。
今回の旅行の中でもっとも食事のレベルが高かった。
ちなみに夜は象やヒポ(=カバ)がうろつくらしく外出しないよう注意をされる。
でももし部屋から出るようなことがあっても見張りのスタッフがしっかりサポートしてくれるので安心。朝から晩まで24時間、このロッジはスタッフ全員のホスピタリティが高く、自然な心配りがとても気持ち良い。
このホテルを経営しているノーマンカーサファリという会社は他にもその広大な公園内に4つの宿泊施設を保有している。インスペクションをさせてもらったがそこにはさらに静かで隔絶されたいたって素朴な空間があった。1週間後のオープンを控え準備中ということもあってゲストはいない。
また一部手直し中のため写真はあまり撮っていない。
基本は5月半ばから10月いっぱいまでの季節営業だが
ムチェンジャのみ11月の2週目から1月の1週目がオフという以外は年間営業している。
手つかずという表現が適切なのだろうか、まさに自然と共生するロッジ。
道中、偶然に動物たちに出あうことも楽しい。
サウスルアングア国立公園
マサイマラやクルーガーと比べて知名度は低いが、実は100年近い歴史を誇る、世界屈指のサファリパークでヒポ(=カバ)の生息数が世界一らしい。あまりピンとこなかったが一番というのは凄いことだ。またここは徒歩によるサファリ、いわゆるウォーキングサファリ発祥の地である。広さは9050平方キロメートル。この数字がどれくらい広いか調べてみると鹿児島県並みの広さらしい。
ここではザンビア国内で最も多くの野生動物がいてビッグ5と呼ばれるライオン、レパード、象、バッファロー、サイを確実に見ることが出来る。ちなみに今回のプログラムにウォーキングは含まれておらず、すべて車で楽しませて頂いた。
チョベマリナロッジ
空路でジンバブエへそして陸路でボツワナへ。入国にビザは要らない。
入国する際に、マットを踏んで靴の裏を軽く消毒させられる。
これが実に踏み応えがなく、とりあえずやってます的な感じでとても効果があるようには思えない。
拠点となる町はカサネ。まずは滞在するチョベマリナロッジへ
ウェルカム感に溢れる部屋はおっさん一人で泊まるにはちょっと恥ずかしい、可愛いベッド。
バスルームも広くバスタブもしっかりある。またベープマットも備えられていてマラリア対策も万全。WIFIは無料だがロビーでしか使えずしかも電波が弱い。といってもこの前のサウスルアングアもそうだが、自然とふれあい、動物を見る目的で来たのだからそもそもネットなんて必要ないくらいの気構えがないといけない。せっかくなのでいくつか部屋をみせてもらったが一番良い部屋はハネムーンスイート。
しかしなぜか玄関がなくゲストは窓から入るのがユニーク。空き巣のようだと言ったらもの凄いリアクションで笑われた。
チョベ国立公園
アフリカ大陸の中で多くの動物が生息している地域の一つに数えられるだけあって世界各国から多くの観光客が訪れるボツワナで2番目に大きい国立公園。ホテルでのプログラムは2つで
まず初日は午後から夕方にかけてチョベ川をボートクルーズ。
インドから来たお金持ち(にしか見えない)ご家族、オーストラリアから来た、品のあるやや熟年のご夫婦らとともに会話を楽しみながらのクルーズ。お酒やおつまみも積んであるがそれはしっかり別料金で部屋にツケられる。川はおだやかなので揺れも少なく酒酔い、船酔いの心配はほとんどない。
さっきのランチで食べた(かもしれない)ワニ
ねばった甲斐むなしくこれ以上姿を見せないヒポ
水遊びをする象
チョベは象が多い。サウスルアングアはカバが世界一だがこっちは象の生息密度が世界一で7万頭近くいるらしい。これまたピンとこなって感じだけど一番という事は凄いことだ。1頭単位で見るよりこのような群れの方が美しく感じる。もし一気に7万群れていたらどんな感じなんだろう?想像することが恐ろしい。川の左手にはナミビアが見える。
象のファミリーと沈む夕陽が印象的だった。
翌朝は4時半起き。5時前にはホテルを出発してゲームドライブへ。
昼間は暑いが朝はかなり冷える。出発の時に毛布が配られた。
朝は思ったより動物が少ない、というかたまたまなのかほとんどいない。
出発時の興奮もだんだん冷め、あきらめかけてきたところでライオンが登場。
サファリの定番、やはりこれが一番かなと思う。今回は多く見られたのが収穫だった。
そして途中でお決まりのコーヒーブレイク
エレファントバックサファリ
エレファントバック、つまり象の背中に乗るために、チョベホテルから約40分かけてスタンレーアンドリビングストーンプライベートゲームリザーブというとても1度で覚えられない長い名前のところへ出かけた。
時々落ちる人がいるらしく、乗る前にガイドからいくつか注意事項を聞かされる。また他の動物が襲ってくるかもしれないという、もしもの場合に備えてガイドがライフルを持って先導・護衛する旨の説明と、何かあった場合は自己責任だよということをしっかり念押され、やや怯えながら書類にサインをしていざ出発。
インドで乗って以来、5年ぶり人生2度目の乗象。あらためて象はデカいと思った。
前にガイドが乗っていわゆる運転をするのだが、象はとてもおとなしくて従順な動物であることを知り、ついでに何年か前に読んだ秋元康氏の「象の背中」はとても印象的で忘れられない小説だったなと繋がっていく。今の自分と同じくらいの年齢の主人公が会社の健康診断で余命数日と宣告され、今まで関わっていた人たちと最後の時間を過ごす旅に出るような、そんなストーリーだったと記憶している。急にそれを思い出し、象に乗りながら少し人生を(というと大げさだが)最近会っていない友達や昔のことを振り返ってしまった。そのせいでガイドの話を全く聞いていない。時折何か叫びながら一生懸命話しかけてきたが思いっきり無視してしまい申し訳なかった。
サファリそのものはほとんど動物が見られず単なるお散歩で終わってしまった期待外れの内容だったが、高い位置から眺める360度の景色は見応えがあり、あっと言う間であったが貴重な体験となった。
このツアーには参加者の思い出のためにCDとDVDの販売用のカメラマンも同行していた。
買わなかったらかなりの無駄足になるんだろうな・・・なんて密かに同情している私を下から後ろから前から激しく撮っていた。遊園地や観光地にあるこの手の写真は絶対買わない主義ではあるが、今回ばかりは終了後のデモCDを見たら欲しくなってしまい、つい勢いで20ドルを払って買ってしまった。
大迫力のビクトリアフォールズ
そして今回のメインであるビクトリアフォールズへ。
まず先にザンビア側から。玄関となるリビングストーン空港からは車で10分ほど、いよいよビクトリアフォールズへ。滝がナマで見られると思うと徐々に興奮してくる。口数の少ないガイド同行でザンビアのモシオトゥニャ国立公園のゲートをくぐる。轟く音を聞きながら熱帯雨林のような緑に覆われた道を抜けるとついに滝が姿を現した。
まさにその瞬間が最も感動的。最初は肉眼と決めていたのでカメラにはおさめず、しっかりと脳裏に焼き付けた。このシーンは一生忘れないであろう。20代の頃ナイアガラを見た時もえらく感動したがそれよりはるかにいい。友人から聞いていたが、そもそもスケールが違う。まさに久しぶりの百聞は一見にしかず体験で、目だけでなく耳からもその凄さがガツンと伝わってくる。
ビクトリアフォールズは1年中観光を楽しめるが雨期と乾期では水量に大きな差がある。
雨期のピークでは水量が増え過ぎるため水煙で滝が見えなくなる場合もあり、逆に乾期では水量が激減し迫力に欠ける場合もある。そのため4月から6月の乾期が始まったばかりの頃が観光のベストシーズン、つまり一番いい時に行ったことになる。ただし残念ながら水量が多すぎるため悪魔のプールには入れなかった。
来る途中、車の中でガイドからカッパや傘、サンダルなどの持ち物チェックを受けたがナイアガラのイメージで臨んだため何の準備もせず、はっきりいってナメていた。飛沫がハンパじゃないため途中でカッパを借りることに。このカッパコーナーがとても都合のいい場所にある。カメラも覆える大き目のサイズを選んで再出発。前に進めば進むほど飛沫が激しくなり、ヤバイ・ヤバイと心の中でつぶやきながら、なんとか写真におさめようとトライする。
予想以上の水量に同じ場所に長く立ってはいられなかった。
中で最もスリリングなポイントはナイフエッジブリッジだろう。
橋の手前、左手に見える虹が綺麗だ。
先端にはリビングストーンが立ったというデンジャーポイントが見える。
この橋は狭い!すべる!揺れる!前が見えん!のマイナス要素に溢れるが逆に前向きに捉えると
轟音・飛沫・振動の3拍子揃ったとてもエキサイティングな体験ができる、これぞ天然のテーマパークではないだろうか。
すぐ目の前は切り立った崖。身を乗り出したらアウトか、という角度からもかなりスリリングな絶景を楽しめる。 水の少ない時期は迫力こそ劣るが全体が見通せるらしくザンビア側では崖の縁まで行くことができるそうだ。以上、中身の濃い30分だった。
そして中1日置いて今度はジンバブエ側からの観光。滝の見られるビクトリアフォールズ国立公園へは泊まっていたレインボーホテルからは車で5分、歩いても30分くらいのところにある。
こっちは大きく6つのパートに分かれていて順路に沿って効率よく見られるのがポイント。観光距離がザンビア側より長い。公園内は遊歩道が整備されているので歩きやすいジャングルの中といった感じか。園内に入ってもしばらくの間は木で隠れているので滝がすぐには見えないが、森の向こうから轟音がする雰囲気がたまらなく、歩くにつれて興奮してくる。
このようにポイントによって楽しめる。晴れたり曇ったり、タイミングで表情が変わるのでおそらく1日中いても飽きないだろう。ザンビアで心得たので一応、カッパを借りたがデンジャーポイント以外は飛沫も少なく、思ったより濡れない90分だった。このように両方を体験したがどっちがいいのか?
となると難しい。ザンビア側は公園入ってすぐ、意外と早くにその姿を現す。そして滝そのものが近く感じる。虹も綺麗に見えるし、なんといってもブリッジがスリリング。歩く距離は短くあっという間の30分そこそこで終わってしまうが中身は濃い。一方ジンバブエ側は6つのポイントがあって歩く距離が長く、やや滝が遠くに見える。こっちの方が写真を撮りやすい。まとめると最初のインパクトが強く相対的に滝が近くに見えて、迫ってくる感じに興奮するのがザンビア側、ゆっくり時間をかけて、探検気分でいろいろな角度から楽しめるのがジンバブエ側、しかしどちらも行く時期、見る時間、その時の天候によってかなり表情が変わるであろうからたった1回の体験で判定は不可能だ。残念ながら時間をうまく使えず、もっと見たかったという欲求と悔いが残る旅ではあったが無事帰ってきたので良しとしたい。そしていつかイグアスの滝を見て社内でも数少ない3大滝制覇をすることが目標に加わった旅であった。
ご計画中の方へ
滝を極めるのでしたらまずリビングストーンに入り、シマウマのいるザンベジサンホテルにステイし、自分のペースでザンビア側を午後、午前とじっくり楽しみ、次に国境を越えてジンバブエに入って最低2回、タイミングを見てじっくり楽しむことをお勧めします。
この3国はほぼUSドルでまかなえるため現地通貨は全くと言っていいほど触りませんでした。また今回の旅では珍しくドバイから先、日本人を一人も見ませんでした。いたるところに日本人がいる時代にそれほど辺鄙な場所でもなく、むしろ世界有数の観光地であるのに奇跡的な結果です。エボラやテロなどのマイナス情報の影響なのでしょうか、こんなに素敵で安全なアフリカをあえて避ける人が多くいるのはとても残念です。実際行って見て感じるのですが治安も衛生面も良く、まったく不安なく旅行できるのでもっともっと積極的に冒険をしていただきたいと思います。
【スタッフおススメ度】
<カパニロッジ>★★★★★
自然と生きる!サファリ三昧。一生に一度はこんな生活を!
<ビクトリアフォールズ>★★★★★
しぶきを浴びる!説明要らずの感動。一生に一度はこの迫力を!
<エレファントライド>★★★★
これぞリアルアフリカ!
サファリを極めるなら一度は乗ってみたい象の背中
(2015年5月 櫻本竜一)
ジンバブエ
ザンビア
ボツワナ