「旅猿に始まり、ハマムに終わる。平和すぎるトルコの虜になった9日間」

「旅猿に始まり、ハマムに終わる。平和すぎるトルコの虜になった9日間」

「俺、渋谷にあったら通う!!」
東野幸治はそう言った。
「あなたがそう言うのであれば、私も通う!!」
東野もとい、旅猿信者の私はそう思った。
旅猿とは東野幸治と岡村隆史による、人気旅行バラエティ番組の愛称であるが、その番組のトルコ旅編を見て、密かにずっと行きたいと願っていた国トルコ。
大好きな東野が絶賛していた「ハマム」とは一体どんなものなのか。
そんなトルコに、今のタイミングで出張の機会が訪れた。
中東情勢が不安視され、お客様の足も少し遠のいている今、周りに心配されまくりながら、ハマムと東野幸治で頭がいっぱいな私を乗せて、イスタンブールまで直行約12時間の楽々フライトなトルコ航空は出発した。
そんなミーハーな気持ちで出発したトルコから帰国し、私が今お伝えできること。
「トルコめっちゃ平和!ハマム最高!!モスクに住みたい!!!」
気を引き締めて出発したはずが、トルコにメロメロになり、ハマムでだるだるになって帰ってきた今回の旅、ハマムにしか期待していなかった私を大いに裏切ってくれたトルコの魅力にみなさまも是非会いに行ってみてください!

猫好きにはたまらない、猫だらけの国

今回、トルコ旅行王道のカッパドキア・イスタンブールに加え、オスマン帝国歴代の都、ブルサ・エディルネを訪れましたが、全体的な感想として、本当に平和。
日本のニュースで流れているような緊張感は全くありませんでした。9日間の旅程の中、日本人観光客にはほとんど出会いませんでしたが、中国やヨーロッパの方などたくさんの観光客で賑わっており、なーんだと肩透かしをくらいました。
海外旅行に付きもの(?)のスリもトルコには少ないらしく、本当にこんなに安心して良いものかと思うぐらい、ゆったりと観光することができました。

地下宮殿の逆さまメデューサ


夜のブルーモスク

お土産に是非買いたいトルコランプ

カッパドキアでは山ほど乱立している奇岩に圧倒され、ガイドさんが説明する岩の名前の由来を聞いても、いまいち想像力にかける私は頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら岩を眺め続けることに。

ラクダ岩?

ナポレオンの帽子岩??

オットセイ岩???

昔からこの岩を利用して人々は住んでいたのに、今は岩住居に住むには税金をたくさん支払わなくてはいけないらしく、ほとんどホテルやレストランとなってしまっているそうです。なんだか寂しいですね。
そして、カッパドキアと言えば、バルーンに乗り上空から奇岩たちを見下ろすオプショナルツアーが人気ですが、強風により中止となることが結構あるそうです。
以前はバルーン会社が自身で催行するかどうかを決めていましたが、今は政府が風の強さを調べて決定するので、催行率は五分五分程度。
一週間連続で飛ばない時などもありますので、予めご了承の上、ご出発いただければと思います。
元々高所恐怖症の私には絶対無理なので、下から眺めるだけに留めておきましたが、もしバルーンに乗れなかったとしても、地上からでも十分楽しめるので大丈夫です。

バルーンの交通渋滞

そしてついに時は訪れた。
出張に行かせてもらっている身として、大きな声では言えないが、私はこれを体験するために大嫌いな飛行機での13時間ものフライトに耐えたと言っても全く過言ではない。
そう、私的この旅一番のメインイベント、ハマム!!!!
※写真撮影は禁止されているので、私のつたない文章でご想像ください※
ハマムではまず、渡されたスリッパを履き、水着の上から布を巻きます。
(ハマムは水着着用でないと入れないところがほとんどなので、必ず忘れずにお持ちください)
そして番号札を渡され、いざ浴室へ足を踏み入れた瞬間に私の目を奪ったのは、口からお湯を噴出している立派なライオンでも、星形にくり抜かれている見事なアーチ状の天井
でもなく、中央の大理石の上にゴロゴロと並ぶ、ナイスバディなお姉さんのアワアワ裸体であった。
「え?!公開処刑!?水着の意味は!?」
目をそらすこともできずに凝視していると、どうやらみんな下の水着は履いているようである。そうか。下はだめだけど、上は良いのか。
しかし、10人ほどだろうか、肌の色も年齢も体型も様々な女性が並ぶその様は、何と言うか圧巻で、日本の銭湯とは全く違った趣がある。酒池肉林という言葉が頭をかすめる。
そしてよく分からないまま、お姉さんたちに囲まれドキドキしながら、石の上でゴロゴロと順番を待ち、ついに私のターンが回ってきた。
「こんな貧相な体ですみません」と思う間もなく、アカスリおばちゃんにコロンと転がされる。
おおっ、と思う間もなく、うつぶせにされ早速アカスリスタート。
「うっ・・、ぐぅ・・・」かなりの力に押され、口からはうめき声が漏れる。
これは・・・痛い・・・。
いや?・・・おやおや、これは・・・・痛気持ちいい!!!
痛みから快感に変わるまで約10秒。痛気持ちいいという新境地に足を踏み入れ、ついうとうとしそうになる。石鹸も何もつけず背中から足の指まで丹念にアカスリをしてくれるので、終わった後には肌が赤くなりますが、本当にびっくりするぐらいツルピカになります。
ひっくり返され、全面もガシガシと擦られた後「はい、アップ!」と言われ、夢うつつで起き上がり、ギョッとする。
「おお・・垢太郎」と、懐かしの日本昔話が一瞬頭をかすめる程の量の垢が取れていた。
「これ、ノーマル?」と恐る恐る聞く私に、「初めてでこれならグッドグッド!」というアカスリマスター。
・・それはどっちの意味で?
その後、顔もガシガシと擦られ、ライオンが口からお湯を噴出す部屋に連れて行かれたかと思うと、息継ぎもできない勢いでお湯をバッシャバッシャかけられる。そして息も絶え絶えで大理石に戻ってくると、今度はどっから持ってきたのか大量の泡でマッサージが始まる。
これがまた超絶気持ちいい。アワアワの全身マッサージを受け、お姫様気分を味わっていると、また水かけ室に連れて行かれ、お姫さまから一転、拷問のようなお湯かけ祭りを味わい、ハマム体験は終了となる。
ハマムが終わった後は大理石の空いているところでゴロゴロしてゆっくりするもよし、上がってチャイを飲むもよし、未だかつてないくらいツルピカな体をなでまくるもよし、大満足のハマム体験であった。
ハマムにメロメロになった私は結局現地滞在7日間の間に2回ハマムに行った。いや、本当はもっと行きたかったが時間と財布が許してくれなかった。
そう、ハマムは意外と高い。現地の人いわく、最近高くなってきたらしい。
現地の人向けのハマムであれば、ある程度安い所もあるようですが、やっぱり貴重品の管理やセクハラが心配であれば、ガイドブックなどに載っている観光客向けのハマムがお勧めです。
今回私が訪れたイスタンブールにあるチェンベルリタシュ・ハマムは、セリミエ・ジャーミーを設計した天才建築家により建てられており、その素晴らしい建築をみるだけでも価値があります。深夜出発便を利用されるのであれば、ご出発前にハマムでピカピカになるのもいいかも。
そして今回、ハマムの他に私が心を奪われたもの、それがモスク。
私は宗教が大好きで、今までヒンドゥー教や仏教の聖地を訪れてきたが、今回初めてイスラム教の国を訪れ、あっという間にモスクが大好きになった。
ドームの数や大きさ、ミナレットの本数は違えど、どのモスクも目を見張るほど美しい。中に入るにはタンクトップや短パンは許されず、女性はスカーフで髪を隠す必要がありますが、イスラム教徒以外の人のために、どのモスクも入り口にスカーフやスカートなどが置いてあり、無料で貸してくれるので、心配無用。
ただ、置いてあるのはなかなかダサい柄が多いので、もし可愛く写真を撮りたいのであれば、スカーフは持参した方が良いかもしれません。

幼稚園生みたいなイスラム教ルックに変身

数あるモスクの中でも、一番気に入ったのが、エディルネにあるセリミエジャーミー。モスクでは基本的に一日五回のお祈りの時間には、観光客立ち入り禁止になるのですが、セリミエジャーミーは隅っこの方であれば観光客もお祈りの時間を見学することができます。
ここはトルコが誇る、偉大な建築家ミナール・スィナンの設計で、アヤソフィアよりわずかに大きいドームは、いくら見ても飽きることなく、気づけば隣にいたガイドもいなくなり、1時間ほど体育座りで見とれてしまっていました。



今回の旅で、山ほどモスクを見ましたが、ドームはいくら見ても飽きることなく、お祈りをする人の姿は美しく、もう住みたくなる程どのモスクも素敵。
旅猿に憧れ出発した今回の旅、トルコの人の好さに心打たれ、モスクの美しさに心打たれ、ハマムのおばちゃんの技に心打たれ、心身ともにとても充実した旅となりました。

見てたらケバブを食べさせてくれたおっちゃん

オスマン帝国のマーク

「モスクナウ」とフェイスブックにアップするおっちゃん

ジャパニーズスタイルの礼拝で現地の人の失笑を買う

案ずるより産むが易し。
トルコでは今も変わらず、素敵な笑顔と、素晴らしいモスク、可愛いにゃんこちゃん達が皆様をお待ちいたしております。
是非、次回の旅の候補にしてみてはいかがでしょうか。

フェフミベイ屋上にて

ハマム ★★★★★
トルコに来たなら是非試して欲しい、おもしろ体験!
サバサンド ★★★★★
旅猿でも絶賛されていたローカルフード。何故日本に無いのか不思議なくらい美味しい。
カドキョイ ★★★
アジア側のトルコ。観光地っぽくないので、トルコっ子になった気分に。
2015年4月 大野史子
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