ワンダラー!エジプト 2014年2月現在の安全を確かめる旅

ワンダラー!エジプト 2014年2月現在の安全を確かめる旅


アラブの春以降、旅行需要が低迷しているエジプト。今もなお大統領選に対するデモなどで情勢が不安定な
その現状を見て安全を確かめることが大きな目的、さらには夏にオープンするドーハの新国際空港の視察という
2つの目的で成田を発った。
エジプトは現在外務省から”渡航の是非を検討して下さい”と危険度のレベルが上がっている状況。
あえてそんな時だからこそ実態はどうなのかをこの目で確かめる必要がある。
とは言ってもちょうど出発の前日にシナイ半島で韓国人旅行者のグループが襲われ死傷者が出たというニュースが入り内心怯えながらの旅が始まった。テロ集団による犯行声明は「エジプトの経済的利益を標的とする」と述べられ、
ツィッターで「外国人は4日以内にエジプトを出国すべきである。観光客をターゲットとする。」とあり、
まさに格好の標的じゃないかという内容に少し緊張が走る。
もっともその内容もどこまで信頼できるかもよくわからないが、用心するに越したことは無い。
現地旅行会社の強力なサポートの下、ツアーバスにはポリスが同乗し、すべての観光地ではピッタリとガードをしてくれて安心だ。特にカイロ市内ではパトカーが先導とガードされて心強い。
しかも渋滞時には道をあけてくれるほど、そこまでするか?のVIPぶりだった。


<カイロ>
カイロ空港に到着。並ぶことを知らないのか並ばせることをさせないのかイミグレーションは混沌としている。

ビザは事前に現地の旅行会社を通して手配していたからなのだろうか、幸いにもこんなに簡単でいいのか?と感じるほど我々一行はスムーズに入国できた。
今回のツアーは参加者8名に対し40名サイズの大型バス。

市内に向けて30分くらい過ぎたころ、突然遠くに憧れのピラミッドが見えた、その時こそ、長年テレビや雑誌で見て憧れ続けてきたあのピラミッドを肉眼でとらえた、とても感動的な瞬間だった。その映像は今でも瞼に焼き付いている。高速を走り抜け、住宅街の建物の隙間から姿をあらわす、この感じがいい。近くで眺めるのもいいが
町中にそびえるこの位置からの眺めが逆にいいと誰かも言っていたような気がする。
<ギザの3大ピラミッド>
まずは一番大きいクフ王のピラミッドへ。人数制限があり到着時間が遅いので中には入れなかった。

2番目に大きいカフラー王のピラミッド内部へ入る。天井が低く、腰をかがめながらやや急な階段を上りおりするのでちょっと体力が要る。内部の玄室には石棺が置かれているくらいで他には何もないが、わずかな時間でもここに
身を置くことに非常に意義があると思う。残念ながら内部は撮影不可。

宿泊はメリディアンピラミッド

部屋は完璧なまでに整っていて満足度が高い。
デラックスホテルなので部屋そのものはもちろんいいが、なんといっても部屋からの眺めが良い。
せっかくエジプトに来たのであれば少々無理してもピラミッドの見える部屋を勧めたい。

ピラミッドは近くよりも遠くからの姿が好きだ。
翌日の午前はもう1つのピラミッド観光、ホテルからバスで1時間足らずのところにあるサッカーラへ。
ここにはギザより古い、エジプト最古のジョセル王の階段ピラミッドがある。
ピラミッドや葬祭神殿が一体となった複合体で、大きな壁で取り囲まれている。

その入口をくぐり抜けると天井のついた列柱廊が目に入る。

さらに進むと右手に階段ピラミッドが姿を現す。

高さ60メートルなのでギザのと比べると小さいが形がユニークで迫力がある。
ここは広大な遺跡なので本来は丸一日かかるところを時間の都合で1か所だけで終了。
立ち去ろうとするといきなり地元のオッサンに抱きかかえられ、ロバに乗せられ、撮影。

親切だなと思ったが当然チップ目的だとすかさず察し、とりあえず2ドル払うと関係ないオッサンたちが数人群がってゴチャゴチャ叫んでいる。ちょっと何言ってるわからなかったがこのロバは俺のもんだ!と言っているような
目をしていた。最初は善意かと思ったがやっぱりここは外国。さりげない悪意を感じてちょっと気分が悪い。
そばにいたポリスが追い払ってくれた。
昨日から物売りが激しいなんでもかんでも第一声は、ワンダラー(=$1)、
“ワンダラー!”ちょっとかさばる物は”ゼンブデセンエン!“この追っかけが元気で激しい。
他の国でもよくある風景だがエジプトはかなりしつこい。目を合わせなくてもピッタリとストークされる。
その後エジプト考古学博物館へ。ツタンカーメン王のマスクとラムセス2世を始めとするミイラが最も有名で
これだけは絶対に見逃してはならないのでしっかり見た。駆け足であったがそれなりに見学できた。内部は撮影禁止で持ち物検査が厳しいが、これくらい厳しくやってくる方がかえって安心だ。
博物館の表には戦車がズラリ。

警護というよりはパフォーマンスなのだろうか?
兵士たちには緊張感はまったく感じられず気軽にカメラに反応してくれる。

<ルクソール>
エジプト航空でルクソールへ移動。ホテルは東岸、ナイル川沿いにあるシェラトンルクソール

古代エジプト王朝の新王国時代に首都として栄えたルクソールはナイル川を挟んで東岸と西岸に分かれている。
古代エジプト人にとって太陽が昇る東岸は生者の町で神々を祀る神殿が造られ、太陽が沈む西岸は死者の町とされ墳墓が造られた。今日訪れるところはすべて世界遺産。ツアーの一般的なルートとして、まず午前の涼しいうちに西岸観光へ。つい最近まで東西の行き来はフェリーを使っていたが現在は橋がかかっているので
フェリーは利用しないでバスで往復ナイル川を渡ることが可能。

まず最初にストップしたのがメムノンの巨像2体セット。

ここで地元の学生に取り囲まれ写真を一緒に取ってほしいと言われた。

旅先でこのように声をかけられるのは光栄だが必ず中国人かと訊かれる。でも旅先でのふれあいは楽しい。景色よりも人の写真を撮るのが好きなのでいつもは自分から声をかけるのだが、逆に声をかけられるとは・・思った以上にエジプトの若者は明るい。
次に、歴代の王の墓が多く発見されている王家の谷へ

墓泥棒による盗掘を恐れてわざわざこの地に墓を造ったとされているが、結果的には努力の甲斐なくほとんどすべての墓は盗掘されてしまった。  岩を削って造られたお墓は63あるが現在公開されているのは14(らしい)
そのうち1回の入場では3つまでしか入れないシステムになっている。入場券にはオフィスで使っているパンチで穴をあけられそれが3つあくと終了。つまり、一度外に出るか予め2枚買えば6か所入れる計算になる。沢山見たい人はぜひトライして頂きたい。
ラムセス4世-3世-9世の順に見学、さらに別料金で一番有名なツタンカーメンのお墓へ。これは1922年に発見されたが他の墓と違って盗掘に荒らされた形跡がなく副葬品の財宝も完全な形で発見されているのが特徴。
ここでミイラを見学して言葉では表現し難い気持ちになる。隣の黄金のマスクはレプリカで本物は昨日カイロのエジプト考古学博物館で見た。残念ながら内部は撮影禁止のため目に焼き付けるしかないのだが記憶するに十分すぎるほどの迫力を感じた。
午前の最後は古代エジプト初の女王として強大な権力を誇ったハトシェプスト女王の巨大な葬祭殿へ。

絶壁を背景に建っていてそのスケールに圧倒される。天気が良く、青空とのコントラスがとても美しい。
内部にはこのように綺麗な壁画が残っている。

ランチの後は橋を渡って東岸へ戻る。次いでカルナック
神殿へ。アメン大神殿を中心とするエジプト最大規模の遺跡でアガサクリスティーのナイル殺人事件でも有名だ。

スフィンクス参道から第一塔門

ピヌジェムの巨像

全部で134本の円柱が林立する大列柱室はとにかく大きい。

はるばる来た記念に柱に上ってジャンプした写真を撮る。

最後はルクソール神殿へ

ここはカルナック神殿の副神殿として建立された。
第1塔門前にはラムセス2世の座像と立像。

その隣に聳えるオベリスクが象徴。本来は2本で1対のところだがもう1本はパリのコンコルド広場にある。第1塔門をくぐり中庭、列柱廊

アメンヘテプ3世の中庭へ

夕暮れに差し掛かった頃に行ったので入った時と出るとき、その姿が違うし、より美しく感じる。とても良い時間に来たと思う。


<ルクソールの思い出>
エジプト限定のマクドナルドビーチオタオル!

エジプトでしか手に入らないレアなタオルがあるという貴重な情報をメンバーの方が教えてくれたので皆でつられて衝動買い。永ちゃんのビーチタオルよりもひと回り以上大きい。ちなみに1枚$10とお買い得。
以上、急いでまわったエジプトだが特に危険な感じはしなかった。
政府観光局主催のディナークルーズにも参加させて頂き現地オペレターの方々と交流を図れた。
また日本大使館も表敬訪問させて頂きエジプトの現状に関しての話が聞けたことも良かった。
政治的には、まだ状況は解決されてはいないものの現在のところロードマップに沿って進んでいるらしく、
デモの規模も低下傾向にある。ただし危険度については先のシナイ半島でのテロ事件もあって
しばらく下がりそうにないようだ。1日も早く皆が安心して旅ができる日が戻ってくるのを祈るばかりだ。
どこにいってもワンダラー、ゼンブデセンエンの物売りたち。うっとうしいから買わないが、
文化としては決して嫌いではない。彼らの元気でいい加減な”ワンダラー”の声も心に残るエジプトだった。
<ドーハ>
日本のサッカーファンならあまり聞きたくない地名、ドーハ。

街並みはとても綺麗で整然としており、正直なところ刺激は少ない。
2006年のアジア大会で世界中から注目され、さらに2022年にはサッカー・ワールドカップの
開催も控え、これからますます変化・発展していくのであろう。

世界中から観光客を受け入れるためホテル建設などいたるところで工事をしている。
人工島パールにも行った。文字通り人工で新しく綺麗だが味気ない印象を受ける。
もっともカタール”らしさ”を感じるのは地元の人で賑わうスークワキーフ。
泊まったホテルのすぐそばにあったので早速散歩に出かけた。
中は迷路のようで歩いているだけで楽しい。

夜の一人歩きも安全(と感じる)

お店も商品も清潔で、うるさい客引きや物売りが一切いない。
しかも写真撮影も気軽に応じてくれるフレンドリーぶり。

<AL BIDDA HOTEL>
泊まったホテルは個性的ないわゆるスタイリッシュホテル。参加者全員の部屋をインスペクションしたところ、
広さから造りまですべてが異なっていたのが興味深い。個人は良いがグループのお客様には不向き。
個性を追及するあまりにも部屋が異なり過ぎるのできっと不公平感からクレームになると思う。
泊まった部屋はスイート級。

2階に上がるとテラスがあるのは私だけだったのでその日の夜の反省会(?)はここでやることになった。たった一夜のドーハの夜風を楽しみながらトルコのビールで乾杯。というのもこの国は
ビールは輸入もの、しかもライセンスがないと買えない。そこでガイドさんの友人に無理して調達してもらった。

これが旨い!
また、わずか一夜であったがその夜中に火事騒ぎがありドキッとした。結局、火はどこからも出ておらず
B級SF映画っぽいブルーの灯りの点滅と奇妙な警報がただただ鳴り響いていた。これもいい思い出に。
ツアーの最後は4WDでインランドシーサファリ。
市内から砂漠のスタート点までおよそ30分、タイヤの空気圧を調整していざ発信。

斜め下りなどいくつか興奮ポイントはあるがドバイのサファリと比べると物足りない。
スリルより景色を愉しむという感じか強く、100キロ近いスピードでひたすら真っ直ぐに走る箇所が多い。

やや退屈な部分もあるが、パキスタンから来たというドライバーのドライブテクニックが凄く
やや単調な道もメリハリの利いたスリリングな走りで、飽きることなく楽しませてもらった。


<ドーハ新国際空港>
経済発展と観光促進を図る目的で、2014年の6月頃の開港を目指してプロジェクトが着々と進んでいる新国際空港へ。

日本の旅行会社スタッフとしては最初の視察チームの加えていただきとても光栄。
大したことないかもしれないがこの経験は後々自慢できる。
新空港は現在の空港からおよそ4キロのところにある。広大な埋立地に造られた(つまり海の上)ので外観は波をイメージしているそうだ。

世界最大の旅客機、エアバスA380専用に特別にデザイン・設計された世界初の空港で、日本の建設会社が設計から建設まで関わっている。



ゲートはすべてボーディングブリッジで繋がれるため乗換時のバス移動が無くなるのが大きなポイント。

利用客にとってシンプルでわかりやすさを追求しているのが特徴で、旧空港で感じていた乗継の不便さが解消されるようだ。

未だ完成していない部分が良い。これらの写真は今しか撮れないのである意味で貴重。
カバーのかかったシート。

ファーストクラスのバゲージを流すレーン

キッズエリア

謎のオブジェ

等々
当然だが旅客がいないのでがらんとしている。次に来るときは旅客で賑わい、違う景色になっているだろう。
以上、エジプト・カタールどちらも日本人も中国人もほとんどいなく、欧米系のグループを見かけるくらいでした。
4泊7日のやや忙しい内容でしたがビジネスクラスも体験させていただき、さらに現地ではすべてにおいてVIP級のおもてなしを受け、非常に良い旅となりました。エジプトについてはまだまだ観光の市場が復活するのに時間が
かかりそうですがこれから先、微力ながら一人でも多くのお客様にこの良さを伝えてお世話になった方たちに恩返しをしたいと思います。この場を借りて参加者の皆様並びにすべての関係者の方々に厚くお礼申し上げます。
2014年 2月 櫻本竜市
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