インド洋の涙に恋する旅 ~スリランカ9日間~

インド洋の涙に恋する旅 ~スリランカ9日間~


北海道よりも小さな島。中央ほどにはその国を象徴するどっしりとした岩山があり、周辺には歴史ある様々な遺跡や仏舎利。またその南には、日本でも馴染みのある「セイロンティー」の栽培が盛んに行われている高原地帯、さらにさらに南に行けば群青色が広がるビーチ、隣には野生の動物がいっぱいいる緑に囲まれたサファリも。それだけにとどまらず、経済の中心となる都市にはビルやホテルが立ち並び、かわいい雑貨屋さんでショッピング。そしてその国に住むどこまでもあたたかい人たち。
そんな魅力満載な国、そう、今回はスリランカを訪れる機会を頂いた。個人的に行ってみたかった国なので、わくわくどきどきだった。
インドの下にぽつんと浮かぶ小さな島。2週間前に社員旅行で南インド(バンガロール)を訪れ、それとまた似ているのかな~と思っていた。が、行って見るとそれとはまた違う印象を受けた。
今回、私はニゴンボ→ポロンナルワ→ダンブラ→キャンディ→ヌワラエリヤ→ゴール→コロンボを9日間で巡ってきた。


出発前日に天気予報をチェックしたところ、素晴らしく毎日雨マーク。少し心配になりながらも、日本を飛び立った。
スリランカ航空直行便にて約10時間でスリランカに到着。その日は空港近くのニゴンボのホテルに宿泊。コロンボまでは最近高速道路が新しく通っていてアクセスが便利になったそうだが、それでもコロンボのホテルまでとなると少し距離があるので、やはり着いた日はニゴンボで1泊することになる。空港からホテルまでは心配していた雨は降っていなかったが、ホテル着後、ピカピカ ゴロゴロ と雷雨が始まった。。。
翌朝恐る恐るカーテンを開けてみると、昨日の雷雨が過ぎ去り、晴れてはいないが曇り空。
どうか天気がもってくれますように。と、9日間のスリランカの旅の幕を開けた。
ニゴンボから北上し、まず向かったのはポロンナルワ。
ポロンナルワは11~13世紀の間にシンハラ王朝の首都があったところ。ここでは遺跡巡りにじっくり時間をかけたい。

ポロンナルワ遺跡の中で最古と言われるヴァタダーゲ

ポロンナルワ一大きいダーガバ

蓮の池

石立像

ポロンナルワ王権の最盛期を現出したのが、パラークラマバーフ1世。当時作られた素晴らしい彫刻や建築物がたくさん残っている。
なかでも有名なのが、ガル・ヴィハーラの4体の仏像の彫刻。深い瞑想状態にある仏座像、両腕を交差させ、高さ7mもある珍しい仏立像、長さ14mもある涅槃像が並ぶ。小さい頃から奈良の大仏を見て育ってきた私にとって、仏立像は衝撃的だった。どれも優しい穏やかな顔をしていたのが印象的。




次に向かったのが、スリランカの目玉、シギリヤロック。
車を走らせていると、ジャングルの中に忽然と立つ大きな岩山が見えてくる。遠くからでもかなりの存在感を放っている。

5世紀後半の11年間に王宮として使われていたシギリヤロック。近づけば近づくほどその大きさに押しつぶされそうになる。こんな大きな岩の上に王宮を作り、さらにそこで毎日生活していただなんて、、。

岩の中腹には、シギリヤ・レディといわれる魅力的な美女たちのフレスコ画がある。
昔に描かれたとは思えない程色鮮やかで、その美しさについうっとりと見とれてしまった。


そこからさらに、急な階段を息を切らせながら登っていく。たどり着いた先にはスリランカの壮大な自然と果てしなく広がる空が待ちうけていた。

翌日、次の目的地キャンディへ向かう前に、サリーの着付けを体験。
それまで知らなかったが、インドの着方とスリランカの着方は違っているらしく、私はインド仕様に着付けてもらった。自分の好きな色・柄をたくさんの布の中から選び、そして3m程ある1枚の布を、てきぱきと着付けてもらう。あっという間にできあがり!

キャンディでの最大の見どころは、仏教の象徴ともいえる「仏歯」が置かれている仏歯寺。
仏歯寺では、1日に3回のプージャー(礼拝の儀礼)の時間に、仏歯の納められた主室の手前の小室まで入って「カランドゥワ」を見ることができる。(数分間。)
※ カランドゥワ:金メッキをされた歯が納められている箱で、中には6つの同様の箱がマトリューシカのように入っている。

神々しく輝くカランドゥワ

観光客だけでなく、地元の人たちもこの時間にはたくさん礼拝に来るため、かなり混み合っている。プージャーの時間は皆熱心にお参りしていて、厳かな空気が漂っている。信仰の深さを感じた。

ライトアップされた仏歯寺

仏歯寺から徒歩10分ほどのところにはキャンディアンマーケットがある。
見たことのない野菜がたくさん並んでいたり、新鮮なお肉がぶら下げられていたり、様々な種類のお米が袋詰めにされていたり、、、地元の人達で賑わっていてその活気の中を歩いているだけでも面白い。

様々な種類のお米

ここではキャンディアンダンスショーも必見。
このショーのハイライトは、最後にあるファイヤーダンス。焼けた石の上を歩いたり、燃え盛る松明を口に含んだり… 火傷するよーーと思いながら見入ってしまう。


次に向かったのはスリランカの高原避暑地ヌワラエリヤ。
ヌワラエリヤは標高1889 mの所にあり、日光のいろは坂のような360度カーブをひたすら登っていく。(酔い止め必須!)着いてみると、違う国に来たのかと錯覚に陥りそうなほどの涼しさ。数時間前は汗をかいていたのが嘘のよう。思わず長袖を羽織る。
そんなヌワラエリヤは紅茶の栽培にぴったりな場所。見渡す限り一面緑の紅茶畑が広がり、そのなかで茶摘みをする女性たちを目にすることができる。
写真A0826:茶摘みをする女性たち
途中ティーファクトリーに立ち寄り、紅茶の作り方を見学。



最後ここで作られた紅茶を飲ませて頂き、その美味しさに感動し即購入。

そして、昔のイギリス植民地時代の面影が残るグランドホテルでアフタヌーンティーを満喫した。


この日は18時頃ホテルにチェックインし、早々に就寝。
翌朝、すがすがしい朝を迎える。
ヌワラエリヤでは雨の日がほとんどだと聞いていたが、運よくこの日は晴れ!ガイドさんも驚いていた。


山道を下りて行くと頭から茶葉を入れる袋をぶら下げ、木の棒を持った女性達がぞろぞろと畑に向かって歩いている姿を目にする。車窓から見える緑いっぱいの山と茶畑の景色をぼーっと見いているだけで心が癒された。
次の目的地ゴールまでは約256 km、約6時間の長距離ドライブ。
お昼過ぎにゴールに着き、いくつかホテルを視察してから市内観光へ。世界遺産のフォートからは今朝までいた緑広がるヌワラエリヤとはうって変わり、真っ青なインド洋を望むことができる。


また、かつてオランダの植民地だった頃の建物がたくさん残っていて、ヨーロピアンな雰囲気が漂い、とっても趣深い。夕方になると夕日が綺麗に見ることができるらしく、地元の学生達のデートスポットになっている様子。




インサイトホテル

ゴールでの夕焼け

翌日は今回最後の目的地コロンボへ。
途中、ナリンダ宅にお邪魔しスリランカ家庭料理を体験させて頂いた。
スリランカのカレーは日本のカレーとは違い、何種類ものカレーを少量ずつ作る。
今回私は、チキンカレー、ジャガイモのカレー、豆カレーを作った。

具材を炒め、何種類ものスパイスを入れていく。あまり辛いのが食べられない私は、スパイスを「これ、入れてないようなもんだよ」と言われつつもいつもの10分の1くらいにしてもらう。

何種類ものスパイス


出来上がった後は、「手で食べてみよう!」と、人生で初、手でカレーを食べてみた。
最初、皆が手でカレーを食べてているのを見て「おお、これが本場の。」と驚いていた私だが、今、自分も手で食べている。(でもやっぱりスプーンが良い)

自分で辛さを調整したので、スリランカ人には物足りないようだったが、私にはちょうどいい辛さで、すごく美味しかった。

帰国してから自分でも作ってみようと思い、このあとスーパーでおすすめのカレー粉を教えてもらい購入した。
ナリンダ家でシナモンもたくさん作っていたので、少しおすそ分けして頂いた。

シナモンを作る様子

ナリンダ家の皆様、ありがとうございました。

最後はコロンボで、疲れた体を癒しにアーユルヴェーダ。

シロダーラ体験

おでこにオイルをぽたぽたと落とされ、マッサージをしてもらう。普段の生活や諸々を忘れ、「無」になった時間だった。
そしてここコロンボには女子には嬉しい雑貨屋さんがいっぱい!ベアフットやパラダイスロード、オーデルなどを巡り、かわいい雑貨に囲まれついついお土産を買いすぎてしまう。
お店の写真を撮れなかったので写真には残ってないが、個人的にパラダイスロードが一番気に入った。
今回、30件ほどのホテルを見て回ったが、スリランカで有名な建築家ジェフリー・バワが手掛けたホテルが一際印象に残っているので、是非紹介させて頂きたい。
ヘリタンス・カンダラマ(ダンブラ)



ライトハウス(ゴール)



ブルーウォーター(ワドゥワ)



どのホテルも、自然と一体化しているというか、自然の魅力をさらに引き出されている。またその自由なデザインには圧巻だった。
すべてのホテルにおいてたっぷりと空間を使っていて、開放感に溢れている。お昼間は電気がいらないよう設計されているため太陽の光だけで明るい。雰囲気もゆったりしていて、また喧噪から離れたところにあるので、日常を忘れてリラックスできる。
今度訪れる際は是非バワのホテルに泊まってみたいと思った。
小さい島国だけど、9日間では見きれなかったほどの魅力がぎっしり詰まっているスリランカ。あの美しいシギリヤ・レディに会いに、是非もう一度訪れたい。
2013年12月 池田郁依
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