ロングステイの旅行先として人気のマレーシア。マレーシアの中でもボルネオ島は手つかずの自然地帯が残っている野生動物の宝庫。今回まださほど日本人には馴染みのないマレーシア・ブルネイを観光してきた。そこにはまだ知られていない秘境の地があった。
日本~コタキナバルへ
ボルネオ島の玄関口コタキナバルまでは日本からの直行便がなくなったため、クアラルンプールを経由するか、第三国を経由して行くのが一般的なルート。成田空港から10:30 MH89便で途中クアラルンプール乗継ぎ、コタキナバル空港に到着したのが現地時間の22:45。
日本とマレーシアの時差は-1時間なので、感覚的には朝から深夜まで移動していたように思える。荷物をピックアップして、現地ガイドがお出迎え。空港自体コンパクトであったのと夜遅かったこともあって本当にわかりやすい空港だ。コタキナバル空港から市内までは約15分で到着。明日のサンダカン行きの飛行機は7時10分なので、市内観光はせずに就寝。
コタキナバル~スカウ村
早朝、現地係員がホテルに5時15分に送迎が来て、7時10分発のサンダカン行きの飛行機に乗った。コタキナバルからサンダカンへのフライトは約40分と短いのだが、そこから船でスカウ村まで行くのが思ったよりも大変だ。
サンダカンの空港はとても小さく、荷物のターンテーブルも1箇所しかないので迷うことはない。荷物を受け取って、外へ出るとすぐ近くにガイドが自分の名前を持って待っていてくれている。ツアー参加者は3名しかいないのもかかわらず、20人乗りの中型バスで迎えに来てくれた。ドライバーとガイドの2人は英語が流暢で聞きやすい。そこから20分もしないうちにセピロック・オラウータン保護区に到着。
<セピロック・オランウータン・リハビリテーション・センター>
まずはビデオを見てから園内へと行くのが定番コースなのだが、途中で停電になって真っ暗になってしまい、ビデオ上映は中止になるハプニングに遭遇。上映の再開の目処が立たず、やむなく園内へ直行した。後から現地ガイドに聞くと、「このあたりは停電が多く、ビデオを見られないことは月に何回はある」とのこと。
オランウータンは人間にイタズラすることもあるので、園内は飲食物の持ち込み禁止で荷物の持ち込みも禁止している。カメラを園内に持っていくには入場料とは別に10リンギット必要。セピロックの見所は何と言っても、餌やりの時間にオランウータンが中央の広場に集まっている姿を間近で見ることだ。
子供を連れたオラウータンがバナナを子供に渡す光景。小さな猿が隙をみはからって餌を奪う姿はまさに自然界の姿である。
野生動物であるオランウータンはジャンルクルーズへ行ってもなかなかお目にかかることが出来ないけれども、ここでは餌やりの時間には容易にオラウータンを見ることが出来る。元々野生動物であるので、向こうから近づいて来ることはないので動物園で見る姿とは異なって迫力満点。ダイナミックな動きや子連れのオランウータンの姿を間近で見ることができ、野生ではめったに撮ることのできない正面の姿を写真にも撮ることができオススメだ。
スカウ村
ここからが予想以上に過酷な移動となった。セピロックからスカウ村のロッジまでは船で移動するか、陸路で移動するかの2種類あるのだが、今回は船で移動し、途中のロッジで昼食を取るツアーに参加することとなった。セピロックから20分弱のところに船乗り場があり、そこから約1時間船に乗る。海を小さなボートで移動しているため、予想以上に船が揺れる(船酔いをする方は酔い止めをお忘れなく)。
船の揺れは海を渡るまで続き、正味40分は荒波に耐えなければならない。ロッジは海を渡ったところの川沿いに位置するので、そこの川まで来れば、荒波の心配はない。20分過ぎると、ランチを取るロッジに到着する。今回ランチを取ったAbai jungle lodgeは20分程度のジャングルを散歩出来る道がある。運が良ければ、サルの群れを見ることが出来るロッジで自然好きにはたまらない。ランチはローカルフードのビュッフェスタイルで品数は少ないが、日本人には食べやすい味付けになっている。
昼食後は、今回宿泊するロッジへ向かう。向かう途中、警戒心の強いクロコダイルが現れ、ボートのエンジニアを切って近くまで行ってくれたり、ふとした瞬間にも野生動物を見ることができて面白い。
<リバークルーズ>
リバークルーズと聞くと、大きな船を使って団体で行動するイメージが強いが、スカウ村でのクルーズは融通の効くクルーズだ。12人乗りの小さなボートで約2時間、ロッジから周辺のジャンルへ野生動物を探しに探検。
野生動物の種類によって、よく現れる動物もいれば、滅多にお目にかかることの出来ない動物にもいる。私は幸運にも希少価値の高いテングザルやオランウータンにお目にかかることが出来た。
他にも鮮やかな色のカワセミなどの野鳥も見ることが出来た。
リバークルーズではシャッターチャンスを逃しても、少人数なのでガイドに頼めば野生動物がいた所まで引き返してくれることもある。クルーズ中にはスコールがやってくることが多いので、出発の際には、ポンチョと折りたたみ傘を持って行くことをオススメします。
ブルネイ
コタキナバルからブルネイの玄関口のバンダル・スリ・ブガワンまでは約35分のフライト。私の乗ったマレーシア航空は約80人乗りのプロペラ機で乗客も14名と少なかった。入国審査はスムーズにいったのだが、税関では男1人でブルネイへ旅をするのが不思議なのか色々と質問攻めをくらった。後から日本人のガイドから聞いたのだが、最近アジア人の女性が薬物を所持していたのが発覚し、強化が厳しくなったという。ブルネイはイスラムの世界、薬物はもちろんのことお酒の持ち込みも制限されている。ブルネイにはお酒は置いてないので、お酒が飲みたいのであれば規定内の量の持ち込みは可能。
日本ではあまり知られていないブルネイという国は実は日本人が多いのである。日本の企業の駐在員などを含めると実に150人もの日本人がいる。コタキナバルを含めたマレーシアのサバ州でも100人しかいないのにもかかわらず、ブルネイは人口も40万人と少ないのに驚きの数字だ。石油の取れる国なので、水よりも石油のほうがもちろん安く、税金はほぼなしの生活を送っている。日本人観光客は年間で2000人と少なく、まだまだ日本に馴染みのない国である。ガイドブックにも20ページ足らずしか載っていない秘境の国とも言える。
<ホテル情報>
【ブルネイホテル】
バンダル・スリ・ブガワンの中心地にあるブルネイホテルは2011年に改装工事が終わり、市内観光にとっても便利なロケーション。周辺にはモスクやオープンマーケットなどの観光や食事も徒歩圏内。世にも不思議な水上集落へのボート乗り場まで歩いてすぐなので、水上集落の観光に行くこともできる。スタイリッシュでと広々とした客室はデザインホテルのような印象でミニバーやインターネット環境もある。またロビーにはWi-Fiも使用できるのがうれしい。オールドモスクまでは徒歩10分なので、夜遅くにライトアップされたモスクに行くこともできて観光に便利。
【エンパイヤホテル】
世界でも数少ない7ツ星ホテルのエンパイヤホテル。ブルネイの国王が所有する豪華ホテルで近隣の国の旅行者はこのホテルを訪れるためだけにブルネイに旅行するほど。高い天井のロビーに、床が大理石、装飾は24金を使用した豪華なエントランス、ゴルフ場、5つのプール、映画館、ボーリング場、ジム、スパなどの豪勢なファシリティー、1日では回りきれないほどの広大な施設を完備。ホテルを見学するだけのツアーもあるほどなので、一生に一度は泊まってみたいホテル。
また施設内にある「パンタイ・シーフード・レストラン」は新鮮な魚介類を堪能でき、上品な味わいをお楽しみいただけます。
<テンプロン国立公園>
究極のエコツアーを求めるのであればテンプロン国立公園は最高の場所。そこには誰にも邪魔されない空中散歩キャノピー・ウォークがある。
ブルネイでもエコツアーで近年人気の高いテンブロン国立公園。ここではボルネオ島の手つかずの熱帯雨林のジャングルを体験できるのがキャノピー・ウォーク。キャノピー・ウォークまでの道のりは舗装されていない赤土の道を歩くこと30分。
そこから人ひとり通れる幅の丈夫に作られた鉄パイプの階段を登ると頂上に到着します。高さ43mの頂上からは自然豊かなブルネイのジャングルを一望できます。
まだまだ観光客が少ないので、誰からも邪魔されずに空中散歩を楽しめ、まるで自分がジャングルに暮らしている生き物のように感じます。
また公園内にある滝ツボ行くと、小魚が寄ってきて自然のフィッシュスパもできる究極のエコツアーです。
補足情報 ブルネイの出国(空港)
ブルネイの出国の際には空港税として別途12ドルをチェックインカウンターにて払う必要がある(サバ州、サラワク州へは5ドル)。空港税はクレジットでの支払いが出来ないので(2012年3月現在)、現地の通貨は少し残しておくとよい。
空港税以上に意外であったのが北海道の名菓「ROYCE’」がブルネイでも売られていること。
クアラルンプール
トランジットの関係で、滞在時間24時間ととても短い時間ではあったが印象的なスポットを紹介したいと思う。
<クアラルンプール市内観光>
ショッピング天国とも言われるクアラルンプール。ブギッビンダン通りには昼夜を問わずして大勢の観光客で賑わっている。多くのショッピングセンターが立ち並んで、高級ブランドからローカルなものまでそろっている。
ショッピングで疲れたあとはスパでカラダを癒してもらうことがオススメです。この通り沿いにはチープなものから一流ホテルの極上スパまであるので、用途に合わせて楽しむことが出来る。またその裏通りのアロー通りの屋台は地元のマレーシア料理を楽しむことができ、この一帯は夜中の12時を過ぎてもの人通りが多いので、安心して観光することもできます。
<ペトロナス ツインタワーを一望できるスカイバー>
クアラルンプールの代表的な建築物と言ったらペトロナス ツインタワー。地上から眺めるのもよいのだが、せっかくクアラルンプールまで来たのだから、33階にあるトレーダースホテルのバーから夜景を見ることをオススメします。
欧米人に人気が高く20時を過ぎると、予約客でいっぱいなります。予約をするか19時過ぎには来店することをオススメします。本格的なバーなので21歳以上でないと入れないのと、サンダルやタンクトップ・短パンなどの服装では入店を断られるので注意が必要です。ドレスコートとまではいかないが襟付きのシャツなどの清潔感のある服装で入店が必要です。
まとめ
ボルネオ島にはまだまだ知らない手つかずの自然や観光地があった。動物園でしか見たことがなかったオランウータンや野生動物たちと遭遇、キャノピー・ウォークなど大自然を堪能し、心癒される旅となった。またクアラルンプールは都会的で予想以上に興味深い多国籍シティーであった。今度は是非ともクアラルンプール近郊の世界遺産マラッカ、ペナン島にも足を伸ばしたくなる旅であった。
2012年3月 中出