カンボジアのシェムリアップはここ数年で世界中からの観光客が更に増え、町の様子もこれまでとは大きく変わりつつある、という事は以前から聞いていた。ホテルも以前とは見違える程に増え。。事実、現在建設中のホテルをあちこちで見た。今回自分の見る景色もまた数年も経てば大きく変わっているかもしれないが、たくさんの世界遺産を抱えるカンボジア。いつかは訪れてみたい国のひとつだった。
その拠点となる町はシェムリアップで、周辺の遺跡群へのアクセスもよい。代表的な遺跡は何と言ってもアンコールワット。日本で言えば平安時代の末期頃にこんな規模の寺院が創建されていたというから驚きである。第一回廊、第二回廊、第三回廊が中央祠堂を囲む形で、様々な神や生活や戦いの様子の彫刻が今でも鮮やかに残されている。
このアンコールワット、見学する時間帯によっても違った印象を受ける。日中に訪れるのももちろん良いが、早朝の日の出と共に見るのが幻想的でおすすめである。
弊社のツアーでも日の出鑑賞が含まれるコースも多数あるが、綺麗に拝めるかはもちろん運次第。この日はまずまずのコンディションのようで印象的な光景を目の当たりにする事ができた。
他におすすめの遺跡は、シェムリアップから車で30分程の距離にあるロリュオス遺跡群。
密かな佇まいな遺跡でかなり地味だが観光客が比較的少なく、じっくりと見学がしたい人には良いと思う。中でもバコン遺跡は9世紀創建のアンコールワットよりずっと古いヒンドゥー教の寺院だ。
5層の回廊はピラミッドのような形をしており、中央の祠堂に登れば景色が素晴らしい。
人が少ないので落ち着いて写真を撮る事や、休憩もできる。このように額縁にみたてて絵画のように見えるポイントや、周囲の風化された彫刻の中に、一箇所だけ妙に綺麗に残されているレリーフがあったりして、規模が小さいゆえに疲れる事無く堪能できる。
あともうひとつ印象に残った遺跡と言えば、ベンメリアがあげられる。天空の城ラピュタのモデルとされているかもしれない、のは有名だが、ここは修復があまりされておらず瓦礫や大きな石が転々とする道なき道を探検できる面白さがある。光が届かない真っ暗な一角や今にも崩れ落ちそうな石が積み上げられただけの通路。。。本当にここを通っても大丈夫なのか??と思ってしまうかのようなスリルすらある。
ガイドさんが言うにはベンメリアは日本人の観光客が圧倒的に多いそうだ。
シェムリアップをあとにした私が、次に向かったのは首都であるプノンペンで手段はバス。
所要時間は6時間ほどだが、日本で実際に走っていたバスを使用しているので、乗り心地は抜群。エアコン、トイレ付きでバスガイドまでいて軽食まで出る。日本の高速バスにも負けないくらい快適に過ごす車内での時間はそう長く感じなかった。
プノンペンはシェムリアップとは打って変わって車やバイクが行き交う都会。首都だから当然とも言えるがこのあまりの違いには驚かされた。
見どころとしては遺跡ではないごく最近の歴史にある。1970年代、ポルポト政権時代の社会主義改革の無残な跡を今に伝えるトゥール・スレン博物館。元々学校であった校舎を刑務所・牢獄等として使用され、罪の無い人々が収容された当時の独房や、犠牲になった方々の写真が延々と展示されている。当時の数少ない生還された方から直接体験談を聞くという貴重な体験もできた。
今回はカンボジアの2大都市を訪れた事で、この国の歴史を様々な点からみることができた。個人的には、自然が多く残り素朴な雰囲気が溢れるシェムリアップがお気に入りになりました。またいつか訪れた時には全然違った町並みになっているかもしれないし、もしビルがたくさん乱立していたりなんてすれば残念ですが、これからも長い年月守られていく遺跡や悠久の自然はいつまでも変わらない気がした。
2010年11月 南口