フランスの美しい村めぐり

フランスの美しい村めぐり


黄金色に染まるブドウ畑を見たことがあるだろうか。
私たち日本人には、どこか懐かしく、温かい風景である。
今回は、そんなブドウ畑の広がる、フランスの美しい村を目指して旅に出た。
※「フランスの美しい村」は、通常、1982年に設立された「フランスの美しい村」協会が、審査・認定する村に対して呼ばれるものですが、今回の旅行記では、私が実際にまわり、個人的に大好きになった村を紹介します。そのため、フランスの美しい村協会が認定していない村も含まれます。



<リュベロンの村>
「プロヴァンス」という名前を聞いたことのある人は多いだろう。木々の濃い緑、鮮やかな花、おいしそうな食事などをイメージに持つだろうか。そのプロヴァンスの中でも特に小さな村が点在し、人気を集めているのがリュベロン地方である。今回まわった村はどれも個性的で魅力的なものばかりだった。
☆ルールマラン~洗練されたかわいい村~


まず訪れたのが、ルールマラン。村の入り口にはお城。このかわいい村を守ってきたのかな、と思うとなんだかお城に「ありがとう」と言いたくなる。

ルールマランは村自体がかわいいが、同時に、洗練された印象も受ける。趣のある建物を利用したリネンや食器のお店、おいしそうなケーキ屋さん、青空の下でとる食事。パリにあるような光景が、ここにもある。
☆ボニュー~これぞリュベロン!緑の村~

ボニューはその緑の多い光景が印象的な村である。丘の上、木々が生い茂る中に家を建て、村を作っていった様子を想像しやすい。また、ボニューからは「これぞリュベロン!!」という光景を見ることができる。

リュベロンは国立の自然公園にも指定されているが、緑の中のあちこちに家や村があり、見ていると、「あの村に行ってみたい、こっちの村にはどんな人が暮らしているんだろう」と、興味が広がる。
☆ゴルド~ここは天空の城?! 空に近い村~
ゴルドを訪れてすぐ、本当に数十秒で「あっ、好きだな~」と思った。


中世の頃から、時間が止まっているような石造りの家々と、そこに暮らす人々。お店ややっぱりかわいくて、小さな村だが何度も何度も足を止められる。
また、ゴルドの魅力は外から眺めてみても分かる。ここもまた、丘の上に作られた村だが、石造りの家が、村が、宙に浮いているようで、幻想的な光景に出会える。

ちょっと空に近付いたような、そんな気持ちになれる。
☆ルシヨン~気分は芸術家?! パレットの中の村~


今までまわってきたリュベロンの村はどれも魅力的だが、ルシヨンに着いて、その色に驚いた。赤や黄色の土でできた村。遠くから見るとまとまっているようだが、近くで見ると、それぞれ異なる色合いで、違った表情を見せる。パレットの中に迷い込んだみたい。ひとつひとつ違うからこそ、夕暮れ時や朝方、全く違う風景に見える。

他のリュベロンの村もそうだが、泊まってみるとより一層その村の魅力に引き込まれる。多くの芸術家が、リュベロンに滞在した気持ちが少し分かるような気がする。
☆ラコスト~静寂と緊張の村~


この村は人口400人ほど。リュベロンの村の中でもひときわ規模が小さい。このラコストはサド侯爵が領主を務めていた村。廃墟になっていた城は、現在は買い取られ、少しずつ修復されている、とも聞いたが、まだまだ廃墟という印象が強い。

ただ、小さい村だが、デザイン事務所のような店舗(?)がいくつかあった。ここもまた、芸術家に愛されている村なのかもしれない。また、このラコスト、前述のボニューと同じくらいの高さに位置していて、離れてはいるが、お互いの存在がはっきり認識できる場所にある。お互いに見張り合っていたような雰囲気が漂う。
☆メネルブ~変わらない村~

メネルブは今回の旅行でも楽しみにしていた村のひとつだ。「南仏プロヴァンスの12か月」の舞台に近く、作家ピーターメイルが愛し、暮らした村。どんな村なんだろう、どんな人が住んでいるんだろう、私はそこで何を感じるんだろうと、大きな期待を持って出かけた。
そして驚いた。メネルブはなんだか時間が止まっているような村なのだ。

カフェや土産物屋は村の入り口に数軒あるだけ、あとは石造りの建物が静かに、力強く見守っている。プロヴァンスの人気が増して多くの人が訪れるようになっても、静けさを保つ村。その中に、ピーターメイルがよく通ったというレストランがあった。当時の様子は分からないが、この村はきっと、ピーターメイルが暮らしていたときから、今も変わらず、日常を大切にしているのではないか、と思えた。

「変わらないことを大切にする村」、そんな印象を受けた。
さて、リュベロンの村がとっても魅力的で、ついつい美しい村の魅力を書き連ねてしまった。ここからがブドウ畑のお話。
<ブルゴーニュ>
ブルゴーニュはパリの南東に位置している。パリに行くよりスイスのほうが近いそうで、プロヴァンス同様に山や丘の多い地形。昔は海だった場所が隆起して現在の地形を形成しているそうだが、その独特の土壌がブドウ栽培、ワイン作りに適しているそうだ。

今回、ブルゴーニュを知る起点とした町がボーヌ。人口約23,000人、町を一周してもそんなに時間はかからないような町だ。

もちろんボーヌ自体かわいい町だが、ボーヌ近郊には美しいブドウ畑とそのまわりにワインを作る村もたくさんある。


ブドウの収穫はほぼ終わっていたが、美しい黄金色のブドウ畑に出会えた。
さらに、出会って感動したのがこのブドウ畑―!!


あの有名なロマネコンティのブドウ畑である。塀に囲まれていて、なんだか格式高い感じだ。おいしい空気をいっぱい吸って、これからも元気に育ちますように!
そして、ブルゴーニュに行ったら欠かせないのがワイナリー見学だ。

今回訪れたのはシャトームルソー。


暗くて長いカーヴにワインがいっぱい詰まっている。残念ながら生まれ年のワインは発見できず!

見学の最後にはワインの試飲ができる。赤ワインと白ワイン。たっぷり注いでくれる。

もちろんお土産にワインの購入も可能。やっぱり安いのか、たくさん買っている人も。
ワイナリー見学後のおすすめは、ボーヌ近郊の町に滞在すること。
☆貴族の館「プチホテル マノワール」

ニュイサンジョルジュという町にあるあたたかみのあるホテル。イギリス人のご主人と日本人の奥様が約300年前の館を改装し、雰囲気の良いホテルにしている。二人ともとても明るく、細かいニーズにも対応してくれる。自転車をレンタルして、ブドウ畑を巡るのもおすすめ。
☆ラ・メゾン・ドリヴィエ・ルフレーヴ

おしゃれなデザインホテルのようなホテルである。ここは、ピュリニーモンラッシェという町。人気の白ワイン「ピュリニーモンラッシェ」を作っている、まさにワインのプロが経営するホテルなのだ。日曜以外はホテルで食事をすることも可能。おいしい食事とともに、数種類のワインを味わうこともできる。そして、予約をすればワイナリーも見せてもらえる(かもしれない)、というワイン好きにはなんとも嬉しいホテルだ。
ところで、食事といえばフランス料理!!日本にいると、ちょっと敷居が高いような気がするが、フランス、特にブルゴーニュを訪れるならぜひぜひコースで味わうのがおすすめ。



こちらはランチメニュー。これは1人前に見えるが、1コースを2人で分けてもらったので、実際、量は半分である。(※量が多いので、1つのコースをシェアして食べたいと言えば受けてくれるお店が多いそうです。)
このほか、メインのお肉やパンもついて、おなかいっぱい。とっても満足な上、お値段半額でお財布にも優しい食事だ。
まだまだ魅力的な村や町の多いプロヴァンス・ブルゴーニュだが、今回のご紹介はこのあたりまでにしたいと思う。
フランスは奥が深い。美しい景色、おいしい食材、優しい人々。パリからちょっと足をのばして、黄金色のブドウ畑や美しい村を訪ねてみると、ずっと出会いたかった「非日常」に出会えるかもしれない。

2010年10月  西田

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