ラオスには、インドといえばタージマハール、カンボジアといえばアンコールワット、のような圧倒的シンボルな見どころがなく、広く名は売れていないかもしれない。けれど、かねてより興味のあったラオスへ、ついに行ってきた。
関空発ハノイで1泊し、翌朝ビエンチャンへ。空港から市内へ向かうが、街らしい喧騒はなくのんびりしたのどかな雰囲気で、一国の首都の中心とは思えない。
タートルアンを見に行くため、トゥクトゥクに乗る。まったくの交渉制と思いきや、そのドライバーさんはキレイにラミネート加工された料金表を持っていた。行き先とその往復の値段が書いてあり、それ以外のところに寄り道をしてもらう場合は、ドライバーさんの言い値になるようで、結局交渉して乗せてもらった。
タートルアンは黄金の塔で、ラオス全土のシンボルである。晴天の下、金色が眩しく輝いている。タートルアン以外でも、祠に祭られている仏像は金色のものが多く、きらびやかに飾られている。黄金の仏像というのは、日本では馴染みのない彩色で違和感をおぼえるが、金色で派手に飾ることが敬意の表し方なのだ、文化の違いは知るほどおもしろい。夕食は、メコン川沿いに出ている屋台に行ってみた。京都・鴨川沿いの川床も真っ青の、お座敷を完備した屋台もあり、そこでゆっくり食事をしくつろいだ。なんだか風が強くなってきたなと思っていたら、突如川上から黒い雲がせまってきて、とてつもない砂嵐に見舞われた。スコールか!?と、お会計を済ませてホテルへ急ぐ。が、間に合うはずもなく、どしゃぶりに遭うハメに・・やはり東南アジアの旅に雨具は必携。
<ビエンチャンのホテル>
・ラオプラザ
町のど真ん中、サームセンタイ通りにある高級ホテル。プールやフィットネスクラブ、スパもある。国際線に合わせて空港⇔ホテル間の無料シャトルバスが出ているが、国内線の時間にはなかった。
バスタブ、TV、ミニバー、セーフティBOX、ドライヤー、スリッパ、アメニティ関係も完備。
・デイイン
ラオプラザの1ブロック奥にあるスタンダードホテル。本館と別館があり、どの部屋もラタン調で明るく清潔。白を基調としたバスルームは広く、キレイにしてある。
セーフティBOX、ドライヤーはフロントで。その他は部屋に揃っている。
・セッタパレス
ラオプラザ、デイインのさらに1ブロック奥にある、別荘風の落ち着いた高級ホテル。部屋の調度も重厚で、コロニアルな雰囲気満点。プールのある中庭やレストランも上品にまとまっている。ビジネスセンター(別途料金)も完備。
世界遺産の古都ルアンプラバンへ飛ぶ。緑の大地にオレンジの屋根がちらほら見えてくる。こちらは、ビエンチャン以上にのどかで、全ての規模が小さくコンパクト。ビエンチャンがとても都会のように思える。ヨーロッパ人バックパッカーが多く、世界中どこに行ってもいる日本人の姿が少なかった。
ルアンプラバンといえば、早朝の托鉢。メイン通りのシーサワンウォン通りは観光客でごった返し、雰囲気も何もあったものではないので、それよりメコン川方向に上った小さな通りに行くと、お供えをする地元の人が座っており、朝もやの中を僧侶の列が静かに動いていく。メイン通りでは、観光客が僧侶の列に近づいてフラッシュ撮影をし、厳粛な雰囲気が台無しだったのが残念。地域の方々が僧侶に敬意を払って行っている托鉢、それを踏まえて静かに、邪魔をしないように離れたところから見学させてもらいたいものだと思った
ルアンプラバンといえばナイトマーケット。観光客向けだが、いろいろなお土産は全てここで買えるし、見ているだけでも楽しい。夕方になると、荷物をたくさん積んだトラックやバイクが集まってきて、店を広げる。子供たちもキレイに商品を陳列してお手伝いをしている。近くには、野菜市場屋台、串焼きやお惣菜の屋台も出ていて、地元のお母さん方が晩ご飯のおかずを買っていく。
ラオスでは、カオニャオというもち米を蒸したものが主食で、もち米好きな私は調子に乗って食べていたが、もち米100%は消化に悪いらしいので食べ過ぎに注意。
通りには、麺屋が出ており、地元の方が朝ご飯とも昼ご飯ともいえない時間に麺(フー)をすすっている。フーを頼むと、お皿にてんこ盛りの薬味(パクチ-・クレソンなどのハーブや、インゲン・ライムなどの野菜)も一緒に出てくる。テーブルには魚醤・唐辛子調味料が置いてあり、好みで味付けをするようだが、そのままでもとてもおいしい。
また、ルアンプラバンでは、カオソーイという坦々麺風フーが名物だが、地元の方にももちろん人気で、お昼ご飯時に行くとすでにその辛みそスープが売り切れている。どうしてもそれを食べずには帰れないと、最終日キリキリ痛む胃を抱えながら、昼前に麺屋に駆け込んだ。暑い中の熱い麺に辛いスープ、どう考えても弱った胃腸に良くないが、待ちに待ったその味は忘れられないルアンプラバンの思い出となった。
<ルアンプラバンのホテル>
・ビラサンティホテル
サッカリン通りにある、ラオス王女のかつての邸宅を改装した老舗ホテル。フレンチコロニアルな外観やロビー、部屋も雰囲気がある。
バスルームが少し狭いが、バスタブもあり、ミニバー・セーフティBOX、ドライヤー、スリッパ、アメニティも揃っている。が、TVはない。(というかのんびりラオスの旅には必要ない。)
・ビラサンティリゾート
町中から少し離れた、田畑の緑が広がる中にある高級リゾート。広い庭には大きなプールやスパがある。スパからも、緑いっぱいの風景が臨め、身も心も癒されるつくりになっている。
セーフティBOXはフロントに、その他はすべて部屋に揃っている。
・マノラック
プーワーオ通り沿いにある。スタンダードホテルだが清潔にしてある。デラックスルームはシャワーのみ、スタンダードルームだとバスタブがあるので、日本人のお客様はスタンダードを好まれるとのこと。スタンダードは木目調で落ち着く雰囲気。現在、隣りの敷地に別館を建設中。
観光地めぐりに躍起になることなく、のんびりまったりくつろいだ旅となった。ラオスのゆったりした雰囲気はとても温かく、次の機会には少数民族の村を訪問したりメコンをボートで下ったりもしてみたい、また来たいと思う国だった。
2009年3月 中島