ベトナムの誘惑 ファンティエットビーチとグルメ探検隊 

ベトナムの誘惑 ファンティエットビーチとグルメ探検隊 

ショッピング、グルメ、ビーチ!やっぱりベトナム!!
朝から精力的に観光やショッピングに飛び回り、お腹がすいてきたなと思ったらもうご飯時。高級ベトナム料理レストランで洗練されたフルコースに舌鼓を打つのも良し、フォーとベトナムビールを地元民と一緒に屋台でかきこむのも良し。お腹が一杯になって、眠くなってきたら快適なホテルのベッドにバタンと倒れこみ、「あー明日はビーチだ…」と思いながら眠りにつく。翌朝目が覚めると快晴!都会の喧騒を忘れて、人気のないビーチで時間を忘れてまどろむ…
私が体験したのはこんな贅沢なツアー。ベトナム旅行の醍醐味であるショッピング、グルメ、ビーチをレポート。


ショッピング:
ベトナムに到着してまず目に付いたのがバイクの多さ。そして長い黒髪を風になびかせて走り去るバイクに跨った女の子たちのスタイルとセンスの良さ。そう、女の子がこれだけおしゃれならば町の洋服屋さんや雑貨屋さんもとってもかわいらしい。
ツアーでホーチミンに滞在するとなると必ず何度も行き来することになるのがドンコイ通り。この通りの近辺にツアーでよく利用されるホテルが集まっていることもあって、ツアー客目当てのお土産屋さんやブティック、雑貨屋さんなどがずらりと並んでいる。地元の人に言わせるとこの辺りの店は割高だということだが、そもそも値札がついてない店が多いので比べようがない。それに日本の物価からすれば格安であることに変わりない。
アオザイ オーダーメイド店 さてベトナムファッションといえばアオザイ。つるりとした光沢の細身のデザインとカラフルな色彩に女の子だったら一度は着てみたいと思うはず。既製品だと体のラインがきれいにでないので、本来アオザイは全てオーダーメイドだ。最近は日本でも結婚披露宴やパーティーの席でアオザイを着ている人をよく見かける。レンタルもいろいろ!
わざわざ作らなくても「とりあえず着てみたい」という方にお勧めなのが私も体験してきた「アオザイを着ておしゃれなベトナム料理店でディナー」というコース。このアオザイはレンタルで自分の好みにあったものを選べる。せっかくだからベストなものを選びたいので何度試着してもOK。お店の人が集まって「もっと淡い色がいい」ちょっとしたモデル気分まで味わえてしまう。私はピンク地に赤い花模様の刺繍が入った愛らしい一枚をチョイス。テロンとした生地が肌に心地よい。体にぴったり沿うようなデザインだけど、お腹もお尻も長いシャツで隠れてしまうので体型に自信がなくても大丈夫。実際その後で行ったベトナム料理店でお腹がパンパンになるまで食べたけど、全然目立たなかった。「一着あれば華やかな場面でかなり活躍してくれそうだし、食べ過ぎても大丈夫!」、とアオザイをすっかり気に入った私も自分のために一着。上下好きな色(若々しい色が良いと猛烈に勧められてシャツはサーモンピンク、パンツはとろりとした色合いのオレンジがかったミルク色。両方シルク製。これで仕立て代も含めて40ドルだったらお買い得!)を選ぶことができ、翌日には仕上げてもらえるので時間がない旅行者には大助かり。
色鮮やかなバッグ ホーチミンの通りで目立つのはアオザイ屋さんはもちろん、色鮮やかなサンダルや豪華な刺繍を施されたバッグなどを売るお店。ドンコイ通りだけじゃなくその裏通り、また市場などでも売っている。「日本にも相当輸入されているんだろうなー」と思わせるほど日本人好みでかわいく安い。デザイン、色使いも凝っていてこれでサンダルがたったの10ドルだったり、凝った刺繍のバッグが15ドルだったりするのだから感激で、女の子の買い物熱は上がりっぱなしだ。
私も空いた時間にはドンコイ通りや挙句には裏通りまで早足(スケジュールをこなして市内に帰るとたいていもう夕方なので)で歩き回った。今回の旅行も前回のインドと同じようにガイドさんは付くが同行者はなしというスタイルだったので始めはちょっと寂しかったが、逆に「時間はないけどあのお店もこのお店も見たい!!」となってくると現金なもので「一人旅も気楽でいいなあ」などと思ったりした。
そうそう、値段はある程度きちんとしたお店だったら値札がしっかりついているので安心。それ以外のお店や市場では「これいくら?」という交渉スタイル。でもあんまりがつがつしているのも傍から見ているとちょっと感じが悪い。もちろんぼったくられないようにと気を引き締めることは必要だけど、商品価値と金額がマッチしていると思えたらそれで交渉成立なんじゃないかな、と思う。相場がまったくわからないときは、ガイドさんに「○○が×ドルって言われたけどそんなものなの?」と聞いてみるといい。「それは高すぎるのでもうちょっと下がります」とか教えてくれるはず。
基本的に私は値札がついてないと不安だし交渉を非常に面倒だと思ってしまうのだけど、ベトナムは割と大丈夫だった。初めは「だまされないぞー」と気負っていたけれど、最低限注意していればそんなに警戒しなくても大丈夫みたい。特に田舎のほうでは「こんなに安くていいんですか!?」とびっくりするくらい良心価格だったりする。ベトナムの人は優しく親切なので、慣れてくるとかなり信頼して気持ちよく買い物することができる。
グルメ:
日本でもアジア料理の1つとしてすでにメジャーな地位を確立したといえるベトナム料理。野菜をふんだんに用いたヘルシーさ、見た目の鮮やかさ、親しみやすい味などなどの魅力が若い女性を中心として多くの日本人をひきつけている。
何を隠そうこの私もそんなベトナム料理に魅了されてしまった日本人の1人。日本で食べたらちょっとおしゃれでお値段もなかなかのこの料理を、本場で思う存分「もう飽きちゃった」と日本に帰って友達に自慢できるくらい食べてみたい。「それにベトナム料理はヘルシーだからいくら食べ過ぎても太らないはず!(この間出張したインドではカレーがおいしくてちょっと太っちゃいました…)」などと勝手においしい想像を膨らませていた。
活気のある『やぎ鍋屋』 しかし本場の料理は私の想像と経験をはるかに上回るものだった。やはりおいしいベトナム料理は生春巻きだけではなかった。到着した初日の夜にアオザイ着用で行ったおしゃれなレストラン「VY」で伝統的なベトナム料理のコースをいただく。日本で食べることができるベトナム料理と変わらず日本人好みの味だ。盛り付けも美しい。生春巻きで始まり五目汁そばでしめた。うーん幸せ。でもまだこれは序の口。今度は庶民的なおいしいものが食べたい!と意気揚揚の私はガイドさんや現地の会社の人たちにお願いして地元民で混み合う食堂へ連れて行ってもらった。行ったのは「やぎ鍋屋」。店名は残念ながらわからないのだけど、「やぎ鍋」が売り物の店でおいしく安いのでいつも混んでいるらしい。バイクをお店のお兄ちゃんに預けていざ店内へ。オープンエアというか外と中を隔てる壁がないのにもかかわらずもうもうと煙った店内で老若男女がやぎ鍋をつついている。注文を聞かれたのは飲み物だけ。さっぱりした喉ごしのベトナムビールを飲みながら待っていると目の前に七輪が置かれ、おばちゃんがたれのついた生肉を持ってきた。だが肝心の鍋がない。「むむ、こんなの頼んでないぞ」と思っているとガイドさんがおもむろに七輪の上に肉を並べ始めた。完璧に焼肉だ。聞けばやぎ鍋の前には焼肉をまず食べるらしい。やぎ焼き。それにしてもヘビーなオードブルだ。やぎの肉を食べたのは初めてだったが、臭みもなく適度に油が乗っていて歯ごたえも豚肉のようだ。胸肉は特に豚カルビのようにやわらかく口の中に旨味がじわーっと広がる。つけだれのどろどろした豆腐汁も見かけは怪しいがぴりっと唐辛子が効いている。ほのかな酸味と相まってやぎ焼きにベストマッチ。
やぎ焼きを豪快に食べ尽くすとようやく鍋がやってきた。白っぽいとろっとしたスープの中に肉や内臓、野菜、麺をどんどん放り込んで煮込む。店全体がやぎ焼きのおかげで煙っているのでどんな匂いがしているのかはわからないが、「さあ食べごろだ!」と蓋を取るとこれまた怪しげな様相。しいて例えるなら魔女鍋。でもやぎ焼きはおいしかったし、えいやっと思い切って箸をつける。今まで食べたことのない味の鍋だ。白いスープはこってりとこくがあるけどさっぱりしている。内臓も歯ごたえがあってかめばかむほど味がしみてくる。
ちょっとクリーミーで具沢山のトンコツラーメンさっぱり味といったかんじ。くせも全くないのでどんどん入る。
焼きもおいしかったけど、鍋もまた格別だ。暑い国で熱々の鍋を食べるというのもなかなかおもしろい。おまけにおいしい。私は焼肉を食べ過ぎたりした翌日は必ず胃もたれするのだけど、今回は全くなかった。野菜もたっぷり取れたけど、やはりさっぱりしていたのだ。うーん、やぎ最高。
次に連れて行ってもらったのは有名なフォーのお店。フォーとはベトナム風のうどんだ。お店は家族連れや、いかにも近所から「夕飯はフォーでいっか」と軽くやってきたらしい人々でいっぱい。鶏と牛のフォーどちらを食べるかと聞かれ、欲張りな私は「両方」。すごいボリュームのどんぶりの中には麺の上に茹でた鶏と牛肉がこれでもかというくらいのっかっている。その上に更に好みでテーブルの上に置かれている野菜やハーブ、揚げパンなどをちぎって入れる。私は香草のパクチーが苦手なので紫蘇とバジルの葉っぱを探し出して入れた。あっさりしたスープはしっかりとだしが効いていておいしい。麺もうどんに比べてこしはないがつるつるっと胃の中に収まっていくし、お肉の脂をハーブがさっぱりとした後味にしてくれる。これなら毎日食べられそう。
ガイドさんの牛肉のフォーを味見させてもらったら、やっぱり「両方」よりも味にまとまりがあり、量は少なめ(といってもちょうどいい)。冒険したい欲張りサンには「両方」がおすすめ。これはこれで一度に二度おいしい、得した気分にさせてくれる。ただ量は多いので覚悟して。
ベトナム料理を自分でも作るという体験もできた。ライスペーパーを作っているお宅の庭先で野外料理教室。米を挽いて水で薄めたものを蒸してライスペーパーにするというのも体験させてもらったが全然上手くできなかった。家のおばあちゃんの熟練の技に感動。
料理教室にて 私が作ったのは揚げ春巻きと生春巻き。延々と巻き続け、最後は家のお姉さんが揚げてくれた。おいしくできて作り方も覚えられたので大満足。他にはスープや炒め物も食卓に並んで、ベトナムの家庭料理を満喫。もちろん食べるのも外で、とても気持ちの良い昼食となった。
最後はファンティエットの海の幸!山のような巻貝、ベトナム人にも大人気の花蟹、ホタテ。ファンティエット名物の肉厚なイカの燻製はチリソースで。どれもこれも新鮮で身が引き締まっている。蟹やホタテにはほのかな甘味さえ感じられ、ぷりぷりした巻貝は心地よい歯ごたえ。ガイドさんも運転手さんもみんな一緒に夢中になって食べた。やっぱり蟹を食べているときはみんな無言になってしまうのは万国共通。イカや貝を使った炒め物もおいしくてごはんがすすむ。「もう食べられないよー」というくらい食べに食べて海風に吹かれてうとうとするなんてとても贅沢で幸せだ。
山盛りの魚介類花蟹!
総じてベトナム料理は日本人の口に良く合う。旅先で胃もたれもせず、体が軽く感じられたのは初めての経験で、やはりそれはベトナム料理の親しみやすい味付けや健康的な食材のおかげが大きいと思う。でも、生水や氷、生野菜には注意を怠らないようにするべき。おいしい料理をたっぷり楽しめるように!
ビーチ:
ファンティエットのビーチ 今回の私の旅ではホーチミンから自動車で行ける範囲にしか移動していない。豪快なメコン川下りをやってしまった後ではベトナムのビーチを想像するのは難しい。だってメコン川はコーヒー牛乳みたいな色をしていたから。都会から3、4時間で行ける海なんて「せいぜい湘南ってかんじかなー」とあまり期待をせずに向かった。 ところが、ファンティエットは完璧に南国だった。
ドラゴンフルーツとニョクマムは名産 道端にはドラゴンフルーツの木が立ち並び、牛が草を食んでいる。人々は強い日差しの下をのんびり歩き、商店には地元で作ったニョクマムがずらりと並んでいる。なんとも平和でのどかな光景だ。ホーチミンとは雰囲気が全然違う。
町を抜けると車は海沿いの道をどんどん上って行く。木々の切れ間から見えるファンティエットの海は想像よりもずっと美しい。湘南と一緒にしてごめん…と反省。
私の宿泊するホテルはパルミラ・リゾートだが、チェックインの前に他のホテルもいくつか覗いてみた。最高だったのは「ヴィクトリア・ファンティエット」。ロビーは開放感があり風が通り抜けていく作りになっている。コテージ風の部屋もそれぞれが独立して建てられているのでプライベートが完全に保たれる。これは欧米人を惹きつける大きな要因になっているはず。レストランはオープンエアで海を眺めながら食事を楽しむことができる。その他にエステ、ジャグジーなど何でもありだ。全てが心地よくビーチを楽しむためにパーフェクトに配置されているという印象だった。新婚旅行にもお勧め。
ご安心下さい。パルミラリゾートもとっても良い感じのホテル。ロシア人とベトナム人の夫婦がオーナーというだけあってお客さんもロシア人、ベトナム人が多い。滞在中の日本人は私1人だけだった。
 ロビーを抜けると明るいプールがバーンとあってとても開放的。木々の茂った小道を進むと壁がエメラルドグリーンやブルーに塗られたかわいらしい建物が点在している。軽井沢の別荘地にいるみたいだ。小道の突き当たりにはプライベートビーチが広がっている。私の部屋はパーフェクトなオーシャンフロント!しかも 2階なので眺めはばっちり。海に面した入口のバルコニーに置かれた竹のデッキチェアがうれしい。広々とした(2人で使っても広いはず。一家族でちょうどくらい)シンプルさがかえって心地良い部屋。
ビーチにはちょっとしたバーもあり、ころころと良く太ったロシア人のおじちゃん、おばちゃんがデッキチェアに横になっている。若者や家族連れがいないせいかとっても静かだ。それになぜかみんな小声で話しているので聞こえるのは波の音だけ。やっぱりポップスががんがんにかかっている湘南とは違う。落ち着いた静かな浜辺ではみんな穏やかな顔をしている。海はきれいでそんなに波も高くないので泳ぎたい人はどこまででも泳げるし遠くでは釣りをしている人も見える。ファンティエットのビーチの居心地が良いのは気取っていなくて親しみやすいから。誰の視線も気にすることなく気を張らずに本当にリラックスできる。
私はひとりだったのでデッキチェアに横になって本を読んだり、葉書を書いたり、そのまま寝入ってしまったり(眼を覚ましたら体の半分だけが見事に焼けていた、とほほ)。ホーチミンから車でたったの3時間、ファンティエットでは最高に贅沢な休日を満喫することができる。
ここ数年人気に火がついたベトナム。しかも若い女性を中心に。ベトナムといえば70年代の戦争を思い浮かべていた私。この国が歩んできた決して平坦ではない道のり。でも実際にベトナムに行くとそんなことを全く感じさせない明るさとパワーに満ちあふれていた。今回の旅ではこの国の日常生活やトゥーリスティックな面しか見ることはできなかったけれど、それはそれで良かったのかなと思う。まだ1回目なのだから。むしろこれからもっとこの国を知っていきたい、という意欲が沸いてきた。リピーターが多いのにも今なら納得がいく。ベトナムにはまだまだたくさんの魅力が隠されている。過去の歴史、現在の発展、そして変わらない中にもベトナムの魅力がある。それをいつかまた探しに行きたい。
白尾 みどり
2003年2月

ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマーカテゴリの最新記事