ベトナム・メコンデルタの町々

ベトナム・メコンデルタの町々

ベトナムといえば?メコン川、アオザイ,アジアン雑貨、そんなイメージが浮かぶ所だろう。今回はそんな定番のベトナムプラスαを味わおうと、ホーチミンを入り口に南へと下ってみた。

■ やっぱり楽しいホーチミン

 ホーチミンは活気溢れる大きな町。路上のコーヒー屋さんでベトナムコーヒーを飲んだり、シクロで街を一周しながら白いアオザイを着たお姉さんに見とれたり。ベトナムらしさが感じられる町である。 そんな中でもベンタイン市場は観光客にも人気のホーチミン市最大の市場。


生鮮食品からお土産品、各種ベトナム料理を食べられる屋台など、たくさんのお店がつまっている。
その中で見つけた。タニシやハマグリが山となって積み上げられている屋台に、いつかは挑戦しようと思っていたホビロンを。
ホビロンというのは言わば孵化する寸前の卵をゆでたもの。
ちなみにニワトリではなくアヒルの卵である。
ベトナム人の好物で栄養も満点らしい。
ガイドさんの「肉と卵の両方の味がしておいしいですー。」という、なんとも言いがたいコメントに劣らず、見た目もかなりグロテスク。
殻を破ってみるとまず血管が見え、奥までスプーンですくってみるとすでに羽や頭まで出来ていて口に含むとジャリッとかプチッとかおよそ卵を食べているとは思えない食感が...。
味?何も知らずに、目をつむって食べればおいしいと言えるのでは?!
ベトナムと日本の食文化の違いを感じた瞬間だった。
■ カントーの水上マーケット
 カントーはホーチミンから車で5時間ほどのメコンデルタ最大の町で、朝の6時から8時がベストという水上マーケットを見に行くにはこの町に泊まるのがベスト。
早朝5時。眠い目をこすりつつ、水上マーケットへと出かける。
町の船着場から揺られる事30分、様々な商品を載せた舟が行き交うマーケットの中心へと到着する。観光客ばかりで‘見せる用’の舟ばかりだと思っていたら大間違い。地元の人だけでなくホーチミンなどからも舟で買い付けに来るという一大マーケットだった。
大きめの舟は長い棒を上に掲げ,その先端に自分が売っている商品をくくりつけている。何を売っているかが離れたところからでも一目で分かるようにするためだ。あちこちで値切り合戦をする声。みんな朝から元気だ。
スイカやかぼちゃなどがぶらぶらと宙でゆれ、お客さんはそれらをキロ単位で大量に買っていく。果物の中でも特に多いのが竜眼。ベトナム人の大好きな果物で、味はさっぱりしたライチみたいな感じ。種が小さいものの方がその分実も多いので料金も高いそうだ。
中にはフォー(ベトナム名物のうどんのような料理)の屋台舟なんかもあり、お客さんがそれを食べている間舟を横につけてじっと食べ終わるのを待っているのがなんだかおかしかった。
私も飲み物の屋台舟でベトナムコーヒーを飲んでみた。キリッとした朝の空気の中でコンデンスミルクたっぷりのあまーいベトナムコーヒーは格別の味。朝食前に出発する事になるのでここで新鮮な果物を買って食べるのもいいかもしれない。レストランで食べるのとはまた違ったおいしさがあることだろう。
■ チャウドックってどんなとこ?
 カントーからさらに車で4時間あまり。カンボジアとの国境近くの異国情緒漂う町、チャウドックへと到着。ここからメコン川をさかのぼってスピードボートでカンボジアのプノンペンへ行く事も出来る。(旅の悪戯「カンボジアへ入国」参照)
市場へ行ってみた。町の大きさに比べて結構規模が大きい。国境近くの町という事でバザールに並んでいる商品もベトナムの物だけでなくカンボジアや中国、タイの商品もあったりしてそれぞれのお国柄を主張しあっていて面白い。
世界中どこの国の市場でも言えることだがここでもおばちゃん達がとっても元気。「いいか09.jpgらあんた、買っていきなさいよ」と腕をむんずとつかまれたり、頭上高くおのを振り上げて椰子の実をバンバン割っていく。
大きな洗面器のような入れ物に黄色いもったりとした液体を並々と盛ったお店があった。
何かと思えば砂糖だという。ここチャウドックの名物で、普通の砂糖よりもずっと味が深くておいしんだそうだ。固形になって売っているものもあったので一瞬買おうかと思ったけれど、自分のかばんに蟻がすさまじい行列を作っている所がなんとなく浮かんできたのでやめた。
この日泊まったのはビクトリア・チャウドックホテル。
コロニアル調のインテリアで落ち着いた雰囲気。大型チェーンのホテルながら場所柄も手伝ってかスタッフは皆のんびりしていてとてもフレンドリー。ここで飼っている猿と遊んでみたり、テラス付きのレストランでは優雅にメコン川を眺めながら食事をとることが出来る。ホーチミンやカントーの喧騒が嘘のように感じた。プノンペンやホーチミンへの船もここから出るのでアクセス面からもおすすめだ。
 翌朝メコン川沿いのフローティングハウスへ見学に出かけた。フローティングハウス=水上集落と聞いていたので貧しい人達の生活の場だと思って出かけたがその正反対だった。フローティングハウスで生活する人たちは水の上に浮かぶその家で魚の養殖を行っている。設備そのものを作るのに費用がかかるため、比較的お金のある豊かな人たちが始めるそうだ。
ボートで一軒の家に着きお邪魔してみると普通の家と変わらない。違うのはテレビや冷蔵庫など、一般の家ではまだまだぜいたく品で置く事が出来ない電化製品がある点か。
部屋の床をぱっと上げるとそこが半水槽のようになっていて魚がうようよいる。えさをえいっと上からばら撒くと中の魚が我先にとえさを取り合うのでバチバチバチーっとすごい水しぶきが起こる。一軒の家が抱える魚の量は7000匹から15000匹というからかなりの量だ。これもメコンデルタの恵みの一面だろう。
ここ数年、日本でのベトナム人気は高まる一方である。そのほとんどがホーチミン・ハノイ、又はニャチャンやダナンなどのビーチリゾートだけれど、今回のような一味違ったコースもまたベトナムとそこに住む人たちの大きな魅力を感じる旅であった。
岡坂 美紗子
2002年10月

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