インド、その国は正直私にとって本当に旅の上級者が行くとういうイメージがあった、例えば沢木幸太郎の深夜特急のようなバックパッカー達が好んで行く国。行く前から家族や友人に心配されちょっとの不安と未知の国へという期待を胸に成田を出発した。
猛暑
5月のインドは1年で一番熱い、今回の旅でも平均気温が46℃、最高気温が51℃という日もあった。お風呂より暑いの?と驚かれるかもしれないが、日本の夏の暑さとはちょっと違うので心配は無用!また、インドは1年中暑いだろうと思われがちだがそんなことはない。1月には7℃ぐらいになることもあるという、しかし今は夏、デリーの空港に降り立つと暑い空気が体にまとわりついた。この独特の感覚が私はとても好きでアジアの国に行くならその国の一番暑い時期に行くのが個人的には好きである。
インドスタイル
インドの女性は本当におしゃれだ。猛暑の中サリーを着て颯爽と街中を歩く姿はすれ違うと爽やかな風が流れるような気した。日本でいうと浴衣を着た女性のような感じで、年齢にあわせて自分に見合ったサリーを着こなす女性がとても綺麗でついつい街中で目がいってしまう。もちろん私も試して見ることに・・サリーを着て額にビンディをつけて、それだけでもう幸せな気分になった。鏡の前でポーズをとってみたりして(笑) せっかくインドにきたらサリーを買って、インド人スタイルで観光をして、日本では友人の結婚式に着てみるのも絶対いいと思う。
ビンデイ・・女性が額につける飾り。よく赤くて丸いものをつけていると思われているが、これは既婚女性の印で、未婚女性の場合カラフルな色やラメを使った物も沢山ある。
ベナレスの映画館
とにかく映画館は大きい、ガイドのボーラさんに聞いたところアジアで一番大きな映画館もインドにあるそうだ。上映されるほとんどの映画はインド映画。売店で定番のポップコーン(約18円)とカレーパイを買って(これがとても美味しい)映画をみた。平日の昼間だというのにお客は超満員!そこにはインドの若者の、今の姿があって、ジーンズにTシャツといういまどきのインドスタイル見ることができた。映画を見ているのにまるでお芝居を見ているかのように観客は映画に感嘆の声を上げていて、そこの空間にいるということがなによりおもしろかった。そしてナント! 映画の途中で3回ほど停電になって(インドは停電がとても多い)映画が中断されるのも、日本ではありえないのでとてもびっくりした。
アーユルベーダ
何事も体験!と思い個室に入ると。全裸になってといわれた(もちろん女性の場合スタッフは女性)金太郎のような前掛けをさせられ、横になるとオイルを使ってそれこそ足の指の間から脇の下まで全身くまなく丹念にマッサージ、その後ハーブを包んだガーゼで全身ぺたぺた叩かれ体中がいい匂いになった。そして最後は髪の毛にオイルが・・額にポタポタとオイルが落ちるたびにリラックスした気分になって旅の疲れを癒すことができた。
ちなみに、本来は、古代インドの医学療法でインド各地にアーユルベーダの病院がある。
菜食
インドには宗教上の関係でどのレストランにもベジタリアンとノンベジタリアンのメニューがある。せっかくインドにきたのだからベジタリアンの食事も是非、と思い挑戦した。インドのベジタリアンは肉・魚はもちろんのこと卵も食べない。味気ないのかなと思いきや、一口食べてみてまったくそんなことはなかった、小さなレストランで食べたほうれん草のカレーはモッツァレラチーズが入っていてとっても美味しい。グリーンのペースト状の見た目には驚いたが又食べたいと思わせる味だった。食後はもちろんチャイで締めくくる。
小さな出会い
ベナレスからアグラヘの寝台列車の移動中ベナレスに住むニッキーという9歳の男の子に出会った。彼はとても人懐っこく、私にインドの言葉をいろいろと教えてくれた。そして私は彼に日本のことを教えてあげた。思わぬ所で始まった国際交流はお互い話が尽きず、2段ベッドの2階からカーテンを少し開けて夜遅くまで語りあってとても楽しかった。小さな男の子との小さな出会いは私の列車の旅を特別なものに変えた、もしかしたらこの度で一番の思い出かもしれない。
百聞は一見にしかず。私の中にあった出発前の不安はどこへやら、いつか行こうと思う国こそ、今回行ってみて多くの発見を得ることができた。更なる南インドへの興味もつのる・・・
岡野由里
2002年5月