生を噛みしめるネパールの旅〜命に直結する自給自足生活の極意〜

生を噛みしめるネパールの旅〜命に直結する自給自足生活の極意〜

これは雄大な自然の中で控えめに、しかし自分たちの力で強く生きているネパールの人々の生活を垣間見た数日間のお話です。

11/6
成田空港を出発。
香港乗り継ぎのキャセイパシフィック航空利用。香港まで約4時間、香港からカトマンズまでは約5時間の空の旅です。


キャセイパシフィック航空の機内食

カトマンズ空港に到着したらまずはアライバルVISAを取得!
アライバルVISAの取得はイミグレーションの部屋に約10機程ある機械を利用して行います。
混雑時には並ぶこととなるためスムーズに抜けるには事前にE-VISAの取得をお勧めします。

アライバルVISAはとても簡単に取得できます。
機械にパスポートを読み込み、メールアドレスや滞在ホテル名等の必要事項を入力し最後に内蔵カメラで写真を撮って出てきたレシートを取ります。
申請料金はUS$25。ドルへの両替を忘れていましたが、円でもOKとのこと。その日のレートで異なるとは思いますが、支払ったのは3,000円。円だと悪いレートと聞いたこともありますが後ほど確認したところこの日は1$=113円だったためそこまで大きな差異はありませんでした。
機械から出てきたレシートと、料金を支払ったレシートおよび記入済みの入国カードを持って入国審査へ。
特に何事もなくすんなりネパールへ入国!

到着が深夜だったため、荷物を受け取りこの日はそのままカトマンズ市内のホテルへ。
ちょうどティハールのお祭り期間に被っており、街のビルは電飾で飾られ賑やかな雰囲気でした。


ホテルマルシャンディの客室

ホテルマルシャンディは観光客の多いタメル地区の中心に位置し、周りにも他のホテルやレストランがあり賑わう好立地です。

部屋も広く清潔でWi-Fiも無料。レストランもテラス席などがあり好印象です。


客室


ミネラルウォーターは無料


レストランのテラス席

11/7
朝は気持ちよく晴れ、ホテルの朝食レストランのテラス席で一息ついたあとすぐ空港へ向かいます。


レストラン


朝食


ホテルマルシャンディ

市内から空港までは車で20〜30分ほど。
搭乗便の名前はブッダエアー。なんともネパールらしいエアライン名です。


国内線空港


ブッダエアーチェックインカウンター


国内線空港

空港入り口でEチケットと荷物チェックがあります。空港奥の航空会社カウンターで出発予定時刻が書かれた紙の貼ってある列に並び大きな荷物を預けます。
カトマンズからポカラを目指しますが、座席は右側の窓側席をリクエストするのがおすすめ。窓から壮大な山々を見ることが出来ます。反対に、ポカラからカトマンズへの便は左側が良いようです。

国内線のゲートは3つ。
航空券を受け取ったら、ゆるすぎる手荷物検査とボディチェックを終えて待機部屋へ。
こぢんまりとした部屋に椅子が並べられ出発を待つ人々で賑わいます。
国内線も様々な航空会社があります。出発時間が迫ってもなかなか搭乗案内がないと思ってモニターを見ると該当便の表示がいつのまにかboardingになっていました。
おそらくアナウンスもあったのだとは思いますがモニターはちょくちょくチェックした方が良さそうです。


待合室

小型の飛行機に乗って小一時間の空の旅へ。
カウンターでリクエストした座席はしっかり右の窓側に設定されていました。
離陸後まもなく右の窓から連なる山々がくっきり見えてきました。
飛行機の窓にキズがあり写真では上手く写らないため、是非実際に乗ってみることをおすすめします!


機内からの写真


ブッダエアー機体

ポカラに到着し小さな荷物カウンターから手動で荷物の引き渡しが終わり空港を出たあと、そのままアスタム村へ向かいます。


ポカラ空港


荷物受け取りカウンター


空港出口

アスタム村はポカラ市街地からおよそ1時間ほど山道を登った先の標高1400mの場所にある小高い丘の上の村です。
この日から2泊宿泊する”はなのいえ”は、約4ヘクタールの敷地を有する自然派リゾート。
すぐ目の前にはアンナプルナ連山が聳え連なる美しい景観が魅力的です。


到着!


ロビー


ロビーの囲炉裏

日本系宿泊施設のため、用意される食事は日本食が基となっており、なんと山々を望む窓のついた五右衛門風呂の用意もあります!
提供される食事の全てはこの敷地で採れた自家製のもの。スタッフが日々丁寧に育てている野菜や牛からとれたミルク、卵、バターに肉類まで新鮮なまま頂くことが出来ます。
素材の味を存分に活かした料理はレパートリーも多く、どんなものが提供されるかワクワクします。


くっきりと見えるマチャプチャレ

部屋も全て木や土等の自然のものからつくられたシンプルな内装となっており、外観はまるで童話の世界に出てきそうな可愛らしいつくりです。


お部屋外観


シンプルな内装


清潔な室内

この日は到着後すぐに昼食をいただきました。お重箱に詰められた日本食の美しさに驚き、加えてお味噌汁まで出てきて滞在早々にすでに大満足。


和食御膳

その後、自家農園の見学。ネギ、ナス、トマト、キュウリ、チンゲンサイ、カボチャ、からし菜等多種多様な野菜に加えてキウイなどの果物や梅なども育てています。
また水牛や鶏などの牧畜も同じ敷地内で行なっています。


様々な農作物が育つ畑

その他、ミツバチの箱も設置されており、とれた蜂蜜はもちろんそのまま食卓に並んだり、蜜蝋として利用したりと何もかも全てをこの敷地の中でまかなっています。


ネギ畑


大きな水牛


ミツバチの箱

農園見学のあとは自慢の五右衛門風呂を体験!生まれて初めての五右衛門風呂にドキドキ。となりのトトロを思い出します。
程よく暑いお湯は、温泉好きの日本人にぴったりの温度。滞在が被った欧米の方は、熱くて入るまでに時間がかかったけれど気持ちよかったと絶賛していました。


大きな五右衛門風呂!

その後夕食前に水牛の搾乳を見学し、ヒエから出来たラクシーという地酒をいただきながらロビーの囲炉裏の前で団欒。


搾乳見学


夕暮れ時のアンナプルナ連山


ロビーの囲炉裏


ヒエから出来た40度くらいの地酒ラクシー

先述しましたがこの時期は、”ティハール”と呼ばれる収穫祭の期間中でした。
この祭りはヒンドゥー教の女神ラクシュミーを祭神として5日間にわたり行う、富と繁栄を祈る祭りです。
祭りの期間はそれぞれ日によって礼拝対象が決まっています。
1日目は閻魔大王の使いとされるカラスを礼拝するカラスの日、2日目も同じく大王の使いとされる犬の日、3日目はお金の神としてラクシュミーを崇める女神吉祥天の日、4日目はヒンドゥー教で神とされる牛を崇め、最終日には兄弟や姉妹の日という最も盛り上がる日となります。

アスタムに到着した日は3日目の女神吉祥天の日でした。お金の神様を崇める日で、夕食前になると近くの村の子供たちがダンスを披露しにやってきました。これも祭りの一環で、夜に多くの家を巡りお布施を集める行事とのこと。スピーカーを片手に幼い子供達が楽しそうに踊り、大人たちはそれを和かに見ています。


踊りにやってきた子供達

この日はその後夕食をいただきすぐに就寝。
灯りが少ないため、静かな広い空に瞬く星が美しかったことが印象的な夜でした。


宿泊期間が同じだった方々と夕食

11/8
早朝。5:45頃から朝日が見れるとのことで重い瞼をこじ開けて外へ。

既にうっすら空が明るくなってきていました。
その空の織りなす美しいグラデーションカラーに見惚れながら時を過ごしていると、太陽の頭が見えてきました。

朝靄がかかっているからか、山々の景色はぼんやりとしてまるで水墨画のようにうっすらと目の前に広がっています。
このなんとも言えない絶妙な色合いが美しすぎて何度もシャッターを切ってしまいました。


水墨画のような景色

水墨画を描く方はこんな景色を目にして筆を走らせているのかなとぼんやり考えていると力強いオレンジ色の光が差して、この日の始まりを知らせに来ました。

山の頂に朝日が昇ったことを見届けると、そのままプチハイキングへ出かけました。
丘の頂上に村の子供たちが通う学校があるとのこと。
20分ほど山道を登ると、草花に囲まれた学校が見えてきました。
頂上には山々の景色を望む校庭!こんな素晴らしい環境で育った子達はきっと心の豊かな人になるのだろうと思います。


山の上の学校


山を望む校庭

山道を下る途中の民家で、羊の世話をする子供たちに出会いました。
まだ小学生くらいの可愛らしい少女がたくましく羊を抱えて歩く姿には驚きました。
自然の中で生きるということを改めて考えさせられました。とても強い子になりそうです!


羊の世話をする女の子たち

焼きおにぎりの朝食をいただいたあとは、朝よりも長い約2時間のハイキングへ!
学校とは反対側の道へ向かい、村の様子を見学に行きます。
広がる棚田の風景は圧巻。丁度収穫の時期を迎えた稲が横たわっています。


圧巻の景色


水牛たち


アスタム村の民家

道行く村人はにっこりしながらナマステ〜と挨拶をしてくれて癒されます。
農耕をする人、牧畜をする人、それぞれが広大な自然のなかで意欲的に仕事に励んでいます。

2時間のハイキングは丁度良い運動になりました。途中、山の中腹にあるホテルでしばし休憩をはさんではなのいえに戻ります。


戻る途中にはティハールのお祭りで女神ラクシュミーを迎え入れるために描かれた小さな曼荼羅が各民家にありました。

サクサクのとんかつ定食をいただいたあとしばし休憩し、今度はキッチンで蜜蝋を使った蝋燭作りと、夕食の料理見学。


とんかつ定食

温められた蝋が鍋の中にあり、そこへ紐を垂らして蝋をからめとります。すぐに乾くため、何度も繰り返して重ねると長い雫型の蝋燭が出来ます。
最後に紐を切って、出来上がり!お土産にふたつ頂きました。ちなみにこの蝋燭は各部屋にも停電対策のため設置されています。


ここに少しずつ蝋を重ねていく


地道に続けて


蝋燭らしくなった!


糸を切って


出来上がり!

蝋燭作りのあとは、
夕食のおかず作りを見学しました。

お料理上手のプナさんは手際よく新鮮な野菜を切っていきます。
夕食はネパール料理を用意して下さるそうで、中華風の鍋で野菜や肉を入れたと思うとターメリックやマサラ等の様々なスパイスをどんどん投入。お塩も結構な量を入れていました。


たくさんスパイスを入れます

肉はもちろんここで育てている鶏です。一緒に見ていた、カナダからお越しのローリーさんは偶然にもネパールの次に日本へ旅行予定で、日本語を少し話せるそう!
「はなのいえチキン、ちょっと悲しいネ〜バイバイチキン〜」と手を振って調理される肉に日本語を使って別れを告げておりシュールでしたがとても無邪気で可愛らしい方でした。
そのほかアメリカ出身で現在はカトマンズ在住、ネパール語も堪能な頼れるジュリーさんご夫婦と、毎食4人で食卓を囲み和やかな時間を過ごしました。


プナさんがつくってくれたネパールの伝統料理ダルバート

食卓がひとつの長机となっていたり、ロビーの暖炉が憩いの場となっていたりと宿泊中のほかの方たちとも自然と交流できる点も、はなのいえの魅力のひとつです。
ちなみに、はなのいえのスタッフの方はとても日本語が上手です!

はなのいえ最後の夜も綺麗な星空の下で早めに床につきました。

11/9
朝食後、出発前にバターメイキングの見学。
水牛からとれたバッファローミルクを使って自家製バターをつくります。木製のヘラを使って手作りの機械でミルクを混ぜていきます。
しばらくすると、クリーム状になってきました。もうひといき!
出来立てのバターを味見。すごくさっぱりとしておりなめらかな舌触りの、体に良さそうなバターができあがりました。
歳をとったら、自給自足の生活も素敵だなあと思いながら出発の時間がやってきました。


ミルクを中にいれたら


ひたすら混ぜる!


途中でゆっくりかき混ぜて


プナさんも混ぜる!


固形のバターができた!


とてもサッパリしていてなめらか!

お世話になった皆さんに別れを告げ、山を下ります。


最後にコメントノートに一筆!

ポカラ市内に到着。送迎ガイドをして下さったサマルさんのマネジメントしているホテルで昼食をいただきます。伝統的なネパール料理です。


ポカラ市内

イメージはインドのカレー定食のようなかたちですが、カレーというよりはスパイスの効いた炒め物やスープが並びます。豆スープにニンニクの効いた葉野菜の炒め物、豆腐と肉のトマト煮など。スパイシーでとても美味しいです。


ダルバート

食事後、ポカラの宿泊ホテルへ。
ホワイトパールホテルはフェワ湖近くに位置する7階建の大きなホテルです。
ポカラは観光客が多いため周りにも沢山ホテルがあります。


ホワイトパールホテル


シンプルで綺麗なホテルです。

この日は、例のティハール祭り最終日。兄弟の祭りの日です。
そのため街はお祭り騒ぎ。大きなアンプがセットされ、音楽に合わせて綺麗に着飾った女の子たちが伝統舞踊を踊ります。


踊る少女たち

周りには大勢の観客が集まります。祝祭日のため、博物館などは休館でした。

チベットの難民の方達がハンドメイドのアクセサリーや仏教関係の飾り物、ストールなどを売って暮らすチベッタンキャンプにも訪れましたがここも博物館はお休み。店は営業していたため、各店舗を見学。せっかくなので笑顔が素敵なお姉さんが勧めてくれた石でできたブレスレットを購入。250ルピでした。
ここで暮らす人々はこの商店での売上で暮らします。たくさん勧めてはきますがもちろん、見るだけでも問題ありません。


チベッタンキャンプ


様々なものが並びます

フェワ湖の周りはとても栄えており、観光客向けのレストラン等が並びます。
イタリアンのお店や、日本食レストランもあってびっくり。
お祭りのため営業時間は店により短いところもありましたが比較的夜まで開いているお店が多かったです。


フェワ湖

祭りの期間だったからかもしれませんがこの道は店が多いため夜も明るく、一人で歩いてもとくに治安的な問題もありませんでした。

フェワ湖の湖畔にはちょっと怖そうな遊園地があり子供達がたくさん集まっていました。
乗るのは怖いかな、と思いつつカラフルな旗と遊具の組み合わせはなかなか可愛らしい景色でした。


遊園地

夜は、お祭り最後の賑やかさでとなりのホテルの駐車場でしばらくイベントが続きました。夜中の雑音が気になる方は、お祭り期間の渡航は避けた方がベターかと思います。
個人的にはそこまで気にならないためそのまま就寝しました。


賑やかな街なか


祭りは夜まで続きます

年に1回のお祭り騒ぎの賑やかな雰囲気を楽しみたい場合は、是非この期間に訪れてみてください!
楽しそうな現地の人々に出会うことができます。

11/10
ポカラの滞在は短く、早朝の便でカトマンズへ戻ります。
ポカラはもう少し滞在してフェワ湖の周りを探索してみるのが面白そうです。

ポカラからの便は、チェックインカウンターに時間ではなく便名が掲示されていました。
空港に早めに到着したため、1本前の便に乗ることに。ただどうやら遅延しているようで予約していた便に乗っていたらカトマンズへの到着が遅れていました。カウンターの方の采配に感謝。

ポカラからカトマンズへの便は、是非左側をリクエストしてください!

カトマンズに到着しホテルへ荷物を置きに行きます。

この日はカトマンズの市内観光です。

大きな地震の爪痕がまだ各場所に残るカトマンズ市内では、重要な建築物も未だ崩壊してしまってから修復中のところが多いです。


崩壊してしまった寺院は修復中

この日、クマリの謁見が可能とのことでまずはクマリの館へ向かいました。
人よりも神の方が数が多いとも言われるネパールならではの風習である生き神クマリ。

クマリは、様々な条件を満たしたネワール民族のなかのサキャ族の幼い女の子から選出されます。

現在のクマリは、去年から新しくクマリとなった子だといいます。
クマリの館で、真ん中の窓から1分もしないほど顔を出し手を振る無表情の美しい女の子を見る事が出来ました。


クマリの館


真ん中の窓から顔を出していました

たしかに生き神様として崇めたくなるような神秘的な雰囲気をまとっていました。
クマリとなる女の子は4〜5歳のうちに親元を離れて、13歳頃(初潮を迎える頃)に任務を終えます。
任務期間が終わるまでの間、彼女は年に1度のインドラ祭りの際に外に出る時以外は、1年中ずっとクマリの館で過ごします。学校などに行くこともありません。
また喜怒哀楽の表情をあらわすこともしないよう、あくまで民衆の崇める神として生きます。

クマリの館をあとにし、王宮だった敷地内を見学。地震による崩壊がひどく、修復中の建物が多いです。


修復されたものもありますがまだまだ工事中の場所が多いです。

その後は猿が多い寺院として有名なスワヤンブナート寺院へ。
モンキー・テンプルと呼ばれるほど猿が多いようです。

スワヤンブナートは、ネパール最古の仏教寺院とされ、世界遺産であるカトマンズ盆地を形成する重要な寺院のひとつです。

スワヤンブナートへ向かう道中、すでに猿がチラホラ道の端に出てきます。

チベット仏教のお寺ではよく、5色の旗がたなびく光景を目にします。これは、タルチョと呼ばれる祈祷旗。ネパールの寺院でも多く見られます。

青が天、白が風、赤が火、緑が水、黄色が地すなわち五大元素をあらわしています。


入り口のストゥーパ


メインのストゥーパへの階段途中にある商店


金の仏像


ユニークな壁画を発見!


メインのストゥーパ

その後、ボダナートとパシュパティナートの観光へ。

ボダナートは、ネパール最大のチベット仏教の仏塔です。ここは世界中のチベット仏教の中心となっており、仏塔にはブッダのお骨が埋められているとされます。

ボダナートを囲うように土産屋やレストランがあり、テラス席でボダナートを眺めながら食事が出来るレストランではゆったりとその景色を楽しめます。

ちなみに、ストゥーパに描かれた顔には意味があります。

アンニュイな表情の2つの目は、全てを見渡すブッダの知恵の目をあらわします。

加えて、興味深かった話がひとつ。鼻のかたちは、ネパール後の数字の1と同じ。ガイドさん曰くこれは、神々の国ならではかと思いますがどんな神を信仰していても、皆最後は1つの涅槃の境地に達するという意味を持つそうです。これにはなるほど、と感動しました。


はなのいえにあったネパールのカレンダー。

数字が面白くて写真を撮りましたが、ここで役に立ちました。
1のかたちはまさにストゥーパの鼻とおなじ!


ボダナートは大きすぎて鼻が写らなかったのでこれはスワヤンブナート寺院のストゥーパです。


こちらがボダナート。


ボダナートのまわりはレストランや土産屋が並ぶ


大きなマニ車

今回は残念ながら見られませんでしたが、ボダナートでは、熱心な信者の方々が五体投地で祈祷を捧げる姿を見ることができるかもしれません。

パシュパティナートは、シヴァ神を祀るヒンドゥー教寺院です。
ここはふだんヒンドゥー教徒がお祈りをする寺の役割とともに、もうひとつ役割を持っています。それはいわゆる火葬場。ヒンドゥー教徒の方が亡くなると、ここで火葬が執り行われます。


通常の祈祷用入り口

ここには聖なるバグマティ川が流れています。火葬後の灰は、この川へと流されます。

訪れた時にちょうど、葬儀中で運ばれてくるご遺体を見ました。


川のまわりの様子


葬儀中、おそらく親族の方であろう人々の泣き声も聞こえてきました。

花に囲まれた石台の上に寝かされ、親族が最後の別れを告げて火がつけられます。赤々と炎が燃えるその光景を目の当たりにし、人間の命の儚さを感じました。カメラを向けることは少し抵抗がありましたが、ここは撮影も自由に可能です。他の観光客はなんとも言い難い表情をしながらも、燃え上がる炎に向かってシャッターを切っています。
死は、遠いところにいるようで、日常のすぐそばに横たわっている。そんなイメージが出来上がります。文化の異なる人々の死生観に関わると、様々なことについて改めて考えさせられます。

パシュパティナートには、サドゥーという特徴的な衣装を纏った修行僧がいます。
一緒に撮影するにはチップが要りますが、せっかく来てみたら撮ってみても良いかもしれません。頭を撫でられると良いことがあるそうです。


撮影を頼んだところ、ちょっとズレてしまいましたがサドゥーの皆様はこんな感じで座っています。よく見ると隣のオレンジ色の衣服を纏った方に頭を撫でられております。良いことあるといいなあ。

一通り観光が終わり、ホテルへ。
次の日は長距離移動が待っているため早めに就寝!

11/11
朝8時にカトマンズをあとにします。
この日はカトマンズから車で7時間ほど走った先にあるガーレ村という村へホームステイに行く予定となります。この旅のハイライト!

カトマンズ盆地を抜けて、ある程度整備された山あいの道路をひたすら走ります。


途中、川の近くでランチ休憩


バイキング形式で好きなものを食べられます。


川の近くでご飯


けっこう広め

ランチ休憩のあと少し走ると、渋滞がはじまりました。
どうやら先の道路で事故があったとのこと。ここで1時間ほど足止めをくらってしまい、入境許可をいただくアンナプルナふもとの街に到着したのが16時すぎ。そこからさらに2時間ほど、先ほどまでの道とは異なりガタガタの山道を登ってようやく村に到着したころには18時を過ぎていました。
総移動時間およそ10時間!


アンナプルナふもとの町ベシサハールにあるトレッキングパミットセンター

パミットには証明写真2枚とパスポートコピーが必要です。


ベシサハール

到着後は村の入り口で、2日間お世話になるホームステイ先のお母さんに花のネックレスと米で出来た”ティカ”をつけていただきます。


ガーレ村の入り口 夜は真っ暗


ネックレスをいただきます

一緒に登ってきたドライバーさんとガイドさんも同じように歓迎されます。

あたりはもう暗く、村の観光は次の日に行うこととし、ステイ先で夕ご飯をいただきます。


ステイ先の家のなか

夜の山は寒いですが、料理のために火を焚いていたため内部はとても暖かくなっていました。木や土で出来た昔ながらの家です。
中ではお父さんも一緒に料理を作っていました。

ニンニクのような、良い匂いがします。

まずあたたかいお茶をふるまっていただきます。ここに暮らすグルン民族の方たちには独自の言葉があり、基本的に英語が通じません。ガイドさんが翻訳してくれます。


お茶のあとに出してくれたヒエの地酒と鶏肉炒め

ヒエから出来たお酒も出てきて、夕食がはじまりました。


ここでも勿論、ネパールの伝統的な料理ダルバートです。ご飯に豆のスープ、カレー、葉野菜の炒め物が基本。このカレーはカボチャカレーで、甘くて美味しかったです。

電気のない村と聞いていましたが、ホームステイの需要が増えたこともあり最近では最低限の電気は使えるようです。電気プラグは丸型のCタイプが主流でした。マルチ変換プラグがあると、どこへ行っても使えますので便利です。また、テレビも観れるそう!シャワーは家によってソーラーパネルで発電していたり、ガス焚きが可能なところもあります。しかし水の出しっ放しなんて出来ません!桶にお湯をためて使います。因みにどこの家のシャワーも、家の外に設置されており小窓から入る風が冷たく人生で最も寒いシャワーでした笑 でも、お湯を浴びることが出来るのは有難いですね。


泊まるお部屋


綺麗に掃除されています。


シャワー

電波がとても弱く繋がりも危ういですが、村にはWi-Fiも一応あります。村全体で利用しているようで、一度にアクセスできるのは6人まで、とのこと。風の影響を受けるらしく、朝夜は基本繋がりません。運が良いと村のどこかで拾える、といったイメージです。

村には現在およそ120戸民家があり、うち32戸の家でホームステイが可能とのこと。
とくにネパールの国内で人気が高まっているために、ホームステイの数は年々増えているそうです。

今回お世話になる家のお父さんは、元インドの軍人さんで退職後に地元でホームステイ事業に参加しているそう。
30歳の息子さんと28歳の娘さんがいるそうですが、成人したあと外国で暮らしているのだそう。

日の出を見る予定の翌日に備え、早めに就寝。
ステイする部屋は家のとなりに建てられています。ベッドと机、電球があり充電も出来ました。冬場はとても寒くなるため、厚着して眠れるような用意をしていったほうが良さそうです。

遠くから聞こえる犬の遠吠えをBGMに就寝。

11/12
朝6時に部屋を出ました。
村の入り口付近の高台が朝日のビューポイントということで、行ってみます。

櫓のような建物のまわりはマリーゴールド畑。美しい公園を目下に夜明けを待ちます。

アスタムのはなのいえでも感じましたが、やはり山間部での朝焼けは水墨画のようにうっすらとしていて不思議な魅力があります。


日の出を待つ


早朝のガーレ村

朝焼けの反対側にはガーレ村の全景。雲が多く少し残念ですが、村を見渡すことができました。
しっかり晴れると、ここからもアスタムとは違った角度からアンナプルナ連山を見渡すことができます。
マチャプチャレは山の頂が少しだけ見えます。


頭が見えてきた


この日はちょっと雲が多め


素敵なサンライズ


村の門


ホームステイ先の家

家に戻ってくると朝ご飯を用意して下さっていました。


朝ごはん

食後は、トレッキングへ出かけます。
その前にとガイドさんに引き止められて話をきくと、これから鶏の首をチョンパしますと言うので何事かと思いました。
村の各家庭ではたいてい、鶏を飼育しその卵や肉を頂いているそう。そんなわけで稲刈り用にも使われそうな鎌を持ったお父さんがやってきて鶏をつかみます。
慣れた手つきで、首に刃をあてて一瞬で処理が終わりました。

今日の昼と夜に出すからね、と言われましたが正直あまり食欲はわきませんでした。しかし、このような光景は私たちが日常生活のなかで、ただ見ていないだけです。鶏がいて、捌く人がいるという事実は日本も全く同じこと。
改めて、肉をいただくということを考えさせられました。感謝しなければなりません!

ガーレ村は、ネパール各地にある生活共同体ヴィレッジディベロプメントコミュニティ(VDC)のひとつガルム・ポカラに所属しています。ここに10ほどある村の中のひとつです。
周辺には同じコミュニティ内にある他の村もあります。
この日、同コミュニティのナユ村という村まで行ってみました。ガーレ村の高台から、山の向こうに村があるのが見えます。


写真だとわかりにくいですが、この向かい側の山にナユ村があります。

歩いておよそ1時間かからないくらいで村に到着。途中の道は山道ですが岩の階段などが設置されており、日常的に村民が使っています。朝だったこともあり、登校途中の子供たちに何度もすれ違いました。


ガーレ村の畑


茶畑


山道をひたすら進む


民家が見えてきた

家のつくりはガーレ村と同じようなものとなっています。村の中心に大きめの水道があり、共同で利用しているとのこと。


途中で可愛らしい赤ちゃんに遭遇!

村の奥に、大きなブランコが設置されていました。これはダサインの祭りの時に村人たちが手作りしているとのこと。
祭りが終わっているため席は取り外されていましたが、4人も乗ることができる大きなブランコです。


巨大ブランコ


ここからの眺めが良かったので、岩の上ぎりぎりまで行って記念撮影。

飛んでいけそうな気分でした。


祭りの花が飾られている


乾燥中の羊毛

帰り道、ナユ村にある学校へ寄ってみました。すると学校の庭で子供たちがペンを持って勉強しています!こんな自然豊かなところで、芝生のうえで授業を受けられるとは素敵です。


青空学級!

年齢が上のクラスの子達は、英語の勉強中。ネパールの若い子達は幼いころからカリキュラムに英語が組み込まれているため、日本人よりはるかに英語を話せます。


教室で勉強中

どこのクラスへ行っても、みんな元気よくナマステ〜と挨拶してくれたことがとても印象的でした。
彼等に癒されて、村の小さなレストランでお茶休憩をしたあとガーレ村へ戻ります。
山の天気は変わりやすく、ここまでは良い天気でしたが戻るころにはすっかり曇ってしまいました。

途中、村に唯一ある病院にも寄りました。
ドライバーさんの気分が優れないようで、診てもらって薬を処方してもらいました。


唯一の病院


女医さんです


庭が広くて素敵な建物

ホームステイ先の家で昼食をいただき、今度はガーレ村の人々の生活を見学に行きます。
村全体が家族のような認識なのか、ひとつひとつの家の敷地へ何の躊躇いもなく入っていくガイドさん。
各家庭ではありのままの暮らしを見ることが出来ます。


洗濯中のみなさま


草に群がるヤギたち


伝統的な家屋が並ぶ

薪を割るひと、家畜の世話をするひと、糸を紡ぐひと、畑を耕すひと、カゴをつくるひと、工事中のひと。


どの家も鶏は常にそばに


糸を紡ぐおばあちゃん


これは村の博物館


現在の生活に至るまでに使われてきた道具たち


ニンニクの皮をむくおばあちゃん


薪を運んでいたおじいちゃん


立派な畑

そして無邪気な笑顔をむけてくれる子供たち。


赤ちゃんをあやしていたおばあちゃん


可愛すぎる女の子を発見!


別れ際に手を振ってくれる


癒されます

訪れる時期によっては、収穫の手伝いなどを現地で希望すれば体験させてくれることもあるそうです。


丸い民家は古いタイプのもの

村に流れる時間はとてもゆっくりとしていて、世界から切り離されてそこに居るような感覚になります。


ヒエからできる地酒ラクシー製作中の少女

夜には歓迎のダンスも披露されます!


司会のおじさま


衣装をまとった少女たちが踊り始める

そして最後の夜も、丁寧に夕飯を作ってくれました。

自給自足の生活は、毎日の全ての行動が生きることに繋がっているという当たり前のことを改めて考えさせられるような、そんな奥深いものでした。

11/13
早朝、お世話になった2人にさよならをしてガーレ村を出発します。


これはロティという、ヒエと砂糖を練って揚げたドーナツのような食べ物。もちっとしていて、美味しいです!


家の入り口


お見送りをしてくれます


最後に家の前で記念撮影

帰り道はスムーズに、7時間でカトマンズへ戻って来れました。


さらば、ガーレ村

しかしここへの往復は必ず時間がかかります。長距離移動の覚悟だけはしていくことをおすすめします。四駆に乗っての山岳道路が好きな方には大変有意義な旅行になります。

夜の便にチェックインして、帰路へつきます。

さて、今回の旅で考えさせられたことは、命あるもの全てに常に関わり、対極にある生と死について。
ネパールに来てそんな深いテーマに触れるとは思いませんでしたが、自給自足をして生きてゆくこと、それに伴い他の生命を頂いているということ、そしてそんな人間もいつかは死を迎えること。

当たり前のようで、忙しなくなんとなく過ぎてゆく毎日の中では考えることもしませんが、自分を取り囲む様々なものに感謝せねばと感じました。

と、真面目な文を書いてみました。

実のところ他に見ている人がいないのを良いことに、芝生で飛び回ったりヤギを追いかけてみたりひたすらブランコを漕いでみたりと、大自然の中でたいへん自由にはしゃがせていただきました。


ブランコ


芝生でごろり

もちろん真面目なことも考えましたが、
時には気を抜くことも大切です!

旅行で行くとしたらどこ?と聞いてすぐにネパールと出ることは少ないかもしれません。
しかし!ネパールには日本にいてはなかなか思うことのない自分の生活や命について、じっくり考えることの出来るような時間と文化があります。

自然を満喫したい!伝統的な文化や暮らしを体験したい!素朴な人々と触れ合いたい!哲学的な思考に浸りたい!世界遺産も楽しみたい!雄大な山に癒されたい!ひたすらのんびりしたい!
すべて叶えてくれる国はそう、ネパールです。
次の行き先はもうお決まりですね!


ブッダの目が今か今かと訪問をお待ちしております!

ここまでお読みいただき、
ありがとうございます。

★★★★★

カトマンズ★★★
旧王宮★★★
スワヤンブナート寺院★★★
ボダナート★★★★
パシュパティナート★★★★
アスタム★★★★★
ポカラ★★★
フェワ湖★★★★
ガーレ村★★★★

(2018年12月 山口)

インド・ネパール・パキスタン・スリランカ・ブータン・バングラデシュカテゴリの最新記事