意外に知られていない全米3位の大都市はアメリカらしさがギュギュッと詰まった場所でした
~シカゴが個人旅行に最適である7つの理由~
この度、アメリカン航空さんとシカゴ観光局さんのご協力で、東京の旅行会社から選ばれた数名と4泊6日でシカゴへの視察旅行に行く機会を得ました。
私にとってシカゴはいつか行ってみたい都市の一つでした。シカゴは全米で3位の大きさを誇るメトロポリス、さらにアメリカン航空であれば日本からシカゴまで直行便が飛んでいるにもかかわらず観光地としてシカゴはあまり知られていないのは何が理由なのでしょうか?
もしくは魅力的な場所があるのに知られていないのはなぜなのでしょうか?
しかし実際訪れてみるとシカゴはロサンゼルスやニューヨークにも負けない魅力を放つ都市でした。
それぞれ私たちが訪れた場所の紹介と最後になぜシカゴが旅行に最適な場所なのかを解説したいと思います。私達が過ごした行程は主に下記の通りです。
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1日目(11月5日)シカゴ到着 空港視察
2日目(11月6日)シカゴ建築センター&シカゴ美術館
3日目(11月7日)ウィリスタワー VS ジョンハンコックセンター
4日目(11月8日)シカゴと郊外の名建築を楽しむ
5日目(11月9日)シカゴ出発、東京へ
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11月5日 空港視察とシカゴ到着
18:25のアメリカン航空シカゴ行きに乗るために、職場を14時過ぎに出発。16時15分ごろに成田に到着。キオスクでチェックインしたあとに荷物を預けて、アメリカン航空の徳田さんとご対面。手荷物検査と出国審査を受けて、特別にアメリカン航空のビジネスクラス以上の方々が使えるラウンジを紹介してもらう。
<アドミラルズ・クラブ>
アメリカン航空のビジネスクラス以上の乗客が使えるラウンジ。そのほかワンワールドのエアラインのビジネスクラスやワンワールドの上級会員も利用可能なようである。2018年11月現在、JALのプレミアムクラスの方々もこのラウンジを使っていただいてるとのこと。
室内にはゆったりしたソファー、ビジネスセンター、シャワーなども完備されている。もちろんアルコールも飲み放題。ビールサーバーからはボタン一つで美味しい生ビールを楽しめ、さらにワインにウイスキー、焼酎など多種多様に用意されている。ソフトドリンクやコーヒーマシーンも完備。食べ物もチキンがごろごろ入ったシチューなどガッツリしたものから、巻き寿司やいなり寿司、スイーツ、そのほかチョコやビスケット、ポテトチップスなどの軽いおつまみまで。
こういったビジネスクラスのラウンジにお邪魔させていただく機会がほとんどないので比較対象があまりないのだが、日本出国手続きを済ませたあとに位置しており、尚且つアルコール含めてしっかりした食事も楽しめて、さらに静かにゆったり過ごせるのはこういったラウンジの特権だなぁと感じたのだった。
搭乗時間が迫ってきたので、ゲートへ向かう。
<アメリカン航空 787 シカゴ行き>
今回乗ったのはシカゴまで直行のボーイング787、配列は3−3−3。現在シートはビジネスクラスとエコノミークラスの2種類だが、今後プレミアムエコノミーの席が増えるという話だ。
シートにはもちろんエンターテイメントのシステム、さらにAC電源やUSBジャックも完備している。
食事は出発と到着の2時間後・前に夕食と朝食が出る。夕食はカツ丼かビーフストロガノフ、朝食はパンケーキか焼きそばから選べた。なお間食としてサンドイッチも。飲み物はソフトドリンクはもちろんビール、ワイン、ウイスキーなど様々に用意されている。食事も美味しく、エンターテイメント設備も充実しているので長距離のフライトでもさほど苦にならなかった。
欲を言えば、アメリカン航空には最新の観たい映画が沢山ラインナップされているのだが、肝心な観たい映画に限って日本語がないことが多いので増やして欲しい。
シカゴ行きの便に乗る乗客はレジャーというよりもビジネスマンやアメリカに住んでいるアジア系の人々が多いイメージ。小さい子供連れの家族はほとんど見かけなかった。それは今日が月曜日だからなのかもしれない。
シカゴ到着。寒いイメージがあったが、機内を降りてもさほど寒くは感じなかった。
電子入国認証端末からレシートを受け取り、入国管理官にいくつか質問を受けて無事入国。荷物をピックアップ。
その後、シカゴ・オヘア空港のスタッフと合流して、つい1週間前の10月31日にオープンしたばかりのMultimodal Facilityを案内してもらう。
<シカゴ・オヘア空港のMultimodal Facility>
2018年の10月31日にオープンしたMultimodal Facilityはこれまで点在していた、各社レンタカー会社のオフィス・近郊都市へのバスターミナル・駐車場を一箇所に集約した施設である。近い将来、このMultimodal Facilityから各ターミナルへはATS(Automated Transit System)と呼ばれるモノレールで移動可能となる。年間7800万人もの人々が利用する世界有数のシカゴ空港だけあって、空港施設内の動線の明確化と移動時間の短縮化は大きな課題なのであろう。
私がこれまでシカゴ・オヘア空港を利用するにあたって不満だったのが、往路の乗り換えが不便なこと。日本から到着する便は全て第5ターミナルに到着する。入国管理機能を持つターミナルが現在第5ターミナルしかないためである。そのため例えば、オヘア空港でANAで到着してユナイテッド航空に乗り換える場合は、第5ターミナルに到着して入国手続きを行ったあとに、モノレールに乗って第1ターミナルに移動しなければいけない(復路であれば移動は不要)。乗り継ぎが長めだったら問題ないかもしれないが、乗り継ぎ時間が短く、初めてのオヘア空港だったらきっと迷うし時間も読めないので心配になる。
今後のさらなる設備と機能の拡大と充実が求められる。
シカゴ・オヘア空港から車に乗り込み、ホテルへ向かう。
<ゴッドフレイ ホテル Godfrey Hotel Chicago>
シカゴ中心部、リバーノース地区に位置する4つ星ホテル。シカゴらしい特徴的な外観を持つ全185部屋の中型ホテルだ。エントランスから室内まではエレベーターの待つ時間を入れても五分程度でアクセスできる。ホテル内にはフィットネスルームの他にイタリアンレストランにフールトップバーなど施設も充実。ルーフトップバーは最上階ではなく4階に位置している為、他のビルを見下ろす形でなく、ビルの下から上までの全景が見渡せて、落ち着いて夜景を鑑賞するにはピッタリだろう。
ロケーションもシカゴ中心部に位置しているので観光に最適。有名なホットドック店Portillo’s Hot Dogsまで歩いて徒歩3分。オーガーニックスーパーマーケットのホールフーズや人気プライベートブランドを持つトレイダージョーズも徒歩範囲で行けるのが嬉しい。
室内にはドライヤー、エアコン、無料のWIFI、コーヒーマシーン、冷蔵庫、バスローブ、スリッパもある。バスタブはなくシャワーのみ。
ホテルにて、シカゴの案内人であるハットリ・ナオミさんと合流。ナオミさんはシカゴの観光局に務める方で、アジア方面を担当されている方だ。名前は完全な日本人だが、日本語は喋れない。お父様が日系アメリカ人、お母様がタイ人の方で、ナオミさんは英語の他に大学で中国語を学んでいたので中国語も堪能だ。
ホテルでしばらく時間を取ったあとにこの日の夕食のレストランである、Shaw’s Crab Houseへ。
<Shaw’s Crab House>
トランプタワーの近くある老舗のレストラン。内装はクラシックで高級感溢れるが、ドレスコードはさほど厳しくなくスタッフもフレンドリーなので、皆でワイワイ・カジュアルにも楽しめるのが嬉しい。カニやエビや牡蠣などシーフード料理がメインだが、寿司やステーキにも定評がある。われわれは前菜として皆でシェアするためにカニやロブスター、牡蠣のプレートを注文。さらに個別にステーキなどをオーダー。シカゴというと米国中西部の海なし都市ではあるが、さすがに全米第3位の都市だけあり、東海岸・西海岸の美味しいものが集う街なようだ。
予算はディナーだと1人100ドル前後。特別な日のディナーでも良いし、ランチであれば、ハットリさんのお話だと、シーフード食べ放題が15ドルから楽しめるそうなので機会があれば訪れてみては。
美味しい夕食を食べホテルに戻った後は、男性のみでアイリッシュパブに向かいビールで乾杯してシカゴの夜を過ごした。
11月6日 シカゴ建築センター&シカゴ美術館
朝9時にホテルロビーに集合。併設しているレストランにて朝食をいただいた後、ゴッドフレイ ホテルのセールスの方にお会いして、ホテルを改めてインスペクションさせてもらう。
その後、シカゴの街を歩いてまず向かったのが、シカゴ建築財団センター。
<シカゴ建築センター Chicago Architecture Center>
2018年8月にシカゴリバー沿いにオープンしたシカゴ建築財団センターは、建築の教育と普及をの目的にした非営利団体である。この施設では館内の施設をガイドの解説付きで周ることはもちろん、ここから出発する建築にまつわる各種ツアーにも申し込みが可能だ。館内には1階にはシカゴ建築財団のオリジナル商品などを販売するストア、およびシカゴ建築の歴史を、巨大スクリーンの映像とシカゴの街の模型のプロジェクションマッピングで紹介している。2階にはシカゴのみならず、世界各地の有名建築物の模型があり、一挙にここで見ることができる。あのドバイのバージュ・カリファもシカゴの設計事務所が関わった建築物とのこと。1871年のシカゴ大火のあとの摩天楼の黎明期から21世紀の現在まで、いかにシカゴが建築界の最先端都市であることがわかる展示内容となっている。
シカゴ建築センターをあとにして、シカゴの一番の繁華街であるループに到着。最初に向かったのがパーマーハウス・ヒルトン。
<パーマーハウス・ヒルトン Palmer House Hilton>
シカゴを代表するホテルと言えば、伝統と歴史そしてその絢爛さにおいて他にはないだろう。シカゴのど真ん中のループエリア、その中でも一等地に位置するのがこのパーマーハウス。まさに「シカゴの顔」を呼ばれるに相応しいホテルだ。ゴージャスなロビーは宿泊客でなくとも一見の価値がある。アメリカの歴代大統領や著名人が宿泊したことあることも納得だ。室内はシンプルな造り。バスタブやドライヤー、ミニバー、無料のWIFI、バスローブ、セーフティーボックスは備わっている。ホテル内には高級レストランの他に、ハンバーガーショップやスターバックスなど気軽に楽しめるお店もあるのが嬉しい。なおこのパーマーハウスはチョコブラウニーの発祥の地とされており、ここのチョコブラウニーを買うためにホテルに来る人も多いのだとか。もしシカゴで大切な旅行をされるならこのホテルをお勧めしたい。
その後、ランチ会場として向かったのが「Chicago Athletic Association」の屋上にあるCindy’s シンディーズ。
<シンディーズ Cindy’s>
「Chicago Athletic Association」を日本語に直訳すると「シカゴ体育機構」となるが、れっきとしたホテルである。なぜこのようなホテル名なのかというと、元々の建物がメンズクラブ、つまり男性のための社交の場であった為だ。建物内にはクラシックな家具や調度品が並び、薄暗いライティングは映画さながらの世界を演出している。特にアメリカのカルチャーや映画が好きな男性には堪らないホテルではなかろうか。渋いバーもあるので、ホテルに泊まらなくとも是非ここに訪れてほしい。
ランチから話がズレてしまったがそんな歴史あるホテルの屋上にあるのがシンディーズ。ホテルの中にあるレストランにかかわらず、店内はローカルな人々で溢れている。料理はモダンでお洒落なアメリカ料理というべきか、メキシカンやイタリアンのエッセンスを取り入れたような創作料理が多い。自家製のハチミツを使ったドリンクも人気があるようだ。外を見やるとミレニアムパークのオブジェやクラウドゲート、さらにその向こうに広がるミシガン湖まで見渡せる。摩天楼の街・シカゴにおいて自然に溢れる風景を楽しめる、シカゴリアンがほっと一息つけるようなそんな穴場スポットだ。
<インテリジェンシア Intelligentsia>
昼食の後、次の観光の合間に訪れたのはシカゴのコーヒーショップの代表格インテリジェンシアIntelligentsia。サードウェーブのカフェらしく、コーヒーは全てハンドドリップで時間をかけて作ってくれる。香り高く、味はスッキリ洗練され飲みやすい。店内にはこの店オリジナルのブレンドの豆やマグカップにTシャツなども販売しているので、お土産としてピッタリ。
徒歩でほとんどのエリアにまわれてしまうシカゴだけに、休憩のためにカフェに立ち寄ることも多いだろう、そんな折には是非シカゴ発祥のインテリジェンシアに訪れてみては?
<シカゴ美術館 Art Institute of Chicago>
シカゴで一番の観光スポットと言っては過言でないのがこのシカゴ美術館。アメリカ3大美術館の一つに数えられている。2008年に新館がオープンしたことにより3大美術館の中で広さはメトロポリタン美術館に次いで大きい規模になった。定評のある印象派と20世紀のアメリカ美術のコレクションなど収蔵作品は約30万点にのぼる。しかし展示されている作品は2000点ほど、それでも1日かけても周りきれないほど巨大な施設である。
ここでは歴史的に非常に重要である作品のオンパレードの中でその一部紹介しよう。
エル・グレコ「聖母被昇天」、レンブラント「黄金の鎖をつけた老人」、ドガ「ふたりの踊り子」、カイユボット「パリの通り、雨の日」、ルノワール「フェルナンド・サーカスの曲芸師たち」「姉妹」、スーラ「グランド・ジャット島の日曜日」、ゴッホ「自画像」「アルルの寝室」、ロートレック「ムーラン・ルージュにて」、モネ「積み藁」の連作、ゴーギャン「神の日」、シャガール「アメリカの窓」、ウッド「アメリカン・ゴシック」、ホッパー「ナイトホークス」、ピカソ「老いたるギター弾き」など。
近現代の美術史に残る巨匠達、そしてその作品の中でも非常に重要なコレクションの数々。その他日本をはじめとした東洋美術や現代作家の作品など挙げればきりがないほど。見応えたっぷりのシカゴ美術館は、美術に興味がない方にも必ず訪れてほしいスポットだ。ニューヨークの自由の女神像と並び称されるシカゴのシンボル、正面玄関の2匹のライオンの記念写真もお忘れなく
約2時間、駆け足で巡ったシカゴ美術館。館内を効率よく最大限に案内してくださった斉藤博子さんにこの場を借りて感謝申し上げたい。
<フライトクラブ Flight Club>
夕食会場として向かったのが、シカゴ川沿いに位置するシカゴリアンに人気のダーツバー。ダーツバーは日本のものよりも、こちらの人にとってはカジュアルなようだ。会社の飲み会や友達同士でよく利用されているように見受けられる。グループごとにブースがあるので他のお客さんに干渉されることもなく、ワイワイ楽しめるのが良い。イメージ的にはお酒を楽しみながらできるボーリングのような立ち位置に近い。
ダーツバーというもの初めて行ったがなかなか面白かった。今回のようなファムで、親睦を深めるにはうってつけだった。友達同士やこれから親睦を深めたい人同士で、大人数に訪れるのがおすすめだ。
ダーツバーにて夕食とゲームを楽しんだ後は、シカゴのブロードウェイへ。
<シカゴのブロードウェイ>
ブロードウェイというとニューヨークをイメージしがちだが、シカゴもニューヨークに負けず、ミュージカルが盛んな街だ。そんな街、シカゴに来たなら是非ミュージカルを鑑賞してはいかが?アンティークな劇場は雰囲気抜群。新作ミュージカルはニューヨークよりも早く上演されることもあるそうだ。観光客だらけの場所でなく、落ち着いた雰囲気でミュージカルを楽しみたい方々にはうってつけだろう。
私達はこの日「Hello, Dolly!」という1964年から4度にも渡りブロードウェイの舞台でリバイバルを果たしている有名な作品を観賞。どういう話か全く先入観なく見てしまい、尚且つ私のリスニング能力では話している英語も聞き取れないので劇の途中で寝てしまった。
インターミッションで途中退席してホテルへ戻ることにした。
時差ボケといえどもせっかくブロードウェイ・ミュージカルを見せてもらったのに、このような体たらくで申し訳ない気持ち。あらすじだけでも理解しておくべきだったと反省。
11月7日 ウィリスタワー VS ジョンハンコックセンター
この日の集合は朝8:45。朝食のためにホテルから向かったのがLou Mitchell’s。
<ルー・ミッチェルズ Lou Mitchell’s>
ルート66の始まりの街・シカゴ。「最初の停留所」というニックネームがつけられているように最終地点のカルフォルニア州のサンタモニカまでの旅路の途中、旅人が必ず訪れるという象徴的な場所。1923年創業の雰囲気たっぷりのこのアメリカンダイナーの名物は、ふわふわのオムレツ料理とパンケーキ。我々は各自それぞれ食べて見たい食事を注文して、皆でシェアした。マッシュルームとチーズがたっぷり入ったオムレツ、バナナ入りのパンケーキ、目玉焼きとコンビーフ、卵とハムのサンドウィッチなど。コーヒーは飲み放題、カップになくなると注いでくれる。愛嬌のあるスタッフ、ボリュームたっぷりのアメリカらしい朝食、そしてまるで50年前にタイムスリップしたような歴史を楽しむには大変オススメのレストラン。
朝食の後向かったのが軽く中華街を満喫して、その後ウィリスタワーへ。
<ウィリスタワー>
ウィリスタワーはシカゴで最も高く、アメリカ全体ではワンワールドトレードセンターでに次いで2番目に高い超高層ビル。1973年にシアーズタワーとして完成して以来、1998年にクアラルンプールのツインタワーができるまでの25年間は、世界一高い建物としてその名を世界中に轟かせていた。現在の名称に改称されたのは2009年、その際にタワーの103階の展望室の西側部分に、全面ガラス張りの展望台「ザ・レッジ」(The Ledge) が設置され、観光客に大人気となっている。
入場券は一般向けと、列に並ばないファストパス、そしてシカゴシティパスと呼ばれる9日間有効の主要な観光施設の入場料金が含まれるパスで入場できる。この日は平日の午前中とあって、混んでおらず、すんなり展望台まで行く事が出来た。エレベーターに乗るまでは入場者を飽きさせないようにシカゴやウィリスタワーの歴史を解説した展示物やビデオを上映している。
エレベーターに乗るとあっという間に展望台のある103階へ。シカゴ中心部にあるウィリスタワーではシカゴの一番高いところから周りを見渡せるので、シカゴの街並みを一望したい人にはおすすめ。人気の「ザ・レッジ」ではまるで宙に浮いているような感じで自撮りができるのでインスタなどのSNSに写真をアップしたい人には堪らないだろう。
ウィリスタワーからの眺望を楽しんだ後はミュージアムキャンパスへ。
<ミュージアムキャンパス>
シカゴ中心部から南、ミシガン湖岸の約23万平米の広大な緑地の中に、シカゴ有数の巨大な博物館などを有するエリア。敷地内にはTレックスの骨格をほぼ100パーセントに近い形で保存している「フィールド博物館」。約1500種、3万2000匹もの海とその周辺に生息する生き物を見学できる、かつて世界最大の屋内水族館「シェッド水族館」。アメリカ初のプラネタリウムで世界最大の望遠鏡のコレクションを持つ「アドラープラネタリウム」がある。湖沿いには歩道が整備され、市民たちの憩いの場になっている。またここからミシガン湖とシカゴの摩天楼が望める絶好の写真スポットにもなっている。
<Lou Malnati’s Pizzeria ロウ・マルナティス・ピッツェリア>
昼食のレストランとして向かったのがLou Malnati’s Pizzeria。
シカゴのグルメと言えば、最初に挙がるのがシカゴピザではないだろうか。このお店はそのシカゴピザの中でも美味しいと評判の人気店。
厚さ約3センチ、ディープディッシュと呼ばれる底が深い鉄板に入れてじっくり焼きあげるのがシカゴピザの特徴。私達はそれまでサラダとイカリングをビールでいただき、焼きあがるのを待つ。待つこと数十分。お店のスタッフの方が焼きあがったピザを丁寧に切り分けて、皿に取り分けてくれる。中のチーズがとろーりととろけ、周りの生地はサクサク。普通のピザは手掴みだが、熱い鉄板に入れられた具材が詰まったシカゴピザは通常ナイフとフォークで食べる。私は朝食とサラダとイカリングの前菜も食べていたので、一切れで十分だった。とても美味しいのだが、そのボリュームを考えて注文したい。
そして向かったのがもう一つの展望台としてのジョンハンコックセンター。
<ジョンハンコックセンター>
2つの同じ高さのアンテナと台形の形が特徴的なジョンハンコックセンター。ウィリスタワーと人気を二分する展望台をもつ超高層ビルだ。シカゴの中では2018年現在、ウィリスタワー、トランプタワー、AONセンターに次ぐ4番目の高さだ。1969年に完成したこのビルは当時はエンパイアステートビルに次いで世界で2番目に高い建物だった。歴史はウィリスタワーよりも古い。そのジョンハンコックセンターの展望台が360シカゴだ。地下1階のエレベーターから僅か39秒で、360度シカゴ景色が広がる94階にある展望台へ。
ライバルであるウィリスタワーと比べこちらの方が高さが劣るのでやはり人は少なめ。しかしその分ゆったり過ごす事ができ、展望台にはバーも設置されているので、カップルや夫婦で長居するには最適(ウィリスタワーにはお酒を飲めるところや座る場所もないそうだ)。景観はウィリスタワーと比べてミシガン湖よりの立地なので、ミシガン湖の湖岸と摩天楼の両方を見渡す事ができる。
さらに「ザ・レッジ」のウィリスタワーに負けてられないという事で、2014年春には窓が傾くアトラクション「TILT」がオープン。ビルから街の方に30度の角度でゆるやかに傾むくので、通常では決して見る事ができない足元の真下まで見渡す事ができる。高所恐怖症の方のみならず誰もが恐怖におののいてしまう、スリル満点のアトラクションだ。ただしこの「TILT」ではアトラクション体験中は自分の携帯やカメラで写真を取るのが禁止されており、専属のカメラマンが写真を取ってくれる(有料)。SNSにアップするにはウィリスタワーに軍配は上がるかもしれない。
ジョンハンコックセンターを観光した後は、このツアー初めての自由時間。
ガイドのハットリさんにおすすめスポットを聞いたところウィッカーパークとの答えが返ってきた。ウィッカーパークの話を聞く限り、シカゴにおける「ブルックリン」のような場所だ。おもしろそうなので有志で行くことにした。
<ウィッカーパーク Wicker Park>
シカゴのループエリアからはブルーラインに乗り込み数10分。Damen駅に到着。
ウィッカーパークとは1870年頃に町の中心部の土地をシカゴに寄付したチャールズ・ウィッカーとジョエル・ウィッカーの名前から取られている公園から付けられたこの辺り一帯のエリアのことである。公園自体は小さく、それ自体は特に見るべきものはないのだが、Damen駅を起点としたミルウォーキー通りには流行に敏感なシカゴリアンが経営するレストランやバー、セレクトショップが並んでいる。ニューヨークであればブルックリンのウィリアムズバーグ、ロサンゼルスであればアボット・キニー・ブルーバードなどそれぞれアメリカを代表する大都市の郊外には尖った感性をもつ人々が集まる場所がある。そういった場所がシカゴにとってはここウィッカーパークなのだ。
我々がまずDamen駅から歩いて向かったのがクラフトビールを自分の好きな分量で「量り買い」ができるというバー「Tapster」。
このTapsterの店内に掲げられているスローガンは「tap your own beer」、つまり自分でビールサーバーから注ごうということ。お客はプリペイドカードを購入して、サーバーにカードをかざしてからグラスに注ぐ。注がれた分のみプリペイドカードから引かれるので、色々な種類のビールちょっとずつ試してみたい方にはうってつけ。備え付けのサーバーは約60種。そのうち40種がシカゴを中心としたクラフトビール、その他の20種はワインやサイダーなどとなっている。
その次に向かったのが「Emporium Wicker Park」。アーケードゲームを設置しているゲームバー。野球を題材にしたレトロなピンボール台から映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」をテーマにした比較的新しいピンボール台、さらにスト2やSNKの格闘ゲームはもちろん、ギャラガにパックマンやマリオ、ガンシューティングゲームなど日本でもお馴染みのタイトルが多い。
もちろん酒類はクラフトビールが充実している。こういったゲームバーでは無料でゲームを楽しめるお店も多いらしいがこのお店ではトークンを購入し、ほとんどのゲームが1プレイ25セントで楽しめる。私のような1990年代ゲーセンに入り浸っていた世代には堪らないバーだ。
ウィッカーパークを後にしてUBERでホテルに戻る。
この日の夕食はシカゴ名物のホットドック店Portillo’s Hot Dogsへ。
<ポーティロズ Portillo’s Hot Dogs>
シカゴピザと並びシカゴの2大名物と数えられるのがこのホットドッグだ。一般的にホットドックはアメリカに限らず、パンにソーセージを挟んでケチャップとマスタードをかけたものが一般的だが、シカゴのホットドッグは一味も二味も違う。
シカゴホットドッグの有名店・ポーティロズの名物メニューは2つ。
1つ目はホットドッグ。
パンは黒ごまをあしらったもの、具材はソーセージの他に、ソーセージと同じ長さがあろうかという巨大なピクルス。さらにレリッシュ、スライスしたトマト、細切れのオニオンなど。一般的にはケチャップは使わず、マスタードのみでいただく(でもそのままでも美味しい)。カリッとしたピクルスの歯ごたえとソーセージのジューシーさ。強目の酸味でさっぱりしており、後引く美味しさ。
2つ目はイタリアンビーフ。
甘辛く煮た薄切りの牛肉をこれでもか!というほどバゲットに挟み込んだサンドウィッチ。具材はビーフの他にハラペーニョなど。牛肉のスープがどっぷりとパンに染み込んでおり、まるでディップしたかのように見た目がべちゃべちゃなのが何と言ってもユニーク。そのため日本人のブロガーの間ではアメリカ版の「つゆだくの牛丼」と紹介されている。食べるときはスープをこぼさないように気をつけて食べよう。
シカゴの名物を堪能した後に向かったのがキングストンマインズ。
<キングストンマインズ Kingston Mines>
シカゴ中心部から北上したリンカーンパークにあるシカゴで一番古いブルースクラブ、シカゴ・ブルースの代表的なお店である。店内にはステージが2つあり、片方のステージの演奏が終われば、別の方のステージが始まる。演奏が始まるのは、平日は午後8時から、そして終わるのはなんと朝4時。途中休憩は挟むものの、約8時間ブルースを聞けるのはさすがブルースの都ならでは。
私たちが訪れたのは平日・水曜日。それにもかかわらずブルースを聞きにきた地元の人で溢れていた。日本人も音楽は好きであると思うが、果たして平日の夜にタクシー代金、カバーチャージや酒代金を払って音楽を聴きにくるだろうか。
シカゴにはアマチュアであっても腕のあるミュージシャン達が集まり、レベルの高い演奏を聞かせてくれてくれる成熟した土壌があるのであろう。ミュージシャンのみならず彼らの生活を支えるオーディエンスの質も高い。レベルの高い演奏を聞かせてくれたミュージシャンには賛辞を惜しまず、チップも直接渡す。若いミュージシャンを育てるきっかけとなり双方にとって好循環が生まれる。常にアメリカの音楽シーンが他国よりも成熟し、先んじているのはそういったミュージシャンとオーディエンスの良い関係があるからなのだろうか。
ところでシカゴがブルースの都と呼ばれる所以はなんだろう。
ブルースは20世紀初頭にミシシッピ川を中心としたデルタ地帯が発祥とされている。元々は奴隷として連れてこられた黒人の労働歌(フィールドハラー)が発展したものと言われており、黒人としての生きづらさ、貧しさ、生活の苦悩などの魂のこもった内容を抑揚の聞いた節回しと独特なリズムで歌いあげる事で黒人社会に定着していった。
1930年から50年代、アメリカの北部工業地帯の発展とともに黒人労働者達は北部に移動することで、ブルースも北上していくこととなる。ブルースマンであっても移動は余儀なく、多くのミュージシャンもここシカゴに移住することとなった。その代表格であり、シカゴ・ブルースの基盤となったのがマディ・ウォーターズのエレキギターを使ったスタイル。それまでのブルースと一線を画したサウンドはのちのチャック・ベリーに大きな影響を与え、その後のロックバンドにも受け継がれていった。そんな世界の音楽シーンを変えたシカゴ・ブルースは今もシカゴの夜に鳴り響き、人々の心を掴んでいる。
11月8日 シカゴと郊外の名建築を楽しむ(オークパークとシカゴ川クルーズ、ミレニアムパーク)
この日の朝食はホテルから徒歩で10分程度の場所にあるBEATRIXにて。
<BEATRIX>
健康志向な現在的なアメリカン料理を提供する小洒落たカフェ。朝食が有名らしく、朝からビジネスマンや同じビル内にテナントをおくホテルの宿泊客などで既にレストランは満席、すごい人気。基本的なメニューはエッグベネディクトやサンドウィッチ、パンケーキなどオーソドックスなメニューをベースに、チアシードやキヌアなどスーパーフードを使ったものが多いのが特徴的。またケールやセロリなどを使ったジュースも充実しているので、健康的な朝食を食べたい人にオススメ。
途中、世界一小さいドーナツ屋さんという「DOUGHNUT VAULT」に立ち寄ってから車で30分かけてシカゴ郊外のオートパークへ。
<フランク・ロイド・ライト ホーム&スタジオ見学ツアー>
朝食の後に向かったのがシカゴから車で30分ほど東へ移動した場所にあるオートパーク。閑静な住宅街の中に、世界的に有名な二人の人物の住まいがあることで知られている。それは世界4大建築家の一人、フランク・ロイド・ライト、そしてもう一人はノーベル賞作家・ヘミングウェイ。
ここで我々はフランク・ロイド・ライトの住宅とスタジオツアーに参加した。
フランク・ロイド・ライトの名前をご存知の方は多いだろう。日本の帝国ホテルを始めとして、落水荘、グッゲンハイム美術館、ジョンソンワックス社の設計者として知られている。そのデザインが特徴的で、水平を強調した佇まいはプレーリースタイル(草原様式)と言われ、アメリカ最初の建築様式と称えられている。
我々は英語のツアーに参加して、フランク・ロイド・ライトの邸宅とデザインスタジオを見学した。フランク・ロイド・ライトの邸宅は全て木を基調とした温もりのある落ち着いた雰囲気。日本贔屓だったようで随所に日本らしいエッセンスが採り入れられている。食堂の照明の透かし彫りや椅子のデザインは日本の障子や襖に似ている。
住宅を見学したあとは隣のスタジオへ。
コウノトリの彫刻と屋根に取り付けられた蠢く人間の彫刻が少し不気味で不思議な玄関を抜けて最初に目に入るのが吹き抜けになっている8角形の製図室。天井からは自然光が差し込み、開放感あふれる造りとなっている。その他応接室や図書室など仕事関連の機能は全てこのスタジオに集約している。
こんな素晴らしい事務所で仕事をしたらさぞはかどっただろうと思ったが、フランク・ロイド・ライトがこの部屋で仕事に打ち込んだのが1898年から1909年のたった12年間。その後、依頼主だったチェニー夫人と恋に落ち、家族を捨ててヨーロッパへ旅立ったそうだ。
オートパークでは我々はホーム&スタジオ見学ツアーしか参加しなかったのだが、できれば1日かけてフランク・ロイド・ライトが設計した近隣住宅やヘミングウェイの生誕の地、少年時代を過ごした家なども鑑賞したい。
オークパークを後にしてシカゴ市内へ向かう。
<シカゴ川ランチクルーズ Odyssey>
シカゴ川沿い、アップルストア近くのクルーズ乗り場から最近定期運行したばかりというOdysseyというランチクルーズの船に乗り込む。
Odysseyの船は天井もガラス張りで非常に開放感のある造りなので建築巡りとしてもうってつけ。摩天楼の街のシカゴではシカゴ川沿いの建築を解説してめぐるツアーが大人気。今回のこのOdysseyは優雅な食事をしながら2時間かけて街中を流れるシカゴ川を往復する。普通のリバークルーズはガラス張りの屋根どころか屋根すらないのだが、このOdysseyでは天気や気温を気にしないでクルーズできるのがいい。
肝心の料理は3コース。前菜はサラダか海老のスープ、メインはサーモンや牛肉、チキンなど4種から選べる。そしてデザートもシャーベットやフルーツなどから選択できる。
ディナークルーズも行っているので、記念日にも最適だし、何よりシカゴらしいアトラクションとしてこういったレストランを選ぶのも面白いだろう。
<トランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワー Trump International Hotel and Tower>
シカゴで現在2番目に高い建物であるトランプタワー。バージュ・カリファに強い影響を与えたというガラス張りの外観が特徴的。
シカゴは民主党派が大多数の州であり、反トランプが多いことで知られているのだが、シカゴ市民は街の中心にあるこのホテルをどう考えているのだろうか。
旅行者に限るとヨーロピアンはトランプが嫌いなので、トランプのホテルに泊まる人は減っているらしい、しかしアジア人はトランプのホテルだからと言って泊まる人が増えているそうだ。なるほど、観光客にとってその捉え方は正反対なのが面白い。
それはさておき、このトランプ・インターナショナル・ホテルはシカゴ観光の拠点としてはこれ以上ない立地だ。特にその景観はシカゴで一番と言っても過言ではないかもしれない。シカゴ川のカーブしている部分に建てられているため、2階のカフェやレストランでは180度以上のパノラマが楽しめ、開放感に溢れている。室内は外観と同様にモダンな造りだ。ミニバーに、バスタブ、ドライヤー、無料のWIFI、セーフティーボックスなどが備わっている。また日本語が話せるスタッフも多く採用しているらしく、グループ旅行のチェックインの際には日本語スタッフが対応しているそう。また無料のハイヤーサービスを行っており、ダウンタウンの中であれば無料で連れていってくれるサービスもうれしい。
トランプタワーのインスペクションを終えて、歩いてミレニアムパークへ。
<ミレニアムパーク Millennium Park>
ニューヨークのセントラルパークよろしくシカゴのど真ん中に広がる巨大な公園、それがミレニアムパークだ。1997年当時の市長のR.デイリーが市民のための新しい憩いの場所を造ろうとしたのが始まり。それ以前のミレニアムパークは駐車場となっており、景観は全く美しくなかったという。2000年(ミレニアム)の完成を目指したが資金難から2005年にオープンとなった。
夏には無料の野外コンサートなどのイベント、冬には屋外のスケートリンクが解放されるなどシカゴ市民のみならずツーリストにとっても人気のスポットとなっている。
特に目を引くのが「Bean」と呼ばれる高さ10m、長さ20mの巨大なステンレス製のオブジェ。イギリス在住の芸術家アイリッシュ・カプーアによる作品だ。公園のオープン当初はまだ完成されておらず、当時は幕で囲ってピカピカに磨き上げていたそうだ。その甲斐あって今やシカゴ一の自撮りスポットになっている。
もう一つ、今度は子供達に人気のスポットといえばシカゴ市民の顔映し出された巨大なスクリーンが印象的なクラウンファウンテン。高さ15mの長方形のタワーからは水が表面を覆うように流れ落ちている。夏の期間限定で、巨大なシカゴ市民のアップの顔が口をすぼめたかと思うと、口から水が吹き出す。シカゴの子供達はこれが大好きで、水遊びをして遊ぶのが夏の風物詩だそうだ。こちらはスペインの芸術家ジャウメ・プレンサの作品。
ミレニアムパークの観光の後はディナーの時間までしばらくフリータイム。
シカゴの夜景を見ながらホテルに戻っていた途中、トランプに対するデモに遭遇。危ないかなと思ったがかなり規律よく、暴動のようなことは全くなかった。
この日お土産を購入した後ホテルロビーにて再合流。この度最後のディナーへ向かう。
<モートンズ ザ ステーキハウス Morton’s The Steakhouse >
2018年11月8日に丸の内に初めて日本にオープンする「モートンズ ザ ステーキハウス」。たまたまの偶然なのであるが同日、我々はシカゴの本店に夕食のために訪れた。
店内は高級ステーキハウスだけあって、薄暗くまるでバーのような雰囲気。前菜のサラダが含まれており、ステーキが焼き上がるまでサラダを食べながら待つ。
メインのステーキはヒレかリブアイステーキから選べて、どちらもアメリカらしく分厚い。そのまま食べても美味しいが、ボリューム満点なので私はペッパーソースやタバスコ、ホースラディッシュと醤油をいただいて味を変えながらステーキを完食。
サラダとステーキのみでお腹いっぱいになってしまうので、お腹をすかせてから出掛けよう。
もし余ってしまってもお持ち帰りができる。
そして、我々はこの旅行最後のお楽しみのジャズを聴きにネイビーピアエリアへ。
<ウィンタージャズクラブ Winter’s Jazz Club>
ネイビーピアにできた比較的新しいジャズクラブ。観光スポットにあるので一見さんでも入りやすいのが嬉しい。昨日のキングストンマインズと比べてしっぽり大人の雰囲気。お客さんの層も異なり年齢層は高め、酒を飲みに来たというよりはジャズを聴きにきたという感じの裕福そうな白人たちが多い。と言ってもカバーチャージは10ドル〜からとリーズナブル。バーエリアとライブエリアに別れており料金も異なる。近くで演奏を聴きたい人、落ち着いた雰囲気でジャズを聴きたい人どちらにも対応できるのが嬉しい。
ちなみにシカゴジャズはシカゴ・ブルースと比べても深い歴史がある。
20世紀初頭、ニューオリンズで職を失ったミュージシャンが工業化の進むアメリカ北部のシカゴに移り住み始める。シカゴジャズのスタイルが確立されたのは1920年代。1920年に世界最悪の悪法とも呼ばれる禁酒法が施行される。アメリカ国民は酒類を購入することができなくなったため、国外からマフィアにより秘密裏に輸入されたアルコールを「秘密酒場(スピークイージー)」にて求めるようになった。そこで演奏されるようになったのがジャズ。ニューオリンズスタイルを発展させ、ソロとアンサンブルの役割をはっきりさせた演奏が特徴的。ベニー・グッドマンやジーン・クルーパなど黒人のミュージシャンに憧れてのちに有名となる白人ミュージシャンもシカゴで数多く生まれたのだった。
11月9日 帰国の途へ
朝8時、ホテルのロビーに集合し空港に向けて出発。
外を見てびっくり、今年シカゴの初雪。雪はやむ気配がなく、ぼた雪がどんどん地上に舞い降りる。積もりそうな降り方だ。幸運にも雪はまだ積もっていないので、今日のアメリカ出国の日はラッキーだったと言える。
シカゴ市内から空港までは約1時間。
<オヘア空港のアドミラルズ・クラブとフラッグシップラウンジ>
到着後、シカゴ空港の計らいで空港内のラウンジを見せてもらうことに。アメリカン航空のラウンジは流石ハブのシカゴ空港内だけあって充実、「アドミラルズ・クラブ」がシカゴには2箇所ある。搭乗エリア「L」の手前にアドミラルズ・クラブが1箇所、そして「K」「E」の間にもう1箇所、そこにはアドミラルズ・クラブと「フラッグシップラウンジ」がある。
アドミラルズ・クラブはアメリカン航空のビジネスクラスのお客の他に、クレジットカードの会員やワンワールド系の上級会員が利用できるラウンジである。フラッグシップラウンジはシカゴやダラス、ロサンゼルスなどアメリカン航空の主要空港にしかないビジネスクラスラウンジ。ビジネスクラス以上の乗客のみ利用できるラウンジで、アドミラルズ・クラブのクレジットカードの会員は利用できない。サービスの大きな違いは無料の食事とお酒のバリエーション。フライトラウンジの方が格上なのだ。ただしアドミラルズ・クラブの中では有料ながらバーが設置されているので、ビジネスクラスでも敢えてアドミラルズ・クラブを利用する方もいるらしい。
一通り、ビジネスクラスのラウンジを見たあとは出発まで利用させてもらった。
その後、成田へ向けて出発。
無事成田に到着。あっという間の6日間だった。
==========なぜシカゴが旅行に最適な場所なのか==========
以上6日間かけてシカゴを探索して来ましたが、想像以上だったものや意外な発見があり、大変充実したものでした。ここでなぜシカゴに旅行すべきかを紹介したいと思います。
理由1:治安が良い
これはかなり意外なことでしたがシカゴは治安が良いのです。シカゴには、映画「ダークナイト」のバットマン・トリロジーの中でジョーカーが建物を爆破して暴れまわるイメージやアル・カポネなどのマフィアの印象が強いのですが、全くそんなことはありません。油断は禁物ではありますが、シカゴのダウンタウンは女性の独り歩きでも全く問題ないと言い切ってしまって良いでしょう。実際今回旅行している最中、女性一人で行動する方もいたので感想を聴きましたが、恐怖を感じることもなかったそうです。
私もアメリカの有名な観光都市はほとんど訪れましたが、シカゴは全く危険な雰囲気を感じることがない都市でした。夜でもダウンタウンの中を自由に歩ける雰囲気があるのが、個人旅行には何より向いている点です。
理由2:街自体が有名建築家の美術館
シカゴと言えば真っ先に高層ビルを頭に思い浮かべる人も多いでしょう、シカゴに観光でやって来る日本人の中で最も多いのが建築を目的としたツアーなのだそうです。街並みを歩いているだけでも「観光」ができるのはアメリカだとシカゴかニューヨークくらいでしょうか。代表的な建物としてはアール・デコの様式が美しく映画のロケ地としても知られる「シカゴ商品取引所」、シカゴ大火後の建てられた近代摩天楼の基礎となるビル「ルッカリー」、ゴシック様式が印象的な地元紙シカゴ・トリビューンの本社「トリビューンタワー」など挙げればきりがありません。シカゴのダウンタウンは4大建築家の一人であるミース・ファン・デル・ローエがデザインした建物が多いことで知られています。ちなみにシカゴ郊外にはもう一人のシカゴを代表する4大建築家のフランク・ロイド・ライトが手がけた住宅が並ぶオートパークがあります。
理由3:世界有数の美術と博物館の街
アメリカの至宝を収蔵するシカゴ美術館のみならずシカゴには多数の美術館や博物館があります。高い企画力と先見性を持つことで知られ奈良美智をアメリカでいち早く紹介した現代芸術の殿堂「シカゴ現代美術館」、実物のアポロ8号の司令塔やドイツ潜水艦の展示が人気のシカゴで最も来場者数が多い博物館「科学産業博物館」、Tレックスのほぼ完全な骨格標本を持つことで知られる「フィールド博物館」、完成当時は世界最大の水族館だった「シェッド水族館」、世界最大の望遠鏡のコレクションを持つ「アドラープラネタリウム」など。1回の旅行では見て回れないほど美術館や博物館が充実しているので何度でも訪れる楽しみがあります。
理由4:街歩きに適したサイズ
シカゴの街は歩くのにとても適したサイズです。ロサンゼルスやニューヨークは地下鉄やバスに乗らなければとても有名観光地を見て周れるサイズではありませんが、シカゴで自分の足だけでほとんどの観光が可能です。観光スポットとショッピング街、博物館、大きな公園がいずれも近くに密集しているため移動はとても効率的、日本で言えば新宿や銀座、上野が隣り合っているようなイメージです。ダウンタウンに宿を取れば、日本人観光客にも人気のあるホールフーズやトレイダージョーズなどのスーパーマーケットにも徒歩圏内でお土産の購入にも事欠きません。もちろん公共の交通機関はアメリカでトップレベルに発達しているので便利です。
理由5:グルメの都市
西海岸・東海岸から美味しい食べ物が集まるシカゴはまさにアメリカの食の都といっても過言では無いでしょう。それを証明するかのようにアメリカでミシュランガイドが発行されているのはたった4都市、サンフランシスコ・ニューヨーク・ワシントンDC、そしてシカゴなのです。実際、毎日シカゴで食べ歩きましたが、シーフードもビーフも美味しくどれもハズレがありません。それなりの対価を払う高級料理であればどの店も美味しいに決まっていますが、B級グルメのホットドックやピザまで、シカゴ独特のオリジナリティがあり味も文句なしです。
理由6:ナイトライフが充実
シカゴは夜でも退屈することがありません。
まずシカゴのブロードウェイ。ニューヨークのブロードウェイには規模こそは劣りますが、ニューヨーク公演の前に、まずシカゴで公演されることが一般的です。そのためニューヨークで見るよりも料金が安く気軽に鑑賞できるのがうれしいポイントです。
そして本文でも紹介した、シカゴ・ブルースとシカゴジャズ。音楽を愛するシカゴの街ではダウンタウンを中心にライブハウスが数多く存在します。いずれも格安で本格的な演奏に耳を傾けることができます。
またシカゴにはミシガン湖の美味しい水を水源としたマイクロ・ブリュワリーが多く存在します。特にエンターテイメントに興味がなくとも、美味しいクラフトビールを提供するレストランやバーが豊富なので夜の街に繰り出さない理由はありません。
理由7:スポーツシティ・シカゴ
今回私たちはシカゴでスポーツ観戦をする機会はありませんでしたが、シカゴはスポーツが非常に盛んです。
シカゴのスポーツと言えば、私たち世代にすぐ思い浮かぶのがシカゴ・ブルズ。あのマイケル・ジョーダンが在籍していたチームです。また野球も忘れてはなりません。ダルビッシュ投手の所属するシカゴ・カブス、そしてサウス・シカゴを代表するもう一つの野球チーム・ホワイトソックス。そしてアメリカで一番人気のスポーツのアメリカンフットボール。地元チームであるシカゴ・ベアーズはさすが大人気です。さらにアイスホッケーや、アメリカでも人気が高まってきたサッカー、シカゴ・ファイアーもスポーツバーで大きな声援を受け、盛り上がりを見せています。
良い点ばかり挙げてきましたが、ここはフェアーにシカゴはこの部分が弱い、というポイントを挙げていきます。
ウィークポイント1:冬の天候
実はニューヨークよりも寒いシカゴ。最低気温はマイナス20度を記録したこともあるそうです。またシカゴの別名は「ウィンディーシティ」、直訳すると「風の街」です。ミシガン湖から季節風が吹き付けることで知られており、寒さと風の強さから冬はかなり厳しいものになるそうです。
そういう日には全米有数のコレクションを持つシカゴの美術館や博物館など屋内で過ごすことにしましょう。
ウィークポイント2:シカゴを象徴させるものが少ない
ロサンゼルスであればチャイニーズシアターやハリウッドサイン、ベニスビーチ。
ニューヨークであれば自由の女神像、タイムズスクエア、ブルックリン橋など。
人気都市はそれ一つをシンボルとして、街のイメージとなりますが、シカゴで有名なのは建築でいうとウィリスタワー、彫刻だとシカゴ博物館前のライオンでしょうか?しかしどれもパンチが弱い気がします。これぞシカゴというような力強いシンボルがないのが、いまいち観光の面ではパッとしないシカゴを象徴しているような気がします。
以上、好き勝手に述べさせていただきましたが、アメリカに旅行したいけどありきたりなラスベガスやニューヨークじゃなくて、ほかに個人旅行がしやすい場所ってどこ?という方にはこれ以上の場所はありません。
是非次のご旅行はシカゴをご検討ください。
<おすすめ度>
シカゴ美術館 ★★★★ 世界的な絵画のコレクション、シカゴにきたなら外せない
シカゴ川のリバークルーズ ★★★★ シカゴの摩天楼を楽しむには最高!
ウィリスタワー&ジョンハンコックセンター ★★★★ リバークルーズでビル群を見上げたら、次は摩天楼から見下ろしたい、2つの絶景アトラクションも是非
(2018年11月 橋本 康弘)