今回は出張でバングラデッシュ・スリランカ・パキスタンの南アジアを訪問する機会を頂きました。いすれもイメージは出来るものの実際はどうなのかを自分自身で再確認したい国々でした。そして帰国前も帰国後も色々な人に治安はどうなの?と聞かれる答え合わせの旅でもあります。9日間で3国周遊といつもながら忙しい旅にはなること間違いなしです。
成田を出発しバンコク経由で深夜にバングラデッシュの首都ダッカに到着し始まりました。
日本の国旗と同じデザインで色違い、誰もが小さなころ知っているバングラデッシュ。日本人が7人も犠牲になった2016年にダッカのレストランでのテロ事件以降はすっかり治安が心配されるようになった・・・ダッカと言えば人やリキシャが溢れ渋滞で有名な首都を脱出し、まずは北部のラジシャヒを目指します。
ラジシャヒの東25kmのところにある小さなプティア村は、池を取り囲むようにして建ち並ぶヒンドゥー寺院が美しく、白い北インド式の塔を持つシヴァ寺院の中には、黒い玄武岩で出来たシヴァ神が祀られています。また大ゴヴィンダ寺院は19世紀前半から後半にかけてプティア王によって建てられた5つの尖塔を持ち、外壁のテラコッタのレリーフが美しく風格のある寺院です。また3つの丸い屋根が可愛い印象のゴパーラ寺院も人や動物をかたどった繊細なレリーフは見ごたえ十分です。プティアは、バングラデシュの中でも観光客が少なく、ダッカの喧騒を外れバングラデッシュの人々を肌で感じることができます。
バハールプール遺跡は東インドを8世紀から12世紀にかけて支配したパーラ王朝時代のダルマパーラ王によって建設された大きな僧院です。約330m四方の敷地の中には117の僧坊があり、壁には神様や動物などを彫刻したテラコッタは必見です。またインド大陸でも最大規模の仏教遺跡といわれ、建築様式はカンボジアのアンコールワット、ミャンマーのバガン、インドネシアのボロブドールにまで影響を及ぼしたと言われたかつての仏教の中心地です。1985年にはユネスコの世界文化遺産にも登録されています。
ダッカの大渋滞にはまり深夜25時に到着した前夜から一夜明け、早朝からダッカ市内の観光です。バングラデシュの首都ダッカは大都会ですが、まだまだ発展著しいとは言えず、CNGと人と人力車で溢れかえっています。都会とはいえ貧富の激しい現実が垣間見えます。
またモスクを囲むようにして造られたマーケットには衣類、宝飾品、革製品、文具、食材、日用雑貨までなんでも揃う庶民的なマーケットで、値段は全て交渉次第!観光客向けの市場ではないので、買いたいと思うようなものはなかなかないが、散策しながら写真撮影するだけでも楽しいです。また市場の前にある歩道橋に上るとバングラデシュの首都ダッカを象徴するような人とリキシャに溢れた刺激的な光景に巡り逢えます。
ダッカからスリランカへはスリランカ航空を利用しコロンボ空港へ。2泊3日の弾丸スリランカ動物旅行です。コロンボからキャンディへ直接向かいます。ダッカから来て島国なスリランカの近代的な景色にカルチャーショックを受けました。仏教国であるが故にスリランカの人の考え方や周辺国と異なる発展を遂げたのかが興味深く感じました。スリランカと言えばシギリアロックですが、今回はお預けでキャンディ・ミリッサに滞在します。
キャンディ湖に面した古都キャンディには、仏陀の歯を安置した仏歯寺があります。世界遺産にも指定されたこの町を象徴する仏歯寺には、ぜひ訪れて欲しいです。
またキャンディの郊外の西約30kmにピンナワラに象の孤児院があります。親を亡くしたりはぐれたりして孤児になった子象たちを保護して育てている施設です。また1日2回の水浴びタイムには、親子の像が水浴びを楽しむ風景も見学することができる貴重な体験ができます。
スリランカ南部最大の町のゴール近くに位置する静かな港町がミリッサです。サーフポイントとしても有名で欧米からの観光客に人気のある町です。そして近年ではミリッサの沖合でシロナガスクジラが高確率で遭遇できることから密かに人気スポットとなっています。専用ボートが他のボートと連携を取りながらクジラを探します。クルーズ時間も2時間~6時間とクジラにいつ遭遇出来るか次第!外洋に出てクジラを探すので酔い止めの薬を用意しておくと良いでしょう。また運が良ければイルカの大群と出会うことも出来ます。
スリランカの次はカラチに次ぐパキスタン第2の都市ラホールを訪問しました。芸術と文化の中心として歴史的にも重要な古都。11世紀に建造されたラホール城塞は東西425m、南北340m、周囲を城壁に取り囲まれた壮大なスケールを誇る世界遺産です。また6万人が一度に礼拝できる機能性の優れた美しいバードシャヒー・モスクや皇帝の墓、ラホール博物館など見どころも多いです。タジ・マハールを建てた、ムガール帝国最後の皇帝シャージャハーンが17世紀半ばに王族の保養地として造ったシャリマール庭園も世界遺産に指定されています。またインド・パキスタンの国境の町ワガで毎日行われる国旗降納式は、日没2時間前には両国の国境の門で警備兵による国旗の降納が行われます。両国の人々が毎日集まり大いに盛り上がるフラッグセレモニーは必見です。片足の英雄にみんなが歓喜の声を上げています。
世界四大文明の一つとして知られるインダス文明は、紀元前2600~1700年頃に栄えました。そのインダス文明の都市跡がモヘンジョダロと並ぶ都市遺跡がハラッパです。かつてハラッパ遺跡は東の城塞区と西の市街地からなり、最盛期には2万人の人々が暮らし沐浴場や穀物倉、上下水道が整えられ、高度な都市計画のもとに造られた都市であったことがうかがえます。現地ガイドにハラッパは「原っぱ」と例えられることもありますが、現在も遺跡の発掘作業は続いています。全体的な遺跡の復元は難しいといわれ、そのほとんどが未だ謎に包まれたままなのです。
今回は3国を訪問しましたが、行く前に心配していた治安も現地で観光の際はすっかり忘れ、全ての国の人々が親日で、親切に触れ現地ガイドさんと一緒にその国の良さを体感できました。
【スタッフおススメ度】
バハールプール★★★★ 仏教遺跡の原点に。
ピルンナルワ★★★★★ 象の孤児院は外せない
ミリッサのホエールウォッチング★★★★★ 念願のクジラが目の前に。
ワガ★★★★★ フラッグセレモニーは、必須です。
(2018年3月 大道隆宏)