「古代の遺跡パワーと、人間味あふれるエジプト人のパワーで元気充電!エジプト縦断旅」

「古代の遺跡パワーと、人間味あふれるエジプト人のパワーで元気充電!エジプト縦断旅」

21歳のある日、急に「そうだ、インド行こう」と思い立った。
旅行会社に勤務していた父親の大反対を振り切り、インドがどんな国かもよく知らないままバックパック一つで飛び出した私を待ち受けていたのは、頭がぶっ飛ぶほど強烈な体験だった。
奇想天外な場所で寝ている人たち、鳴りやむことのないクラクションの嵐、しつこい客引き、我が物顔で道を闊歩する動物たち。
それから私にとって旅とは、ゲームや映画以上に冒険に溢れたリアルRPGとなった。
しかし、いつの間にやら大人の階段登るシンデレラになってしまったらしい私は、無難に旅をするようになっていたのかもしれない。
車で観光地から観光地へと移動し、その国の人と触れ合う機会もないまま、大通りをさっさか足早に通り過ぎてしまっていたような気がする。
前置きが長くなりましたが、今回、そんな旅好きの初心を忘れかけていた私に、往復ビンタをくらわせるような、毎日が楽しくてしょうがない、そんな国に出会うことができました。
ナイル河と共に生きる、言わずと知れたかの国、エジプト。
毎日、楽しい楽しいと口ずさみ、生活感の溢れる路地裏を歩き、シーシャ(水たばこ)を吸って現地の人にじろじろ見られた、今もキラキラと輝いているエジプトの思い出たち。
元バックパッカーの心を揺さぶる、楽しすぎるエジプト、皆様もガツンと衝撃を受けに行ってみませんか。

現地の人に紛れてシーシャを体験してみる

まずはエジプト国内線を乗り継ぎ、ルクソールの地へと降り立った。
この地域の人たちは、エジプト国内でも生真面目で頑固者と言われることが多いらしい。
私を案内してくれたガイドさんも、かなり真面目な方で、私がふらふらぼんやりしていると、それはもう頭を抱えて私を心配してくれていた。
エジプトの知識が乏しすぎる私を、少し虚ろな目で見つめる彼に申し訳なくて、毎晩ホテルで地球の歩き方を熟読することになったが、結果的に少し話の分かるやつになった私に最後は彼も心を許してくれた。
事前学習の大事さを再認識。
そんな頑固で優しい人々が生活するルクソールは、ナイル川を挟んで西側が死者の土地、東側が生者の土地とされていたそうで、ルクソール神殿とカルナック神殿以外の見どころは西側に集まっている。
現在は西側にもたくさんの人々が暮らしているため、フェリーを使えば西と東の行き来はすぐなのだが、車で行くとなると、市内からかなり遠い橋を使って行かなくてはならず、かなり時間がかかる。西側の観光は一日に凝縮して計画的に回るのがお勧め。

ライトアップされたルクソール神殿

ハトシェプスト女王葬祭


西側の観光で絶対に外せないのが王家の谷。
あの有名なツタンカーメンの墓が発見されたのがここ。
ピラミッド泥棒を危惧して、ピラミッドの形をしている山の裏側に隠すように作ったそうですが、残念ながら60以上ある墓の中で墓泥棒に入られなかったのはツタンカーメンのみというのですから、彼らの悔しさは計り知れません。
彼らの無念を思い、若干呪いを心配しながら入った墓の内部は、もう圧倒される程の美しさでした。


ラメセス3世の墓



ラメセス4世の墓

以前はお金を支払ってもカメラの持ち込み・撮影は禁止されていたが、今回はカメラチケットを購入すれば撮影ができました
160ポンド(約1,000円)の入場料に対し、カメラ持ち込み料が300ポンド(約1,800円)とびっくりするほど高いのですが、それだけの価値はあると思います。
いずれの墓もそれぞれに素晴らしい壁画で埋め尽くされており、王という存在がどれほど大きかったかを伺い知ることができます。
古代エジプトの人たちは、死後も現世と同じ世界が待っていると信じており、そのために体をミイラとして残し、そのミイラが再生した際に、墓の中に侍女たちや食料がないと困るだろうと、そういったものを壁画に描いてあげたそう。
死にゆく人のことを思い、その人が死後の世界で困らないように墓の中に実際の食品や生活用品、服飾品などを入れたり描いたりしてあげるなんて、私にはとっても深くて優しい愛に感じられました。
そして、王家の谷で外せないツタンカーメンの墓は、これまた別料金で、200ポンド(約1,300円)の支払いが必要なうえに、カメラチケットを持っていても内部の撮影は禁止されているのですが、これも必ず見ていただきたい。
実際にここで見つかった副葬品はカイロの考古学博物館で保管されているのですが、ここには本物のツタンカーメンのミイラが今も安置されています。
19歳で無くなってしまったため、墓自体も小さいのですが、その小ささのおかげで墓泥棒の悪の手を逃れることができたとも言われているそう。
この旅の後半にカイロの考古学博物館にて、ツタンカーメンの墓に入れられていた副葬品たちも見ることができたのですが、ミイラを作る際に心臓や肺などを収めるカノプス壺といわれる入れ物には、ツタンカーメンの血がリアルに残っており、墓を観た後に訪れると、感動もひとしお。

そして私が、背筋が冷える程感動したのが、下のツタンカーメンの墓の発券時の写真です。
ツタンカーメンの墓の入り口から降りていき、最初にあったのがこの部屋です。
食料や馬車、ベッド様々なものがありますが、肝心のツタンカーメンが見当たりません。
さて、この写真の中のどこにツタンカーメンはいるでしょうか?

正解は、写真の右端。
二体の人形が不自然に向き合っていますね。

よく見るとここの壁、すごく不自然・・、ということで、この壁を壊したところツタンカーメンのミイラが納められた玄室が現われたそう。
想像してみると、ぞわっとしませんか?
この隠し扉に気づいた時の考古学者の興奮はすごかっただろうなと思うと、詳しくもなんともない私でも、歴史のロマンに鳥肌が立ちました。
次にアブシンベル宮殿へと向かいましたが、その途中にホルス神殿へも立ち寄りました。
ハヤブサの頭を持つホルス神のための神殿ですが、ローマ時代にはキリスト教徒たちがこの神殿で生活していたため、天井は煤で真っ黒になってしまっています。


その時代のことを良い悪いは言えませんが、こんな立派な神殿で暮らすなんてどんな気持ちだっただろうと、ちょっと羨ましいような気持になりました。
そして、この神殿にはちょっと面白いレリーフがあり、最近のフォトスポットになっているということで、私もパシャリ。

古代のWI-FIマーク!(おもんなくてすみません)

そして観光を終えてホルス神の像の前で写真を撮っていると、急に現地の青年が近寄ってきて、おもむろに私の手に何かを持たせる。
え!鳩!!!笑
人生で初めて鳩を持ってびびりまくる私を見て大笑いしている青年たちの横で、記念にパシャリ。

写真を撮って鳩を返すと、そそくさと箱に鳩を詰める青年たち。それを見てガイドさんが「今日の晩ご飯にするのかもしれませんね」とぼそり。
なんと!アメイジングエジプト!!!!
箱に閉じ込められる鳩を見ながら、なんとく罰が当たらないかひやひやし、そそくさとその場を去りました。
鳩はエジプトでは高級食材なのだそうですが、その割には街中にたくさん野生の鳩が生活しており、彼らの姿を見るたびに、誰かに捕まらないように心の中でつい祈ってしまいました。
アスワンで一泊した後に、車でアブシンベルへ。
片道4時間近くかかる道中は、ほとんど砂漠です。今回はアブシンベルで一泊しましたが、もし日帰りで観光する場合は、アスワンを早朝に出発することになり、往復8時間です。
所要時間もそうですが、アブシンベルでは是非一泊することをお勧めします。
正直アブシンベル宮殿しか観る所も行く所も無いのですが、それだけの価値がこの世界遺産にはあります。間違いないです。信じてください。

道中蜃気楼がでることも。これは騙されちゃうわ

ラムセス2世が建設したアブシンベル宮殿は、大神殿と妻ネフェルトアリの為に建設した小神殿があります。
その壮大な神殿を表す言葉が私には見つかりませんが、圧倒されるとはこういうことなのかと。ナセル湖に向かって立つ神殿は、長い間ずっとこの土地で静かに時の移ろいを見守ってきたのだと思うと、目頭が熱くなる思いでした。
歴史のロマンに感動して泣けてくるなんて、私も年をとったものだと感じますが、この神殿は誰がみても何かしらの衝撃をうけるのではないでしょうか。

大神殿

小神殿

長い間砂に埋もれていたため、内部の保存状態も素晴らしく、レリーフがかなりキレイに残っています。
私が到着したのがすでに夕方で、日帰りの観光客は既に帰路についている時間帯であったため、遺跡を独り占めすることができたのですが、神殿の中に一歩入ると外の音が遮断され、奥に進むごとに自分の足音以外音のない世界になります。
外にガイドさんがいると思っても不安になるほどの無音の世界で、3000年もの昔、まだ電気も設置されていなかったこの場所でレリーフを作成した職人は、どういう気持ちで作業をしていたのかと考えると胸がいっぱいになりました。
そして、アブシンベル宮殿にきたら是非足を運んでほしいのが、夜に開催される「音と光のショー」と「朝日鑑賞」です。


大神殿と小神殿をスクリーンにして、ユネスコがどうやって神殿を移設したかの説明や、ラムセス2世の恋物語についての説明が美しい映像とともに流れます。
その日にきている観光客の中で、一番人数が多い言語がスピーカーで流れ、少数派の言語はイヤフォンで説明が聞けます。
私が行った回は日本人が10人ほどいたため、日本語で説明がされました。
鮮やかな映像が神殿に映し出され、途中真っ暗になるシーンでは満天の星空が急に現れ、観客から歓声があがっていました。
7人以上の人が集まらない場合は中止になりますので、運次第にはなりますが、お泊りの際には是非見ていただきたい美しいショーでした。
そしてショーを見た翌日は、早朝に起きてまた神殿へ向かいます。
アブシンベル宮殿は東に向かって建てられており、ナセル湖からあがってくる朝日はもちろんのこと、朝日に照らされるアブシンベル宮殿の美しさは一見の価値ありです。
朝日が昇るまではかなり寒いので、神殿の中で暖をとったり、ライトを使って影絵を作ったりして待ちます。

影絵で巨像の仲間入り

小神殿の中では、鳩の家族がぬくぬく寝ていました

そしてついに朝日がこんにちは!
太陽の力で一気に暖かくなり、また涙がでそうになります。(変な人)

新しい一日の誕生

朝日に照らされるラムセス2世

朝日を捕まえてみる

そして、アブシンベルを堪能した後はアスワンへ。
アスワンではガイドさんの家族とディナーをいただきます。
この家族がまぁ幸せを絵に描いたようなご家族で、奥さんは私と同い年ということで、言葉はほぼ通じないながら、仲良くなり、列車の時間まで楽しく過ごすことができました。


アスワンからカイロまでは寝台列車で移動。
思っていたよりもかなり快適で、一度も起きることなく約10時間の列車旅を楽しみました。
シャワーは無く、トイレは共同ですが、洗面所もついていて十分快適。


列車の時間はかなりアバウトならしく、夜のうちに「明日は11時くらいにカイロに到着するから、9時くらいに起こしてあげる」と言っていた係員さんが、翌日の8時ごろにやってきて「あと30分でつくよ」とにっこり。急いで支度をしたのですが、待てども暮らせども外の景色は変わらず田舎のまま。
ついウトウトとしていると、9時頃に「もう着いたよ」と呼びにきた係員さんに急かされ、プラットホームに飛び出し無事にカイロ到着。一体定時は何時だったのでしょう・・。
そして、エジプトいえばやっぱりカイロで、カイロと言えばやっぱりピラミッドで、基本的にミーハーな観光地が大好物な私は、ここでも感動で胸がいっぱいになってしまいました。
ギザの三大ピラミッドのうち、現在修繕中のカフラー王以外の、クフ王とメンカウラー王のピラミッドに行ってきたのですが、やっぱりお勧めはクフ王のピラミッド!
信じられない程狭くて急で長い大回廊を、ひたすらに腰をかがめて進んでいくと、ぽっかりと玄室が現われます。
平均2.5トンの石を230万個も積み上げて作られたことの巨大建造物の中に、こんな空間を作りあげた古代エジプト人の努力に胸が熱くなる一方、遠い昔服飾品を盗みにこんなに完全な形をしているピラミッドに穴をあけ、真っ暗な中を進んでいったのだから、褒めることではないにしろ、墓泥棒たちの勇気もすごかったなと感動しました。

あなたはこのポーズをせずにいられようか!ピラミッドポーズ!

外観の一番美しいカフラー王のピラミッド

ずっと乗っていたいほどラクダ乗りは楽しい

今回、ルクソールのある南エジプト、そしてカイロのある北エジプトと、2人のガイドさんに旅をサポートしてもらったのですが、この二人がまぁ両極端というか、かなりタイプの違うイスラム教徒であったため、違う視点からのエジプト人の考えを聞くことができ、非常に面白かったのも、今回の旅が楽しかった理由かもしれません。
どこの国に行ってもやはり一番盛り上がるのは恋バナ。
恋愛に厳しいイメージのあるイスラム教の人たちだが、どうやって恋をし、結婚するのだろうと興味津々の私と、恋愛にオープンな外国人に興味が隠せない彼らの恋バナは毎回盛り上がりました。
基本的に女性に年齢、結婚しているかどうか、子どもの有無を聞くことに抵抗のないエジプト人の彼らなので、私がぺらぺらと話すと、一気に打ち解けることができます。
日本人の女性にはあんまり聞いちゃダメだよと釘は刺しておきましたが、もしご興味があればこっちからオープンになれば何でも答えてくれるかもしれないです。
そんな彼らにエジプト人はどうやって恋愛、結婚となるのか、それぞれに聞いてみた。
ルクソールのガイドさん(34歳、既婚、お見合い結婚)
「エジプトではほとんどがお見合い結婚です。結婚するまでは二人で会うことはできないので、兄弟や友人を交えて複数で会います。女性は義務教育が終わったらすぐにお見合いをして、結婚するまでは家族以外の男性の前で髪や顔を隠しているスカーフを取ることもしません」
カイロのガイドさん(29歳、未婚)
「今時お見合い結婚なんてほとんどいない。女性も大学に行って仕事をするし、結婚前に二人で旅行にも行くし、手を繋いで外も歩く。そのルクソールのガイドさんは考え方が古すぎるよ」
と、二人ともかなり異なった恋愛観を持っているらしい。
また、お酒を飲まない・豚を食べないことについても、ルクソールのガイドさんは生まれてこの方酒も豚も口にしたことがなく、日本に留学している際には豚エキスを恐れて、ずっと生野菜をかじっていたということだったが、カイロのガイドさんは常日頃から酒もタバコもたしなみ、日本に滞在中にはうっかり豚肉を食べてしまったそうで、「美味しかったよー!」と笑っていた。
最後に、日本の恋愛事情にも興味津々な彼らに、最新の情報を教えてあげた。
私「エジプトも変わってきたのね~。日本ではねー、最近同性カップルも増えてきて、結婚前に同棲する人たちがたくさんいて、授かり婚も結構たくさんありますよ」
2人「・・・・(絶句)」
やっぱり日本でも、田舎のおじいさんに聞くのと、渋谷の青年に聞くのでは意見が違うように、一概にエジプト人、イスラム教といっても色々な考えがあるらしい。
旅行中に、現地の人の話を聞く機会はガイドさんくらいだが、一方の話しか聞かなかったら、私のエジプトへの見方は180度変わっていたかもしれないと思うと、面白い。
素敵なガイドさんに恵まれて、出会いも旅の大事な要素だと再認識しました。

エジプトって奥深くて面白い!

こうして、私の大満足なエジプト旅行は終わりを迎えました。
エジプトでは、ナイル川の水を飲むと、またエジプトに帰ってくることができるそう。
お腹を壊してもいいから最終日に飲もうと思ってのですが、そこは大学生のバックパッカーではなく、社会人の大人であることを思い出し、代わりに恐らくナイル川の水で育ったであろうサトウキビを絞ったフレッシュジュースを飲んで、エジプトに別れを告げました。
見た目もちょっとナイル川に似ていました。大丈夫かな・・。
次はいつ帰ってこられるでしょう。
旅行の楽しさを再度教えてくれたエジプトに大きな感謝!
安心で楽しいエジプトに、皆様も是非足を運んでみてください。

エジプトに乾杯!

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コシャリ★★★★★
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(2017年12月 大野史子)
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