中央アジアの秘境「キルギス」はとっておきの桃源郷でした。

中央アジアの秘境「キルギス」はとっておきの桃源郷でした。

イシク・クル湖と天山山脈

キルギスまでの日本からの直行便は今現在はなく、ソウル経由でカザフスタンのアルマトイへ到着。ソウルからの飛行時間は6時間と以外に近かった。翌日の午前中はアルマトイの市内観光をして、国境まで車で4時間、さらに2時間かけて最初のキルギスの地「チョン・ケミン」にあいにくの雨の中到着する。翌日の天気が心配だ。そこは晴れ男と自負(自惚れ)している私にはきっと天気も味方してくれると床についた。

アシュ村

チョン・ケミン

チョン・ケミン


そんな願いがかなったのか、目が覚めると見事にいい天気。やったー!と心の中で叫ぶ。
予定とおりプログラムが組めると安心すると同時に、ゲストハウスの回りの山々がくっきりと目の前にキャンパスに描かれるように現れた。これからチョン・ケミンを周る前に、ガイドブックにも載っていないチョン・ケミンのミニ情報を披露。位置としてはキルギスの首都・ビシュケクから車で東へ約2時間のところにある。キルギス語の意味は、チョンとは「大きい」、ケミンとは「平ら」、すなわち盆地のことを指し、形状そのものが土地の名前になっている。標高は約1600m、8つの村を持つ地区で、回りは2000mから4000m級の美しい姿の山々に囲まれ、長さ12km、幅6kmの土地に8000人が住んでる。盆地の中央にはチョン・ケミン川が氷河の水を運んでくるので土地は肥え農業に適している。そのほんのりとした土地柄ゆえに、地元のキルギスの人にも、外国の人にも隠れた人気スポットになっている。前置きはさておき、レッツゴー!

馬車に乗って観光

チョン・ケミン

子供たちの絵

午前中は馬車に乗ってアシュ村の観光。馬車といってもリヤカーを馬が引っ張る原始的なもの。でもこの村の中をこの馬車で周ると恥ずかしくない。それどころか景色の中に溶け込み一体となっている。回りの山々を眺め、チョン・ケミン川を渡り、ゆっくり動く雲を眺める。実にのどかな瞬間だ。時間の進み具合がいつもの5倍、いや10倍遅いかもしれない。訪れた学校は11年制で、11年間同じ学校で授業を受ける。子供たちの天真爛漫な絵が心に残る。夏はキャンプを兼ね泊り込みだ。

乗馬体験

馬で丘歩き

遠くの山々を望む

咲き乱れる花々

午後は乗馬。乗馬と言うと草原を颯爽と走るイメージだが、ここチョン・ケミンの乗馬は「山歩き」そのもの。目の前に見える山に向かって一歩、一歩山道を入っていく。初心者でも問題なし。周りには菜の花(?)やラベンダー(?)の花が咲き乱れ、その中を心地よい風に吹かれて小山を一周。時にはえさの花や草を食べるのに、馬は立ち止まって動かなくなることもあるが、そんな時は周りを見渡し自然を体一杯に受け止めてみる貴重な時。馬に乗って1泊2日の小旅行も可能と言われたが、次回は頑張りますと辞退する。

アシュ・ゲストハウスに集うビシュケクからのグループ

ゲストハウスのオーナー家族一同

ゲストルーム

手作りの蜂蜜&ジャム

アシュ・ゲストハウスから見た夕焼け

昨夜から泊まっているアシュ・ゲストハウスはチョン・ケミン地区の中の「カラマク・アシュ村」にあるゲストハウス。短くアシュ・ゲストハウスになっている。40部屋のそれぞれは広くはないが清潔に保たれている。他にはほとんど宿泊施設がないので、チョン・ケミンを訪れる人はこのゲストハウスに泊まる。ファミリー経営の素朴で温かいおもてなしは、まるで自分の田舎にいるようだ。ここで作られる手作りの蜂蜜や杏のジャムは絶品。残念ながらお土産用には作っていない。夕飯に出たじゃがいもスープは身も心も温かくしてくれる。ビシュケクから2時間の距離やのどかな環境ゆえに地元の人にも大人気。どこからか聞きつけて海外からのお客様も数多い。私流にチョン・ケミンを名付けるならば「どこにでもあるようで、どこにもない村」となるだろうか。

岩絵野外博物館とイシク・クル湖と天山山脈 

ルフ・オルド文化センター

イシク・クル湖と天山山脈

4日目は、チョン・ケミンを去るのは名残惜しいが次の「チョルボン・アタ」へ向けて出発。チョルボン・アタは「イシク・クル湖」の最大のリゾート地で、ロシアや地元の人で7-8月は満室状態が続くという。その前に、岩絵野外博物館を見学。各地から集められた石が屋外に無造作に置かれている。4000年もの前の岩絵がその石々に彫られている貴重な博物館だ。ここからのイシク・クル湖の眺めは抜群。湖畔に建つ「ルフ・オルド文化センター」は世界の宗教を融合させたユニークな場所だ。ここから湖の向こうに見える天山山脈はまるで宙に浮かんでいるかのようである。見学に立ち寄ったホテルや宿泊のホテルの周りにはバラの花が咲き乱れベストシーズンにこれた幸せを実感した。ちなみに、イシク・クルの意味は「温かい湖」、1600mの標高にありながらその名のとおり不凍湖なのだ。

バラとクンゲイ・アラトー山脈

花とクンゲイ・アラトー山脈 

クンゲイ・アラトー山脈

イシク・クル湖と天山山脈

イシク・クル湖と天山山脈

5日目の早朝のイシク・クル湖の眺めは日本晴れ、いやキルギス晴れの中、絵にも描けない美しさ。ビーチから見るクンゲイ・アラトー山脈と天山山脈の姿にはただただ見とれるばかりだ。透き通つた空に浮かぶ山々。神々しいその姿。しばし写真をご覧いただきたい。

ドゥンガン・モスク

木造の聖三位一体教会

ブルジェヴァルスキー博物館

プーシキン公園

中央公園

午後は「カラコル」の町に向かう。カラコルとはイシク・クル湖の東端に位置し、その昔三蔵法師が湖に立ち寄った記録も残っている。今もキルギス人を始めロシア人、ウクライナ人、ウイグル人、ドゥンガン人が住みシルクロードの足跡が残る多民族都市だ。今は天山山脈とテルスケイ・アラ・トー(イシク・クル湖の南側の山脈)への登山基地になっている。市内には博物館、木造の聖三位一体教会、ドゥンガン・モスク、プーシキン公園等見所も多い。郊外には、以前その名が町の名前だったロシアの偉大な冒険家「ブルジェヴァルスキー」を記念した博物館がある。

自然たっぷりの朝食

手作りジャム

ジュデイ・オグス(7つの牛頭)」の奇岩

ジュデイ・オグス渓谷

馬乳酒を売っている女の子たち(日本人そっくり)

乗馬ツアー

ジュデイ・オグス渓谷

6日目は、素朴な材料で作られた食材がテーブル一杯に並べられ、見ているだけでうきうきしてくる朝食を頂き、グリーンゲートホテルを後にする。この日はキルギス観光のハイライトの一つ、「ジュデイ・オグス(7つの牛頭)」の奇岩と渓谷を訪れる。奇岩から渓谷を30分ほど車で登って行くと、そこには目を見張る草原が現れる。スイスアルプスの景観より美しいと感じた。青い空、緑豊かな森、鮮やかな緑のじゅうたんの草原、勢いよく流れる川の水。まさにこの渓谷は桃源郷そのものだ。馬乳酒を売っている女の子たちの笑顔がこの景色にマッチしている。山の上に上がっていくと、夏の間だけ乗馬ツアーをしている地元の人々が客待ちをしている。これからが稼ぎ時なのだろう。

スカスカ

スカスカ

次に2時間ほどして到着したのがキルギスのグランドキャニオンと言われる「スカスカ」。
ロシア語で「おとぎ話」の意味だが、今まで見たキルギスの風景とは全く違って荒々しく人を寄せ付けない異星のようだ。

ユルタ・キャンプ

ユルタ内部

イシク・クル湖とクンゲイ・アラトー山脈

オーストラリア人の家族

フランス人ライダー

テントスタッフ

テントの女の子

30分ほど車で今日泊まるベルタム・ユルタ・キャンプに到着。海岸沿いに9棟のユルタ
が設営されている。湖の向こうにはクンゲイ・アラトー山脈、後にはテルスケイ・アラ・トー山脈がそびえ、目の前は湖と抜群のロケーションだ。ユルタ(テント)の中は色鮮やかな刺繍模様で作られ気持ちよい居住空間を味わえる。夕食はオーストラリアのご家族、9週間もの休暇をとりバイクで旅行中のフランス人、テントのスタッフと和気あいあいと歓談しながら美味しいピラフをいただく。特にフランス人の2人組みとは話に花が咲き、お互いの国のこと、1200ccのバイクのこと、そして原発(フクシマ)の話題まで広がり大いに盛り上がった。ユルタでの就寝は、砂がテントに当たる音や、夜中に降る雨音で中々寝つけなかったが、それも自然の子守歌のようになり眠りに落ちた。

フランス人ライダー

ユルタでの朝食

ブラナの塔

バラサグン遺跡 

7日目の朝は、フランス人ライダーを見送り、我々もビシュケクに向かう。ビシュケク近くの世界遺産「ブラナの塔」に着くまでの雨がここでも突然晴れ間が広がった。塔は傾いており、昔より20mも地震の影響で低くなったがそれでも空に向かってそびえ立っている。ここ「バラサグン遺跡」は古代王朝カラ・ハン朝の首都の一つと考えられており、敷地内にある沢山の石人の像が古人の歴史を偲ばせている。

楓公園で新聞を読む老人

勝利広場

大統領府

アラトー広場

議会

日本人そっくりのレストランスタッフ

最終日は緑豊かな首都ビシュケクの町を観光。100万人の人口の町は日々成長しているが、町の中央には美しい沢山の公園が憩いの場所として住民のためにある。楓公園にて新聞を読んでいる老人には余裕が感じられる。勝利広場、大統領府、アラトー広場、議会等、町歩きには絶好の町である。カザフスタンの国境までは僅か30分、そこから4時間かけてアルマトイ空港へと向かい、今回の出張は終了。中央アジアの秘境「キルギス」は本当にとっておきの桃源郷でした。
おすすめポイント
*チョン・ケミン ★★★★★ どこにでもあるようで、どこにもない村
*アシュ・ゲストハウス ★★★★★ 素朴で温かいおもてなし。癒しの宿
*イシク・クル湖 ★★★★★ 琵琶湖の9倍の大きさの不凍湖 一大リゾート地
*カラコル ★★★★ 他民族都市そして天山山脈への登山基地
*ジュデイ・オグス渓谷 ★★★★★ キルギス観光のハイライト 心洗われる草原
*ユルタ・キャンプ ★★★★ 目の前は湖、抜群のロケーションと家族の温かさ
*ビシュケク ★★★★ まるで公園都市。緑溢れる町。
2016年6月
本山泰久
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