それでもまだ地球はアメリカを中心にまわっている~アメリカ横断紀行・下~

それでもまだ地球はアメリカを中心にまわっている~アメリカ横断紀行・下~




これまで南米の帰りにアメリカ本土の都市に数泊したことはありましたが、どっしり腰を据えて(?)西から東へと観光したのは今回が初めてです。あまりに広大で魅力的な見どころが点在する国ですからやはり西海岸だけでなく東海岸も、さらには自然も見たいということでサンフランシスコ・ラスベガス・グランドサークル・ワシントン・ニューヨークを巡って参りました。
何かにつけ「アメリカの凋落」という言葉を聞く昨今ですが、今回旅行してみてこんなにエキサイティングな国があるのか、というのが私の正直な感想です。もちろんグランドキャニオンに代表される大自然も見逃せませんが、一番引きつけられたのは街とそこに住む人々のエネルギーです。それはアメリカの大都市には必ず近郊に世界的な有名大学と企業があることが影響しているように思います。世界中の優秀で意欲ある若い人たちがアメリカの大都市に必然的に集まり、世界最先端の技術に携わり、革新的なアイデアをもつベンチャー企業や新しいビジネスを立ち上げます。そしてアメリカで成功を収めたビジネスモデルやブランドは世界中に飛び火していきます。
事実、街を歩くと何を売っているお店かよくわかず思わず足を止めてしまうようなお店が多数あります(特にニューヨーク)。結局それは何かさっぱりわからないのですが、それは日本人である我々がまだ見ぬ新しいビジネスやムーブメント、カルチャーのお店であるからなわけです。10年後同じ店の前に来たら足を止めることはないかもしれませんが、アメリカの街はおそらく更に先をいっていることでしょう。
中国やインド、さらにブラジル、ロシアなどの大国が経済的に影響力を増し相対的にアメリカの存在は薄れたとはいえ、アメリカに住む裕福そうな中国人やインド人、ヒスパニックの人の数を目の当たりにすると、やはり意欲的な優秀な人材はアメリカを目指している気がします。国外の有能な人々を受け入れ変化しながら巨大化する国、アメリカ。その寛容さが失われない限り、世界の主導権を握るのはしばらくアメリカのままだと思いました。


~スケジュール~
12/25  サンフランシスコ着・観光 【サンフランシスコ泊】
12/26 ヨセミテ観光 【サンフランシスコ泊】
12/27 サンフランシスコ観光 ラスベガスへ【ラスベガス泊】
12/28 セドナ観光 【ラスベガス泊】
12/29 (1日目)グランドサークル1泊2日  【カイエンタ泊】
12/30 (2日目)グランドサークル1泊2日 ワシントンDCへ【機中泊】
12/31 ワシントンDC観光 【ワシントンDC泊】
1/1 ワシントンDC観光 【ワシントンDC泊】
1/2 ニューヨークへ ブルックリン観光 【ニューヨーク泊】
1/3 ブルックリン・マンハッタン観光 【ニューヨーク泊】
1/4  ニューヨーク発、帰途へ
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12月25日
早朝、サンフランシスコの空港に降り立つ。
ホノルルからサンフランシスコのフライトは約5時間。食事は一度たりとも出てこなかった。日本からホノルルは1回の夕食と軽食にアルコールが無料だったことを考えれば、えらいサービスの違いである。アルコールはまだしも機内食は出るだろうと想定していたので、サンフランシスコ空港に到着するなり、非常に空腹感を感じた。
アメリカ本土の空港はどれも判でおしたように似ている。没個性的だ。それに一旦搭乗エリアから出てしまうとお店がほとんどなくなってしまう。あるのはスターバックスのみである。スターバックス、嫌いじゃないけどサンドイッチ類がやけに高い。日本のも高いが、アメリカの空港で買うサンドイッチは10ドル近くするので日本と比べても格段に高い。それでもスターバックスしかないので明るくなるのを退屈なコーヒーとパンを食べながら過ごす。空が明るくなってきたところでサンフランシスコの中心部を目指して出発。できるだけ経費を浮かそうと、ローカルバス・サムトランズを利用。空港からダウンタウンを結ぶバスは292番で1人2.5$でダウンタウン行ける。約1時間の移動だが、それで2.5$。なおハワイでは時間内であれば無料で1回に限り乗り継ぎ可能だが、サンフランシスコでは時間内であれば何回も乗り継ぎ自由なのである。それで2.5$は格安だと思うのだがどうでしょう。アメリカは食品に関してはすべて日本のも倍近くするが、ことローカルバスに代表される、公共交通機関に関しては驚くほど安い。

サンフランシスコのバス停 地面に停車するバスの便名が書いてある

サンフランシスコではバスを使いこすことがマスト

公式には一度2.5$で乗車すれば2時間後まで何度でも乗継できるバス切符、しかし3時間後、4時間先までで発券してくれるバスの運転手が多いため正直$14のバス1日券はいらない。。。。

まず向かったのはこの日のホテル、UTAH INN。

カルトレイン駅徒歩圏内のダウンタウンエリアの2つ星ホテル。1階はバー、2階より上層部がホテルになっている。エレベーターは備え付けられていないので重い荷物の場合は苦労する。フロントのスタッフは感じはいいがインターホンを押してもすぐに出てこないことがあるなど3つ星以上のホテルより当然ながらサービスは劣る。室内は比較的綺麗で、シャワーとトイレは共同。シャワーは温度調整が難しいなど苦労することも多いがホテル料金が高いサンフランシスコにおいては助かる存在ではある。なお室内にはシーリングファンと洗面台、無料のWIFIが利用できる。
我々はダウンタウンにてバスを降りた後、スーツケース転がしながらUTAH INNに到着。しかしホテルのフロントドアが開かない。インターホンを何度も押すが応答がない。おかしいなと思いつつ、その場でしばらく待つ。今日はクリスマスの25日。今日到着したばかりなのでわからないがサンフランシスコの街は静かだ。交通量もすくない。もしかしてクリスマスに家族と過ごすことを何より大事にするアメリカなら24日の夜から25日の昼近くまでホテルスタッフ不在にしていることはありえない話ではない、という考えが頭をよぎった。もともと2つ星クラスの安宿なのでホテルの警備や決まりごともキッチリしていないのだろう。しかたなく近くのカフェを探してホテルのドアが開くのを待つことに。しかしここで思わぬトラブルが。25日なのであらゆるお店が閉店しているのだ。個人経営のお店はもちろん、あのマクドナルドもサブウェイも(空港のスターバックスやフィッシャーマンズワーフ近くのマクドナルドなどは営業していた)。しかたなく駅近くの小さな売店でサイドウィッチとコーラを買い2人で駅のベンチで食べて時間を潰す。
10:30ごろ、もう一度ホテルに向かい、インターホンを押す。すると応答がありドアを開けてくれる。万が一ホテルが休みだったらどうしようと思いもあったので良かった。フロントの男性はインド系の男性で眠たそうだった。もしかしてホテルには駐在していたけど寝ていたのか?私の予約が通っているかを確認したあと、荷物を駅に置いているからすぐ戻る、と私は言い残して駅で待つ妻の元へ。その後無事チェックインを終えて、荷物を部屋の中へ。お昼近くになってようやくサンフランシスコにて自由な時間を取ることができた。
我々がまず向かったのはゴールデンゲートブリッジ。
<ゴールデンゲートブリッジ>
サンフランシスコのシンボルであり、世界中で最も有名な橋といってもいいこの全長2737mの橋は1930年住民の熱い思いから建設が決定され、また建設費用も橋の利用者などサンフランシスコ住民から賄われたため現在いくつもの橋がかかったサンフランシスコの中でもひときわ愛着を持って語られ続けられている。さらに当時、建設は不可能に思われた橋としても知られている。この海峡は霧が多く、冷たい突風が吹き荒れる、さらに両岸の地形は複雑さを極めていた。死と隣り合わせの4年半もの建設作業の末1937年ようやく完成したゴールデンゲートブリッジは2012年に開通75周年を迎えた。75年を過ぎてもなお世界中から観光客が押し寄せるほど人気のある橋はそうないだろう。100周年、いや200周年を迎えようが世界中から愛されていることだろう。

ゴールデンゲートブリッジ

ゴールデンゲートブリッジ生みの親 ジョセフ・ストラウス

<フィッシャーマンズワーフ>
ゴールデンゲートブリッジのあとに向かったのはこれもサンフランシスコで外せないスポット、フィッシャーマンズワーフ。ゴールデンゲートブリッジのたもとのバス停から約30分バスに乗り、身寄りの停留所から10分程度歩く。途中に有名チョコブランド・ギラデリのレンガ造りの工場を販売所やカフェなどにリノベーションした一画のギラデリ・スクエア、さらに海洋国立歴史公園ではサンフランシスコの昔ながらの港町を彷彿させるビーチがあるので立ち寄るのも面白いだろう。フィッシャーマンズワーフのエリアに差し掛かると郊外の静けさとは打って変わって観光客に溢れ賑わいを見せていた。お土産屋さんはもちろんファストフードやカフェ、レストランにホテル。人気の観光地につきもののお店は全て揃っている。街中の明るいネオンは煌びやかに輝き、道行く人は何か楽しげに語らいながら片手にはクラムチャウダーや屋台の食べ物を持ち食べて歩いていく。ほかの人が美味しそうに食べているのを見ると無性に食べたくなる。まずはサンフランシスコを代表する料理、クラムチャウダーで有名なボゥディンへ。ここのクラムチャウダーは、これもサンフランシスコ名物のすっぱいパン、サワードゥブレッドをくりぬいた穴の中に入れて食べるスタイル。すでに長蛇の列であったが辛抱。注文と支払い(約9$)のあと、ピックアップの場所にてしばし待つ。なんとか混雑した中から空きのあるテーブルを確保して本場のクラムチャウダーにありつく。とろりとした濃厚なクラムチャウダーは身体がポカポカあったまる。クリーミーでマイルドな味が酸味のあるパンとの相性もバッチリ。美味しくいただいた。ところが皆このパンはすべて食べないで残す人が多数。クラムチャウダーに量に対してパンが大きすぎるのも理由だと思うが、あまり酸味のあるパンが口に合わないのだろう。その土地の名物というものは味よりも優先度が上であるのだなあと感じた。つまり名物であれば、多少味はイマイチだとしても、並んででも皆さん食べたいのである。
クラムチャウダーだけでは私の食欲は満たされないので次のサンフランシスコグルメを探す。行列の出来ている屋台があったのでそこに並んでカラマリ&チップスを購入(10$)。カラマリとはイカリングのフライのことである。港町のサンフランシスコでは海産物を食べたいと思っていたので食べられてよかった。もちろん美味しいのではあるが値段は少し高いなぁ。

ボゥディンのクラムチャウダーをテイクアウト

フィッシャーマンズといえばカニマーク

フィッシャーマンズワーフの賑やかなエリアを通り過ぎると倉庫街の風景へと変わっていく。倉庫街といっても現在はお洒落なブティックやレストランにリノベーションされており、歴史あるその外観を見ているのも楽しい。しばらく港沿いを歩いてバスに乗り込みホテルへ。
この日の観光は終了。
思ったよりサンフランシスコの街は広く、バスと言えども移動に時間がかかった。そのためなんとなく計画していたものよりもあまり動き回れなかったので最終日に持ち越し。明日は1日ヨセミテ観光だ!
12月26日
ヨセミテ観光の集合時間が朝の7時15分のため、6時に起床。昨日ガソリンスタンドの売店で買っておいたカップラーメンを食べて出発した。
なおヨセミテ観光に参加するのは私だけ、妻はサンフランシスコ市内をもっと観光したいということで留守番。ツアー集合場所はマリオット・マーキスホテル、宿泊先のホテルから徒歩10分くらい歩いた。ホテルロビーにて集合時間ちょうどに迎えが来た。
他に一箇所ピックアップのホテルに立ち寄った後、30人乗り用のバンに乗り換えた。この日は大盛況。ほぼ満席であった。
<ヨセミテ観光>
ツアーが出発したのは7:45前後。
バンはベイブリッジを経由して郊外へ。ベイブリッジからはゴールデンゲートブリッジの姿が見えた。その後、緑豊かな郊外の街を抜けると、今度は禿山だらけの風景になる。ガイドさん曰く、これがサンフランシスコ本来の姿で、市内にある緑は新しく植えた木だそうだ。なんでもサンフランシスコは雨がほとんど降らないのでヨーロッパ人がサンフランシスコに住みつくまではこの地に緑はほとんどなかったという。
出発して1時間後、トイレ休憩。実際にはドライフルーツのお店のトイレを借りているだけなのだが、皆さんドライフルーツを買っていくのでなかなかいい商売ではないだろうか。
その後もう一度トイレ休憩を挟み、ヨセミテ国立公園へ向かう。サンフランシスコがまるで夏か秋のような風景だったのが徐々に雪世界へと変わってゆく。
公園入り口まであと数十メートルというところで入場を待つ車の長蛇の列。結局入場までかかった時間は1時間。その間に昼食の幕の内弁当が配られ、皆バスの中で長めの食事。夏の時期もさらにこれ以上の列になるそうだが、これだけの行列は今の時期ではかなり多い方だそうだ。
しかし四季折々の季節楽しめるヨセミテでは冬に来たとしてもがっかりする必要はない。冬は冬で雪化粧をした特別なヨセミテの姿を見ることができる。ガイドさんが言うにはこの日は天気も良く雪もいい具合に積もっているためヨセミテの雪景色に中では最高のものが見えるそうだ。そう言われると期待が高まる。
まず入り口から少し走った橋でチェーンを取り付け。そう、公園内を走行する際、雪の積もり具合によるがチェーン取り付けが義務付けられる。レンタカーできた人なんかはチェーンのことを知らず仕方なく引き返す人もいるそうだ。またチェーンの取り付け方がわからず立ち往生することもあるそうなのでレンタカーで行かれる方はご注意を。
最初に降り立ったのはVARIED VEWと呼ばれるEl Capitanのビューポイントへ。
El Capitanはヨセミテ国立公園に入場口から最も近い位置にあるため、目に入る瞬間、旅行客は圧倒されるはずだ。谷底から996mの高さへ垂直にそそり立つEl Capitanは、花崗岩の一枚岩としては世界最大である。その姿は入場者をヨセミテの世界にいざなってくれることだろう。

VARIED VEWエルキャピタンと奥に見えるハーフドーム

おおきなつらら

次にストップしたのはEl Capitanとその向かいにあるブライダルベールの滝のビューポイント。ブライダルベールの滝は約189mの細く柔らかなその水流のため風で煽られて霧のように吹き上がるため、花嫁のヴェールに例えられた。
3番目にストップしたのはHALF DOME。絶景ポイントであるマーセド川に架かる橋から撮影。マーセド川を下にしてそびえ立つHALF DOME。まるでナイフで切り落としたかのような面をもつHALF DOMEはヨセミテのシンボルとも言える。見る角度や時間帯によって様々に表情を変えるHALF DOMEは旅行客を惹きつけてやまない。アウトドアブランドのノースフェイスのロゴはこのHALF DOMEがモチーフとなっている。

ジャイアントセコイア

THE NORTH FACEのロゴのモチーフとなったハーフドーム

そして今回の最終目的地であるヨセミテビレッジに到着。旅人は皆、ヨセミテビレッジを起点にトレッキングに出かけるなどの行動をとる。我々はここで1時間自由時間をとった。私はまずヨセミテ滝へ向かう。ヨセミテ滝は全長739mの世界第3位の落差をもつ巨大な滝である。滝は3部分に分かれており、上部のアッパー滝、真ん中はカスケード、一番下がローワー滝。トレイルをすすめばローワー滝の目の前まで行けるそうだがそうすると全体の流れが見えなくなるため遠方から見るのがオススメ。滝に近づくにつれ時たま氷河が削るバリバリバリバリというと轟が森の中に響き、あたり一面静寂に包まれる。
ヨセミテ滝を楽しんだあとはセンチネル橋周辺。このあたりはHALF DOMEを見るには絶景のポイントとして知られている。お土産屋さんに立ち寄ることもできないくらい時間めいっぱい写真撮影行なった。

全長739m 世界第3位の落差をもつ巨大なヨセミテ滝

雪化粧のヨセミテヴァレー

さよなら ハーフドーム

帰り道に3箇所撮影ポイントに立ち寄ることができた。
まずはEl Capitanの麓。El Capitanをしたからなめるように撮影したそして次は良くパンフレットにも使われるというカテドラルロックとEl Capitanが同時に一枚の風景におさまるというバレービュー。まさに絶景だ。

雄大なエルキャピタン

青空の中 美しい白さが際立つエルキャピタン

カテドラルロックとエルキャピタンが一枚の風景におさまるバレービュー

最後にガイドさんがヨセミテ滝の一部、カスケードの目の前でバンを停めてチェーンを外す。その間、そのカスケードを撮影。あっという間の3時間だったが夢のような体験だった。
帰りは マーセド近くのリビングストンという小さな町のサービスエリアのような場所にてトイレ休憩、帰りの休憩は一度きり。
ヨセミテからサンフランシスコへの帰りの道は日が暮れたあとは真っ暗。街灯も少ない上にもちろん建物が少ないので前の車のテールランプめがけて走っているような感じ。そのため車内は真っ暗で、ほかの乗客は時差ボケのせいか、大体眠っていた。
20:30ごろにサンフランシスコに到着。
帰りはホテル近くのホールフーズで降ろしてもらい、遅い夕食を購入。 妻の待つホテルに戻った。
12月27日
この日は朝9時に起床し10時過ぎにホテルをチェックアウト。
サンフランシスコ観光最後の日だ。この日の夜にラスベガス行きの飛行機にてラスベガスへ向かう。
初日の観光ではこなせなかったサンフランシスコで訪れてみたかった場所へ向かう。
まず向かうはヘイトアシュベリー。
<ヘイトアシュベリー>
ヘイトアシュベリーはヒッピー文化の聖地と言われる。ヒッピーとは既存の社会体制を否定し、自然回帰を目指すスタイルを持つ人々である。ジョンレノンやジャニスジョプリン、グレイトフルデッドなど様々なミュージシャンやアレンギンズバーグ、サンリンジャー、デニスホッパー、スティーブジョブズなどヒッピー的なバックボーンから生まれた文化人・起業家は数知れない。このヘイトアシュベリー付近にはレア物のレコードやオリエンタルな雰囲気漂うアジア雑貨、さらに古着を売る店をはじめ、日本でいうと裏原系のようなインディペンデントなブティックも数多い。フィッシャーマンズワーフは旅行者向けに造られた一画であったのに対してヘイトアシュベリーは各店のオーナーが自己主張しあっているエリアに感じた。

ヒッピー文化の聖地 ヘイトアシュベリー

ラスプーチンレコード

ヘイトアシュベリー近くにあった可愛らしい家

次に向かったのはThe Mill というコーヒーショップ。サンフランシスコはブルーボトルなどサードウェーブと呼ばれるコーヒームーブメントの発祥の地とされており、一風変わったスタイルのカフェが多い。The Millの店内はまるで倉庫を改装したようなレンガ造りで開放感のある広さ。コーヒー豆の焙煎機があり何人かのスタッフが忙しそうに働いている。またこのコーヒーショップを特徴づけているのは店内でパンを作っているのである。つまりコーヒー専門店とベーカリーが一緒になったような店なのである。朝8時に焼きあがるという全粒粉のパンのトーストとそれに合うコーヒーを提供してくれる。

The Mill  サードウェーブ・コーヒーショップ

全粒粉のパンのトーストとそれに合うコーヒーを提供してくれる

The Millを後にして向かったのがロンバードストリート。
<ロンバードストリート>
世界一曲がりくねった坂道と評されるこの通りは、坂道が多いサンフランシスコの街中でも極めて急勾配であったため車で通行できるようにS字カーブをつくったのがその始まりとされる。

ロンバードストリートの目の前を通るサンフランシスコ名物ケーブルカー

世界一曲がりくねった坂道  ロンバードストリート

坂道がすごい

そこから歩いでフィッシャーマンズワーフへ歩いて行く。フィッシャーマンズワーフはサンフランシスコ初日の夜にも訪れたが昼間の様子もみて見たかったため再訪した。昼間は夜間よりも人が少なく港町の趣がグッと増すので夜よりも私は昼間の方が好きだ。またフィッシャーマンズワーフを代表するレストラン&ショッピングスポット、ピア39では無数のアシカたちをはっきり見ることができる。これも昼間ならではの景色である。なぜこんなにサンフランシスコにアシカが住み着いたというと1989年の地震の影響でエサの豊富にある湾沖にやってきて天敵がいないこの地に住み着いたそう。なおアシカたちは夏の間は繁殖のため南へ移動するため見えなくなるので注意。

お昼のフィッシャーマンズワーフ

フィッシャーマンズワーフに住みつくアシカ

脱出不可能の監獄島 アルカトラズ島

それからトラムにのって湾岸沿いベイブリッジの眺めが美しいオイスターバーWaterbar へ。サンフランシスコに来たら生ガキを食べたいと前々から思っていた。以前サンフランシスコ訪れたが妻が市内でカキを1$で食べたと自慢してきたのだ。物価の高いアメリカでカキを1$で食べられるはずがないと思っていたのだが、妻が実際レストランで撮影してきた綺麗に盛られた生カキを見ると「サンフランシスコに着いたら生カキ」が私のサンフランシスコ滞在の目的の一つと化した。サンフランシスコではオイスターバーが比較的多くあり、各店ともハッピアワーを設けているためその時間帯であれば格安でカキを食べられるのがその理由である。ホテルに近く評判のよいオイスターバーWaterbar を選んだのは大正解であった。窓から見えるベイブリッジの眺望は美しく、カキももちろん美味しい。白ワインのグラスが1杯9$なのはちと高いがこの眺望と味であれば元以上のものはとれた。サンフランシスコ最後の夕食は大満足で締めくられた。

1カキ1$のオイスターバーWaterbar ベイブリッジの眺めも最高

夕刻のベイブリッジ

その後ホテルに戻り預けていた荷物をピックアップ。ローカルバスで空港へ向かう。
ラスベガス空港へ向かうフロンティア航空はターミナル1。チェックインを終えて1.5時間ディレイではあるが無事出発。ラスベガス行きのフライトは満席であった。皆さん新年をラスベガスで迎え、運だめしをラスベガスでするのだろうか。
12月28日
午前1時にさしかかろうとするところの真夜中、ラスベガスの地に降り立つ。
ラスベガス空港は潔い。空港に入るなりスロットマシンがある。バゲージクレームのエリアにもスロットマシンが。空港からラスベガスに来た!という気分になる。没個性的だと思っていたアメリカ本土の空港だがラスベガスの空港はいいなぁ。

到着後即バゲージクレームで運だめし!

預け荷物を引き取り、シャトルバス乗り場へ。シャトルバスは24時間運行しているはずだがすでにカウンターは閉まっていた。タクシー乗り場のスタッフに確認したところ、向こうのシャトルバスが待機している場所へ行ってみれば?とのこと。言われるがままシャトルバスの近くに行くと、恰幅の良いスーツの女性がおり、ストラトスフィアホテルに行きたいのだけどと言うと、もちろんという感じで荷物を引き受けてくれた。徐々に同じシャトルバスに乗るお客さん集まり合計9人、計3組になったところで出発。シャトルバスの料金は8$のはずだが、ストラトスフィアホテルはストリップの北側のためか10$と言われた。
空港から近い順のホテルにお客を降ろしていき、我々が最後にストラトスフィアホテル到着した。
<ストラトスフィアホテル>
ラスベガスのメイン通りストリップの北の端に位置するストラトスフィアタワー。観光名所でもあるここはホテルも併設している。中心地から離れており、繁華街へのアクセスはよくないためホテルの料金が少し安めである。ラスベガス市内での観光をあまり重視しない場合であればおすすめ。ホテル周辺にはコンビニやファミリーレストランが多少、ホテルの2階にはファストフードやレストランが充実している。ホテルのゲストはタワーへの無料入場がうれしい。室内はかなり清潔。無料のWIFI、ドライヤー、エアコン、バスタブ、セーフティーボックスがある。冷蔵庫、スリッパはない。

ホテルの入口はすべてカジノエリアから始まる

ストラトスフィアホテル

ラスベガスのホテルはすべて入り口にカジノがあるようで、まずはカジノの誘惑をかわしホテルの受付にたどり着かなければならない。
これは後から知ったことだが、ラスベガスはお客に長く居させるために様々な工夫を凝らしている。気持ちを高ぶらせるようなライティングや絨毯、時間を忘れさせるために時計はおかない、気を大きくさせるために無料でアルコールの提供をする。また休憩用のイスは一切置かない。歩き疲れたお客が座るのはスロットマシンのイスで、そこで賭けてみようかなと気になるらしい。
ようやくフロントを見つけてチェックイン。
小腹がすいてきたので、ホテル外のコンビニエンスストアでホットドックと明日のツアー中の食料と水を調達する。ホテルで食事を終えるとすでに午前3時半をまわっていた。
この日はセドナへの日帰りツアーに参加する予定だ。ツアーの出発は朝4時半。悠長に構えていたがシャワーを浴び、着替え、急いで集合場所へ向かう。
<セドナ日帰り観光>
集合時間は若干すぎていたがまだ迎えは来ていなかったようだ。胸を撫で下ろす。午前4:45位にお迎えがきて、他のホテルへお客さんをピックアップ。駐車場に移動し、14人乗りのバンに乗り換えてさらに別のホテルにお迎えに行く。バンは満員御礼。いざセドナへ。
寝られなかった分、セドナまでの移動中に睡眠をとる。移動時間は約4時間、往復とも2回ずつ休憩がある。ラスベガスの街を超えると荒野が延々と続く。
セドナに近づくにつれて赤茶けた大地と大きな岩山が目の間に見えてくる。
セドナはネイティブアメリカンの聖地であり、ネイティブアメリカンの民族にはこの地に立つだけで先祖からエネルギーや波動を受け取れる場所(Vortex ボルテックス)と考えていた。セドナのこの特殊な地形は川の流れによるものや地震によるものではなく、地殻変動による隆起が原因でこのような不思議な光景をもつ場所になったそうだ。つまりネイティブアメリカンのいう大地のパワーが渦巻く場所(Vortex ボルテックス)であることは科学的にもあながち間違いではないのだ。
もともとは小さな町であったが、1970年代には自然回帰を求める新しいライフスタイルが提唱され、多くの人々がボルテックスを求め、このセドナを訪れるようになった。その後数多くのアーティストやスピリチュアルな人々がボルテックスを求め移住してきたそうだ。日本でも2000年代からの占いブームによってオーラの集う場所としてテレビに取り上げられ注目された。占いブームが落ち着いた今も日本からの訪問客は多いようだ。
まず降りたのは呼び鈴の形に似ていることからベルロックと称される岩石とその隣にある裁判所の形に似ていることからコートハウスビュートと呼ばれる岩山のビューストップへ。

裁判所の形に似ている コートハウスビュート

4大ボルテックスの一つ ベルロック

その後、これもベルロックと同じく4大ボルテックスの一つ、カセドラルロックのビューポイントへ。ベルロックは男性性のボルテックスを持つとされる一方このカセドラルロックは女性性のボルテックスが強い岩石だと言われている。

女性性のボルテックスが強い カセドラルロック

雄大な景色の連続 セドナ

3番目のビュースポットは、赤い岩壁に囲まれたホーリークロス教会。1955年に建てられたカソリックの教会である。この教会からの展望も素晴らしい。子供を抱くマリア像のような形の岩石が見つかったことが、この像付近に教会を設立するきっかけとなったそうだ。なお鷲の頭に見える岩石や、世界で最も高価な住宅と言われるセドナの中心部にある10億円相当の豪邸もここからじっくり眺めることもできる。

赤い岩壁に囲まれたホーリークロス教会

10億円の豪邸とカセドラルロック

カセドラルロックの眺望

最後のビュースポットは4大ボルテックスの一つに数えられる、エアポートメサからの景色。ここからはディズニーランドにあるアトラクションのアイデアの元になったといわれるビックサンダー、さらにその形が似ていることからコーヒーポットロックと呼ばれる岩石の雄大な眺望を楽しむことができる。個人的にはビックサンダーの地層がグラデーションを描くように美しくはっきりと見えるためエアポートメサからの景色が私は中でも気に入った。

エアポートメサからビックサンダーの眺め これも4大ボルテックスの一つ

すぐ近くにはアメリカの国旗が誇らしげにはためいていた

エアポートメサを後にし、アップタウンにて昼食のため、1時間ほど自由行動。
我々はフードコートにてタコスとフィッシュ&チップスを注文。展望がよいテラス席近くの場所で贅沢なランチタイム。こうして雄大な景色を見ながら食事をしていると、日帰りでセドナ観光をしていることが大変もったいないことのように思えた。天気は申し分ないほどの青空であるが、これが夕方オレンジ色に染まる時間帯、そして夜中星空が輝きだす時間帯、さらに早朝の黄金色の朝日を浴びた時のセドナの表情を私は見ることができないのである。もしこれからセドナを観光しようとしている方がいらっしゃれば時間の許す限り、1泊以上の滞在をおすすめしたい。

セドナの街 アップタウン

セドナを巡回するトロリー

ランチしながらこの景色・・・このまま石になりたい

ネバダ時間で14時ごろ、セドナを後にしてラスベガスへ向かう。途中、アメリカ文化の発祥の地とよばれるルート66の街セリグマンを経由した。ルート66は幾多の小説や映画の舞台であり、ファストフードやモーテルなどの文化はこのルート66から生まれたと言われている。またディズニー映画のカーズのモデルとなった街はこのセリグマンとのことで、街にはカーズのキャラクターを模したような車が並べられていた。

目が入れられたのは映画化される前らしい

ラスベガス到着は午後6時半ごろ。私たちはストラトスフィアホテルではなく、ラスベガスの中心地であるフォーコーナーにて降車させてもらう。
フォーコーナーはラスベガスでもっとも歴史あるホテル、フラミンゴや噴水ショーで有名なベラッジオのある十字路のことである。
まずはラスベガス観光の定番あるベラッジオの噴水ショーへ。噴水ショーはホテルの前にて無料で観られるとあって、多くの人で賑わっている。私は前の方に陣取って噴水ショーを満喫した。
ベラッジオから歩いて向かったのはホテル、ミラージュ。ミラージュもベラッジオと同じく、ホテル前にて無料の噴水ショーを行っている。ただし同じ噴水のショーであっても、ミラージュの方がベラッジオよりも趣向を凝らしており、ミラージュは火山の噴火をモチーフにしている。水と炎を使い火山の噴火を表現しており、その演出が見事だ。私はミラージュのショーの方が面白いと感じた。実際、観客の数もミラージュの方が多いように見受けられた。

ベラッジオの噴水ショー

豪華絢爛過ぎるシーザースパレス

ベラッジオから反対車線に渡り向かったのはイタリアのベネチアをテーマにした巨大なホテル、ベネチアン。ベネチアンではカジノにチャレンジした。といっても無料でもらえるカクテルを目当てなので、1セントのスロットマシンでちびちびかけてなんとかカクテルを配るお姉さんに来てもらおうとスロットマシンをプレイしているが一向に現れない。無料のアルコールは頻繁に配るものではないらしいので、アルコールが目当てであればカジノに金をつぎ込むより売店で購入する方が安上がりかもしれない。

カジノをしているふり 無料のお酒を待つ

ヴェネチアンホテルの天井

ベネチアンからストリップを循環するバスに乗り、ストラトスフィアホテルへ。
コンビニで昨日も購入したサークルKのホットドック(お気に入り)で夕食。その後、ストラトスフィアホテルのゲストであれば無料で入場できるというストラトスフィアタワーへ。
実はあまり期待していなかったのだが、なかなかこのストラトスフィアタワーの眺望は面白かった。ラスベガスはこのタワーよりも高い建物がないので周辺一面を見渡せる。また山もないため、平坦でどこまでも続くような夜景が満喫できるのだ。時間帯のせいか子供達も少なく、照明は暗めでお酒を出すようなバーもあり、ロマンティックでもあった。もしカップルやご夫婦でラスベガスへ訪れる機会があればタワーに行かれることをおすすめしたい。

ラスベガス名物インスタントウェディング

ホテルへ戻り、明日の出発のため荷物整理に取り掛かる。
明日も朝4時半集合なのだ。。。。。
12月29日
この日はグランドサークルの1泊2日ツアーに参加する。アンテロープキャニオン、ホースシューベンド、モニュメントバレー、グランドキャニオンを観光する盛りだくさんの内容である。
ストラトスフィアタワーの展望台を観光して、お風呂に浸かって、歯を磨いていたりしている間にいつの間にか午前1時を回っている。
1時から2時まで仮眠し、セドナで撮影した写真を整理し、荷物の整理をして朝の4時半の集合時間までの時間を過ごした。
朝4時にホテルのチェックアウトを終え、荷物をホテル入り口のベルデスクに預ける。明後日まで預かって欲しいというとベルデスクのスタッフは慣れて感じで「グランドキャニオンのツアーに参加するんだね」というふうに気前よく預かってくれた。ガイドブックに荷物を預ける際は荷物1つ1日につきチップを渡すようにと記載があったので5$渡した。
アメリカに旅行していると小銭(1$、5$、10$札)がすぐになくなっていく。チップはもちろん、バス料金などはお釣りがでないことが多いので、細かなお金がないと損をすることも。日本で予め用意しておくのがベストだが滞在先がラスベガスであれば心配は無用。手数料無料の両替機がカジノにあるのだ。我々はここぞとばかりに小額紙幣を今後の旅行のためにいくつもつくり、財布をぱんぱんにしておいた。

カジノ内にある超便利な両替機

<グランドサークル1泊2日ツアー>
4時半の集合時間のはずだが4時50分の段階でまだ来ない。現地の緊急連絡先へと連絡するとどうやら集合時間を間違えて伝えられたみたいで正確には5時15分とのことだった。チェックアウトしてしまったので仕方なくそのまま待つ。
5時15分ほぼちょうどにお迎えがきて、出発。
今日のバンも昨日と同じく満員御礼。やはり年末なだけに多くの人が休みを利用してツアーに参加しているようだ。
我々がまず向かったのはアンテロープキャニオン。途中、ユタ州のハリケーンという街で途中休憩を挟んで約4時間半のドライブ。到着したのは11時頃。
ここでラスベガス滞在中の時差に関して注意をしたい。
昨日のセドナの場合もそうだが、ラスベガスのあるネバダ州とグランドキャニオンなどがあるアリゾナ州はもともと1時間の時差があり、アリゾナ州のほうが1時間進んでいる。またアリゾナ州はサマータイムを導入していないため、3月中旬から11月初旬までは時差がなくなる。アリゾナ州のフェニックス空港などの飛行機を利用する場合やツアーの集合時間は要注意。しかしややこしいことにナバホ族居住地はサマータイムを導入している。とにかくアリゾナ州は時間に関してはややこしいといいことは頭に入れておいておしい。
<アンテロープキャニオン>
アリゾナ州ナバホ居住地のスロット・キャニオン。スロット・キャニオンとは気の遠くなるような長い時間、雨水と砂丘が積み重なり固まってできた砂岩の亀裂に雨水が鉄砲水となり、岩を削ってできた峡谷のこと。美しくしなやかな曲線が織り成す空間とそこにわずかな隙間から差し込む光が幻想的な景観をつくりだす。
アンテロープキャニオンにはアッパーとロウワーの2箇所あり、アッパーは全長150mの短めのコース、よく絶景の写真集などで紹介されるビーム(空から光が差し空間を明るく照らす現象)はアッパーでよく見られる現象である。そのため写真を撮ることが目的であればアッパーをおすすめするが、頻繁にみられるのは太陽が真上に上がる春から秋にかけての正午前後のみだ。ロウワーは全長400mにも及ぶ長さであり、アッパーと比べて深く狭い。距離が長い分、様々なアンテロープキャニオンの表情楽しめるのと時間帯と季節にさほど左右されないのがメリットだ。
この時期のアッパーではビーム現象はみられないとのことだったので、我々はロウワーを観光する。ナバホのガイドが道案内をしてくれる。狭い中階段を登ったり下ったりするのでしっかりした靴や汚れてもいいような動きやすい服装を選びたい。またカメラもできるだけ広角ほうがいいだろう。幻想的な景観のアンテロープキャニオンを間近にしてみると、まるで絹がそのまま固まったようなに刻んだようなやわらかな線に気付くはず。そして差し込む光の加減により、砂岩は極端にその表情を変える。自然がつくりだす景観というのはここまで繊細なものなのかと驚嘆した。
最後にナバホ族のガイドが、アンテロープキャニオンが形成された変遷を実演してくれて、約1時間におよぶ観光は終了。
その後、中華料理の昼食を挟み車で約10分、到着したのはホースシューベンド。

アンテロープキャニオンのそばの火力発電所 あまりの煙の大きさに事故だとおもった

ロウワーアンテロープに入場

光の加減で様々な表情を見せるロウワーアンテロープキャニオン

女性の頭にも見える

光が洞窟内を幻想的に照らす

まるでシルクを押しあてたような美しい流線

ナバホ族のガイドがアンテロープキャニオンの成り立ちを説明

<ホースシューベンド>
グランドキャニオン上流にあるコロラド川がまるで馬蹄のように曲がった地形のためこの名前がついた。コロラド川が巨大な岩山を侵食し、川の内側・外側ともほぼ垂直に切り立った断崖絶壁の絶景が形成されている。緑のコロラド川と赤茶けた大地のコントラストの美しさに圧倒されることだろう。足を踏みはずそうなら真っ逆さまに転落しかねない危険な場所であるので、よほどの怖いもの知らずの人でない限り崖には近づかないほうが賢明である。

腰が引けているし目がいっちゃっています

滑り落ちて死人がでているというのに無謀な人

車を駐車場にとめ約1km、砂の道を歩くとホースシューベンドの姿が見えてきた。
広がる絶景、崖の近くまでいくと腰が引けてしまう。
期待以上に感動したという意味ではこの旅行のナンバーワンといってもいいかもしれない。写真では遠近感がつかみづらく、スケールに気付かなかったが、実物を見るとその光景には絶句してしまう。
ホースシューベンドを最後にこの日の観光は終了。本当はモニュメントバレーの観光をこの日に行う予定だったがこの時期は17時頃には暗くなってしまうのでホースシューベンドから約2時間、モニュメントバレー近くのナバホ族の街・カイエンタにて宿泊。
<ハンプトン・イン>
ナバホ族の街・カイエンタにあるヒルトン系列のホテル。ホテルの質としては3.5星位だが、さすがヒルトンのマネジメントだけあってサービスが充実している。無料の水やコーヒー、お茶にお湯、さらには果物のサービスまであった。室内には無料のWIFIのほか、エアコン、バスタブ、ドライヤーあり。セーフティーボックスやスリッパはない。ホテルにはレストランも併設している。周辺にはマクドナルドやバーガーキングくらいしかないので経済的に夕食を済ませたい場合は途中の売店であらかじめ購入のこと。
明日のモニュメントバレーの日の出に備えて早めの就寝。
12月30日
朝5時半に起床し、出発の準備。
朝日に照らされるモニュメントバレーを観光するためである。
7時半に朝日が昇り始めるためカイエンタのホテルの出発は朝6時45分。朝6時から朝食がスタートするため6時ちょうどくらいにレストランへ。朝食を頬張り、部屋に戻って歯を磨いてチェックアウトのため荷物を持ってフロントへ。他の参加者の方も準備万端予定時間通りに出発した。
カイエンタから約30分のドライブでモニュメントバレーに到着。だんだんと空は白けてきた。
<モニュメントバレー>
アメリカを、いや地球上のあらゆる自然現象を代表する美しき岩の彫刻、モニュメントバレー。澄み渡るブルーの空と赤茶けた大地とそそり立つ巨大な岩石、そこはまるで西部開拓時代。そのあまりに印象的な風景は数多くの映画、CMのロケ地として使われた。あたかも記念碑が並んでいるようなこの摩訶不思議な地形が生まれたのは3千年前にも遡る。ロッキー山脈の造山活動により隆起した2億7千万年前の地層が風化・侵食されたという。ナバホ族の聖地であり、現在もナバホ人が居住し、公園内を管理している。そのため一部エリアはナバホ人が運営するツアーでのみしか立ち入ることができない。
モニュメントバレーの駐車場に到着した我々はまず、展望台にて朝日を待つ。
展望台にはモニュメントバレーに立つ唯一のホテル、ビューホテルがある。ただし料金はモニュメントバレー近郊のホテルに比べるとかなり高いらしく、一部のツアーを除き、私達が泊まったカイエンタのホテルなどを利用することが多いそうだ。カイエンタのホテルでもモニュメントバレーまで近いため朝日は見ることはできるが、夕焼けや夜のモニュメントバレーは見られないのでどうしてもその時間のモニュメントバレーを見たいのであればこのホテルに泊まるしかない。
暗闇の中から黄金色の輝きを放ちながら昇る太陽を見ると、なぜか心身ともエネルギーに溢れるように感じるから不思議だ。心身がフレッシュに感じ、爽やかな気分になる。日本で日常生活をしていると日の出を見ることはない。すでに太陽は昇っていて、私にとって太陽の光はせわしない1日の始まりを意味し、時に疎ましくさえある。当然なことのように感じていたが、朝日が昇り夜だった世界に光を照らし出してくれることはなんと幸福なことだろう。

モニュメントバレーにて朝日を待つ

徐々に赤く染まっていく

モニュメントバレーから昇る朝日

朝日が昇り、モニュメントバレーが燃えるような赤に変わりゆくころ、我々はナバホ族のドライバーが案内するバレードライブに出発した。バレードライブとは文字どおり広漠たる荒野をビュート(残丘)の合間を縫って4WDでドライブするというもの。バレードライブでは高さ300m以上もあるというビュートの近くへ寄ってくれるため、その巨大さが身をもって実感できる。また展望台からでは見えないビュートが数多く存在し、モニュメントバレーが一枚の写真では収まることのない壮大なスケールをもつ場所であることがわかるはずだ。
まず降り立ったのがジョン・フォード・ポイント。西部劇映画の巨匠、ジョン・フォード監督が好んで映画に使ったという場所。3人の修道女が祈りを捧げているような姿に例えられるビュートなどを見ることができる。

左側の3本の石柱がスリーシスターズ

メリックビュート

2番目訪れたのがトーテムポールポイント。まるでトーテムポールのような長細い石柱が並んでいる様子から名がつけられた。高いもので150mの高さがある。またトーテムポールの反対側にはまるで角砂糖を落っことしたようなキューブと呼ばれる岩石がある。微妙なバランスで立っているため、いつ崩れてもおかしくはなさそうである。

トーテムポール

キューブ

3番目に立ち寄ったのがアーティストポイント。ここからの景色全てがアートに見えることから名付けられた。
最後にジャンプして写真をとるとダイナミックにとれるというポイントへ連れて行ってもらいガイドにそれぞれ撮影してもらった。あらゆる角度からビュートを堪能した我々は大満足。ナバホ族のドライバーにチップ(1人3$)を渡す。
モニュメントバレーを後にして向かうのはグランドキャニオン。途中キャメロンという街にて昼食のためナバホ族の郷土料理のレストランへ。
ガイドさんがオススメしてくれた、ナバホ族スタイルのタコスとステーキを2人でシェアした。ナバホ族の主食は、外はカリカリ中はモチモチとした揚げパン。揚げパンの上にサルサや牛肉をのせた料理が私達のテーブルにサーブされる。かなりボリュームがあるのと揚げパンが多少胃に重いので完食する人はあまり多くはないそうだが大変美味しい。なおナバホ族移住地では酒は販売されておらず、このレストランも例外ではない。
レストランを後にして、グランドキャニオンへ向かう。キャメロンからは車で30分ほどでサウスリムの南ゲートに到着。
<グランドキャニオン>
世界で最も有名な大渓谷、グランドキャニオン。その絶景はなんと東西にわたり446Km、東京から琵琶湖までの距離に相当する長さ。広大な大地が7000万年前の地殻変動によって隆起し、4000万年前から侵食・風化を繰り返していると言われている。最深部の地層は20億年前の地層と言われており地質学的に貴重なものである。ランドキャニオン国立公園はコロラド川を隔てて北側のノースリムと南側のサウスリムに分けられる。ノースリムの方が標高が高く積雪のシーズンには閉鎖されてしまう。対してサウスリムはホテルや道路、展望などが整備され、年中オープンしているため一般的なツアーではサウスリムを訪れる。
我々はサウスリムの東口から入場。
まずストップしたのがリーパンポイント(LIPAN POINT)。リーパンポイントは峡谷の幅がもっとも狭い場所(それでも16km)のため谷の奥底まで見渡せる絶景ポイントと言われている。ホースシューベンドでも感じたことだが、写真で見るよりもずっと感動した。写真で見るとコロラド川は3mほどの広さしかないように見えるが実は60mの大河であるらしい。

グランドキャニオン リーパンポイント

見ているだけで鳥肌がたってくる絶景

車に乗り込みリーパンポイントから20分ほど。次に訪れたのがヤバパイポイント。ガイドが一押しするもっとも恐怖を感じる絶景ポイントである。一枚の岩が崖に突き出ている箇所がある。まるで宙に浮いているような絶景の写真を撮影することができるが、希望者は少ない。

見ているとこっちもハラハラしてしまうヤバパイポイント

最後に立ち寄ったのがサウスリムビレッジ。サウスリムビレッジには売店、ホテル、展望台、さらにトレイルなど旅行者の起点になる場所だ。展望もさることながらグランドキャニオンにまつわるグッズ販売店や110年前に創業したEL TOVAR HOTELに訪れるのもの面白い。特にEL TOVARは西部開拓時代の瀟酒な邸宅風でありタイムスリップしかたのような雰囲気に浸ることができる。

ブライトエンジェルポイント


西部開拓時代の瀟酒な邸宅ホテル EL TOVAR

長いようで短かった1泊2日のツアーはこれにて終了。
セドナの時にも立ち寄ったルート66の街・セリグマンで休憩し、ラスベガスへ向かった。

ジョン・ラセターのサイン

ホテル到着は午後7時ごろ。
預けておいたスーツケースなどを引き取り、ストラトスフィアホテルのタクシー乗り場から空港へ。ホテルから空港へは約25$。チップ込みで30$を支払った。
搭乗するのはLCCのスピリット航空。
スピリット航空では預け荷物はもちろん、貴重品以外の手荷物も有料。カウンターで対面でのチェックインも有料という徹底ぶり。機内でも「スピリットの機内でタダなのは空気だけ」という冗談にも聞こえないアナウンスで機内は笑いの渦へ。
空港内のウェンディーズにて夕食を食べた後、夜行便でワシントンのボルチモア空港へ向かう。
12月31日
朝7時にワシントンDC近くの空港、ボルチモアに到着。同じアメリカだがラスベガスのあるネバダ州とワシントンDCでは3時間の時差があるので、7時といえども体内時計は午前4時の真夜中である。
ボルチモア空港からは無料のシャトルバスで空港駅へ。
空港駅からワシントン中心のユニオン駅へは2種類の列車がある。
アムトラックとマークである。アムトラックであれば15$、マークであれば7$。所要時間も乗り場も同じの列車で、こんなに料金が違うのに普通マークを選ぶと思うのだがどうなのだろう。どういうシチュエーションでアムトラックを選ぶのかが知りたい。
列車に乗り込み約40分、ユニオン駅に到着。
スタイリッシュなショッピングモールのようなユニオン駅を抜け、この日のホテル、ハンプトンインへは歩いて移動する。
<ハンプトン・イン>
グランドサークル1泊2日ツアーでも使ったハンプトン・イン。ユニオン駅からは徒歩20分程度。ここワシントンでも質・サービス共に申し分なかった。コーヒー、お茶、お湯は無料。室内ではもちろんWIFI無料で冷蔵庫、バスタブ、ドライヤー、レンジ、セーフティーボックスも完備。近くにコンビニ的なものはないが、スーパーマーケットのセーフウェイが徒歩5分にある。スミソニアン博物館のあるモール地区までは徒歩15分ほど。
まだ朝の9時とあってチェックインはできないので、荷物だけ置かせてもらい。ワシントンDCの観光へでかける。
<ワシントンDC>
アメリカの首都、ワシントンDC。アメリカ独立戦争後、発足した新連邦政府の首都をどこに決定するかは大きな問題であった。初代大統領ワシントンの就任式は、名実ともに政治・経済の中心地であったニューヨークにておいて行われたが、独立戦争において多額の負債を抱えたニューヨーク州をはじめとした北部の都市は困窮する。独立戦争のために抱えた負債を新政府が肩代わりすることになったが、それに反対したのが、ヴァージニア州など負債のない南部。それまでの歴史と政治の中心であった北部、経済的な余裕があり首都を南寄りに置きたい思惑のある南部。妥協案としてメリーランド州とヴァージニア州に挟まれたポトマック川湖畔にコロンビア特別区ワシントンを設置したのだった。恒久的な首都の役割を果たすため大統領官邸、国会議事堂、最高裁判所などの政府機関をはじめ機能的に配置した都市として計画的に進められ、実際首都として起動したのは首都に制定されてから8年後のことであった。8年越しの都市建設の結果、ワシントンDCは超大国アメリカに相応しい自由で開放的な雰囲気をもった特別な場所になることに成功したのはご存知のとおりである。
ワシントンDCは政治の中心の都市であるとともに、地球と人類の遺産を網羅する世界最大の博物館群を有する都市でもある。その多くはイギリス出身科学者・スミソンが遺産を基金として造られたため、「スミソニアン博物館」と一括りにされる。ワシントンDCの国立公園ナショナルモールの通り沿いには国立航空宇宙博物館、国立アメリカ歴史博物館、国立自然史博物館、ナショナルギャラリーを始めてとして、国立アフリカ美術館、国立アメリカ・インディアン博物館、国立公文書館など。変わったところでは肖像画美術館、郵便博物館、ホロコースト記念博物館、スパイ博物館まである。しかも素晴らしいことにそのほとんどの博物館・美術館の入場は無料である。これはアメリカ政府の財源と寄付・寄贈、出版物・ミュージアムショップからの利益によって賄われているためである。
ワシントンDCはホワイトハウスや国会議事堂など政府機関、さらにキング牧師の演説のあったリンカーン記念堂などの歴史的な場所、および世界でもっとも大規模で多岐に渡る博物館・美術館群をもつ、アメリカ史の観光という点では最も重要な都市と言っても過言ではない。
ホテルをでて私たちがまず向かったのはホワイトハウス。意外に小さくてびっくりした。近くのアイゼンハワー行政府ビルや財務省の建物の方が重厚感があり立派に見えるのは、ホワイトハウスが邸宅だからだろうか。おそらくクリスマス休暇でオバマ大統領はハワイにいると思うので、一緒に年を越せないのは残念だ。

FBI本部

意外に小さかったホワイトハウス

次に向かったのは国会議事堂。ホワイトハウスではツアーは現在行っていないが、国会議事堂は無料のツアーを行なっており、WEBで事前申請が可能だ。国会議事堂の内部に入場するにはツアーに参加しなければならない。我々は12時に予約をしていたので予約時間の30分前に到着するように国会議事堂正面裏手のビジターセンターへ向かう。ビジターセンター入り口で荷物検査。食べ物と液体は一切中に持ち込みができないので注意しよう(カメラはOK)。その後、受付でツアー参加者の証であるシールを受け取り、見えるように服の上から貼り付ける。まず国会議事堂についてのオリエンテーションのビデオ(10分ほど)を見せられて、15人ほどのグループに分けられ、ヘッドフォンを渡される。あまりに参加人数の多いツアーなのでガイドの説明が皆に聞こえるように配慮されているのだ。ツアーは40分ほど、もちろん英語のみ。彫刻の広間や議事堂内の絵画の説明があるだけで実際の議場などはツアーに含まれなかったので多少残念ではあった。また議事堂のドーム部分は修復中であったためワシントンDCの中でも最もシンボリックな景観を拝めなかったのも心残りではある。なお改築終了は2016年中を予定しているとのこと。

国会議事堂内部見学ツアーWEBで予約可能 無料です。

国会議事堂を後にし、向かったのは国立航空宇宙博物館。以前ワシントンDCに滞在したことのある妻のオススメの博物館の一つ。1903年、人類初の動力飛行に成功したライト兄弟のフライヤーから宇宙船や日本の零戦まで、航空機に関しての歴史と軌跡を解説・展示している。まず飛行機やスペースシャトルの一部が実物大で展示されているのに圧倒される。さらにミサイル、月の石、スペースシャトル内部の展示などの貴重かつ膨大なコレクションに驚かされる。まるでテーマパークに来たかのようにワクワクできる博物館である。

国立航空宇宙博物館

資料的な価値のある本物の飛行機が所狭しと並ぶ

その後、ナショナルギャラリーに入場。アメリカのみならずイタリア美術、13〜20世紀のヨーロッパ絵画のコレクションをもつ世界最大級の美術館。主な収蔵品はレオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、エル・グレコ、ルーベンスにレンブラント、フェルメールなど誰もが知る有名な画家の作品が収められている。

膨大な作品集をもつナショナルギャラリー

夜行便で今朝ワシントンに到着した上に、ホテルで休むことなくそのまま観光にきた我々はこの膨大な作品の前に疲れてしまい、午後4時近くになってホテルにチェックインできるだろうということで、ナショナルギャラリーを早々に立ち去りホテルで休憩をすることにした。入場無料だからできるわざである。
ホテルで休憩した後、近くのスーパーマーケット・セーフウェイで買い出し。
またこの日は大晦日なので、ワシントンDCの中で賑やかな場所に行こうということで、もっとも飲食店多いエリア、デュポンサークル周辺へ歩いて向かう
時刻は夜8時過ぎ、しかしワシントンDCの街中は大晦日であることを全く思わせないような静寂ぶり。大騒ぎしているのはニューヨークだけなのだろうか。
一部のホテルでパーティーをしているようだが、不特定多数の人々が集まりカウントダウンをするような場所はなく、いそいそとホテルに戻りスーパーで買ったお惣菜をつつきながら、ニューヨークでのカウントダウン中継する歌番組を見てしっぽり新年を迎えた。

大みそかにも関わらず繁華街のデュポンサークルも静か

1月1日
アメリカの元旦。
日本みたいな正月番組はないようで、正月らしい音楽も街中を騒ぎ立てない。一部のお店はお休みをとるお店もあるが博物館や美術館、レストランのほとんどは元旦も営業。日本みたいにお祭り騒ぎやイベントをすることも都市柄なのかあまりなさそうだ。これはこれで落ち着いていていいと思う。日本はクリスマスも正月も何事も経済的な面が優先されすぎる。
遅めの朝食を食べて、ホテルを出る。
ホテル近くのバス停でバスに乗り(1.75$)まず向かったのはリンカーン記念館。歴代アメリカ大統領でもっとも偉大な大統領と言われるほど未だ人気の高いそうだ。ギリシャ神殿風の建物の奥には椅子に腰掛けた巨大なリンカーン像。大理石で作られたこの像の高さは5.8m。精巧に作られた像の目線は、国会議事堂とその先を見つめているようだ。壁にはゲティスバーグでの有名な演説が刻み込まれている。なおリンカーン記念堂は様々な演説に利用されており1963年のマーティン・ルーサー・キングの演説もここで行われた。

リンカーン記念館近くにある国立科学アカデミー アインシュタイン像

精巧で巨大なリンカーン像

ワシントン記念塔とカモ

リンカーン記念館を後にして入場したのが、国立アメリカ歴史博物館。アメリカの歩んだ歴史をゆかりの品を紹介しつつテーマごとに展示している博物館。個人的にはアメリカのイノベーションと題した展示物が面白かった。ファストフードの海外展開とそのローカライズに初めて成功したマクドナルドの日本の看板。コンピューターに初めて採用されたマウス。焼き菓子からヒントを得たというワッフルソールのナイキ初期のスニーカー。世界で初めて開発されたというGM社の電気自動車。最近のものだとiPodやiPhoneの初期のモデルも展示されていた。

国立アメリカ歴史博物館 iPodにウォークマンも

その後、私の妻一押しの国立自然博物館へ。2009年の映画「ナイトミュージアム2」の舞台にもなった。スミソニアン協会が所有する資料の90%以上のコレクションをもつという博物館。先カンブリア時代の化石に始まり鉱物・宝石の展示、さらには恐竜の骨から鳥や魚、動物の剥製、生きている昆虫や蝶などの標本、さらにはミイラにアメリカや他国の貨幣、IMAXでの映像上映など挙げだすときりがない。私が特に気に入ったのはモアイ像。イースター島にいった妻が言うにはイースター島でみるよりもモアイ像に近づけるそうだ。国立自然博物館内のカフェテリアにて昼食。

イースター島よりも近い距離で見られるモアイ像

国立自然博物館には巨大動物のはく製もおおい

持つものは不幸になるという45カラットのホープダイアモンド

鑑賞を続けるのにも疲れてきたのでホテルに戻ろうということで、最後にもう一つホテル近くの国立肖像画美術館へ向かう。途中、面白そうな建物があったので興味本位で入場するとリンカーン博物館とも言える、「ピーターセンハウス」であった。ピーターセンハウスとはフォード劇場にてリンカーンが狙撃されたあと、瀕死のリンカーンが運び込まれた劇場向かいの民宿である。リンカーンの生い立ちや功績と暗殺後の狙撃犯も含めての事件も含めて解説されている。いかにアメリカ人とってリンカーンが尊敬されているかがわかる博物館だ。入場も無料である。
そして本来の目的地である国立肖像画美術館へ。肖像画をメインで収集しているちょっと変わった美術館。年代ごとの政治・芸能・文化の著名人の肖像画、さらにはスポーツ選手の特集など様々な肖像画が展示されている。日本でも有名な人はもちろんあまり知られていない人まで様々だ。なお現代芸術などを展示するスミソニアン・アメリカ美術館も併設されている。

国立肖像画美術館


現代芸術もある

ようやくホテルに到着。1日でミュージアムを4件もまわってきた。日本ではなかなかできない。入場が無料であると、入場券を購入するのに並ばなくてよいのが何より楽だった。少し飽きたら気軽に他へ移動できるのも気に入った。こんなに大規模な博物館・美術館を維持しながらも入場を無料にするというアメリカの心意気に感動した私だった。
1月2日
朝6時半に起床して出発の準備と朝食。
朝8時に出発するニューヨーク行きのバスに乗るためだ。
バスはワシントンDCのチャイナタウンのエリアから出発する。7時40分くらいにバス乗り場に到着。すでにバス乗り場には列ができていた。まずバスの待合室の中のカウンターでチェックインを行ってからバスに乗車。バスに乗る人々の人種は多種多様であった。中国人、インド人、アフリカ系など
ワシントンDCを8時に出発してニューヨークに到着したのは12:30。途中1回、サービスエリアにて休憩があった。
私は2回目、妻は3回目のニューヨークである。
ニューヨークのマンハッタン、イーストビレッジの辺りで乗客は降ろされる。そこから我々は地下鉄駅に向かいニューヨークの宿をとったクイーンズに向かう。
クイーンズはマンハッタン島から見て東側の地区だ。
地下鉄はシングルライド(1回乗車券)で3$。これまでの都市と比べると交通公共機関の移動費は高めである。最寄りの駅でおりて、ホテルへ向かう。
<カントリー・イン&スイート>
クイーンズ地区にある3つ星ホテル。ホテルから地下鉄までは徒歩4分程度だが駅からホテルまではお店が少ないので夜中の一人歩きは不安を感じる方もいるかもしれない。ホテル隣にはガソリンスタンドがあり、スーパーが併設されているのでちょっとした買い物には便利。室内は清潔で特に古さは感じさせない。冷蔵庫、エアコン、ドライヤー、レンジ、バスタブあり。セーフティーボックスはない。無料のWIFIはあるにはあるがホテルロビーのエリアしか電波は拾えない。

クイーンズのカラフルな街並み

ホテルチェックイン後、ワシントンで買っておいたカップラーメンで昼食。
そしてホテルをでてニューヨークの観光に出発。
<ブルックリン>
我々が向かったのはウィリアムズバーグ。前回、ニューヨークに訪れた時はマンハッタンに宿をとったため、ブルックリンに行くこともなかったが最近ブルックリンの話題を耳にすることが多くなってきたと感じ、マンハッタンよりもまずブルックリンに訪れたかった
ブルックリン区のウィリアムズバーグは近年注目が集まるブルックリンの中でも流行に敏感なエリア。年々高まるマンハッタンの地価の高騰を受け、イーストビレッジに住んでいた若いデザイナーや料理家がこのウィリアムズバーグに移り住んだと言われている。センスはあるけれども資金的にマンハッタンに店を出すのは難しい、そんな若いエネルギー溢れる挑戦的なニューヨーカー達がこのエリアにこぞって店をだし、今やアパレルブランドのみならずカフェやレストランの激戦区となっている。

ブルックリン ウィリアムズバーグのレストラン

ウィリアムズバーグに来たなら避けては通れないのがブルックリンブームの火付け役の一つであるクラフトビール工場「ブルックリン・ブリュワリー」。せっかくニューヨークに来たなら出来立てのローカルビールが飲みたい!とやってきた我々を待ち受けていたのは長蛇の列。ここまで来て引き下がれないと思いつつ寒空の中40分近く待つ羽目に。中に入りようやく生ビールをいただく(1杯5$)。この工場でしか飲めないというディフェンダーという種類だ。フルーティで口当たりは軽く、後味はほんのりビターなコクが残るという深みのある味わい。ブルックリン地区はドイツ移民が多く住んでいた地域であるため、芳醇で味わい深いビールが生み出されたと言われている。長時間ビールのために寒い中待っただけあってかなり美味く感じた。

アメリカンビールのトレンドを変えたブルックリン・ブリュワリー

ここでしか飲めないというディフェンダー

ブルックリン・ブリュワリーを後にして向かったのはビール工場の隣にある「ワイスホテル」。古い縫製工場をホテルにリノベーションしたというレンガ造りのお洒落な外観。このホテルを有名にしているのが6階のルーフトップバー。ブルックリンにはマンハッタンのような摩天楼はないため、実はニューヨークの夜景を見るのに最適なのだ。このワイスホテルの屋上から見えるイーストリバー越しマンハッタンの夜景はロマンティックと大評判。しかし我々がワイスホテルの前に到着したころにはちょうど夕食どきということで、すでにルーフトップバーに入ろうとする観光客で列をなしていた。ブルックリン・ブリュワリーで並び疲れたので、ワイスホテルはパスすることにした。残念。
そして個人的に思いれがあるのが次に向かった「ラフ・トレード」。もともとはロンドンを拠点にするレコード・CDショップ兼オルタナティブロック系のレーベルである。そのレコードショップのニューヨーク支店がここだ。特に1970年代後半から1980年代前半にかけてのこのレーベルの勢いはすごかった(もちろん後追い)。才能あるアーティストを次々と発掘し、歴史的な名盤に数えられる作品をリリースし続けた。ポップグループ、スミス、スクリッティ・ポリッティ、最近だとリバティーンズ。ラフ・トレードがリリースした企画盤もよく聞いた。店内に流れる音楽やプッシュしている音楽は私好み。今の時代も受け継がれるこのセンス、やっぱ好きだわラフ・トレード。大学時代にCDの貸し借りをした友人用にお土産のトートバッグを購入した。

有名レコードレーベルのNY支店 ラフ・トレード

ここでしか飲めないというディフェンダー

そして日本でも一部高級食材店で取り扱いのある「マスト・ブラザーズ」へ。マスト・ブラザーズはカカオとサトウキビのみを原材料として利用し、すべての工程をショコラティエ作るという「BEAN TO BAR」の徹底的なこだわりのチョコレート・ショップ。店内に入ると甘くてほろ苦いカカオの香りが漂い、チョコレート屋の概念を覆す高級ブティックのような内装とディスプレイに驚く。一枚板チョコが約10ドルという日本では考えられない価格設定にまた驚く。店内では希望すれば試食もできる。私達は板チョコを購入しなかったが代わりに大きめのチョコチップクッキーを購入(4$)。クッキーの甘しょっぱい味は最近のブルックリンのトレンドらしい。近くのデリカテッセンでコーヒーをテイクアウトし、クッキーをちびちび食べ、時折あまじょっぱい口の中へオーガニックコーヒーで流し込んだ。

BEAN TO BARの徹底的なこだわりのチョコレート・ショップ マスト・ブラザーズ

ウィリアムズバーグ橋を歩いて渡り、マンハッタンへ。
この日の夕食はイーストビレッジのKATZへ。KATZはそのあまりにボリューミーなパストラミ・サンドイッチが有名なデリカテッセン。創業は1888年の老舗で店内に入ると沢山の著名人との写真が飾られている。かつては13$程度だったパストラミサンドは、お店自身が名所と化してしまったことと周囲の再開発で地価が高騰してしまったことから今は20$ほどへ値上げ。しかし20$払ってでもそのサンドイッチ食べ応え充分。サンドイッチには巨大なピクルスがつくので女性2名であれば2人でシェアしてちょうどいいくらいであろう。パストラミはおつまみにも抜群なので是非ビールと一緒に注文して楽しんでほしい。

ウィリアムズバーグ橋のたもとにあったパブリックアート

KATZのパストラミサンド

KATZを後にしてホテルへ戻る。あまりに楽しいニューヨーク再訪。ニューヨークは奥が深い。
1月3日
ニューヨーク2日目、朝9時近くに起床し朝食後10時にホテルをでて観光へ。
<ブリックリン・ダンボ地区とマンハッタン>
まず向かったのがダンボ(DUMBO)。ダンボとはDOWN UNDER THE MANHATTAN BRIDGE OVERPASSの頭文字、つまりマンハッタンブリッジ高架下のエリアの通称である。マンハッタン橋のたもとから見えるマンハッタンの高層ビル群の美しい眺望を楽しむために川沿いの公園は多くの人々が訪れていた。かつてはマンハッタンからのアクセスが良さからこの辺りのエリアは倉庫街・工場街として発展した。しかし1970年代後半からニューヨーク近辺での製造業が衰退し始めたのを契機に変貌し始め、廃工場や古い倉庫の外観を利用したギャラリーや飲食店、インテリアショップなどが続々とオープンし今やニューヨークを代表する観光地の一つとなっている。
まずダンボ地区のコーヒーショップ、ブルックリン・ロースティング・カンパニーへ。ここは倉庫を改築したような巨大なサードウェーブコーヒーのカフェ。焙煎所を店内に備え、常に香ばしいコーヒーの香りが漂う。ここでコーヒーを購入して、歩いてマンハッタンブリッジとブルックリンブリッジのたもとに広がる大きな公園、ブルックリン・ブリッジ・パークへ。
ブルックリン・ブリッジ・パークはイーストリバー沿いに広がる開放感溢れる公園である。家族連れや観光客の憩いの場所である。ここからマンハッタンの景色を楽しみ、ブルックリン橋を歩いてマンハッタンへ向かう。

倉庫のようなコーヒーショップ、ブルックリン・ロースティング・カンパニー

ブルックリン ダンボ地区から見るブルックリンブリッジの眺望

ブルックリン・ブリッジ・パーク

ブルックリンブリッジはロウアーマンハッタンとブルックリンのダンボを繋ぐ、世界で初めて鋼鉄製のワイヤーを使った吊り橋。アメリカで最も古い吊り橋の一つで開通は1883年まで遡る。前日にウィリアムズバーグブリッジも渡ったが、ブルックリンブリッジの方が金網が少ないため景色がよく見えた。橋を渡るのであればブルックリンブリッジがオススメ。

眺望のよいブルックリンブリッジは歩いて渡るのが人気

サイクリングロードとしても人気のブルックリンブリッジ

ブルックリンブリッジを渡った後はアメリカ旅行の最後を記念してアメリカらしいところで食べようということでウルフギャングス・ステーキハウスへ。最近東京の六本木にも支店を開いたというニューヨークの有名ステーキ店である。私はリブステーキ・ケイジャン風味をオーダー。サーブされた肉はさすがアメリカだけありスケールが違う。厚切りの熟成肉のカリッとした焼き上がりとジューシーな食感。最後にふさわしい食事だった。

ウルフギャングス・ステーキハウス

トライベッカから見えたカラフルなマンション

トライベッカの街並み

豪快なランチを終えた後、向かったのがマンハッタンの南端のバッテリーパーク。ここから自由の女神像を近くで見るためのフェリーに乗船する。スタテンアイランドフェリーはスタテンアイランドとマンハッタンを往復するフェリー。本来は自由の女神像を見るためのフェリーではなく、公共交通機関のため24時間運行でなんと運賃は無料。自由の女神像が立つリバティアイランドには上陸はしないが自由の女神像やマンハッタンの夜景を気軽に楽しめるとあって観光客に人気だ。間近に見たい方はリバティアイランドに上陸するスタチュー・クルーズやヘリコプターでの遊覧飛行など楽しみ方もいろいろ。

バッテリーパークのリス

無料のスタテンアイランドフェリーからみる自由の女神

フェリーからみるマンハッタン

スタテンアイランドからマンハッタンに戻ってきた我々が向かったのが、トレーダー・ジョーズというスーパーマーケット。明日の夕方にニューヨークを発つのでお土産はこの日中に買っておきたい。トレーダー・ジョーズは前回もニューヨーク滞在の際に訪れたことのあるスーパーマーケットなのだがいつも混んでいる。それもそのはず、扱う商品はオーガニックなものばかり。しかもほぼ自社製造のプライベートブランド。お値段は他のスーパーと比べてかなり据え置きとなっている。もちろん味よい。
お土産を買い揃え、ホテルに戻る。
ホテルにてスーパーで購入したチーズとインスタント麺の夕食。
1月4日
朝8時に起床して朝食とチェックアウトの準備。
この日私は夕方の便で日本に向けて出発する。妻は仕事を辞めてきたのでもう少しアメリカの滞在を楽しんで帰国する予定だ。
チェックアウトし妻は次の宿へ荷物を置いておく間、私はタイムズスクエアへ向かう。
<タイムズスクエア>
タイムズスクエアに何かがあるわけではないのだが、ニューヨークに来たからにはやはり立ち寄りたくなる場所だ。以前ニューヨークに訪れた際は夜でとにかく寒かった。今回訪れた日も同じくらい寒い日だった。昼間にもかかわらずタイムズスクエアは渋谷のスクランブル交差点と新宿東口を合わせてもかなわないくらいのネオンと巨大ビジョンで囲まれており、この一画にいると今が昼なのか夜なのか分からなくなってくる。世界中の企業がタイムズスクエアに店や広告を出したがり、訪れる度に宣伝する企業や出店している店は変わり、ここに来る度に時が流れていることを実感する。

タイムズスクエア駅地下鉄のモザイク

タイムズスクエアは昼でもネオンがまぶしい

妻とはゼイバーズで待ち合わせ。ゼイバーズとはアッパー・ウエスト・サイド店を構える老舗のスーパーマーケットである。昨日トレーダー・ジョーズで買い物をした後トレーダーズに来たのだが営業時間が夜の7時くらいには閉めてしまうらしく、すでにやっていなかったのだ。ここのサーモンが美味しいと評判との口コミをネットで妻が見たらしく行ってみたいらしい。そう言われると食べたくなってきてしまう私ものこのこついて行くことにした。
ゼイバーズの鮮魚コーナーではサーモンの切り身をその場でさばいてくれる。
クォーターパウンドで約10$。クラッカーも買って、ホテルでコーヒーを入れたタンブラーとともにセントラルパークへ移動しピクニックランチ。
とにかく広いセントラルパーク。都会のど真ん中にこれほど巨大な公園をつくるなんてさすが自然が大好きなアメリカ人。日本だったらこんな一等地を公園にするかな?高層ビル群を作り上げるか、巨大なシッピングセンターなどの複合施設をつくりお金が集まるような場所にするだろう。
その後、妻と別れ私はJFK空港へ。無事何事もなくアメリカ旅行を終えたのだった。

(2015年12月 橋本康弘)
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