カリブー!ケニア★ナイルパーチフィッシングと紅茶工場見学ツアー

カリブー!ケニア★ナイルパーチフィッシングと紅茶工場見学ツアー


ケニアはサファリだけではないことをこの目で確かめるため、遂にアフリカ大陸に上陸する時が訪れた。
主な目的はビクトリア湖のルシンガ島に泊まってナイルパーチを釣ることと、輸出世界1位を誇る紅茶の畑と製造工場を見学すること。
もちろんせっかくケニアまで行くのだから旅の最初と最後にはしっかりゲームドライブも盛り込まれたアフリカ初心者の私にも内容充実のプランだ。


まずはナイロビからナクル湖へ。簡単に言うがそもそも成田からドーハ経由でナイロビまでが約22時間、空港からナクル湖のホテルまでが5時間以上かかるのでここまでもかなり遠い。最初に1泊し翌朝ナクル湖から車で6時間、フェリー乗り場のあるルアンダコティエノまで一気に向かう。
が、途中交通渋滞で大幅に遅れ予定の船を逃してしまい、次の船が来るまで2時間以上待たなければならなくなった。
困ったことに乗り場の周りは何もない。唯一”待合休憩所”のような佇まいのバーが昼間から開いていた。
やや怪しげな雰囲気で、ひたすら重低音の音楽が店の外に響きわたる、その音になんとなく誘われて店内へ。

昼間から酔っ払い客で繁盛しているこの店でとりあえずビールを注文してみたが、出されたビールは常温のためぬるい。
どうやら冷蔵庫が壊れているらしい。これはビールじゃない。最初に言えよ!と日本なら即クレームして取り換えとなるのだが面倒臭いのでここでは我慢。隣でガイドがこの国ではあまりビールを冷やす習慣がないと言っていた。
本当かどうか知らないがこんなぬるいなら頼むんじゃなかったとやや後悔する。ちなみに500ミリ瓶で200シリング、約200円。まあ、こんなもんかなとあきらめる。
元々陽気なケニアの人たちにアルコールが加わるとさらにうるさく、酔っ払いが絡んできたので適当にあしらって店を出た。

どうやら彼らもこれからルシンガ島に行って魚の仕入れをするらしい。
ようやくフェリーに乗船。車が10台くらい載れるサイズ、車内と車の隙間のデッキに立つ人はで最大50人くらい乗れそうな大きさといい加減な計算をしてみる。

時間が17時近かったのでサンセットを眺めながらフェリーが目的地に進んでいく。

乗り遅れて長時間待ったが眺めが良くて逆にこれはラッキーだった。

ただ残念なのが車内の空調。
車はトヨタのハイエースで当然エアコンはついているが、壊れているのかどうか知らないが全くつけることをしない。
ガイドのジョージさんに言うと基本は窓を開けて自然の風を楽しむことらしい。風は冷たく心地いいのでエアコンなんて必要ないのだという。
悪しくも折り返し島から売られて乗ってきた牛の群れから放たれた大量の糞の匂いがかなり臭く、窓を開けると相当厳しい。でも閉めるとかなり暑いという悪環境。臭いと暑いの究極の選択で臭い方を選ぶ。暑いのは慣れないが臭いのは慣れてくる。そして揺られることおよそ50分、ようやくルシンガ島に上陸、すでに日は暮れていた。
ただ島に着いてもなかなかホテルにたどり着かない。しかも島の道路は想像以上に悪い。
全く舗装されていないのでサファリ並みのアップダウン、ここまでよく酔わなかったと感心するくらい揺れが激しい。
時計を見ると1時間くらい経過してホテルに到着。とにかく遠い、でも来た!という達成感は大きい。
<ルシンガアイランドロッジ>

この島に関する情報は少ない。聞くところによると主な産業は漁業、ついで農業。観光業はほぼ皆無。
人口は3万くらい、面積を訊いてもわからないといわれるほどアバウトな状態。ホテルのスタッフに調べてもらったら165スクエアマイルといわれたので300平方キロくらいだろうとテキトーにカウントしてみた。
その小島にたった1つ存在するルシンガアイランドロッジは全部で8つのコテージ。

最大16名しか滞在できないまさに隠れたリゾート。しかも今晩の客は私1人しかいないらしい。

食事はドライバーさん、ガイドさんも一緒だったので淋しい思いはなくて済んだが、食後は何もすることもないし疲れているのでさっさと寝ることに。ここでの滞在は2泊。

出発前にマラリア予防薬を飲んできているので対策はOKだがやはり蚊は多い。
念のため蚊取線香をたき、防虫スプレーを塗りたくり、蚊帳を下して就寝。

一人にはちょっと広いと感じる。テレビもあるけど何故かここまで来ると見たいという欲が湧かない。
セーフティボックスやドライヤーもあって普通のホテルと設備は変わらないが当然電気は夜中消える。
部屋に電話が無いのでモーニングコールではなく、モーニングノックを頼んだが
それより前に朝は鳥のさえずりと波の音が予想以上にうるさく目が覚める。
木陰で湖を眺めながらの朝食は気持ちいい。

見たことないような色の小鳥が飛んでいる。
島の近くにバードアイランドもあり、マニアの方たちが鳥の写真を撮りにはるばる訪れてくるそうだ。
<ナイルパーチフィッシングへ出発>

面積6万8千平方キロ、ケニア、ウガンダ、タンザニアの三カ国に囲まれた世界第3位の広さを持つアフリカ最大の湖、ビクトリア湖に棲息するナイルパーチは白身の淡水魚。30センチくらいのものから、最大2メートル200キロにもなるものまであるらしい。ルシンガアイランドビレッジから高速ボートで沖の島までおよそ15分、この高速ボート、ホテルスタッフのミセリさんの豪快な操縦がポイント。
かなりのスピードでぶっ飛ばすのでちょっとスリリング、でも快感。


フィッシングにかけてはプロの彼、過去に160センチ、100キロ級、人間並みのを釣ったことを自慢していた。
今日はどうか?と尋ねると「もちろん狙っている」との頼もしい言葉が返ってくる。
せっかくなら大きい写真を取って帰りたいと心を弾ませ準備を始める。

波の穏やかな午前中が狙い目でブリッジアイランドのまわりが絶好のスポット。

準備はいたってシンプル。3本の棹にルアーを仕掛け、獲物が食いつくまでじっくり待つ。

1匹目と2匹目は意外と簡単にかかった、大きさは30センチくらいの小物だが
この調子なら大物も取れると初心者のくせに根拠のない予感がしてきた。


しかしその後は”しなる棹”に期待をさせられるも湖に沈んだ古い網に引っかかるなどぬか喜びの連続でいっこうにかかってこない、大物どころか小物にまでフラれ、終わってみたら収穫は4匹

釣ったナイルパーチはホテルに持ち帰って調理してもらうことに。この自給自足の感覚が楽しい。
早くも今日のディナーが楽しみになってきた。
午後からはちょっと昼寝。バルコニーにはソファもあって心地いい。昨日は遅かったのでよく見えなかったがホテルの敷地は緑が豊富で綺麗。



気が付くともう夕暮れ。カメラ片手に夕方は湖の周りを散歩してみた。

桟橋の先端から眺めるビクトリア湖に映える夕日はとても綺麗だった。



そしていよいよディナー。釣ったナイルパーチがこんがり焼かれて出てきた。

まずは何もつけずに食べる。思ったほどの臭みはない。あっさりしすぎた味が特徴というかほぼ無味。
ガーリックバターが添えられていたがそれよりも塩・コショウに軽くライムをかけた方がいける。ガイドさんはティラピアの方が美味しいといったので後日食べてみたがこっちは臭みが強くて自分には無理だ。

翌朝、チェックアウトを済ませて村めぐりへ

この島はケニアで4番目に多いルオ部族の島。
島の主な産業は漁業で、ビクトリア湖で採れる小魚(オメナ)やティラピア が生活の糧になっているそうだ。


朝早くからとても賑やかで働く人たちの姿とその周りで遊ぶ子供たちが印象的。

中にヒルトンホテルといった冗談のようなホテルを見つける。

ケニアの人は皆フレンドリーだと感じる。特にこの島は子供たちが人懐っこくて可愛い。大人たちも人見知りせず、好意的。皆笑顔で挨拶してくれるのが非常に嬉しかった。


<ケリチョウの紅茶畑と工場見学>

翌日ケリチョウという紅茶畑生産の拠点の町へ向かった。
ここはケニアで3番目に多いカレンジン族が多く住む町でマサイマラ動物保護区からも車で4時間くらいの距離にある。
ルシンガ島からは再び激しい道をそのまま来たルート通りに戻る。そしてフェリーで50分、そこからさらに5時間を超える悪路の旅。乗って座っていただけなのに宿泊のティーリサーチセンターに到着したころはクタクタになっていた。
またこのセンターというのが異常に寂しい。

ホテルではなく研究所なので当然であるがいわゆる観光客が喜ぶ娯楽の香りや人の気配が少ない。部屋は清潔で宿泊施設としては可も不可もないといった感じだが、何もなさ過ぎるので観光客はきっと退屈するだろう。

日本人はこの町では珍しいらしくとても歓迎された。工場に来ていた研究員の方たちと酒を飲めたのが唯一の潤い時間か。


そして翌朝いよいよ紅茶畑へ。ケニアは紅茶王国でその輸出量は世界第1位を誇る。
ここに来るまで紅茶はずっとインド、スリランカと思っていた自分の非常識さを恥じている。
赤道直下の高原にある、その熱帯性の気候と土壌から紅茶の栽培には最適な地域といわれている。
さらにケニア紅茶の葉は化学肥料は使用しないオーガニック茶としても知られている。
が、歴史は意外と浅く20世紀になってからイギリスの資本によって拓かれたのが始まりとのこと。
それが今や世界中に広まるほどのポジションにいるからすごい。
前日は雨だったがこの日は晴天に恵まれた。工場までの道のり、あたり一面果てしなく色鮮やかな緑の畑が目に飛び込んでくる。まるでカーペットを敷きつめたように見事な光景だ。




見学で訪れたカイスグ紅茶工場はあまり大きくない。

まずは工場で受付。話は通っているはずなのに1時間近く外で待たされる。
そのうち工場長らしき人が現れ、次いで案内する人から白衣を渡されていざ現場へ。

ここには毎日、周辺の畑でおよそ2年間かけて大切に育てられた葉が毎日平均100トン運ばれてくるそうだ。
この葉は若くてフレッシュな香りが特徴である。

実際に手で触れてみる、とてもやわらかい。匂いをかいでみると新鮮な香りが気持ちいい。

それらが機械によってつぶされて色が徐々に変わっていくところがよくわかる。




ここではより短時間で茶を抽出できるように開発された、CTCと言われる製法を用いている。
CTCとは、CRUSH=押しつぶす、TEAR=ひきさく、CURL=丸めて粒にする、
の略で、ティーバッグなどによく使われているらしく、世界で最も生産量が多い製法だそうだ。
つまり私たち日本人にとっても大変馴染みのある味ということがわかった。
紅茶を飲んだことある人は絶対にここで作られた”葉”を飲んだことがある!



工場ではわずか30分で茶が抽出され、厳正に選別され、さらには商品詰めされていく過程をじっくり見学できる。

ちなみに現在はこのうちのおよそ4割が輸出されているらしい。
残念ながら紙の資料が全くなく、案内人の説明もいま1つなので見学を通して専門知識が身に着いたわけではないが、醸し出される雰囲気の体験と茶畑を肉眼で見に来る価値はあると思う。

いわゆる飲料メーカーの工場にありがちなテイスティングや観光利益を狙ったお土産屋はない。
そのかわり純粋に、ひたむきに”紅茶葉が出来上がっていく”シーンを見られるのが特徴だ。
商品を詰めているおばちゃんたちも気軽に撮影に応じてくれた。

アサンテと叫ぶとカリブーと返ってくる。皆陽気な人たちばかりだ。

<必修科目・マサイマラ>

最後に2日続けてマサイマラでのゲームドライブを楽しんだ。


今年はヌーが早くに移動してしまったのでその影響でライオン、チーターの数が少なくなっているらしい。
いままで間接的に見ていた動物たちが目の前にいる。実は動物はあまり得意ではなかったのだがここは別だった。
生で見るとやはり興奮してしまう。そのためついシャッターを逃してしまうことが何度かあった。





果てしなく広がる大地の中であらためて地球はデカいと感じる。
ゲームドライブも終わりホテルに戻る途中、サンセットを眺めながらふと小説、沈まぬ太陽を思い出した。

確か物語の最初のシーンはここではなかっただろうか?
ここまでを振り返ってみてこの旅は時間が経つのがとても早かった。もう明日は日本へ帰るんだなと。
帰ってきた今でも本当に行ったという現実感がなく、まるで夢を見ていたような1週間であった。
最後にこのツアーの強力パートナーを紹介したい。

いつどこで覚えたか知らないが”じぇじぇじぇ”を連呼するほど(2013年10月現在)
日本が大好きで日本語の上手なガイドのジョージさん(写真右)。まだ”倍返し”は知らなかったのでついでに教えておいた。
ドライバーはこの道40年、酒とタバコは一切ノー。難しい道をクールなハンドルさばきで安全に送ってくれたジョンソンさん(写真中)彼のドライビングはメリハリのきいた安心感に満ちあふれるものであった。
お二人の強力なサポートがあったからこそ良い旅となったと思う。
心から感謝するとともに、この経験を生かし今後はビジネスで彼らに倍返しをしたい。
2013年10月 櫻本
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