ナミブ砂漠と日の出と夕焼けとブッシュマン

ナミブ砂漠と日の出と夕焼けとブッシュマン

朝日を浴びるデューンズ45


キャンプサイト

日本からまず香港経由、次にヨハネスブルグで乗り換えてウィントフークまで飛行機で24時間。そこから車で6時間。夜の7時にセスリウムにようやく到着。今日中にどうしてもこのキャンプサイトに泊まらなければならない理由がある。明朝の日の出のためだ。このキャンプサイトに泊まらないと日の出が見られないのだ。砂漠へのゲートは、キャンプサイト宿泊客のみに対して日の出の1時間前にオープンする。外部の人には日の出の時間にゲートをオープンする。今の時期でしたらキャンプサイトの宿泊客には6時にゲートが開く。キャンプサイトの外に泊まった場合は決して日の出に間に合わないのだ。キャンプサイト宿泊者だけの特権であり、唯一の方法だ。ただ、いきなり今回の旅のハイライトを味わうのは、好物の玉子焼きをいつも最後までとっておく者にとってはかなりもったいない気がした。とはいってもスケジュールは決まっている。シャワーを浴び、ガイドさんの手料理を食べ、満天の星を思う存分見上げてテントでの眠りに就いた。ラッキーなことに、新月の2~3日前だったので、その日から旅の間中ずっと天の川さえ見える宝石のような星空に大満足続きだったのである。

デューンズ45に登頂開始

デューンズ45からの日の出

日の出を見て思わずジャンプ

赤く染まった砂漠

ガイドさんの手作り朝食

砂漠の中での朝食

翌朝は5時起床、6時前には砂漠ゲートの前でスタンバイ。すでに2~3台の車がゲートの前で待っている。20分ほどで日の出観賞に絶好のビューポイントであるデューンズ45に到着。20人位の人達と頂上目指して登り始める。日本人は私一人。外人も日の出が好きなのでしょうか。徐々に輝いていく空を眺めながら頂上を目指すが、一人二人と追い抜かれていく。それでも老体に鞭を打ち、2~3回休みながら頂上にたどり着く。ともすると、砂漠の色が見る見るうちに光り輝く赤褐色に変わっていく。弁慶ではないが、「絶景かな」とおもわず唸ってしまう。下に降りて砂漠を見上げると、頂上にいる人が蟻のように小さく見える。あそこまで登った達成感と、登れてよかったと安心感に包まれた。朝食はガイドさんの作ってくれた美味しい手料理。全くアウトドアの食事は美味くて堪えられない。

ソッサスフレイの大砂丘

ビッグダディ

デッドブレイ

デッドブレイ

セスリウムキャニオン

次は、ソッサスフレイの大砂丘だ。ここナミブ砂漠は世界最古の一つで、世界一高い砂漠「ビッグダディ」がある。もち肌のような滑らかな、赤褐色の砂漠が果てしなく続いている。さらに進むと、ガイドいわく、砂丘観光のメインデッシュ「デッドブレイ」が現れる。沢山の枯れたアカシアがあるので、死の森とも言われるが、元の意味は死の沼、死の湖のほうが近い。乾いた沼と枯れたアカシアの無機質なハーモニーは、まるで異星の空間にいる錯覚がする。砂漠ばかりでなく渓谷もある。6つのバンド(ベルト)という意味のセスリウムキャニオンだ。わずかばかりの水は人間と動物にとってはかけがえの無いオアシスだったに違いない。

ナウクルフト公園の夕陽が落ちてゆく

夕方は車でのサンセットツアーに参加。山々に夕陽が輝き、刻々と暮れゆく景色を見ていると、日々の忙しさを忘れ、ゆるやかな時の流れに身をゆだねる心地よさに幸せ一杯。

水飲み場にやってきたオリックス

夜は、ホテルの庭に備えられた水飲み場にオリックスがやってくる。人間がすぐ近くにいるのに恐れる様子は無い。我々が見られているのか、堂々とした飲みっぷりだ。こうして早朝から砂漠づくめの一日が終わった。

ウェルウィッチア

雌のウェルウィッチア

次の日も引き続きナミブ・ナウクルフト公園を北上し、ウェルウィッチアを見に行った。日本名で奇想天外と呼ばれる不思議な植物、ウェルウィッチアは砂漠の真ん中で1000年も2000年も生きるという。大きいものは4mを超えるのもある。雄のウェルウィッチアは赤い実をつけ、雌のそれはふくよかな実である。薄気味悪いが生き延びていくための最善の姿なのかもしれない。

ムーンランドスケープ

近くにあるムーンランドスケープは、その名のとおり月面を思わせる景色だ。アームストロング船長の姿は見えないものの、ここが月面だと言っても信じてしまうかもしれない。

地元の結婚式

そこから西へ進むと、ドイツ植民地時代の面影を残す町、スワコプムントがある。ナミビアの人の一番住んでみたい町と言うが、なるほどヨーロッパスタイルの建物が多く、お洒落なカフェやショップが建ち並んでいる。ちょうど結婚式に遭遇したが綺麗で清潔な町である。

海岸沿いの高級住宅街

フラミンゴ

スワコプムントからわずか30km離れたところにウォルスベイの町がある。こちらは元イギリスの植民地で鉱物の輸出港として栄えている。海岸沿いにはロスアンゼルスと間違えるような高級住宅街が並び、目の前にはフラミンゴの大群が羽を下ろしている。

壁画

壁画

トワイホルフォンテンカントリーロッジ

パイプオルガンの岩

翌日は今回の旅のハイライトの一つ、トワイホルフォンテンを訪れた。ブッシュマンと云われるサン族が3000年前から約2000年かけて岩の上に描いた壁画があるのがここトワイホルフォンテンだ。彼らは文字を持たず、絵によって当時の様子を残した。キリン、オリックス、シマウマ、サイ、ライオン、人の足等が沢山の岩に描かれている。2007年にはナミビアで初めての世界遺産に登録された。トワイホルフォンテンの元々の意味は、英語で言うとダウトフルフォンテン。つまり乾燥地帯の中で水が非常に貴重であり、常に泉を探して続けていたが、現れては消え、消えては現れる泉に疑いを持って名づけられた土地だ。すぐ近くには、正に自然の中のリゾートと云えるロッジがあり、観光後も岩山の中で余韻を楽しみことが出来る。すぐ近くには「化石の木の森」や「パイプオルガンの岩」もある。

サファリ前の朝焼け

水飲みに来た象

水飲みにやって来たゼブラ

水飲みにやって来たスプリングボック

観覧用ベンチ

サファリカー

目の前にライオンが

キリン

いよいよ旅のフィナーレだ。最後の目的地はエトーシャ国立公園。およそ幅250km、縦100kmの広大な草原が、ナミビア北部にあるエトーシャ国立公園だ。ここでのハイライトはウォーターホール(水飲み場)に集まってくる沢山の動物を目の前で見れること。象やシマウマやジャッカル、スプリングボックやヌーが次々と水を飲みにやってくる。なぜか一斉にやってくるのではなく、順番があるように代わり代わりやってくる。さすがに象の出番のときは、独り占め状態だが。ウォーターホールを囲むようにベンチが用意されているので何時間見てても疲れない。もちろんサファリに出かければ沢山の動物に遭遇できる。1日では広すぎて回りきれないので2~3日は滞在したいものだ。
ほぼナミビアを一周して感じたことは、どこに行っても本当に美しい景色が延々と続く綺麗な国だということだ。何かホットする、癒しの場所だ。風景ばかりでなくナミビアの人たちは実に優しい。人なつこい眼、ユーモアたっぷりで和ませてくれる話口。帰るのが嫌になったが、仕方ない帰りましょう。心だけはナミビアに残して。
2013年3月 本山
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