ヨルダンで遺跡・自然・リゾートのすべてを体験する旅

ヨルダンで遺跡・自然・リゾートのすべてを体験する旅




中東でもっとも旅行しやすい国といわれるヨルダン。今回はほぼ縦断するかたちでヨルダンを旅してきました。遺跡に自然、そしてリゾートと見どころ満載。旅人ゴコロを満たしてくれる充実の旅でした。


その前にちょこっとカタールのドーハへ立ち寄り。ドーハの入国にはビザが必要ですがクレジットカードで手続きができます。パスポートと一緒に提示するだけでとっても簡単です。
ドーハのタクシーは黄色でメーターがついていますが自主的(?)なタクシー(交渉制)もいるので気をつけましょう。まずはスーク・ワキーフへ。まだ朝早いので静かです。





向かいにはウインドタワーと呼ばれるドーハには数少ない昔ながらの建物があります。



どこも開いていないので海岸線のコルニーシュ通りを散歩してみました。昔ドーハは真珠の養殖が盛んだったらしく、真珠のモニュメントや湾には昔ながらのダウ船がたくさん停泊しています。



そして対岸には超近代的ビル群が。先ほどのスークとは別の国かと思うくらいです。ドーハもドバイと同様建築ラッシュなのです。





朝早いということもあったかもしれませんが、コルニーシュ通りはすぐそばに大きな道路があるにもかかわらず静かで、鳥のさえずりが気持ちよかったです。ジョギングする人の姿も見られました。



そろそろ店も開くころかとまたスークに戻りました。すると先ほどの静かさとは違って活気がでてきました。
鳥のスークや布のスーク、日用品、お土産などいろいろなものが売られ、レストランでは朝食に訪れる家族連れもいました。この日は土曜日だったのでお休みの人なのかもしれません。アラブの民族衣装を着た人がたくさん歩いていて、ドーハはあまりアラブっぽくないのかと思っていた私には嬉しい光景でした。













そしてヨルダンへ。初日はアンマンに宿泊し、2日目はまずぺトラへ向けて出発です。ぺトラへはデザートハイウェイを南下します。途中には観光客向けの休憩所がありお土産を選ぶこともできます。




ハイウェイ沿いは何もない砂漠と岩山の平坦な道を行くこと約3時間。途中にはショーバックというエルサレムの十字軍が初めてヨルダン側に築いた城跡があります。






ワディ・ムーサという町がぺトラの玄関口。中級から高級までたくさんのホテルが並びます。



ワディ・ムーサからぺトラ遺跡の入口までは車で約5分、チケットを買うとゲートからシクと呼ばれる細い道までの乗馬と初日のガイドさん(約2時間)が含まれています(私は2日券を購入)。シクまでは歩くと約15分。砂利道が続くので馬は楽ちんでした。




この道中は帰りにゆっくり見ることにして、シクへ到着。シクは狭い岩の裂け目のことで周りの崖の高さは60~100mになります。このシクをあるくこと約30分。最初に聞いた時は「そんなに歩くの?」と思ったのですが、そんな心配は無用でした。シクは曲がるたびにいろんな顔を見せてくれて、途中にはローマ時代のダムや水路跡、モニュメントがあり、まったく飽きません。次々に現れる光景にワクワクします。











疲れたら馬車に乗ることもできます。

シクを抜けてまず見えてくるのが映画「インディ・ジョーンズ」でおなじみのエル・ハズネです。





これまでテレビなどでよく見ていて少し知っていた気になっていましたが、やっぱり「百聞は一見にしかず」です。言葉では言い表せないくらいの感激でした。あんな高いところまでどうやって掘り出しただろう、といつまでも見ていたいほどきれいです。
でもこの日はガイドさんがいるので次に進んでいきます。ぺトラ遺跡は2000年以上前のナバタイ人の都市で隊商の中継地点として栄えました。思った以上に広い遺跡を見て本当に一大都市だったんだなぁとその時代に思いを馳せます。












中間地点にはレストランや博物館もあり、休憩もできます。お手洗いも安心して利用できました。
ガイドさんと別れてあとは自由散策。来た道を戻り見たいと思ったところをゆっくり見ていきます。逆に歩くと王家の墓と呼ばれる岩窟軍がよりきれいに見えてきます。






ガイドさんのお勧めで王家の墓に行ってみることにしました。ここも岩をくりぬいたもので中は何もないですが、砂岩の色がとてもきれいです。







顔のように見えた模様もありました。わかりますか?

帰るときにはシクからゲートまでも歩いたので、行くときにはゆっくり見ていなかったオベリスクの墓やジン・ブロックスを改めてじっくりと見学していると西日が当たって先ほどとはまた違う風景に見えました。




3日目は1日フリーでぺトラ遺跡を見学です。ゲートからシク、シクからエル・ハズネと一度歩いた場所は距離が短く感じるから不思議です。昨日もっと見ていたかったエル・ハズネ。今日は思いっきり堪能しようとベンチに座りずっと見ていました。昨日のガイドさんには今は10時ごろが一番きれいといわれていたのですが、着いたのは9時ごろ。それでも日がだんだん当たってくると色が変わり鮮やかになってきました。






今日は遺跡の一番奥にあるエド・ディルまで登ります。エド・ディルまでは中間地点のレストランからさらにあるくこと約1時間。途中にはライオンの墓と呼ばれる岩窟墓もあります。




ひたすら階段を上っていきます。




やっと登りついたところを振り返るとエド・ディルがそびえています。ナバタイ人の神殿だったこの建物はエル・ハズネより大きいもので迫力があります。




この道中で飲んだレモンジュースのおいしさといったら。気温30度はあったんじゃないか思うくらい暑く、また日差しも強かったのでこのひと時、たまりません。しばし休憩。。。
そして降りてきた私にはもう一つ目的が。それはエル・ハズネを上から見るポイントへ行くこと。歩くのは難しそうなのでロバに乗っていくことにしました。狭い階段をどんどん登っていきます。





ロバで行けないところは岩を下りたりしてかなりスリリング。でもロバ引きのベドウィンさんがエスコートして連れて行ってくれた場所は、足がすくむくらいの高さでエル・ハズネを見下ろします。崖に座ってみました(いま写真を見返しても足がゾワゾワしますが。。。)静かな場所でエル・ハズネを独り占めできるなんて贅沢です。一味違う体験をしました。



いったんホテルへ戻って夜にはもう一度遺跡を訪れました。この日は週に3回行われる「ぺトラ・バイ・ナイトの日です。ゲート前に集まって時間がきたらみんなでエル・ハズネに向かいます。明りは両側にともされたキャンドルのみ。月明かりもなく真っ暗ななか歩きました。足元がおぼつかないまま、前に人をたよりに歩いていきます。シクをぬけるとたくさんのキャンドルがともされ、幻想的。エル・ハズネがほんのり浮かび上がっていました。昼間とはまた違う雰囲気で昔もこんな風にしていたのかなという想像も楽しいです。






4日目。次に向かうはワディ・ラム。ワディ・ラムは映画「アラビアのロレンス」の多くの場面で撮影されましたが、映画で使われた列車が残っています。



ワディ・ラムではまずビジターセンターへ。そこから4WDツアーに出かけます。赤茶けた砂とごつごつした岩山。自然の大きさに圧倒されます。その光景はまるでグランドキャニオン(行ったことはないですが・・・)。どこを走っているのか素人にはわかりませんが、ベドウィンのお兄さんには勝手知ったる道、アラビアのロレンスの居住跡、石の橋、ナバタイ人の絵が描かれたところなど、どんどん進んでいきます。












この日の宿はキャプテンズ・デザート・キャンプ。部屋にはベッドがあり、共同トイレ、シャワーもあるので快適にすごせます。部屋は日中かなり暑いので憩いの場、マジリスでゆっくりしました。








夕方にはラクダの夕陽ツアーに参加。夕陽を浴びた岩山はオレンジに染まってまたいい感じです。夕方になると暑さは和らぎ風が心地よかったです。そしてベドウィンの人が入れてくれる紅茶(シャーイ)は最高。








夜になると部屋は真っ暗。ろうそくは部屋に常備してありますが、懐中電灯をもっていれば便利です。
5日目。キャンプは岩山の麓にあるので穴に鳩がたくさん住みついていて、その鳩の声で目が覚めました。この日は死海に行くのですが、ドライバーさんから来た道(デザートハイウェイ)を北上するか、アカバまでいって死海道路を北上するかという提案があったので、アカバまで行って、死海道路を北上するルートを選びました。
アカバは唯一外海(紅海)に接する都市で、また紅海を渡ればイスラエル、エジプトにつながるため国際リゾート地でもあります。海に接している都市特有の明るい雰囲気がありました。



アカバはタックスフリー(免税)の都市でもあるので道路には税関があります。国内なのに税関をとおるというのも面白いですね。
死海はヨルダンで一番暑い都市だそうで、この日は10月半ばというのに34℃。ドライバーさん曰く、海抜が低いので一番暑いということらしい。死海には入りたいけどこのまま入ると日焼けが。。。ということで快適なホテルでしばらく休憩。部屋からの眺めは素敵で、部屋のミニバーは無料というのもうれしいサービスです。



日が傾いてきたころ、いざプライベートビーチへ。宿泊者は無料でタオルが借りられます。着替えする部屋もあるので心配なし。海に入るのは何年ぶり?というくらい久しぶりだし、死海に浮くにはコツがいることを聞いたことがあったので大丈夫かな、と少し不安だったのですが、これまたまったく心配なし。浅瀬に座ってそのまま後ろ向きに手掻きしていくとその状態でプカプカ浮いていました。これが何とも気持ちいい。何も考えずただ浮いているだけですがこんなに気持ちいいなんて。もちろん泥パックも体験。泥は肌に吸いつくようで痛さなどもなく、泥をとったあとはスベスベになりました。




6日目。昨夜泊まったデッドシースパホテルは死海で一番リーズナブルな4つ星ホテル。ここでも十分よかったのですが、ホテルインスペクションで訪れた他のホテル(ホリディイン、マリオット、ムーベンピック、ケンピンスキー)も、どこも素敵で泊ってみたいと思わせるホテルばかりでした。これまでリゾートには苦手興味だったのですが、死海は1泊ではもったいない。せめて2泊してホテルライフを楽しんで、もちろん死海にももう一度入りたいくらいとても気に入ってしまいました。
この日はアンマンへ戻る前にマダバとジェラシュ遺跡を訪れました。今ではイスラム教徒がほとんどを占めるヨルダンですが、マダバ周辺にはキリスト教関連の場所が多く残っていて、特にネボ山はモーゼ終焉の地といわれています。マダバにも教会がいくつかありますが、有名なのは聖ジョージ教会にあるモザイク。6世紀のパレスチナの地図が描かれています。








モザイクで有名なマダバ周辺にはモザイクのお土産屋もたくさんあって、製作工程も見ることができます。
ジェラシュはアンマンから約45分。ローマ時代の遺跡が町中に突然現れます。ジェラシュが最も繁栄していた時には約25,000人もの人が住んでいたそうで、都市の大きさがうかがえます。凱旋門や神殿、列柱どおりなど保存状態よく残されています。時代としてはぺトラ遺跡と同じくらいです。クレーンもない時代にどうやってこんな建築物が造れたのか、人の知恵というのはすごいと改めて思いました。












アンマンに到着して驚いたのはたくさんの高層ビルが建築中だったこと。政府をあげてショッピングモールなどの一大プロジェクトが進んでいるそうで、ここにも開発の波が来ていました。勝手な旅行者である私はアンマンには似合わないな~と思ってしまいましたが、発展するには通る道なのでしょうか。


そして最終日。遺跡、自然、リゾートときてあとはショッピングかと、ダウンダウンに行くことを楽しみにしていたのですが、何とこの日はアンマンでマラソン大会が行われていて、ダウンタウンに入ることができませんでした。残念!道路も封鎖されていてドライバーさんは困り顔。でもいつもと違う雰囲気だと思うので、これはこれで楽しむことにしました。アンマンの円形劇場や隣の広場では走った後のイベントがあるそうでにぎやかでした。マラソン人気は世界共通ですね。





円形劇場の横にあるヨルダン伝統文化博物館では伝統衣装やモザイクが展示されています。




町の渋滞をぬけ、なんとかアンマン城へ。アンアン城はジャバル・カラアと呼ばれる丘の頂上にありアンマンの市内が一望でき、先ほどのローマ劇場も見下ろすことができます。高層ビルも見えます。この日は風がなかったので残念ながら巨大国旗ははためきませんでした。





アンマン城にはローマ時代から、ビザンチン、ウマイヤ朝など各時代の遺跡が残されています。城内にある考古学博物館も同じチケットで入れ、古代から現代までの移り変わりを見ることができます。







中東好きな私は今回の旅をとても楽しみにしていたのですが、ヨルダンの人々は温かく迎えてくれ期待以上に楽しむことができました。中東はこわいと思われる方が多いのですが、ヨルダンは治安も安定していてお勧めの国です。もっとたくさんの人に知ってほしいと思います。
2012年11月 平田

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