平壌、咸興、盛岡、銀座に思いを馳せる“韓国冷麺の旅”~その続きは中国・瀋陽、丹東へ~

平壌、咸興、盛岡、銀座に思いを馳せる“韓国冷麺の旅”~その続きは中国・瀋陽、丹東へ~

東京・銀座『ぴょんぴょん舎』の冷麺

約5年ぶりに韓国・ソウルを旅しました。今回の旅のテーマはただ一つ、“韓国冷麺の旅”。この旅のきっかけになったのは、ある一冊の本でした。それは、『盛岡冷麺物語』(小西正人著)<繋新書刊>。
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これは、「冷麺」についての本ではありません。
冷麺をめぐる「人々」の物語をつづった本です。
~本書「はじめに」の冒頭より抜粋~
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私、“冷し中華”は食べたことはあっても“冷麺”を食べたことはありませんでした。この本を読むことで朝鮮半島北部(=現在の北朝鮮)の平壌(ピョンヤン)や咸興(ハムン)で生まれた冷麺がどんな経緯で誰が日本に伝えたのかを知り、冷麺への憧憬や興味が大きく膨らんできました。
「どうしても本場の冷麺が食べたい!」
その昔は朝鮮半島南部(=現在の韓国)にも冷麺は存在しなかったそうです。韓国に伝わり、そして日本にも伝わった「冷麺」とはどんなものかを体験する旅の始まりです。


だいたいは行き当たりばったりの旅をする私ですが、今回は出発前に“どこで何を食べるか”まで計画しました。冷麺が主たる目的とは言え、一日三食すべて冷麺で過ごすのはつらいしもったいないです。そこで立てたのが次のような計画でした。
<1日目>
(昼:機内食)
夜:カンジャンケジャン(生のワタリガニのしょうゆ漬け)<新沙>
<2日目>
朝:カムジャタン(豚の背骨とジャガイモを煮込んだ鍋)<明洞>
昼:チムタク(鶏と野菜の甘辛煮) <明洞>
夜:冷麺<狎鴎亭>
<3日目>
朝:烏骨鶏参鶏湯(うこっけいさむげたん)<光化門>
昼:韓国伝統茶と軽食<仁寺洞>
(夜:機内食)
努力の甲斐あって計画通りに・・・とはいかず、残念ながら2つのメニュー(カムジャタンとチムタク)には行き着くことができず、またのお楽しみとなりました。
最初に食べたのは「カンジャンケジャン」(生のワタリガニのしょうゆ漬け)。ソウル一の有名店であるとの情報を聞きつけ迷わず『プロカンジャンケジャン』<新沙>へ。店の前まで来ると巨大な日本語の看板にびっくり。そして来店客の多さにもびっくり。予約しなかったので待つのは覚悟の上でしたが5分程待ってテーブルへ。ラッキー。さぞかし日本人だらけかと思いましたが違ったようです。

『プロカンジャンケジャン』の巨大日本語看板

生姜とニンニクが入った醤油ベースのタレがしみこんだ生のワタリガニをちゅうちゅう吸って食べます。そして、カニのエキスが混ざり合ったタレを熱々の白いご飯にかけて食べるとそれはそれは凄まじいくらいの美味でした。今、思い出しても顔がほころびます。

このタレが超キレ物!!

他に注文したのは、「ワタリガニの寄せ鍋(キムチ味)」「活けタコの刺し身」「活けタコの刺し身」は切り身なのですがまだ生きていてお皿から取るにもひと苦労、口の中でも吸盤に吸い付かれ・・・大騒ぎです。
この『プロカンジャンケジャン』の支店が東京・赤坂に6月1日オープンするそうです。行きたいとは思いますが少々お値段が気になります。

さて2日目です。一夜明けても前夜のカニやタコが胃袋に残っていてどうしても食欲が湧いてきません。そこでお腹を減らすために散歩することにしました。東大門のホテルから広蔵市場(カンジャンシジャン)へ。1時間ほど歩くとお腹が減ってきました。ちょうどその時、シジャン(市場)の屋台街にぶち当たり予定外のランチとなりました。いい香りとシジャンの雰囲気に負けてしまいました。

マンドゥ・カルグクス

予定外のメニューは「マンドゥ・カルグクス」「ビール」。食後に歩いているとおいしそうな「キンパ(韓国海苔巻き)」に出会いテイクアウト。コンビニでまた買った「ビール」と一緒に道路の隅で立ち食い。

広蔵市場(カンジャンシジャン)

その後、明洞に向かいましたが既にお腹はいっぱいです。お目当てのお店の前まで行って次回のための位置確認だけで終了。
いよいよ冷麺の時間です。今回の最大目的の冷麺店はソウルに星の数ほどあります。それに麺やスープにいろんな種類があり、お店を一つ選ぶのもひと苦労です。そこで最も大きなポイントとして考えたのが麺の種類でした。それは麺に蕎麦粉が入っていること。結果選んだのが『江西麺屋』(かんそみょの)<狎鴎亭>。咸興(ハムン)ではなく平壌(ピョンヤン)がルーツの冷麺です。その時の私は、麺は細めでしたが、結構なコシがあると感じました。しかし、あとで食べた他の麺と比べると歯ざわりは非常に優しいものでした。注文したのは、「平壌冷麺」「ピリ辛混ぜ冷麺」の2つ。


一度にいろんな種類の冷麺を食べることができればよいのですが、他にも魅力的なメニューにも手を伸ばしたくなります。他にオーダーしたのは大きな「手作り餃子」「緑豆のチジミ」


注文する時に大きな餃子を一人3つで頼もうとしたら店員さんに止められて事なきをえましたが、本当に大きかったです。共にこの店の名物料理です。
そして最終日。冷麺を食べて満足した私は、あとは流すだけといった感じでしたが、「烏骨鶏参鶏湯(うこっけいさむげたん)」を食べて“目から鱗”でした。食べたお店は『土俗村参鶏湯(とそっちょんさむげたん)』<光化門>。

烏骨鶏参鶏湯

これまで「参鶏湯」を食べたことはありましたが美味しいと思ったことは一度もありませんでした。“烏骨鶏”だから美味しかったのか、“おいしいお店”だから美味しかったのかは不明です。いずれにしても、開店時間の朝10時に遅れること20分だったにもかかわらず、お店は既にお客さんでいっぱい。朝から「ビール」を飲みながら健康食としても食される「参鶏湯」を食べ、幸せいっぱいの朝ごはんとなりました。
最後は、帰国便までの空いた時間を利用して韓国の歴史や芸術を感じる街・仁寺洞で伝統茶を飲みながらの休憩です。中庭に配置された座席で日光と風を感じながらのんびり。ちょっと贅沢な気分も味わえました。
今回は、ただ自分の興味に従った韓国グルメの旅でした。ところで、肝心要の北朝鮮の平壌(ピョンヤン)や咸興(ハムン)には行かないのか?
残念ながら、皆様もご存知のように複雑な国際問題で、現在、北朝鮮に行くことは困難な情勢です。北朝鮮に限らず、世界各地を危険なく自由に往来できるような世の中になって欲しいと心から思います。
北朝鮮には行けませんが、“北朝鮮”を垣間見れる場所が他にあります。それは中国東北地方の北朝鮮との国境付近の都市・瀋陽や丹東に朝鮮族が多く住む「コリアンタウン」が形成されている地域があります。ファイブスタークラブでは北朝鮮のツアーは販売していませんがこのエリアのツアーなら販売しています。今度はそこで、北朝鮮から中国に伝わった冷麺を是非食べてみたいと思っています。
<ファイブスタークラブ 中国・東北地方のツアー>
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韓国から帰国後も冷麺への興味はさらに深まり、即席冷麺を買って家で調理したり、この旅行のきっかけになった本に登場する“本場”盛岡冷麺のお店にも足を伸ばしました。『ぴょんぴょん舎GINZA UNA』と『ぴょんぴょん舎銀座百番』です。おいしかったです。

東京・銀座『ぴょんぴょん舎』の冷麺

きっと味は同じなのでしょうが、盛岡で“盛岡冷麺”を食べると、また違った味がするのではないかと思ったりしてしまいます。なかなか興味は尽きません。
2010年5月 森

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