ブッシュマンと狩りに行こう! 民族訪問とマニャラ湖、ンゴロンゴロサファリ&テントの旅 ~タンザニア~

ブッシュマンと狩りに行こう! 民族訪問とマニャラ湖、ンゴロンゴロサファリ&テントの旅 ~タンザニア~


美人ぞろい!エチオピア航空
成田からバンコク、アジスアベバと乗り継いでキリマンジャロ空港に到着。バンコク以遠はエチオピア航空で、フライトアテンダントの方々はかなりの美人揃い。アフリカ三大航空会社の一つ、エチオピア航空のフライトアテンダントはきっとエチオピアの人にとっても憧れの職業に違いなく、エチオピア航空側としても美人を選出していると推測するが、鼻筋がとおっていて髪はストレート、足が長く容姿端麗で思わず見入ってしまう。写真を撮らせてください、といつ言おうとずっと考えていたが、往復ともに満席に近く、結局言いそびれてしまった・・・・。残念。乗客の東洋人は中国、香港のビジネス客が多そうで、フライトアテンダントの方にニーハオと話しかけられた。


ライボニ村でのキャンプ滞在と村&学校訪問
キリマンジャロ空港は小さなかわいい空港でこれが国際空港?と思ってしまう。空港からアルーシャへは約50分、アルーシャから1日目の滞在先のマサイ族のライボニ村に隣接するキャンプサイトまでは約1時間半かかる。マクユニという街からンゴロンゴロのゲートまでは日本が作った道路でとてもスムースで快適。下水の川の仕様なんかも日本とそっくりだ。
ライボニ村はその道沿いのちょっと入ったところにある。アルーシャでインパラホテルの視察もあったので到着したのが19時ごろで日も暮れていたので、荷物を置くとすぐ夕食となった。夕食のメニューはスープと牛肉のステーキの野菜添え、フレンチフライ、フルーツ、チャパティとかなり豪華。食後はコーヒー、紅茶、ミロなども用意されている。もちろん、準備はキャンプサイトのスタッフがしてくれ、食事用のダイニングテントの中でいただく。電気はないのでライトを取り囲んでの食事は、これがタンザニアのブッシュの中で食べれる食事とは思えないほどおいしい。

私が泊まったのは設備充実のテントで、大きなテントの中にツインベッドが二つ、簡易トイレと簡易シャワーがある。電気はないので、ライトを使い、シャワーに入るときはシャワー室にぶら下がっているタンクにスタッフの方がお湯を入れてくれる。夜は冷え、髪が乾かせないので私は翌朝入った。
テントはかなりしっかりしていて、蚊の侵入の心配もなさそうだが、念のため蚊取り線香を焚いて眠りにつく。虫、動物、鳥の声はもちろん、隣のライボニ村からマサイ族の歌声が聞こえてくる。たくさんの人が歌って踊ってるようだが、その声を子守唄代わりに眠りについた。

翌朝の朝食もかなり豪華でパン、ソーセージ、オムレツ、野菜炒め、コーヒー、紅茶、ジュースなど。

その後、歩いて5分ほどのライボニ村を訪問した。まず村長さんに挨拶し、ある家庭のおうちの中にお邪魔させていただく。ある男性の第1夫人、第2夫人が赤ちゃんをあやしていた。中は暗くひんやり涼しい。そこでマサイ族についていろいろ質問させてもらったが、やっぱり気になるのは一夫多妻制についてで、「何人かいる奥さんの中でいさかいはおきないか、嫉妬心はおきないのか、女性不足で結婚できない男性はでてこないのか、たくさん奥さんがいる男性は他と何が違うのか」などとたくさん質問させてもらった。答えはマサイの中では何人か奥さんがいるのは当たり前で、逆に自分の夫に他の奥さんがいないと何か落ち度があると思うそうだ。奥さん同士の中では第一夫人は尊重されるそうで、もてる男性は家畜をたくさんもっている人だそうだ。結婚できない男性はあんまりいないそうで、女性の出生率が多いこと、昔マサイの男性は戦場にいって戦死することが多かったこと、などがありバランスが保たれているそうだ。家の中を見学させていただいたお礼として飴をあげて失礼させていただいた。ケニアのマサイ族訪問と圧倒的に違うのが観光客ずれしてない点だ。ケニアのマサイ族の村に行こうものならたくさんの人がお土産品を広げて観光客に売ろうと必死だが、ここの村は観光客に開放的だが、がつがつしてない。現地手配会社はマサイ族の方や、他の民族の方との関係をとても大切にされていて、去年タンザニアに行ったスタッフも旅行記に書いているが、信頼関係がなければ観光客に対しても門戸を開かないであろう。最後に村長さんに心づけを渡して別れをつげた。

その後、車で1分くらいのところにライボニ村の学校があり、そちらにお邪魔させていただいた。学校は2つの教室しかな小さい。到着したとたん、教室の全生徒の視線が私に集まり、みんな手を振ってくれる。日本だと例えば授業参観などでお母さんがくると妙にそわそわして、お母さんに手をふったりなんかしたり、通常の授業でもよそ見すると先生に怒られるものだが、今、生徒の目は先生でなく私に向いている。外から授業の様子をちょっと見せてもらうだけだろう、と思っていたら、なんと教壇の前にたつこととなった。予期していなかったことなので、何か気の利いたことを言うでなし、面白いパフォーマンスをできるでもなし、「は、ハロー・・・」と言ったっきり呆然と立ちつくしてしまった。

教室に満員電車の座席のようにぎゅうぎゅうに座っている子供たちの全視線がまぶしすぎる。先生は近くに住むイラク族の方で、スワヒリ語の授業を行っていたようだ。先生の指示で、生徒のみんなは歓迎の歌を歌ってくれた。スワヒリ語の歌で「カリブ、カリブ(ようこそ)」と繰り返し歌ってくれた。本当に恐縮です・・・授業を中断してしまい、面白いこともできず申し訳ありません、と心の中で思ったが、かわいいマサイの子供達に篤い歓迎をうけ、学校の様子を伺うことができよかった。日本から鉛筆6ダースを持ってきていてプレゼントしたが、生徒の数はもっと多くて、もっともってくればよかった・・・でも、手ぶらでこなくてよかった、と思った。学校の訪問は平日と、夏休み、冬休みにはできないので、学校訪問したい方は出発前に確認したほうがよい。
マニャラ湖サファリ
その村から30分ほどでマニャラ湖に到着。マニャラ湖のサファリについては他スタッフが詳しく旅行記に書いているのでそちらをご参照ください。とにかくヒヒが多くみれた。象が多くみれるのだが「この日は象のミーティングがあるに違いない」とドライバーガイドさんがいうほど象に遭遇できなかったが、最後の最後に遭えてよかった。


エヤシ湖ほとりのキャンプ&テンティッドロッジ
マニャラを出発してカラトゥという街まで30分、ここまでは日本の快適な道路で、そこからでこぼこした道をいくこと1時間、エヤシ湖ほとりにたつキスマンゲダキャンプサイトに到着した。ここはキャンプサイトがいくつかあって、予算に応じていろんなタイプの滞在ができる。



まず、一人、二人用のポータブルな三角テント、昨夜泊まったようなツインベッドがはいる大きなテント、そして7部屋しかないが、常設のテンティッドロッジがある。前者二つは電気がないけど、テントロッジでは夜6時以降、朝まで電気が使え、ホットシャワーも使える。エヤシ湖で2泊泊まるうち、様々なテントに宿泊体験してもらおうとの計らいで1泊目は三角テント、2泊目は常設のテントロッジに泊まった。1泊目の三角テントは小さいものの、ネットやジッパーもしっかりしていて、虫の侵入の心配もなさそう。トイレ、シャワーはちょっと離れたところにある。森の中のちょっとひらけた、見晴らしがよいところにあり、ダイニング用のテントは別にある。エヤシ湖のほとりにあるため、そこから歩いてエヤシ湖までいける。
夕暮れ時のエヤシ湖は神秘的で、学校の終わった子供達が走りまわってたり、漁を終えた人が帰路につこうとしていた。エヤシ湖はマニャラ湖よりも大きくて、ソーダ湖で、深くて、昨夜、漁に出て船が転覆し、亡くなった方がいたそうだ。タンザニアのエヤシ湖のほとりで、キャンプという自然と一番近い形で滞在するなんて、なんてワイルド、そして贅沢なんだ・・・ もちろんロッジのように電気や水道が使える、という快適さはないけど、今回いろんな民族を訪れたこともあって人の生活は元来シンプルなもので自然と共にあるものなんだな、と思わせてくれる体験でした。

2泊目に滞在した常設テントはテントロッジのテラスからエヤシ湖を眺め、素敵なプールや、自然美をいかして作った池があり、その中には散歩道が木で作られていて、オーナーの方のセンスのよさが伺える。


お部屋は広々としていて、ホテルと変わらないができる。夕食はスープ、牛ステーキとグラタンと豪華でした。朝はスタッフの方が起こしに来てくれる際にコーヒーか、紅茶、ホットココアかいずれかを持ってきてくれる。朝の清々しい空気の中、湖を眺めながらテラスでコーヒーを飲んでいると木に小鳥が遊びにくる。なんと優雅なひととき・・・・ とても素敵なテントロッジでした。

いざ狩りへ、出発!!
さて、エヤシ湖の滞在2日目、今回のハイライトのハザベ族(ブッシュマン)訪問の時がやってきた。狩りは早朝に行われるので、日も明けていない朝5時半くらいにテントをでて約30分、ハザベ族の村にやってきた。今回一緒なのがイラク族のローカルガイドさんで、彼のお父さんが放牧をしていて、近くにハザベ族が住んでいたので、ハザベ族との交流もありハザベ族の言葉を覚えたそうだ。


まず弓矢の説明で、鳥用、小動物用、猿用それぞれで矢先の形が違う。例えば猿だととげがたくさんついていて、簡単に抜けないようになっている。また、植物の毒が塗られている。この矢先の金属は後ほど訪れる、鍛冶をするダトガ族から、捕まえた動物と引き換えしたり、物々交換か買うそうだ。弓には捕まえられた動物の毛皮や羽で飾られていて、昔は捕まえた動物の数だけ飾っていたが、今は単にデコレーションとするそうだ。
狩りで捕まえる動物はハイエナとハゲタカ以外で、ハイエナとハゲタカは死肉を漁るので食べないそうだ。農耕は行わず、フルーツ、根菜を集める。乾季には草で簡単な住居を作り、雨季には岩陰などで暮らす。マサイやダトガとは違って一夫一妻制だ。大のたばこ好きで、老若男女、子供もたばこを吸うので、お土産にタバコを持っていくと喜ばれるに違いない。子供は学校に行っている子は少ない。また、年齢を数えないので、何歳か聞いたら分からない、といわれた。
夜が明ける前にいよいよ狩りに出発。ハザベ族の少年4人とローカルガイドさん、日本語ガイドさん、私、猟犬2匹と村の隣の森の中へ入っていく。狩りといってももちろん私は弓矢を扱えるわけではないので、ついて行って狩りの様子を見させていただくだけだ。
動物の気配があれば彼らは茂みがあろうと棘があろうと身をかがめてすり抜け、走って行くので、ついて行くだけでもかなりハードだ。山を登るという感じではなくて、茂みをかきわけて入るので、高低差はないけど、イガイガのとげがついた植物がかなりたくさんあるので、服装も山用というか、頑丈なものがよく、靴もスニーカーだと心もとないので軽登山靴くらいのほうが良いと思う。
後からはあはあ言いながら追いつくと、すでに鳥を矢で射止めたあとだった。こ、これは頑張ってついて行かないと射止める瞬間に出くわすのを難しいぞ・・・ と必死についていくが2匹目の獲物、鳥を捕獲した瞬間を逃してしまった。

今までの2匹しとめたのもこのグループのリーダー格の青年で、ガイドさんいわく、かなりの腕のよう。他の少年は木の上の鳥を何度か狙い弓を放つが矢は当たらず、逃げてしまった。リーダーかどうかはわからないが、この凄腕の彼は私の中でリーダー的な存在なので今後文中でリーダーとよばせてもらう。


少年の一人がバオバブの木の上のサバンナモンキーの親子を発見!下から矢を放つも距離があってあたらない。そこでリーダーがバオバブの木に登り始めた。ご存知のようにバオバブはかなり大きく、横に生えている木に登り、ある程度上った後、隣のバオバブの幹に移る。


少年も我々も猟犬もリーダーの行動を固唾を呑んで見守る。木の上から矢を放つ。当たった!やった、仕留めた!リーダーは幹をつたって猿に近づく。猿は必死の抵抗をするもリーダーはナイフを使い、猿を木の幹にたたきつけ、弱らせ、やっと死に至らしめた。
巨木の上でのハンティングの成功に一同、大喜びだった。射止めた猿は小猿で、親は危機を察して子供をおいて逃げたそうだ。
村に帰る途中も獲物を探しながら彼らは走るのだが私は疲れきってもう走れなかった。彼らのいった道を追い歩いて帰ったのだが、追いついたところで彼らは山中で火を起こし、猿の食べる準備をしていた!火のおこし方は昔、ライターなどがなかった頃と同じ方法で、木の棒で火をおこし、枯れ草に火を移し、薪を集めて火を大きくした。

ここから猿の解体ショーが始まる。まず、毛皮をナイフではがし、身を火にくべてまずは表面をこんがり焼く。毛皮は真ん中をナイフで裂き、穴をあけてリーダーの冠になっていた。うん、今日のヒーローは間違いなく彼で、彼こそその栄光の冠を受けるのにふさわしい・・・と勝手に心の中で思った。こんがり焼けたところで身をナイフで解体する。一部は村の人に持ち帰るようだ。
手足など火の通ったところから、食べる。食べる様子はまるで、街中の若者がケンタッキーフライドチキンを食べるかのようで、さもおいしそうに食べている。捕まえたのはリーダーだが、威張って肉を独り占めすることもなくみんなで分けて食べていた。腸などの内臓は猟犬にあげていて、焼きたて・出来立てのあつあつだったので、犬が熱がっていた様子を、「モト、モト(熱い、熱い)」と少年たちは笑っていた。
この狩りの功労者でもないし、まさか、私に肉を分けたりしないよね・・・ という心配がみごと的中、私があげた飴のお返しか、猿の肝をナイフで切り取り分けてくれた・・・ ものすごく迷ったが、彼らのご馳走と考えているものを好意でくれたのに、一口もつけず捨てるのは失礼ではないか・・・ と思い、とりあえず一口食べてみた。うん、鳥の肝と変わらないおいしさ!でも、これって衛生的に大丈夫なのかな・・・ と思ってたところ、日本語ガイドさんが、「やめときなさい」と言って変わりに捨ててくれた。このときの話は、後々会うタンザニア人、マサイ族、会う人どの人にも話したが「え~猿を食べるなんてー!!!」とみんな大笑いしていた。 みなさんはどうか、こういう機会があっても、うまく断って食べないようにしてください。最後のほうで、リーダーが猿の脳みそを吸っていた。猿のバーベキューと解体ショーの一部始終を写真で撮ったが、けっこうグロテスクで社内でも不評のため、この旅行記では掲載しないでおきます。
今まで、食用の牛とか豚とかの解体をみたことがないので、猿の解体を直視できるかちょっと心配してたけど、意外と大丈夫だった。彼らの食事風景で、気持ち悪いーとか言ってしまったり、そういう気持ちを表情にださないようにしよう、と思ったこともあるけど、
結構、生理的にも平気だった。解体中、流血も少なく、手際もよくかなりスピーディーだった。今回、運良く狩りのうまいリーダーと同行できたけど、狩りは必ずしも獲物を捕らえることができないので、その場面に会えるかは運次第といえる。この狩りの体験は臨場感あふれ、手に汗握るシーンにも出くわし、かなり貴重なものとなった。


村に帰還し、その後、弓矢の練習の見学をさせてもらった。リーダーと狩りに行かなかったほかの青年が的めがけて矢を撃つ。うーん、さすがにリーダーはうまい。ガイドさん曰く、「彼のような人が早く結婚します」とのこと。私も矢を撃たしてもらったが、弓をひくのにかなり力がいる。放った矢は1メートル先にむなしく落ちた。弓矢の練習は来世でハザベ族の男性に生まれ変わったら励むことにしよう。

お礼を述べ、ひとまずもと来たテントにもどり、食事と昼寝をすることにした。テントの中は涼しく、ネットを通して爽やかな風が吹いてくる。小鳥の鳴き声も美しい。早朝から走って疲れもあり、満腹になって横になるとすぐ眠ってしまった。夕刻になり、今度はダトガ族の村に向かった。
彼らは昔、ソマリアに住んでいたが、世界中の全ての牛はマサイ族のもの、と信じるマサイ族と争い、難を逃れるため、この地に移り住んだという。この民族も一夫多妻で、女性の顔に炭でタトゥーを入れる風習もある。この民族の女性は働き者で赤ちゃんをあやす時間がないため、赤ちゃんの顔の涙が流れるところに傷をいれる。そうすると赤ちゃんは泣くと傷に涙が入り痛いので、泣かないそうだ。ヤギの皮のマントを羽織っている人もいる。彼らの信じる宗教はないが、農業の不作が続くと、山に住む呪術師に会い、山羊などの生贄をささげるそうで、そのことが彼らを何度も救ってきたそうだ。
マサイの家は丸いがそれとは違い、家は四角い。彼らは鍛冶を行い、先述のハザベ族の矢を売ったり、彼らの身につけるアクセサリーを作るのだ。「セイユー(ダトガの言葉でこんにちは)」と村の入り口で挨拶をすると、村の人はとてもフレンドリーに迎えてくれた。


ある女性は私の髪形がとても珍しい、と何度も私の髪をなでる。おうちの中を見学させていただいた。奥さんがとうもろこしの実を石でひいて粉にしている。若いが結婚したての奥さんでなんだか初々しい。私も体験させてもらったが結構中腰でつらい。

次に鍛冶場を見学させてもらった。火をおこし、金属をとかし、型に流して水で冷やす。矢先を作るとこも見せてもらったが、手際よくギザギザを作っていた。
お土産に腕輪を二つ買ったが、決して無理強いをするわけでもなく、買いたきゃ買えば?っていうスタンスがこちらとしてはうれしい。ガイドさんが「この民族のほうがハザベ族より、良い暮らしをしている。家の様子もそうだし、子供達は学校に行っている」と言っていた。なんとなく居心地がいい村で名残惜しさも感じながらさよならを告げた。
ンゴロンゴロでマサイ族とハイキング
翌日、朝9時ごろテントロッジを出発し、ンゴロンゴロのゲートにたどり着いたのは10時半ころ。そこからクレーターを一望できるビューポイントまではだいたい10分ほど。天気もよく素晴らしい眺めだ。クレーター内に象やヌーの群れが点々と小さく見える。ぐるりと山に囲まれているように見えるンゴロンゴロは
巨大な美しい箱庭のようだ。ホテルに荷物をおき、ンゴロンゴロの近くの村に訪れ、その村の村長さんとハイキングに出かける。万一に備えて銃をもったレンジャーさんも一緒だ。
英語がレンジャーさんも村長さんも流暢で、村長さんに名前を聞いたが長くて覚えられないので、紙に書いて、と頼んだところ、名前以外にも住所、電話番号、メールアドレスまで教えてくれて、とてもフレンドリーだ。「このあたり一帯の土地はみんな私のものなんだよ」と見下ろす限りどこまでも続きそうな草原・森林を指しておっしゃった。マサイの男性は槍を出かけるときは持っていく。いつ、どうやって使うの?と聞いたところ、我々は狩りはしないが、自分たちの身に危険が起こったとき、例えばバッファローがこちらに向かってきたときとかに使うんだよ、と槍を投げてみせてくれた。今までその槍で猛獣を倒したことはあるの?と聞いたところ、家の前にバッファローがきたときに、この槍で倒したよ、とのこと。ハイキングに身に危険が迫ることはほぼないだろうけど、マサイ族の男性と一緒だったらレンジャーさんがいなくてもきっと守ってくれるに違いない、と思った。


イガイガの植物をさして、これは触ると痒くなるから触らないように、とかありの行列をみて踏まないように、とか蟻の習性を教えてくれたりと、さすがこのあたり一帯を支配している村長さん、自然にも詳しい。ハイキングの後、マサイの男性が羊の肉を燻製にして作っているところ、マサイのスープ、羊の内臓とハーブを煮だして作るスープを作っているところを見学した。体にかなりいいらしく、味見をさせてもらったが、意外とミルキーで、ちょっと塩気があった。男性たちは我こそ先に、とスープを飲み、あっという間になべの中のスープはなくなってしまった。
ンゴロンゴロでサファリ

翌日、ンゴロンゴロのクレーター内へサファリに出かけた。前の夜に雷雨があり、クレーターへ向かう道のりも霧が立ち込めていたため、ああ、なんて天気に恵まれてないんだろう、これじゃあサファリしても動物がみえないんじゃあ・・・と心配したが、クレーター内は素晴らしい天気。
クレーターのふち、上と、内部では全然天気が違う。クレーターの上だと雲が近いため、割とよく雨がふるそうだ。ンゴロンゴロのサファリについては他のスタッフも旅行記に書いているので、印象に残ったことのみ書かせていただくと、私が訪れたのは雨季だが、雨季は草木が生き生きとし、とても緑が美しい。乾季にサファリに行った事はないけど、私は絶対雨季の緑の風景が美しい時季がいいと思う。ヌーの赤ちゃんがお母さんのお乳を飲んでたり、シマウマの赤ちゃんにであったり、雨季の食料が豊富なときに子を生む動物も多い。象、ライオン、ヌーの大群、シマウマ、ガゼル、ディックディック、バッファローなどたくさんの動物に出会えた。



インパクトが大きかったのは、アフリカオオノガン。オスは立ち上がり、のどを膨らませドゥーン、ドゥーンと大きな音を鳴らし、メスをひきよせる。なんでオフリカオオノガンにしてみればあれは魅力的なんだろう、と思ってしまうが、それは他の動物、人間も含めて同じで、当人しかわからないのだな、と思った。

昼食はピクニックサイトでお弁当を食べた。クレーター内で唯一、人が車から降りれるところだ。ガイドブックには鳥がお弁当を狙ってき、それで怪我をする人もいるので注意、
とあったが、今ではどの観光客も車の中でランチを食べている。隣に止まっていた車のフランス人観光客のガイドが鳥にえさをやらないように、と既に注意していたのにもかかわらず、その観光客はえさをやっていた。それをみたドライバーガイドさんが「don’t feed them!!」と彼らに叫んだ。そう、写真が撮りたいからといって、鳥にえさをやったりするのは生態系を崩すことになり、決してやってはいけない。サファリは動植物のすみかに人間はお邪魔させていただく、という立場であることを決して忘れてはならない。
テント滞在と民族訪問の勧め
今回、テント、テントロッジ、普通のロッジと様々な宿泊施設に泊まってそれぞれの良さを感じることができた。豪華なロッジはたくさんあるけれど、より自然を近くに感じることができるキャンプも面白い。タンザニアの大自然の中でキャンプする体験は、どんな豪華ロッジ滞在にも勝ると思う。だけど、蚊が、マラリアが心配なんです・・・ という方もいらっしゃると思う。もちろん、マラリアになる可能性は0%、とはいいきれないけれど、タンザニア人もかかってしまう人は極まれだし、予防することでかなり防げる。予防薬を飲んだり、蚊取り線香を持っていったり、現地旅行社で虫除けスプレーを貸してくれる。
日本の虫除けは薬の法律上、DEETという虫を寄せ付けない成分が10%以下しか含んでないが、アメリカや他国では大体30%含んでいるのだが、それをつけないとタンザニアの蚊よけにはならない。私の滞在地では蚊を見かけることはあまりなかった。あまり怖がることなく、是非トライしてみてください。
以前、ケニアにサファリ旅行に出かけたときも豪華なロッジのみに滞在し、とても快適で、豪華で、おいしい食事もあって優雅なひと時を過ごせ、サファリで動物をみたり、美しい風景を目の当たりにし、素晴らしい自然があることがわかったが、現地に住む人々からかけ離れた世界で、人々と接することもなく、文化を感じることができなかった。今回、三つの部族の村を訪れ、ほんの少しだけど生活の中に入り体験し、その部族の言葉で挨拶することで、よりその人々を近く感じることができたと思う。タンザニアにも126の民族があり、それぞれに言語を持っている。アフリカ、アフリカと私たちが呼んでいる世界は途方もなく大きく、たくさんの人々がそれぞれの文化を持っていて、違うのだ。
その人たちを一くくりにアフリカと呼ぶにはあまりにも雑すぎる。それぞれの民族が独自の文化を守り、他の民族ともいい関係を保つようにそれぞれ努力をしているのだ。ちょっと彼らの生活の一部を見せてもらうだけで遠かった”アフリカ”がより近い“タンザニア”と感じることができるはず。
あなたのサファリ旅行に是非、民族訪問も加えてみてください。
2010年3月 辻

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