☆“お一人様”女の子向けらくらくインド・ラジャスタン紀行 ☆

☆“お一人様”女の子向けらくらくインド・ラジャスタン紀行 ☆

インドに行くためガイドブックを読んでいると、旅行中に事件に巻き込まれたとか、お金をとられたとか、食事が合わなくて体調を崩したとか、トイレ事情が良くないとか、とにかく読んでいて憂鬱になるようなことがたくさん書いてある。
もちろん、インドのすばらしい遺跡・世界遺産、おいしい食事や文化等、興味をそそられることもたくさん書いてあるのだが、それ以上にインドという国は特に女性が一人で行こうとする時には、不安になり、踏み出すことをためらってしまう要素が多い。
そこで今回は、自身の2009年3月のインド体験より、女性が一人でも楽しめるインド旅行を紹介したいと思う。
インドは広く、どの地域も面白いのだが、今回は、デリー→ジョドプール→ウダイプール→(車中泊)→ジャイプール→アグラという、主にラジャスタン州を巡る旅をすることとなった。


1日目:最初に到着した町は、インドの首都デリー。メトロ開業に向け町中で工事が行われている中、ホテルへ。途中、インドならではの「ウシ」を発見。商店の前、バス停、道路の真ん中など、本当にあちこちにウシがいて、インドに来たんだなぁと実感した。(インドでは牛はとっても神聖なのである。)
まず、気になるのが食事だと思うが、インドの食事と言えばやはり香辛料たっぷりのカレーである。日本の「カレーライス」とは異なり、香辛料が多くサラサラしたカレーが主ある。通常の食事では、スープ、野菜のカレー、チキンやマトンのカレー、そしてナンやライスを食べ、最後にチャイ(インド風ミルクティー)を飲む。カレーばかりの食事ではあるが、辛くないものも多いため、食べやすく、日本人の口に合う。また、スパイシーな食事の最後にいつもチャイを飲むことで、胃への刺激が和らいだ。
2日目:デリーを少し観光後、国内線でジョドプールに飛んだ。デリーから50分ほどのフライトだったが、ジョドプールという町は、デリーとはまるで別世界だった。その別世界の砂漠の町は、町のすぐ近くに見える巨大な「メヘラーンガル砦」のもとに広がるブルーシティと呼ばれる美しい町並み。かつてこの地を統制していた王国が、大変強大な勢力を持っていたことを強く感じる、とても迫力のある町だ。

町は旧市街と近郊の新しい町に分かれている。旧市街はメヘラーンガル砦のすぐ近くに広がるので、雰囲気がとても良い。しかしその一方で治安や衛生面で不安がある。他の町でもそうだが、インド旅行で欠かせないのが「ウエットティッシュ」と「トイレットペーパー」だ。ナンなど手で食べることもあるので、食事の時のウエットティッシュは抗菌作用のあるものだとなおさら良い。また、インドのトイレ事情は、決して良くない。観光地の遺跡のトイレで、チップを払っているのに紙がないなんて普通である。日本のトイレットペーパーはかなりのお役立ちアイテムである。

3日目:ジョドプールを観光後、ウダイプールへ。ウダイプールは砂漠のラジャスタン州にありながら、湖を持ち、白く輝く町である。ジャイプールからウダイプールへは車で5-6時間かかる。ここではなんといっても途中の寺院群「ラーナクプル」が見どころである。ラーナクプルは、人里離れた山の中に突如現れる遺跡群だ。現在も大切にされている、インド最大のジャイナ教寺院と言われるが、その感動すべき点は、真っ白な大理石に施された繊細な彫刻である。もっとも大きな寺院の内部には、1444本の柱があり、その全てに美しい彫刻がなされており、その場にいるだけで、なんともいえないパワーを感じた。
ここで注意なのだが、この寺院に入る際に、膝丈より短いスカートでは入れない。私は何も知らず膝丈のスカートをはいていたのだが、しっかり指摘され、窓口で長いワンピースのような服の上から着るものを借りることになった。(有料である。)
このほかにも、宗教上の理由から、スカートでは入れない場所があるため、不安な時は事前にガイドさんに確認しておくと良い。どこかでサリーやバンジャビードレスを購入するのも良いだろう。

4日目:ウダイプール観光とホテル見学が主の1日であった。なんといってもおすすめは、湖の真ん中に浮かぶ「レイクパレス」である。船でしか行けないそのホテルは、静かで穏やかで、時間を忘れさせてくれる空間であった。

そしてそんな穏やかなホテルを見学した夜、ついに寝台列車に乗る時がきた。大きな不安の中、ジャイプールを目指した。私の乗った2等エアコン寝台は、2段ベッドになっていて、荷物は下段ベッドの下に入れられるようになっている。ベッドの下には輪がついていて、盗難防止のため、持ってきたチェーンで荷物と輪を繋ぐ。ベッドには毛布・シーツ・枕がついているが、エアコンがしっかりきいているため、上着は必需品だ。また、貴重品は当然自分で大切に身につけておき、たとえ近くに乗った旅行者に親しげに食べ物や飲み物を渡されても、口にしなように注意をすれば、あとは安心して眠って良いだろう。

5日目:肌寒い早朝、こんな時間から?!と思うほど多くの人で賑わうジャイプールの駅に降り立った。ホテルで朝食をとった後、ジャイプールの観光へ出かけた。ジャイプールは現在、ラジャスタン州の州都であり、他のラジャスタンの都市に比べると人も車もかなり多く、ちょっと都会的である。そのため、観光に行ってもバザールを歩いても、何だか気を抜けないというか、緊張感でいっぱいだった。(日本語で声を掛けられても注意!!)
 ジャイプールではアンバー城の象のタクシーが印象的であった。城へは歩いても行けるのだが、象の背中に乗せてもらい、ゆっくり進むと、なんだか不思議な気分になった。象のタクシーを降りるとき、象使いにチップを要求される。予めガイドさんに聞いていたものの、あきらかにはっきりとした口調で「チップをください」と言われた。
このアンバー城に限らず、インドではチップの習慣がある。長い歴史の中、イギリスとの関係が深かったことも理由の一つであろう。何かをしてもらったとき、「ありがとう」という気持ちとともにチップを渡すのが習慣である。しかし、チップの習慣のない日本人にとっては、タイミングが計れない。私はいつ、どうやって、誰に渡せばいいのか、いつも迷い、渡したいのに渡せなかったこともあった。観光客相手に高額なチップを要求する人々に言われるままに渡すのは決しておすすめではないが、インドという国に来たのだから、ちょっとその習慣に近付いてみるのも良いだろう。
6日目:さて、そろそろ旅も終わりに近づいてきたころ、ジャイプールからアグラへ向かった。途中、アクバル帝国の古都である「ファティプールシクリ」を観光。ラジャスタン州の各町もそうであったが、ファティプールシクリも趣があり、今は生活の場ではないが、かつての繁栄を想像するには充分の場所であった。
車を走らせ、ついにアグラへ。「アグラ」という地名を聞いてもピンとこないかもしれないが、あの「タージマハル」のある土地である。この日は金曜日でタージマハルには入れないため、タージマハルへ行きたい気持ちを抑え、アグラ到着後はアグラ城を観光した。アグラ城もまた、繁栄、争い、衰退という歴史の中で重要な場所にあったのだ。もちろん、日本の「城」とは全く違う作りではあるが、その中で起きていた人間のドラマは、なんだか似ているのではないかと思えた。

7日目:ついに、ついにタージマハルへ!!世界で最も美しいお墓と言われるタージマハル。その白く輝く大理石の建物は、本当に美しかった。そして今なおその魅力が衰えないのは、建物の豪華さや設計や彫刻もさることながら、タージマハルを建てたムガル帝国の皇帝「シャー・ジャハーン」さんにもあるのだ。タージマハルは亡くなった妃のためにシャー・ジャハーンさんが22年もの歳月をかけ、つくり上げた。そして真っ白な大理石で輝くタージマハルの対岸に黒い大理石で自身の墓を作ろうとしていた。残念ながら息子に幽閉されたために黒いタージマハルは実現しなかったが、こんなにも愛されたシャー・ジャハーンさんの妃はどんな人だったのかと、女性なら誰しも気になるところではないだろうか。とにかく感動する建物であった。

こうして今回のインド・ラジャスタン州の旅を終え、まだまだ知らないことは多いのだが、「女性一人でも大丈夫!!」というのが実感として残った。もちろん、旅をしていく中で、自己管理をしなければならない部分はあるが、そんなに、そんなに構えなくても、怖がらなくても大丈夫である。今までちょっとインドに行くのをためらっていた女性にも、一人旅にもぜひおすすめしたい。
2009年3月 西田

インド・ネパール・パキスタン・スリランカ・ブータン・バングラデシュカテゴリの最新記事