エコロジー&ラグジュアリー ケニアの旅

エコロジー&ラグジュアリー ケニアの旅

マサイ族多分自分からはアフリカを旅先に選ぶことはなかっただろう。それだけ私にとって遠くて、イメージのわかなかったアフリカ。「アフリカ大好き」なスタッフの多いファイブスタークラブの中で少々肩身の狭い思いをしていただけに、これを機会にわたしもその仲間入りができるだろうか。いざはじめてのアフリカ、ケニアへ!

関空、ドーハを乗り継ぎ、1日がかりでナイロビに到着。ガイドブックの情報、それとただのイメージで固定概念をもって出発したものだから、スーツケースの中はいつも以上に重い。除菌ウエットテイッシュ、アルコール消毒剤、マスク、インスタントのスープ・・・。そんなものがカバンに入っていることを現地スタッフの皆さんに話すと、あなた旅行会社の人よね??といわれる始末だ。結果的に持っていった上記すべてものはケニアで使うことなく帰ってきた。

マサイマラ国立公園空港のすぐそばにはナイロビ国立公園がある。空港から車で10分走っただけでキリン、シマウマに出会う。キリンは手が届きそうなくらい車の近くまで寄ってきた!隣では住民が洗濯をしているのに。今回の研修出発前は、動物とか苦手だし・・・なんて思っていたが、その近さとかわいらしい目に感動!最後には「もっとこっちに来て~」とキリンに呼びかけている。かなり勝手な自分に恥ずかしくなった。のんびり暮らす動物をみて、1日目にしてすっかりこの国の魅力にとりつかれた。
翌日からはいよいよ国立公園へ。豪華な宿泊施設がサバンナや山の中にあると聞く。多くのロッジではその音で動物をおどかしてしまうテレビやラジオが設置できないそうだ。しかも電気や給湯が使える時間も制限されるロッジもある。どう見ても不便そうだ・・・野生動物優先のケニアでどうしたら豪華な滞在ができるのだろうか。
ケニア国内にはいくつもの国立公園、動物保護区がある。その公園内にはサファリをする観光客のためのロッジやテントキャンプがある。とあるロッジのマネージャーは最近続々と新しいロッジができて、ものすごい競争になっている、と言っていた。確かにその数はとても多く、どこも特色をもっており、ユニークだった。星空を眺めながらシャワーができるロッジ、野生のキリンが歩く姿を間近で見ながら食事ができるテントキャンプ、お部屋からマサイマラが一望できるロッジ・・・今回私はマサイマラ国立公園、スイートウォーター私設保護区、ケニア山国立公園と3ヶ所4つのロッジに宿泊した。実際見て、泊まったそれぞれの1日をお伝えしたいと思う。

2日目:マラソパロッジ
ソパロッジナイロビから5時間かけてマサイマラ国立公園のマラソパロッジに到着。さっそくランチから滞在はスタート。ケニア色豊かなワイルドな食事をイメージしていたが、見当違い。ブッフェランチでヨーロピアンスタイル。 その他のロッジ見学などを済ませ、 あっという間に夜になり、ディナータイム。 これもまた豪華で、サラダからデザートまでとにかくなんでもある。 マサイマラソパロッジガイドのキャロラインさんとビールを飲みながら、2時間ほどかけたくさんいただいた。メインレストランは200名も収容できるそうだ。フレンドリーなスタッフがいっぱいでにぎやかな雰囲気だった。

マサイマラソパロッジシャワーのお湯は夜10時まで、電気は11時までと決められているため、お夕食のあとは大急ぎでシャワーを浴び、 大急ぎでお部屋を片付ける。ぎりぎりセーフで夜10時55分ベッドにもぐると、足元にはほわほわあたたかいゆたんぽが!!!  サバンナは朝晩寒い。お部屋に当然暖房はないのであたたかいものが欲しくなる。 あたたかいケアと究極のエコに泣きそうになりなっている間にすべての電気が容赦なく消えて、ケニア2日目は終わる。
マサイマラの夕日この日以降、最終日まで毎晩各ロッジで夕食から戻るとゆたんぽが用意されていた。

朝はモーニングサファリからスタート。朝6時半にロッジを出発!マサイマラでのサファリは車に乗って動物を探しに行くのが一般的。 初日からライオンを発見。ガイドのキャロラインさんに写真を早く!とせかされる。 あっという間にライオンの回りはサファリカーだらけ。 車の隙間からライオンを見るのがやっとになってしまった。 こういったサファリカーは近くの車と無線で連絡を取り合い、みんなが多くの動物を見られるようにしているそうだ。サファリから帰ると、すぐに朝食。ソパロッジはみんなでわいわいカジュアルに過ごせるロッジだった。

3~5日:ムパタサファリクラブ
ムパタサファリクラブマサイマラで日本人の経営する唯一のロッジ。スイートルームにはジャグジーがあったり、広々したビングルームも。それでも華美なインテリアはなくあくまでも部屋から一望できるサバンナが主役。 ムパタクラブの朝もやはりサファリからスタート。 滞在中はムパタクラブの優秀ドライバーさんが私たちを公園内のサファリに案内してくれる。ムパタサファリクラブ
ものすごい視力で遠くにいる(当然私には見えない)ライオンを発見。 おかげさまで滞在中たくさんのたくさんのライオンを見せていただいた。

ムパタサファリクラブサファリから戻るのは午前8時半頃。車から降りるとロッジ内で焼くパンのいいにおいが・・・。朝のサファリが終わるとその後朝食になるのはほとんどのロッジも同じだ。ムパタクラブはグルメなロッジでもある。なんとお料理は三國清三シェフ監修!フレンチベースでローカルでとれた新鮮な魚や野菜を使っただれの口にも合いそうなやさしい味。盛り付けはとても繊細。 サバンナの食事がこんなにも優雅だと思わなかったので、正直驚いた。ランチ、ディナーともコースもしくはビュッフェで日によって変わるそうだ。

マサイマラ国立公園ネイチャーウォークに参加またムパタクラブ主催のオプショナルツアーもユニークだ。日中マサイ族のママからビーズワークを教わったり、近くの湖に飛行機で行き魚を釣ったりと興味深いツアーがいくつかある。私はネイチャーウォークに参加させていただいた。その日の参加者は私だけで、ナチュラリストのケビンさん(ムパタ専属のナチュラリストさん)とレンジャーさん(時々大きな動物が現れるそうでそれに備えて見張る方)の3人で5キロのウォーキングサファリ。ムパタクラブからマラ川まで行きカバの水浴びを観察(片道が2.5キロ)。途中カバの骨を発見したり(その骨をケビンさんは持ち帰りロッジに展示した!)、アリの巣の深さを観察したり、視点を変えて足元にあるケニアの自然を間近で見ることができるのがよかった。
大自然に調和するナチュラルな豪華ロッジムパタクラブでは、朝晩はサファリ、昼間はネイチャーウォークでパーフェクトな滞在ができた。

6日目:スイートウォーターテンテッドキャンプ
スイートウォーターテンテッドキャンプスイートウォーター私設保護区にあるロッジ、スイートウォーターテンテッドキャンプはガイドブックにもあまりでていないプライベート感たっぷりのテントロッジ。
飛行機でマサイマラより45分でナイロビに戻り、そこからさらに車で3時間程度北に向かう。マサイマラの公園ゲートよりもっと小さいゲートを抜け、ドライバーさん道分かるのかしら・・・と思えてしまうくらい(失礼!)真っ暗になったじゃり道をひたすら走ると、遠くに民家のような建物と黄色いランプの明かりが見えてきた。
スイートウォーターのロビー、レストラン、ラウンジのあるメインの建物は昔イギリス人が住んでいたそうだ。こぢんまりしていてまるで邸宅にお邪魔しているようでとても落ちつく、そんな雰囲気だ。
スイートウォーターテンテッドキャンプ宿泊はすべてテントで、夜になると外から動物の足音、風の音や木の音が聞こえてくる。テントの壁は薄くて自分が部屋というより、自然の中にいるような気分にさせてくれる。テントはこんなところに魅力があると思った。
テント内にはお湯のシャワー、トイレがある。スイートウォーターでは薪を燃やし、水を沸かしているという。シャワーからでるお湯もまたこの熱を利用したものだと聞いて驚いた。敷地内に5ヶ所くらい一日中薪を燃やしているスペースがあった。薪のまわりには夜になるとゲストが集まって暖をとっていた。夜には星がきれいなスイートウォーターで、テントにこもっているより暖をとりながら、空を眺めているほうがよほどケニアの自然を実感できると思えた。スイートウォーターは大自然を実感する滞在ができるテントキャンプだ。
スイートウォーターテンテッドキャンプスイートウォーターがマサイマラなどと異なるのは、遠くまでサファリに行かなくても動物に触れ合えたり間近に動物を見られるところだ。サファリにでかけられなくてもメインレストランの目の前にある水場に集まるキリンやゾウを、朝食や夕食を食べながら観察できるのは新鮮だった。もちろん朝夕サファリも可能。さらには夜もサファリにでかけられるのも魅力。以前はロッジから少し離れたところに「モラニ」という孤児のサイが保護されていたのだが、そのサイは今年8月なくなってしまったそうだ。サイに触れられるのも魅力の一つだっただけに残念だった。

7日目:マウントケニアサファリクラブ
赤道にてスイートウォーターより、途中ナニュキという赤道の町を越える。コリオリフォース(南北半球で水の流れる渦が逆になる現象)を見て、半信半疑でその原理を考えている間にケニア山国立公園へ到着。スイートウォーターからも遠くにケニア山が見えたが、マウントケニアサファリクラブからは晴れていれば山がより近くに見える。
ここでの滞在は100エーカーもの面積のある敷地内でゴルフをしたりプールに入ったり、マウントケニアサファリクラブスパを受けたりロッジ敷地内にある各アクティビティを楽しむ。 ケニアの自然と動物を守りたいと考えたウイリアムホールデンというハリウッド俳優がこの敷地を買い取り、動物保護をする施設にしたという。
今はホテルとは別の経営になっているそうだが、アニマルオーファネージというさまざまな理由で孤児になった動物達を保護している施設もそのウイリアムホールデンの残した施設のひとつだ。今そこでは数少なくなった品種や孤児となってしまった動物に餌付けをしたり、また触れ合ったり、通常のサファリとはまた異なる体験ができる。めずらしいボンゴもいる。 慎重な?私はいつものようにあまり乗り気ではなかったが、ゾウガメには乗ったり、サルをインコのように腕に乗せて餌付けをしたりとなかなかできない体験をし結構楽しい時間を過ごした。このロッジでは朝夕のサファリをできるエリアは近くにはない。 マウントケニアサファリクラブリクエストをしてスイートウォーターなどへのゲームドライブへ行くことも可能だが、支配人のフィリップさんはホテル内でゆっくり時間をすごしてもらいたいと言っていた。きれいに整った芝生でごろっと横になって過ごせたらいいな・・・と思っている間もなく、ケニアで最後の夕食。この最後の1泊となってしまった。
メインレストランは重厚で、ここも邸宅のような雰囲気。今もドレスコードがあるがそれほど厳しくはない。ディナーの時にはピアノの演奏があったりと今回滞在したどこのロッジよりもエレガントな雰囲気だった。
今マウントケニアサファリクラブは大リノベーション中。この先新しくなるお部屋の詳細は紹介はできないが、この雰囲気とその格式は変わらず12月に完成予定だ。

スイートウォーターテンテッドキャンプ今回ケニアを旅して思ったこと、それは自然とそこにすむ動物を大切に思う気持ちと、ゆっくり贅沢な滞在をしたいと思う気持ちを両立させることのできるすばらしいところだということだ。ケニアでゆたんぽをみるとは思いもしなかったし、電気が1日中使えないのは大変だとしか思えなかったが、 その不自由さと引き換えにサバンナに送電線や工事の車両を走らせるためにアスファルトの道路をつくるというのであれば、アニマルオーファネージ考えてしまう。
1日中電気は通っていないから、夜はゆっくり休める。まわりが真っ暗だから流れ星もみつけられる住み込みで働くロッジのスタッフの人たちが、ゲストが快適に滞在できるように力を尽くして、 電話のないロッジではモーニングコールができないから毎朝早くに起こしにきてくれたり、 毎晩ゆたんぽを準備してくれたり・・・華美ではないけれど、素朴なよさがあった。エコロジーとラグジュアリー、 欲張りな旅をケニアですることができた。

2008年10月 吉木

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