マダガスカル  - 動物達の宝庫 –

マダガスカル  - 動物達の宝庫  –

バオバブの木星の王子様ってネームバリューの割には実際に読んだ事のある人って少ないのではないだろうか。私は高校生の時に読んで以来本棚の奥にしまいっぱなしになっているけれど、あれに出てきた大きな木がマダガスカルのシンボルのひとつでもあるバオバブの木だ。
世界で7種類あるうち6種類のバオバブがマダガスカルで見られる。
もうひとつ有名なのがキツネザル。『モンキー』と呼んだら地元のガイドさんに、あれはモンキーではなく『リマー』(マダガスカルではキツネザルをそう呼ぶ)だと怒られてしまった。
両手をあげて太陽の光を浴びるキツネザルの姿をテレビで見かけた事のある人も多いと思う。
あともうひとつ、マダガスカルはその隔離された地理から固有種の動植物が多いが、中でもカメレオンは世界の全種類のうちの半数が生息していると言われる。
爬虫類が大好きな私にとってはまさにパラダイスだ。
今回は残念ながらバオバブもキツネザルもそれほど出てこないが、マダガスカルならではの景観を求め2つの国立公園を中心に出かけてきた。


まずはイサロ国立公園へ
時期が時期だったので出発前は仕事に追われ、出発数時間前に荷物も作ったので自分の日程表を良く見ないで出発してしまった。
行きの飛行機で現地から来た英文の日程表を見てみると到着した翌日に『FULL DAY ENJOY TREKKING』とある。
そしてよくよく読んでみるとマダガスカル滞在全7日間のうち5日間は『ENJOY』とか『WALKING』とか『VISIT』とか言葉は変わっていてもとにかく国立公園内を歩くという事らしい。
今回に限って虫除けスプレーも蚊取り線香も胃薬も風邪薬もすべて日本に置いてきた私は一抹の不安に駆られたが、もう出発してしまったものはしょうがないと腹をくくった。
バンコクで1泊し、日本を出発して2日目の夜、やっとマダガスカルの首都アンタナナリボに到着した。
空港の外に出た途端に自分の服装を後悔。残暑厳しい日本と昨日泊まったバンコクからはかけ離れた寒さで、息を吐いてみると案の定白い息が出る。
夜は少し冷えるだろうと思ってカーディガンを持ってきたけれどそんなものでは足りず、フリースがあってもいいくらい。
アンタナナリボは高地にあるので他の土地に比べて断然寒いらしい。
アンタナナリボでそのまま1泊し、翌朝イサロ国立公園のゲートウェイであるラヌヒラへ向かった。
イサロ国立公園ラヌヒラ自体は本当に小さな町でメインストリートと呼ぶのもためらうくらいの短い通りに売店やホテルが建ち並び、高級ホテルはここからさらに離れた郊外に点在している。
ホテルの部屋で少し休憩し、いざイサロ国立公園へ向かった。 マダガスカルのグランドキャニオンと呼ばれるだけあって岩の景観が素晴らしい。
イサロ国立公園の岩場いつもは車で待っているらしいドライバーさんも、何回もお客さんをここまで送りに来ているのに一度も公園内を歩いたことがないと言うので一緒に行くことにした。
最初は普通のハイキングコースという感じで、暑ささえもう少し和らげば楽な道だった。 だけど奥に行くにしたがって岩から岩へと移りながら歩くようになり、まるで歩くつもりのなかったドライバーさんはビーチサンダルで非常に苦労していた。
そのうちガイドさんが森の中を指差し、「リマーだ!」と教えてくれた。
岩の上からこちらを見ているシファカというキツネザルだ。初めてのキツネザルとの対面にテンションが一気にあがり、望遠レンズに変えようとするのだけれどあせってうまく出来ない。 なんとか撮ったけれどすぐに木の陰に隠れてしまって、背中に小さな子供を背負っていたのだがうまく写らなかった。
林の中に入っていくと何人かのグループの人たちが上を見上げてあちこち指差していた。どうやらまた違う種類のキツネザルがいつもいる場所らしく、みんなで目を凝らして探しているようだ。一人の観光客がいたぞーと声をあげ、わらわらとみんながそっちのほうへ行って パシャパシャ写真を撮り始めた。
マダガスカル版サルゲッチュって感じだなぁと思いつつも今度は落ち着いて私もシャッターを切った。
リマー(シファカ・キツネザル)キツネザル
バオバブの一種
翌日は平地を歩き、天然の池を見に行った。
途中の道には色んな珍しい植物があって面白かった。
写真の小さな木はバオバブの一種らしいが植物というよりもサボテンのような雰囲気でポツンと佇んでいた。
周りは岩で囲まれていて、上に上ると景色がぱっと広がり素晴らしい眺め。

池につく頃には汗だくだったし、ここはナチュラルスイミングプールと呼ばれていて観光客達が泳ぐと聞いていたので一応水着を持っていったのだが、ガイドさん、ドライバーさん、トレッキングガイドさんの男の人3人の前で一人で泳ぐのになんとなく抵抗があって足だけ漬かって体を休めた。

イサロ国立公園は色々なルートがあり、本格的にトレッキングしようと思ったら4、5日はかかる。変わった植物や野生のキツネザルに会いたいのならここが断然お勧めだ。
アンタナナリボの夜
週末は外食する人が多いとかで、独立大通りというメインストリート沿いに日が落ちた頃から屋台が立ち並ぶ。
串焼きがメインで、他にもぶっかけご飯の屋台やチキンのあらゆる箇所を焼いて売り歩くおじさん、サモサ(ピロシキのようなもの)のかごを抱えた少年などで賑わっている。
中には電話のプリペイドカードを売る人などもいて、多くの若者が集まっていた。
試しに牛の串焼きを2つほど頼んでみた。竹串に小さな肉の切れ端が申し訳程度に4つくっついていて、1本10円弱。炭火の上に穴の開いた鉄板が敷いてあり、そこに押し付けるように焼いていく。明かりがほとんどないところで焼いているので火が通ったかをどう判断しているのか分からないけれど、しばらくぎゅーぎゅーと鉄板に押し付けた後、はい、と渡された。 まじまじと串を眺めてどうやら火が通っているらしいことを確認してから口に運ぶ。
今日イサロから戻ったばかりだが、明日も北部へ飛行機で行ってトレッキングなのでここでお腹をこわすわけにはいかないのだ。
肉は小さいながらしっかりと味がし、塩が程よく効いていておいしかった。 やっぱりこの牛肉も『らくだうし』と私が勝手に命名した、背中に大きなこぶのあるマダガスカル特産のゼブ牛肉なのだろうか。
いっそのことここで夕食を済ませてしまいたかったけれどホテルがディナーを用意してくれていたのでそういうわけにもいかず、明日の朝食にしてもいいと思ってサモサを少し買って帰る事にした。
売っている少年達に英語が通じるわけもなく、学生時代に受けたフランス語の授業を頭の隅から引っ張り出そうとするのだけれど、たった一言の『いくら?』がどうしても思い出せない。代わりになぜか『あなたは自然が好きですか?』というフランス語のフレーズが浮かんできけれど少なくともこの場では役にたたなそうなので、くるしまぎれに思い出した『お勘定お願いします』というフランス語を発すると少年から失笑を買ったが言いたいことは伝わった。なんとかで 3000フランだという。『なんとか』の部分が1キロなのか100グラムなのかよく分からないので身振り手振りで1000フラン分(約12円)だけくれと言うと、袋に4つも入れてくれた。
なんか楽しかったなーとご機嫌でホテルまで帰る道のりで結局4つとも食べてしまった。
この屋台は金曜と土曜の日が落ちた頃から夜中までやってるらしいがガイドさんいわく8時くらいまでなら人通りが多いので大丈夫だとの事。 ただし首都といえどもまだまだ街灯が少なく、ホテルが少し離れたところにあれば人気の少ないところを歩くことになる。屋台のある辺りも残念ながら安全な雰囲気とは言いがたいので特に女性の一人歩きには十分注意して欲しい。
アンカラナ特別保護区
アンカラナ特別保護区アンタナナリボからアンチラナナという北部の町まで行き、そこからさらに車で走ること数時間、アンカラナ特別保護区へようやく到着した。
アンカラナ特別保護区には洞窟があったり珍しい鳥や昆虫がたくさんいるが、とんがった岩が連なる小さなツインギーの山もある。 保護区内にはキャンプ場が点在していてテントも張れるようになっている。
今回色々なところを歩いたけれど、ここが一番きつかった。 うだるような暑さの中4時間位ほぼ歩きっぱなしだったからだ。
まず最初に急な階段を下りていき、洞窟へ行ってみた。
中は真っ暗で懐中電灯がないと何にも見えない。 そんな中、天井に無数にいるであろうコウモリ達がキーキーと叫びまくり、自分のすぐ脇をさっと飛んで行く空気を感じて思わず声を上げてしまった。
怖がりの私にはこのコウモリ達や、なんだか分からないような骨が落っこちている事に我慢できず、ガイドさんに泣きついてすぐに出てしまった。
丘の上に上がると稲穂のような草原に出て、恐怖体験ですっかり冷や汗をかいた私も、60歳を過ぎていてさっきの階段が腰に来ていたガイドさんも一休みしよう!ということになった。
マダガスカルの不思議な昆虫景色を眺めつつ水を飲んで、ふと近くの木の枝を見ると白い糸くずのようなものがたくさんついていて、ガイドさんがこれは昆虫だと教えてくれた。

『プチ』ツインギー『プチ』ツインギーからの眺め
さて、ツインギーを見に行こうということでまた森の中へ入り、ごつごつした岩を登っていくとツインギーの山にたどり着いた。
ここはあくまで『プチ』ツインギーなので大規模なツインギーの山を見るにはマダガスカル西部のツインギー国立公園まで行かないと見られない。でもそこに行くには最低でも4日は必要だそうで、時間のない旅行者はここに見に来るそうだ。
この日は保護区の目の前にある簡易宿泊施設で泊まった。
本当はキャンプの予定だったのだが、思いの他観光客が多く来ていてテントを張るスペースが足りなかったためだ。
夜はドライバーさんが腕をふるってマダガスカル料理をご馳走してくれた。
虫の鳴き声が響く中、ぼんやり灯ったろうそくの下で食べる料理はお世辞抜きで本当においしく、つい数日前までの東京での生活があっという間に頭から飛んでしまった。
簡易宿泊施設 室内簡易宿泊施設 外観
アンバー国立公園
カメレオン アンバー国立公園にて翌日は私の大好きな爬虫類がたくさんいると言うアンバー国立公園へ行った。
ジメジメした山の中を進んでいくとたくさんの滝があるが、ところどころでカメレオンがひっそりと木の枝に掴まっているのが見られる。
小指の先ほどの大きさしかないものもいるし、ひっそりと木の枝につかまっている公園のすぐ外のホテルには20cmくらいありそうな鮮やかなヤモリなどもいて、きょろきょろしながら歩くので進むのが断然遅くなる。
でもやはり慣れない私には全然見つけることが出来ず、その点ガイドさんはほらそこ、ほらここにもと次々に見つけて見せてくれた。
色鮮やかなヤモリハイキングを終えて公園のキャンプ場へ行くとドライバーさんがお昼ごはんの支度をして待っていてくれた。
サンドイッチとか簡単なものだろうと思っていたのに、ちゃんと火をおこしてチキンなどを煮てくれ、テーブルクロスまでひいてピクニック風に演出してくれて、わいわい楽しいピクニックと言う感じで過ごせた。
とにかくピクニック風ランチ
毎日歩きっぱなしで、普段の運動不足を身に沁みて感じた旅だった。
マダガスカルには他の土地にない独特の動植物がまだまだいるので、是非今度は今回行かなかった南部や西部の方へも足をのばしてみたい。
岡坂 美紗子
2004年9月

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