初めての南アフリカ

初めての南アフリカ

南アフリカを訪れるきっかけとなったのは毎年開催される「INDABA」という旅行博のようなものに参加するためでした。今回はいつもと勝手がちがい、日本から政府観光局や航空会社、旅行会社の方々と同行。折りしもSARSが世界中で猛威を振るうなか、少人数の旅になったのでした。案の定、機内ではマスクが配られ食事以外の時はつけっぱなし。内心「食事の時、はずすならあまり意味ないかも・・?」と思いつつもマスクの息苦しさに耐えたフライトになった。香港で熱を測られ無事通過。航空機を乗り換え、いざ!南アフリカへ!


★ビクトリアフォールズ
ビクトリアフォールズヨハネスブルグからジンバブエに入り、目指したのはビクトリアフォールズ。
何はともあれ、これを見なくちゃ始まらない。「レインコートの用意はいいですか?」の呼びかけに皆、ガサゴソと準備を始める。えっ!?そんなにすごいのか・・? 何も準備をしてこなかった私はグループの方にレインコートを借りることが出来たけれど、予備までもっている方がいて助かった。($2程度で借りることも出来ます)入口から遊歩道を進みリビングストン(滝の発見者)の像をぬけると、目の前には轟音とともにビクトリアの滝が広がっていた。
『お~ぉぉ!』が私の第一声。三大瀑布のひとつだが、なぜ雷鳴の轟く水煙と呼ばれていたのかがわかる。滝壷に落ちた水が水煙となって上空に舞い上がる。この時期は水量が多く、雨のように頭上に降ってくる量もはんぱじゃない。まるで台風にでも遭遇したかのように土砂降りで、まさに「迫力」のひとことに尽きる。写真を撮るのも一苦労で、なかなかシャッターが切れない。水しぶきで「まっ白」にしか写らないし、レンズは水滴だらけ。自分でも何を撮っているのか分からなくなる始末。んっ?この状況、たしか2ヶ月前も体験したような・・。その時は吹雪だったけれども。そんな状況をおもしろがりながら、よぉーしこうなれば水煙と勝負だ!とばかりに、いかに晴れ間を狙ってシャッターを切るか・・に夢中になって、気が付くとかなりの枚数のフィルムを消費してしまった。
でも時折、水煙が晴れた時に滝に虹がかかって、とても美しい光景でした。
大袈裟ではなく本当にずぶ濡れになるけど、それもまた楽しいのでは?日差しが結構カラッとしているので、歩いているうちにすぐ乾きます。カメラもビニール袋に入れて濡れてもいい格好ででかけましょう。
ヘリコプターに乗って、上空から見るビクトリアの滝は、また格別です。
そのダイナミックさには感動もの。ヘリコプターに乗る時は左側に座ったほうが撮影するにはベスト。「えー、もう終わり?」と感じるかもしれませんが、
チャンスがあればぜひ乗ってみるべきだと思います。
★夕日
ザンベジ川の夕日ザンベジ川のサンセットクルーズに出発。船着場では民族衣装を着た数名が太鼓と歌で出迎えてくれた。遊覧船はゆっくりと進み、川岸に象が見え隠れしたりして船を近づけてくれる。風に吹かれながらのんびりと日没を待つ。いよいよオレンジ色になり出した太陽が少し大きめだと感じたのは、目の錯覚だろうか。水面を赤く染めて沈んでいく夕日は本当に綺麗で、ずっと眺めていても飽きないほどでした。
★ケープタウン
道端のカメケープタウンの象徴のテーブル・マウンテンは頂上を横に切ったように平らなためこの名がついた。テーブル・マウンテンにかかる霧や雲で、変わりやすい天気や強風の状態を予測するそうです。山には、珍しい動物が生息し多くの種類の野生植物が生えていて、山全体が国立公園に指定されている。きっと、多くの日本人が富士山を誇らしく思うのと同じように、誰もが認めているシンボル的存在なのでしょうね。
テーブルマウンテン展望台よりやはり登らない訳にはいきません。ロープウェイの床が回転式になっていて、まんべんなく景色を見ることが出来るようになっている。これにはびっくり。
観光名所なだけにさすがに混み合っているので、うれしい配慮である。手すりに手をかけていると回転したとき柱にぶつけてしまうので要注意。(柱は動かないので)頂上には展望台やレストラン、みやげ物店などがありしっかり遊歩道も整備されている。ここからの眺めはテーブルマウンテン展望台から見たライオンズ・ヘッドすばらしく、風は強いもののケープタウンの町並み、テーブル湾、ライオンズ・ヘッドなどが一望できる。靄がかかった所に陽が反射して、幻想的な風景も見ることが出来た。
ホウト湾からドイカー島へ。ちょっとしたクルーズだ。ここは島と言っても岩場のようなところ。そこに寝そべっているたくさんのアザラシを見ることがで きる。船が来てもなんのその。まったく動じない。たまに海に飛び込んで船に近づいたりして喜ばせてくれた。
ボルダーズビーチのペンギンボルダーズビーチではジャッカスペンギンと呼ばれるアフリカンペンギンが生息していて、かなり間近で観察できるので大感激! ヨチヨチと歩く姿が愛らしくて私は大好きなのだが、こんなにも大量のペンギンを実際に見るのは初めてでついつい夢中になってしまった。卵を温めているペンギンや海に飛び込んでいくペンギンたち。なんとかわいらしいこと!
半島の最南端にあるケープポイントの展望台へは、ケーブルカーで登った。香港にある登山電車のよバブーン(ヒヒ)うなものであっという間に到着。ここも風景が一望できて眺めは最高です。霧が多く発生するらしいけれどこの日は快晴。大西洋が遥か彼方まで見渡せる。ときにはインド洋と大西洋のふたつの海流がぶつかって渦を巻く様子も見ることができる。バブーン(ヒヒ)が出没していたずらを働いていた。帰りはアフリカ大陸の最南西端の喜望峰を存分に眺めながら徒歩で下った。風がとても気持ちいい。喜望峰の切り立った崖に打ちつける波はなんとも力強い。この付近は喜望峰遭難する船が多かった。その昔「さまよえるオランダ人」と呼ばれる幽霊船も目撃されているという。
夕方、テーブル・マウンテンの向かい側にあるシグナルヒルへ行くと、人々の憩いの場になっているらしく、それぞれにくつろいでいる。夕日を背に語り合うカップル達のシルエットが浮かび上がって、なんだかとってもロマンチックな感じがした。坂を少し下ると目の前にすばらしい夜景が広がっている。あまり高い建物がないせいなのか、水面に光が反射しているせいなのか、ゆらゆらと美しい夜景だった。見上げると、あまりお目にかかれないほどの星空の中に南十字星が輝いていた。ホッとさせてくれるひとときでした。
★ワイン・ランド
ユグノー記念碑公園(フランシュフック)ワインの産地、フランシュフック、そしてステレンボッシュへと向かった。フランシュフックはのどかな農園の街といった感じ。山の麓にはぶどう畑が広がっていて、17世紀にユグノー移民(フランスのカルバン派キリスト教徒)が拓いたという古くからのワイナリーがある。記念碑も建てられており、綺麗に整備された公園となっている。そこには南アフリカの国花、キングプロテアの花が咲いていた。ステレンボッシュは、ケープタウンに次いで2番目に古い町。ワイン・ルートとしては一番古い。
ユグノー記念碑公園(フランシュフック)南アフリカのボルドーと言っても過言ではない南ア最良の赤ワイン生産地で、80を超えるワイナリーがある。南アのワイン生産量は世界第6位、チリワインより多い。ステレンボッシュの歴史がわかるビレッジ博物館に行くと17~19世紀当時の家が復元されているので、家具や食器を見ていると古きよき時代を感じ取れる。そしていよいよ、ワインのテイスティングをすることキングプロテアの花になり、ワインセラーへ。数種類のワインを少しずつ、グラスを回したり香りを楽しんだりしてテイスティングしていくのだが、お恥ずかしながら私自身、アルコールをあまり飲まないということもあって銘柄はもちろん味すらよく分からなかった。
判断できるのは、飲みやすいか飲みにくいかということだけ。
ショップにはものすごい種類のワインがところ狭しに並んでいて、よく分からない私は一番飲みやすかった白ワインを一本購入しました。値段も驚くほど安くて、重くなければもう一本買うところですが・・。何本も買いたい方には輸送も受け付けてくれるみたいです。
★ゲームドライブ
サイ(ゲームドライブ)ダーバンでは今回の一番の目的である「インダバ」という旅行博の会場に向かい、現地の宿泊施設やツアーの内容、ブルートレインやロボストレイルの豪華列車の説明を受けた。ちょうどロボストレイルが停泊しているとのことで、実際に見学に向かう。思ったほど狭くなくサロンや食堂車(ロウソクの灯かりでムード満点)もあり、客室にはエアコンまでついていた。見たことはないけれキリン(ゲームドライブ)どかの有名なオリエント急行のようなものなのかな? ちょっとレトロな感じがして、映画にでも出てきそうな雰囲気だった。ちょっぴりおしゃれをして、こんな豪華列車の旅も一度はしてみたいなと思った。
「インダバ」には2日間の参加予定だったのだが、このダーバンでもゲームドライブ(いわゆるサファリ)があると聞いて、どうしても行きたくなった。もともと予定には入っていなかったことで、やっぱりインパラ(ゲームドライブ)アフリカに来たからには一目動物たちを見ないと気がすまない!そんな気持ちから、無理を言って連れて行ってもらったのでした。ジープのようなサファリカーで行く本格的なものではなくて、自分の車でそのまま廻るタイプ。
日本にもサファリパークはあるけれど、やはり目の前に動物たちが現れると、思わず興奮してしまった。もっと近くで見られたら良かったのになんて思ったけど、広い大地の中でサイ、キリン、シマウマ、ダチョウ、インパラ他、などなど野生動物を見ることが出来て本当に良かった。
ちょっと時間に余裕のない駆け足の旅となったが、私が抱いていたイメージをガラッと替えられてしまう事になった。南アフリカというとどうしてもアパルトヘイトによる貧富の差や乾燥した大地、民族衣装に身を包んだ先住民、野生動物といったものが思い浮かんでしまう。色のイメージとしては赤褐色もしくは茶色といったところだろうか。しかし私たちが訪れた街は近代的な都市で、不便さはまったく感じられなかった。周りが海に囲まれているせいか土地も乾燥してカラカラというわけではない。料理もシーフードがとてもおいしくて、日本食もある。たしかに中心から外れた地域には今でも、掘っ立て小屋のような黒人居住区があったり、先住民が民族衣装をつけて文化を守っていたりするのだが、ヨーロッパ的な雰囲気ではある。私は街の探索が旅の楽しみのひとつなのですが、治安が良くなくて一人歩きや外出できないというのは、とても残念でなりません。山あり、海あり、平原ありのバラエティに富んだ地形、野生の動植物あり、国立公園や自然保護区ありの豊富な観光資源、降り注ぐ太陽、と色々な姿を見せてくれますが知れば知るほど奥が深いアフリカの中で一番アフリカらしくない南アフリカ。必ずまた訪れようと決めた。ライオンやヒョウなどの肉食動物に出会って大自然を満喫する為に。忘れずに双眼鏡を持って・・・。
最後に今回の旅行でお世話になった、政府観光局の方々、南アフリカ航空の方々、キャセイパシフィック航空の方々、同行の皆様、現地旅行社の皆様、この場をお借りしてお礼申し上げます。楽しく過ごすことが出来、また大変勉強になりました。本当に有難うございました。
追記
ダチョウのぬいぐるみはかわいいです。
加藤 直美
2003年5月

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