ナイロビから車で5~6時間でマサイマラ動物保護区に到着。炎天下で悪路の中のドライブは多少なりとも堪えるものの、途中エジプトからザンビアまで続くグレートリフトバレー(大地溝帯)に立ち寄り、壮大な景観を眺めることができる。ここで初めてアフリカにやってきたんだなぁと実感した。
さて、人生初めてのサファリドライブ。本当に動物が見られるのか、正直なところ不安だった。しかしベストシーズンといわれるだけあって、実際に沢山の動物を見ることができた。
ガイドさんに「何が(動物)見たいですか?」と聞かれ、私は「ガゼルとインパラ!」と答えると「それは沢山見られますね~」とちょっとがっかりした様子。昔ジャポニカ学習帳に載っていた動物写真シリーズがお気に入りだったのを思い出して言ってみただけで、すぐに「でもやっぱりヒョウとかチーター、ライオンも見たい!」と言い直すと、「運がよければ見られますよ~(にやっ)」とのこと。
そして初めて目にしたのはシマウマだった。それもマサイマラ動物保護区に向かう途中の道端でひょっこり現れた。本格的にサファリドライブを始めると、そりゃあもうあちこちに野生動物の群れを見ることができる。一番多く見たのはヌーとシマウマ。それでも群れを成してサバンナを駆ける姿を初めて見たときは、その壮大さに感動した。
しばらく観察していると気づくのだが、ヌーとシマウマはよく一緒にいる姿を見かける。
そこでガイドさんに何故彼らは一緒にいるのか、一緒にいることを自覚しているのだろうかと聞いてみた。ガイドさんいわく「シマウマはとても目がいい、ヌーは鼻がきく。逆にヌーは目が悪く、シマウマはヌーほど鼻がきかない。そのため敵から身を守るためによく一緒にいるのです」ということだった。弱肉強食のサバンナで生き抜く知恵を垣間見ることができた。サバンナのど真ん中で、やはり動物たちは助け合わないと生きていけないのだ・・・人間も同じだな・・・と感慨深く感じた。
トムソンガゼルとインパラは本当に沢山見られた。じーっと見つめると、こっちを見つめ返してくるような気がするので不思議。この旅行でたまたま「鹿男あをによし」という人間の言葉を話す鹿が登場する小説を持ってきていたので、これだけ沢山いればどこかにしゃべるトムソンガゼルかインパラがいるのではないかと思ってしまうほど。
滞在時間の短い旅の中で、私がサファリドライブをできたのは4回。その限られた時間の中でも、ガイドさんとドライバーさんは、珍しいヒョウやチーターも見つけてくれた。ヒョウは遠くの森の中で歩く姿をちらっと見た程度であったが、チーターに関しては早朝サファリで狩のあとの食事中の姿を間近でとらえることができた。他の肉食動物に取られないように食事の最中でもあちこちきょろきょろしている姿が印象的だった。
サファリ・ドライブの車は天井が開いていて、上から動物を観察することができるようになっている。そのため走行中であっても強い日差しと、乾燥した風、埃が容赦なく入り込んでくる。また早朝・夕方のサバンナは気温が下がり、非常に寒くなる。そのためサングラス、帽子、防寒着は必需品である。
様々な動物を見ることができたが、その中でも私が好きになったのはキリンだ。結構おなじみの動物ではあるが、サバンナで見るキリンは動物園の檻の中にいるキリンとは全く違う。大きな体でのっそりのっそり歩く姿は、結構目立つので遠くからでも見つけることができ、背が高くてすらっとしていてとにかく凛々しく見えた。
<今回の旅で私が見ることができた動物>
シマウマ、ヌー、マサイキリン、ヒヒ、エランド、ウォーターバック、バッファロー、ブッシュバック、トピ、イボイノシシ、ハイラックス、アフリカゾウ、カバ、ヒョウ、チーター、ライオン(大人はメスだけ)、ブチハイエナ
ケニアでのサファリ体験を終えた後、ナイロビから一路タンザニアのザンジバル島へ向かった。ナイロビからザンジバルは2席並びが2列の小さい飛行機でおよそ2時間。
途中雲のかかっていない美しいキリマンジャロを眺めることができた。ナイロビを出発したのは早朝で、気温が低いため厚着をしていた。ところがザンジバルはインド洋上の常夏のリゾート。到着すると眩しい日差しに青い海、青い空が待ち受けていた。
ビザを取得してきている人は、空港で配られる入国カードにのみ必要事項を記入して、入国審査を受ける。ドライバーさんが迎えにきてくれていたので、まず先にストーンタウンへ向かった。空港からストーンタウンまでは車でおよそ15~20分くらい。古い建物の間を細い路地があちこちに延び、まるで迷路のような小さな町だ。
あちこちで観光客を見かけるが、地元の子供たちが走り回っていたり、荷物を積んだバイクがあちらからこちらからやってきたり、生活感あふれる町でもある。
しかしながらこの町には悲しい歴史がある。19世紀後半まで実際に奴隷の売買という非人道的なマーケットが存在した。奴隷の売買が行われた場所には教会が立てられ、当時アフリカ全土から連れられてきた人たちを収容する地下のスペースが当時のまま保存されている。
あまりの狭さと暗さ、条件の悪さに思わず目を背けたくなるが、実際に行われていたという歴史はそこに存在する。そしてこれは決して繰り返してはいけない過去である。
ストーンタウンツアーで欠かせないのは奴隷貿易の歴史との対峙だけではない。ストーンタウンのローカルマーケットでは野菜、魚、肉、スパイスなどあらゆるものが売られていて、この地域の生活を垣間見ることができる。魚の競りも行われていて非常に活気のあるマーケットだ。ただし生肉、鮮魚が売られていて、臭いがきついので、苦手な人にはちょっとつらいかもしれない・・・
さて、ザンジバルといえばビーチ!白砂が美しいビーチがある。
私が宿泊したのは島北東部のビーチエリアの「オーシャンパラダイス」というホテルだった。その名の通り、目の前には白砂のビーチが広がり、海でのアクティビティーも充実している。部屋もコテージタイプで、プールサイドはゆっくりのんびりする欧米人の宿泊客でにぎわい、まさにビーチリゾートに遊びにきた!という感じがする。山育ちの私は海で遊ぶということに慣れていないため何をしていいのか分からず、とりあえず目の前の海を楽しむしかないじゃないか!ということで、シュノーケリングに参加することにした。
参加者はトリニダードトバコから来たご夫婦、ポルトガルから来たご夫婦、アメリカから来た女性2人組と私という計7名のツアーになった。ポイントはホテルからスピードボートで30分~40分くらいの小さな島の近くであった。あちこちからやってきたボートがいっぱい集まっていて、何かと思ったらそこにはイルカがたくさんいた。船のメンバーは急いで準備を進め、船長の「ゴー!」という合図を元に海へダイブ。とりあえず私も飛び込んでみるものの、実は海が苦手・・・そこは深さと波のある外洋まっただなか・・・ とはいっても飛び込んでしまえばなんとかなるもので、自分の真下でイルカたちが悠々と泳いでいる様子は素晴らしかった。
イルカがいってしまうと、次のポイントに移動し、ゆっくりとシュノーケリングを楽しんだ。パンのかけらを泳ぎながら自分のまわりにまいているとキレイな熱帯魚が寄ってくる。時には指を食べられそうになりながら、優雅な時間を海の中で楽しんだ。
しかし赤道に近いインド洋上の日差しを甘くみていた・・・終わって帰ってみると、背中が真っ赤。水着のままで泳いでいたらそのまま日焼けしてしまい、ヒリヒリと痛い、そして熱い・・・ ザンジバルの太陽と海を懐かしむかのように、私の背中の水着の跡はしばらく消えないだろう・・・
ケニアではサファリを楽しみ、ザンジバルでは白砂のビーチでマリンスポーツを楽しむ。一度の旅行で山も海もついでに街も楽しめてしまうという贅沢な今回の旅。一度にいろんなアフリカを楽しみたい人にはぴったりのコースだ。
2011年10月 倉田