エチオピア ~歴史と世界遺産の旅~

エチオピア ~歴史と世界遺産の旅~

最初にエチオピアに興味を持ったのは、学生時代にレゲエに興味を持ちボブ・マーリーを聞き出してからだ。ボブ・マーリーの※1ラスタファリズムってなあに?という感じだった。次に興味を覚えたのはイエメンに行ったときに※2シバの女王の話を聞いた時だった。その後、映画「インディー・ジョーンズ 失われた※3アーク」を見たり、※4世界遺産の本や、グラハム・ハンコック著の「神々の指紋」「神の刻印」を読んでますます行ってみたくなった。 さらに、エチオピアは一時期(1936~41年)イタリアに占領された以外、ずっと主権国家としての独立を保ち続けてきたため、独自の文化、風習、宗教が育まれているというのも魅力で今回の旅行となった。
日本からのルートは、成田~(約7時間)バンコク~(約9時間)~アジスアベバの長旅だ。今回、バンコク~アジスアベバは初めて乗るエチオピア航空を使った。いろいろな国籍の人が乗っていて無国籍な感じ。機内ではスパイダーマンを上映していた。西アフリカ方面に乗り継ぐ人も多く結構混んでいた。


アジスアベバ到着後ガイドのダニエルさんと会いエチオピア旅行がスタートした。
非常にきれいな英語を話すエチオピア人のエリートだ。まずは昼食、早速、インジェラとカイワット(エチオピア料理の定番/シチューと酸味のきいたクレープみたいな感じ。)にトライ!結構いける。エチオピアビールも体験(あまり知られてないが、エチオピアはビールが6種類くらいありおいしい。)食後、※5・6 コーヒーセレモニーを体験。
首都アジスアベバではカフェやブティックが建ち並び、若者はヨーロッパの流行ファッションを追い、とても近代的な香りがする。
首都だけ見ると発展しているように思えるが、この国のGNPはUS110$。地方では、自給自足に近い生活がいまだに送られており、ほとんど現金を必要としていない。
アジスアベバでは1泊し聖ギョルギス教会、マルカート市場、国立博物館、エントト山などを観光した。
 エチオピアでの2日目は、アジスアベバ~バハール・ダールはエチオピア航空の国内線で約60分のフライト。ブルーナイル(ナイル川)の源流で、エチオピア最大の湖のタナ湖がある所だ。バハール・ダールの村から35km、車で約1時間でブルーナイルの滝(ティスイサット)がある。落差45m、タナ湖を源流とするこの滝から、いわゆる青ナイルが始まる。
途中、 道ばたで少女が※7 チャットを売っていたので試しに買い噛んでみる。(久しぶりでイエメンを思い出した。)
3日目は、タナ湖をクルーズしゴンダールまで1日の行程だ。
タナ湖に出ると、草の一種のパピルスで作られたボートが見かけられる。
タナ湖には 37の島があり、島の中には合計23ヵ所のエチオピア正教(キリスト教)修道院がある(中には女人禁制の島もある。)13世紀~17世紀に作られた修道院の中の壁には、エチオピア独特のキリスト教絵画(すばらしい!おすすめ)が描かれている。また、その時代の聖書や十字架も見れる。
ゴンダール(17~18世紀、アビシニア王国時代の首都だった所。)では2泊し世界遺産に登録されているファシリダス王らの宮殿、池付きの離宮、デブラ・ブラハン・セラシェ教会の天井に描かれている天使の絵、古代ユダヤ教を信奉する失われた部族、ブラック・ジューの住むファラシャの村などを見る。
ゴンダールから空路約30分でラリベラ(エチオピア正教の岩窟教会群がある所。)に到着する。12世紀、ラリベラ王の統治のおり、エチオピアがイスラム教徒に包囲され巡不可能となったエルサレムを再現するために2万人もの人々が24年の年月をかけて一枚岩の岩盤を掘りぬいて11の教会を造った。
これらはユネスコの世界遺産に指定されている。(おすすめ)これらを2日がかりで見学。岩窟教会群は文字通り大きな岩盤をくりぬいて造られた教会であり、神への畏敬に満ちた、世界でも類を見ない建造物だ。驚嘆すべき信仰心の賜だ!!
また、ラリベラは、タッジ(ハチミツを水に溶かして発酵させたお酒で美味、おすすめ)も有名でダニエルさんと思いっきり飲む。
その後、ラリベラから空路約30分のアクスムはエチオピア文化発祥の地であり、数々の王が栄え多くの遺跡が発見されており、モーゼの十戒を納めたアーク「契約の箱」があるとされているところだ。(グラハム ハンコックがアークの行方について記した『神の刻印』ではここがエチオピアの主な舞台になっている。)
※8 オベリスク、アークが収められているという古い聖マリア教会(ST.MARY OF ZION)、ハイレセラシエが建てたモダンな聖マリア教会、国立博物館 シバの女王の神殿、シバの女王の浴槽 などを見学。
もちろんアーク自体は見学できない。エチオピアのキリスト教はイエス・キリストでも聖マリアでもなく、この聖なるアークが信仰の対象であり。すべての教会にアークのレプリカがあり、その本物がこのアクスムにあると信じられている。1年に1度エチオピア・聖アークの祝祭ティムカットの時、レプリカのアークは外に持ち出されるが、本物??のアークはこのときも決して持ち出されることはない。
最後、アジスアベバに戻りブンナベットで最後の乾杯!
タッジをボトル1本あけ、翌日2日酔いでエチオピアをあとに…。
※1 ラスタファリズム
ラスタファリズムはジャマイカの現代史で最も強力な文化であり、レゲエ創造の基ともいえる。ラスタファリズムとは1920~30年代に活躍したジャマイカ人の黒人解放活動家でアフリカ回帰を唱えたマーカス・ガーベイの予言を機にはじまった。ジャマイカ人が何よりも心の拠り所とする聖書の教えを根底にした一種の宗教と言えるようなものである。
ガーベイは「アフリカを見よ。黒人の王が誕生するであろう。その時解放の日がやってくるのだ。」と予言したのである。その予言どおり1930年エチオピアに、旧約聖書にあるソロモン王とシバの女王の血筋を引くといわれるハイレセラシエ皇帝が即位した。この王の幼名がラス・タファリ・マコネンであるところから「ラスタ」がつけられた。また、エチオピアの国旗の色、緑・黄・赤(それぞれ自然・太陽・血を表している)をラスタカラーという。
ラスタファリズムは、ジャマイカに奴隷として売られてきた自分たちの祖先を旧約聖書の中の迷えるイスラエル人と同一視し、ハイレセラシエ王を生き神「ジャー」と崇める。そして現在の自分たちはバビロンの捕らわれもので、ザイオン(=シオン)を安住の地とし、アフリカ=エチオピアに真の自由があると考える。
※2 シバの女王
ソロモン王の物語に登場するアラビアの女王。ソロモン王の治世(前965-926年)すなわちソロモン王の栄華の頃に、エルサレムを訪れた王の中に名前が記されている。
シバは国名で、南アラビアの人々、およびそこから紅海を渡ってエチオピアに植民した人々を、旧約聖書は「シバ人」と呼んでいる。紀元前1000-700年代は、シバの権力がもっとも遠くまで及んだ時代で、アラビアの黄金、宝石、インドの香料、東アフリカの象牙などをフェニキアに運んで交易した。 女王はエルサレムを訪問し、ソロモンと知恵比べをし、互いに認め合ったという。エチオピア建国の祖メネリク王は、ソロモン王とシバの女王の子という伝説が、現在も残っている
※3 アーク
出エジプトのモーセの十戒が納めれれたという「契約の箱」
※4 エチオピアの世界遺産は7つ
■アクスム
古代エチオピアの都。石の塔など
(文化遺産) ■ゴンダール
17世紀のお城など
(文化遺産) ■ラリベラ
岩窟教会がある
(文化遺産)
■シミエン山国立公園
急峻な崖が立ち並ぶ人里離れた大自然
(自然遺産) ■ティヤ
12世紀に作られた墓石群
(文化遺産) ■アワッシュ川下流域
人類の故郷
(文化遺産)
■オモ川下流域
(文化遺産)
※5 コーヒー
エチオピアは世界的なコーヒーの名産地。
国内でも特に南部にはコーヒー畑が多い。
エチオピアで収穫される豆は「モカコーヒー」として世界中に出回っている。
モカコーヒーの名前の由来は、エチオピアで採れたコーヒー豆をアラビア半島にあるモカ港
(イエメン)から輸出していたので、その名前が付けられた。
※6 コーヒーセレモニー
エチオピアの代表文化コーヒーセレモニー。
セレモニーというと、少しオオゲサだ。日本でいえば、お茶を入れる感覚でコーヒーセレモニーを行う。ご近所さんや友達が訪れた時に、世間話をしながらワイワイと……。
※7 チャット
エチオピアでは若干の覚醒作用のあるチャットと呼ばれる木の葉を噛む習慣がある。
老いも若きも男も女もみなくちゃくちゃやっている。ちなみにエチオピアでは合法。
イエメンでいうカートのこと。久しぶりに体験。
※8 オベリスク(石柱)
現在、最も高い石柱はエザナ王の物で高さ23m、やや斜めに立っている。王都には130本余りの石柱が残されたが、エジプトのオベリスクをしのぐ世界最高の建築物だった33mの石柱はイタリアとの戦いの時に倒され現在は草の上に横たわっている。またムッソリーニ時代のエチオピア占領中にロ-マに持ち去られ、今もローマ市内のポルタ・カベーナ広場に展示されている。
※9 ブンナベッド
ビール、ウイスキー、アラケ(エチオピアのジン)、ソフトドリンクが安価で飲める。アムハラ語で「ブンナ」はコーヒー、「ベット」は屋を意味する。日本語に直訳すれば「コーヒー屋」とでもいったところか。多くのブンナベットでは、毎晩エチオピア伝統のコーヒーセレモニーを行なっている。
出村 隆行
2002年10月4日~10月14日・11日間

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