近くて遠い国北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と話題の「アリラン」

近くて遠い国北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と話題の「アリラン」

いつの頃だっただろう、確かまだ学生の頃、韓国に行き板門店を訪れて「いつか反対側からもう一度この地を訪れよう」と思ってから十数年の歳月をついやしてしまった。さすがに「近くて遠い国」だ(^^;)、この国をついに訪れる機会にめぐまれた。北京でビザを取り入国し、平壌・開城(板門店)への旅だ。ガイドブックのたぐいはほとんどなく、自由気ままにといった国でもなさそうだ。僕自身も、国交のない国を訪れるのは初めてだ。伝わってくるかすかな情報はどれもあまり良いものではなく、まわりの人たちからは本当に行けるの?帰ってこれるの?といった反応がほとんどだ。

何とかなるだろうと思い一人日本を出発、北京で1泊、翌日北京の朝鮮大使館は土曜日だというのに(事前に日本から申請はしているものの)簡単にビザを発給してくれた。(ビザはセパレートビザでパスポートにはなにものこらない。)

北京からは高麗航空に乗り平壌へ。入国はパスポートにスタンプを押してくれない。

日本から持参の携帯電話は持ち込みが許されず税関に預け出国の時に受け取るシステムにまずびっくり。他は、特に厳しいといった感じではなかった。入国審査がすむとガイドの金さんと平壌市内へ。凱旋門を通り町中へ入って行くと至る所に「偉大な首領様…。」「偉大な将軍様…。」の文字や「百戦百勝の朝鮮労働党!」「偉大な主体思想とともに!」等々のスローガンがいかにもで非常におもしろい。平壌は都会で、観光客がみれる部分は非常にきれいだ。(観光客がみれる部分以外は見てないのでわからないのだが…)写真は結構自由に撮れる。宿泊したホテルは羊角島ホテル(5つ星と言っていた…?)、地下には中国人が経営するカジノとマッサージがある。電力の供給が良くないのか時々エレベーターがとまる。まあこんなもんか。テレビでは「偉大な金正日将軍様」の業績を延々と流していた。
夜は、 15万人収容のメーデースタジアムで話題の「アリラン」(10万人規模のマスゲーム)の練習風景を見学。正直、びっくり、腰が抜けるかと思うほどすごい!! 何でこんなことが出来るの?こんなの出来るの今の世界じゃこの国だけだろ〜な。本当に一見の価値あり。(アメリカのオルブライトさんが似たようなことを言ってアメリカ国内で批判を受けていたけど…。)何であんな事ができるのだろう?どうやって練習しているのだろう?この人達はどういった人なんだろう等々素朴な疑問がわいてくる。感動で「アリラン」のポスターを思わず購入(1枚1ドル)。日本円(硬貨も可)で払ったら、ななな…なんと1円単位まで日本円でお釣りをくれるではないか?正直、びっくりした。(何であるの?)食事は朝鮮料理、観光客用だと思うのだが、結構物があるように見えた。ピールも中国製からキリンやサッポロまである。高麗ホテルのまわりにはレストランも結構あるようだ。
翌日は午前中に平壌市内観光(万景台〈金日成さんの生家〉、地下鉄、万寿台〈金日成さんの銅像、訪れる時はお花を買い献花〉、主体思想塔、千里馬銅像など)「偉大な首領」の功績等々を観光(^^;) 昼は名物の平壌冷麺を食べる。(美味)午後に開城へ。平壌から開城まではよく整備された高速道路が延びている。開城では、伝統形式の開城民族旅館に1泊オンドル部屋で暖かく快適だがやはり電力事情だろうか?停電でろうそくの火で過ごす。名物料理参鶏湯(サムゲタン)を食べる。(めちゃうま!)ガイドさんと開城名物高麗人参酒で乾杯。

翌日、警備の軍人さんとガイドさん共に板門店軍事境界線観光。感慨深いものがあった。軍事境界線近くでも写真は結構自由に撮れる。ふと、日本に帰ったら「JSA」を見ようと思う。

平壌に戻りサーカスを見るのを楽しみにしていたのだが、「アリラン祭典」に出演者がかり出され今日は中止とのこと。まあ全てが予定どおりいく国とは思えないのでしょうがないか。おみやげに切手を買う。(いろいろな種類がありおすすめ。2000年6/13〜15の金正日将軍と金大中大統領の南北最高級会談の切手等…。)その後ガイドさんとも仲良くなったので、平壌の街を一人でぶらぶらしたいと言うが予想通り「NO!」やはり一般の市民と話したりする機会はないようだ。(あっても朝鮮語が出来ないと…。)
翌日、税関で携帯電話を受け取り出国、(セパレートビザは回収されてしまうので入国関係の書類はコピーを取っておかないと何も残らないので注意。)「近くて遠い国」が近くの国になればいいなと思いながら高麗航空に乗り北京へ…。

帰国後「実際に朝鮮に行って見てどうだった?」とよく人に聞かれる。確かに自由気ままな旅とは行かず、決まったコースをツアーで参加するといった形だが、いろいろな意味でおもしろかった。非常に統制されていて、不思議なことが多く、このような国は世界でもめずらしいと思う。一度行ってみてよ!きっと帰ってこれるから(^^;)と答えてしまう。
出村隆行
2002年3月29日〜4月3日

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